反転生徒はキヴォトスをかき乱す   作:オルソル

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それぞれの想いを胸に

 ミレニアムサイエンススクール。最先端技術に加え、強者が揃う場所。ここを相手取るとなると、覚悟と力と頭脳が必要になる……と個人的に考えている。

 リンネがここを訪れた理由、それは――

 

 

 

「エンジニア部の皆さんは数々の作品を作っていると聞きました。予算が厳しいなら何とかするので、どうか作っていただけないでしょうか?」

 

 ミレニアムの実習室にて。エンジニア部の部長、白石ウタハはリンネから渡された二枚の図面を見つめていた。

 エンジニア部。ミレニアムの中でもトップクラスの実績がある部活。武器の制作、修理はもちろん、キヴォトスに多大な影響力を及ぼしている。

 

「左手専用のスペアの銃付きの籠手。かかとに仕込み刀、つま先からナイフが出るメカニカルな仕込み靴か。なるほど、かなり面白そうだ」

 

 ウタハはヒビキとコトリを呼ぶと、今ある予算で作れるか会議を始める。

 ここに来る前、大きな銃を背負った小柄な子が歩いているのを見かけた。はっきり言うと銃より鈍器に見えた。

 かっこよさそうだから自作できないかと考えているとウタハに声をかけられる。

 

「大丈夫だ。制作に取り掛かろう」

「まずは足のサイズから測らせてください!」

 

 部員の一人、豊見コトリがメジャーを持ってきた。

 

「左腕も測らせて」

 

 同じく部員の一人、猫塚ヒビキもメジャーを持ってきた。エンジニア部にされるがまま測定を終える。

 

「完成したらどうする?」

「先生から渡してもらうことは……」

「わかった。そうしよう」

 

 リンネはエンジニア部にお礼を言うと、ミレニアムを後にした。

 

♢♢♢

 

 セミナー会議室。多くの生徒が入れるであろう空間に四人が集まっていた。

 先生。会計のユウカ。書記のノア。そして

 

「なんで私もいるんですか?」

 

 何も知らない黒崎コユキ。以上の四名が長机を囲むように座っている。

 

「セミナーの一員に戻ったんだから参加するのは当然でしょ」

「でもこれ重要そうな話ですよね。私がいるのはダメな気がするんですけど」

「コユキちゃんにも聞いてもらいたいので」

「うう……わかりました」

 

 先輩二人に言われてはもう逃げられない。渋々コユキは話を聞くことにした。

 

"それで、大切な話って何かな。キヴォトスの今後に関わる重要なことみたいだけど。"

 

 先生がノアに尋ねる。ノアはユウカの顔をちらりと見る。小さく頷いたことを確認したノアは先生とコユキに例の紙を見せた。

 

「この人、血だらけじゃないですか!」

 

"リンネ…………。"

 

「先生はこの生徒さんをご存じなんですね」

 

 ノアは紙を表に返す。

 

「ヴェリタスの皆さんが調べてくれました。彼女はとても危険な生徒です。この画像だけではわかりませんが、恐らく何人も手にかけたのでしょう」

「それって」

「……殺人よ」

 

 コユキの言葉にユウカが返す。殺人。どこの世界でもそれは越えてはならない一線。その一線を易々と飛び越えるリンネ。

 だが、先生はどうしても納得がいかなかった。友人を庇っていると言った彼女の表情は複雑で、罪の意識をありありと感じていて。

 

"私は、本人から聞いたよ。行方不明の友人を庇っているって。"

 

"リンネは友達が辛い思いをしないようにしているだけなんだ。リンネに罪はない。"

 

「だから、見逃せって言うんですか」

 

 ユウカは先生を見ながら言葉を絞り出す。

 

「これは正確な情報です。虚偽の情報は一つもありません。データなんて後からいくらでも改ざんできます。ですが、彼女の本性だけは因数分解できないんですよ!!」

「ユウカちゃんの言う通りです先生。このことがキヴォトス全土に知れ渡ったら学校間での戦争になりかねません。凶悪な犯罪者だけではなく、殺人犯も在籍している。そんな学校を野放しにしていいのか、と」

 

 ユウカとノアの言葉に先生が顔を歪ませる。

 わかっている。生徒同士の戦いなんて見たくない。絶対にさせない。だが、どうやって止める?

 

「あのー……」

 

 恐る恐る手を挙げるコユキ。"コユキ?"という先生の問いかけに、こう答えた。

 

「強い人を集めればいいかなーって……。ダメ、ですか?」

 

 強い人。そうだ。

 

"C&Cに頼むってのはどうかな?"

 

 C&C。クリーニング&クリーニングの略称であり、ミレニアムにおける『約束された勝利』の象徴。

 リンネの身柄をシャーレに引き渡せれば防げる可能性がある。

 

「その作戦でいきましょう」

「よかったですねコユキちゃん」

「ほ、本当にやるんですか…………?」

 

 正直な所、リンネとはあまり話せていない。どういった子なのか未だにわからない。本当なら対話で穏便に済ませたいけど、ユウカ達の意見を汲もう。

 

"皆、お願い。私も指揮を執る。"

 

 決行は明日。不安が渦巻く胸中に反してミレニアムの空は雲一つない快晴だった。

 

♢♢♢

 

 輪廻転生部部室。朝早くから作り始めたのが、いつの間にかお昼を過ぎていた。私は窓の外を眺める。

 変わらない風景が心地いい。

 

「できた」

 

 見よう見まねで作った大きな銃。あれをどうしても作りたくて、ガラクタを全て注ぎ込んだ。

 これあれだ、レールガンだ。だから名前は……。

 

 方舟式超電磁砲(アトラ・レールガン)

 

 スマホに着信。誰かと思えば先生からだ。

 

「なになに……『明日ミレニアムの廃墟に来てくれる? そこで話したいことがある。』なにこれ」

 

 廃墟? カフェとかじゃいけないの? 怪しい、超怪しい。なんとなく戦闘の予感がする。

 ミレニアムで一番強いのはメイド服を着た人達だけど、頭脳の面では違う。合わされば最強だけど、合わさる気配がしない。

 

 怖くなった私は、ありったけの銃を持っていくことにした。

 あ、でも。レールガンと火炎放射器は持たない。これはキヴォトスを完全に壊す時が来たら使おう。

 

「……………………ご飯、どうしよ」

 

 明日は絶対に疲れる。戦いに備えるために、今日はいっぱい食べようと心に決めた。




 次回は戦闘シーンをマシマシのマシにするので長くなるかもしれません。

リンネVS

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