転移したら暗黒の破壊者に変身出来る様になった件   作:仮面大佐

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第12話 春の空気と

 豚頭帝(オークロード)戦から暫くが経った。

 目の回るような忙しさだったが、皆のおかげで、ひと段落する事ができた。

 リムルは紫苑に尋ねる。

 

「で、俺の今日の予定は?」

「本日は、特に急ぎの予定はありません」

「おお!良いねぇ!」

「たまには、ゆっくりお休みください。」

「確かに……………休暇とか無かったからな。たまにはのんびり羽を伸ばすか」

「よ〜し!仕事の事なんかぜ〜んぶ忘れて、ダラダラするぞ〜!」

「ハハハハハ!どうぞ、気が済むまで」

 

 そうして、俺とリムルは休む事にした。

 まあ、俺はあくまで側近の立場なので、休みは無いが。

 一応、何体かレプリケミーを作っておいた。

 先日、アークから受け取ったDr.アークグラッジのカードも、レプリ版を作っておいたしな。

 ちなみに、ファンタスティック属性やコズミック属性、レベルナンバー10に関しては、力が強い為、そこまで量産出来ていない。

 その為、奥の手として運用する事を決めている。

 魔王ゲルドクラスの敵が現れた時に使うと。

 それに、リムルやシズさんの為のガッチャードライバーも作りたいが、一人でやるには限界がある。

 技術者が欲しい所だな。

 だが……………これまで、仕事がたくさんあったのに、急に休んで良いと言われると、妙に落ち着かないな。

 俺も前の世界では、イラストレーターとして活動していたが、この世界でもイラストレーターとして活動しようかな。

 そんな風に考えていると、リムルが入ってくる。

 

「なあ……………なんかない?」

「ん?」

 

 どうやら、リムルも同じ考えに至ったそうだ。

 その後、俺たちはゴブタと会い、話をする事に。

 

「………………で、結局、リムル様は仕事場に戻ったんすか?」

「何もしなくて良いって言われると、ソワソワしちゃってさ」

「確かに。これまで、仕事が多かったからな」

 

 俺とリムルがそう言うと、ゴブタが口を開く。

 

「た〜っ!折角の休み、楽しまないとダメっす!」

「お………………おう」

「最近は、面白い店も増えたんすよ」

「へぇ」

「頼れる自分が案内するっす!」

 

 こうして、ゴブタの案内の元、俺たちは暇を潰す事にした。

 ゴブタを始めとするテンペストの住人達とも、仲良くなる事が出来ていて、今では仲間として受け入れられている。

 ゴブイチの店に寄り、焼き串を食べる。

 

「へい、お待ち」

 

 ゴブイチに金を払って、俺たちは焼き串を食べる。

 ちなみに、俺とリムルは、フルーツの盛り合わせを持っている。

 

「どうっすか?この辺の屋台、美味いっすよね」

「んもう〜」

「美味いな」

「あっちには!土産物屋もあるっすよ。」

「へぇ……………」

「ここだけの話、早くお姉ちゃんの店とかも欲しいっすねえ」

「お〜お〜!」

 

 いや、その店は、どうだろう……………。

 紫苑にキレられて、終わりな気がするな。

 というより、リムルには、シズさんという運命の人が居るんだから、あんまりそういう事はしない方が良いんじゃ……………。

 すると、後ろからリグルの声が聞こえてくる。

 

「あいつ、どこ行った?」

「お……………?ハッ!?」

 

 後ろを向くと、リグルと白老が誰かを探していた。

 それで、ゴブタのこの反応。

 どうやら、サボりの様だな。

 すると、ゴブタが叫ぶ。

 

「やばい!リグル隊長と師匠っす!」

「おおお〜!?」

「おい待て!」

 

 ゴブタが走り出したのを見て、俺とリムルも追いかける。

 ちなみに、リムルは果物を落としたが、俺は落とさずに追いかける。

 それで、ある建物の陰に隠れる。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……………」

「気のせいかのう?」

「上手く撒かれましたね」

「フ……………いやあ、休日を楽しむのも、一苦労っすね」

「……………いや」

「お前、さてはサボりだな?」

 

 ゴブタがそう言う中、俺とリムルはそう突っ込む。

 その後、俺はゴブタをリグルと白老の元に連れて行った。

 そして、ゴブタは俺に対して『裏切り者ォォォォォッ!?』と叫びながら、リグルと白老に連行されて行った。

 ていうか、サボってる奴が言うな。

 一方、紅丸は、玄関の方で刀の手入れをしていた。

 朱菜は、紅丸に話しかける。

 

「あら?お兄様、今日は控えの日なんですか?なら……………」

「いや。例え休日でも、心身の鍛錬と武具の手入れは欠かせない物だ。穏やかな日だからこそ、守りの剣は磨かれなければならない。リムル様や閻魔殿、お前や街の皆の為にな」

 

 紅丸はそう言う。

 すると、鹿おどしの音が響く。

 

(お兄様……………)

 

 朱菜がそう思う中、紅丸は刀を納刀する。

 朱菜は、紅丸の背中を摩り、頬を紅丸の背中にくっつける。

 すると。

 

「でも……………!」

「おっ!?」

 

 朱菜は紅丸を立たせて、外に出す。

 

「お掃除しますので、外でやってくださいね。」

「……………………」

 

 朱菜はそう言いながら扉を閉めて、紅丸は呆気に取られる。

 すると。

 

「あっぱれ!」

「ん?おお、アッパレブシドーか。」

 

 そんな声が聞こえてきて、紅丸が振り返ると、そこにはアッパレブシドーの姿があった。

 ケミーを放っているのだ。

 自由に過ごしてほしいから。

 

「あっぱれ!」

「そうだな、俺も付き合うか。」

 

 アッパレブシドーは、紅丸に付き合って欲しいと言い、紅丸もそれを了承する。

 二人は、どこかへと向かう。

 一方、俺たちは、ゲルドとギルドの元に向かっていた。

 どうやら、ゲルドとギルドも、休みを貰ったそうだ。

 

「何だかんだ、俺たちも仕事中毒だったみたいでさ」

「ああ。ゲルドとギルドの事、言えないよな」

「リムル様と閻魔殿は、何事も楽しんでおられますから。う〜ん……………」

「うん?」

「俺たちは、ただ無心に働く事のみで……………」

「ゲルドの言う通りだな。いざ、休みを頂いても戸惑うだけでして……………。何も手につかず、街の皆から浮いてしまっている感じで……………」

「ん………………」

 

 ゲルドとギルドがそう言う中、ゲルドとギルドの周囲には、ホブゴブリンの子供達が集まっていた。

 

「子供…………好きなのか?」

「いや……………ああ………………その……………」

 

 リムルの質問に、ゲルドがどう答えようかと悩む中、ゲルドによじ登ろうとしていた子供が落ちる。

 すると、ゲルドはキャッチする。

 

「うっ…………ああっ!」

「おっと。危ないぞ」

「アッハハ!アハハハハ…………!」

「好きと言うよりは……………俺とゲルドが座っていると、なぜかこうなるんですが……………」

「慕われてるな」

 

 なるほどな。

 まあ、隣もだけど。

 

「ゴリ〜」

「あははは!」

 

 その隣には、ゴリラセンセイの姿があり、子供達と一緒に遊んでいた。

 俺とリムルは、それを微笑ましく見ていた。

 一方、蒼玉は、蒼華達と共に蒼影の指示を受けていた。

 

「いざという時、動けないのでは意味がない。休める時に、交代で休みを取る様に」

「ハッ!」

 

 蒼影の指示を聞いて、蒼玉達は休む事に。

 無論、交代で。

 そんな中、蒼玉は蒼華に話しかける。

 

「はぁ………………」

「どうしたんだ?」

「蒼玉か。蒼影様は、ああ仰っているのに、蒼影様自身は、決して休まれない。このままでは、お体を壊しそうで……………」

「ああ……………蒼影様なら大丈夫です。ほら」

 

 蒼華がそう言う中、銅金は後ろの方を指差す。

 そこには、蒼影がもう一人いた。

 分身を使って、休んでいたそうだ。

 

「交代で……………!?」

「みたいですね」

 

 蒼華が驚く中、蒼玉はそう言う。

 一方、俺たちは、執務室に向かっていた。

 リムルが分身などをして、朱菜に気づかれるかどうかという感じのをやって、朱菜に気づかれた直後、ドアがノックされる。

 

「失礼します」

「おっ!リリナさん、珍しいね」

 

 そう言って入ってきたのは、リリナ。

 リムルがドワルゴンから帰ってくるまでの間にやって来た、ゴブリンの村のリーダーの一人であり、リグルドとは旧知の仲だそうだ。

 

「どうしたんですか?」

「季節柄、畑の準備の頃合いですが、如何しましょう?」

「おお」

「それだ!早速、明日の朝、皆を集めてくれ!」

「はい!それでは、皆に声を掛けますね。」

「頼む」

 

 そう言って、リリナは執務室を後にする。

 畑か………………。

 そういうのも、アリかもな。

 そう思う中、リムルは俺に話しかけてくる。

 

「閻魔」

「うん?」

「折角だし、シズさんも連れて行くか?」

「だな」

 

 俺たちは、シズさんも連れて行く事にした。

 畑作をやる理由は、人口増加に伴う、街の自給率向上の為だ。

 ちなみに、シズさんは、作業をしやすい様にもんぺ姿になっていた。

 

「古来より、飯の美味い土地は、良い土地だと言う。うちもぜひそうありたい」

「という訳で、今日は皆も力を貸して欲しい」

「分かりました!」

 

 俺たちがそう言うと、皆が返事を返す。

 そして、話し出す。

 

「街で売ってる様な野菜も、俺たちで作れるのかなあ」

「お手伝い楽しそう!」

「いっちょ皆で頑張ろうぜ!」

「腹が減っては何とやらと言いますからな」

「子供達を、飢えさせたくはないですな。」

「確かに」

「そうだろ、そうだろ!アッハハハハ〜!」

 

 皆がそう話して、リムルは笑う。

 すると。

 

「分かります!美味しい物を、食べたいですよね!」

「よし!植え付け開始だ!」

「お〜!」

「あははは……………」

  

 紫苑がそう言いながら鍋を持ってくるので、俺はそう叫ぶ。

 それを聞いて、シズさんは苦笑する。

 シズさんも、紫苑の料理は恐ろしく感じたそうで、曰く。

 

「………………料理を見て、命の危険を感じたのは、初めてかも」

 

 との事だ。

 シズさんは、戦時中の日本から来たという事もあり、食べれる物は食べれる時に食べておくという主義だが、流石に紫苑の料理は無理だそうだ。

 俺たちが分担を決めてる中、ゴブタ達は。

 

「オイラ達もいっちょやるっす!」

 

 ゴブタ達は、畑を耕し始める。

 そんな中、ゴブトとゴブツが話し始める。

 

「だりーよなぁ……………」

「だよなぁ」

「は〜……………サボりてえ」

「おらは結構面白いだす」

「た〜!つまんねえ事言ってるし」

「お〜い、ゴブタ、聞いてんのか〜?」

 

 ゴブトがそう言いながらゴブタに話しかけるが、ゴブタは横には居らず、木陰でサボっていた。

 

「って、あ〜!あいつ、やってるふりしてサボってやがる!」

「ゴブタ!何サボってんだよ!」

 

 それを見たゴブトとゴブツは、ゴブタに近寄りながらそう言うが、ゴブタは口を開く。

 

「違うっすよ。瞑想の修行をしてたんすよ。」

「瞑想!」

「そうか!瞑想!」

 

 そう言って、ゴブトとゴブツもサボる。

 ゴブゾウが一人で畑を耕す中、黒兵衛がやって来る。

 

「お〜い!ゴブタ君!」

「うわっ……………黒兵衛さん!」

 

 黒兵衛が声を掛けた事に驚いて、起き上がるゴブタ。

 

「リムル様と閻魔殿から頼まれていた物が出来ただよ」

「マジっすか!やったー!待ち侘びたっすよ!」

 

 黒兵衛が言う物とは、以前、ガビルがやって来た際に、ゴブタがガビルを倒した事で、ご褒美として作らせたのだ。

 

「あん時のすっね!いやぁ死ぬかと思ったっすよ」

「フッ……………ゴブタ君。そいつは一振りで大地を砕き切り裂く…………オラの会心の業物だべ」

「す……………すげえっす!これさえあれば、まさに鬼に金棒………………金棒………………っす?」

 

 ゴブタがそれの布を取ると、そこにあったのは、金棒ではなく、鍬だった。

 

「うおおおおおおお!」

 

 ゴブタがその鍬を使って、畑を耕すと、凄い速度で耕されて行く。

 

「すげえぞ、ゴブタ!」

「硬い地面があっという間に!」

「耕されて、耕されて!」

「「まるで鍬が体の一部みてえだ!」」

 

 ゴブトとゴブツはそれを見て、ゴブタを褒める。

 だが、当のゴブタは。

 

「うぉぉぉん!自分には、これがお似合いって事っすかーーーっ!」

 

 そんな風に泣いていた。

 それを見ていた俺たちに、黒兵衛が話しかける。

 

「なんか、間違ってただか?」

「………………」

「渡すタイミングと、言い方を間違えたな……………」

「あははは……………」

 

 まあ、大地を砕き切り裂くのは、間違ってないな。

 蒼炎は、こうなる事を分かっていたのか、大爆笑していた。

 一方、紫苑は、沢山の大豆を前にして、見ていた。

 

「何ですか?この豆。随分とたくさん蒔きますね」

「それは大豆」

「へぇ……………」

「上手くいけば、色んな物に加工できるよ」

「そうね。味噌や醤油、納豆とかも良い感じね!」

 

 紫苑が首を傾げながらそう言うと、俺とリムルはそう言う。

 そういえば、シズさんは戦時中の日本の出身だから、納豆は好きなのかもな。

 ちなみに、俺は納豆が大好きだ。

 だから、楽しみだ。

 そんな中、紫苑は首を傾げる。

 

「なっとー?」

「ああ。納豆というのはな、保存が効いて、長く食べる事が出来るんだ」

「へぇ……………」

「あと、簡単に言えば、腐った豆!」

「腐った……………?」

 

 俺は、紫苑に納豆がどういう物かを伝えた。

 すると、紫苑が叫ぶ。

 

「リムル様は腐った物が好き…………!リムル様は腐った物が好き…………!」

「訂正する!発酵な、発酵!」

「今後のお食事にご期待下さい!腐った物を食卓一杯漁ってきますので!」

「やめろ紫苑!メモを取って、何を作る気だ!?紫苑!!」

 

 リムルの叫びが響く。

 言い方が悪かったな。

 というより、言い方がかなり簡潔気味なんだよ。

 俺とシズさんはそれを見て、苦笑していた。

 その後、ガビル達に水田を案内していた。

 稲を育ててもらう為だ。

 

「という訳で、ガビル達には、稲を植えてもらう」

「お〜!ありがたき幸せ!では、歓喜の歌を〜!」

「それは良い」

「湿地に生息しているお前達にはピッタリだろ?」

「はっ!ここなら如何なる戦いでも……………負けませんなあ!何なら、技のキレを水渦槍(ボルテックススピア)の演武で……………!」

「それも良い」

 

 というより、ここは水田だぞ。

 ここで戦う訳じゃないからな。

 俺は念の為に、釘を刺しておく。

 

「言っとくが、米の改良と栽培は割と本気で取り組んでるからな。浮かれたりしてると……………」

「何と失礼しました」

 

 分かってくれたか。

 俺たちとしても、たまには白米を食べたい。

 

「我ら一同。その気持ちに応えるべく……………神聖な舞を〜!」

 

 ガビル達はそう言って、ざるをどこからともかく出してきて、踊りだす。

 どじょう掬いじゃねぇか。

 

「あ、びっちゃばっちゃ!びっちゃばっちゃ!よいよいよいよい!」

「良いから早く始めてくれませんかねぇ」

「賑やかだね……………」

「ガビル達はこういう奴らだったよな……………」

 

 そうだ、こういう奴らだった。

 ダメだこりゃ。

 何とか作業を始めたのを見て、俺たちは移動する。

 すると、ゴブタが話しかけて来る。

 

「リムル様と閻魔殿だ!リムル様〜!閻魔殿〜!」

「おお、ゴブタ!」

「どこ行くんすか?」

「ああ。リリナさんに先に作ってもらってた春野菜の畑があるんだ。一緒に見にいくか?」

「行くっす!」

「よし、じゃあ頼む」

 

 俺たちは、春野菜のエリアに向かう。

 

「「「おお〜!」」」

 

 それを見て、俺たちは感嘆の声を出す。

 

「すげーっすね!もう出来てるじゃないっすか!」

「今日は賑やかで、何だか嬉しいですね」

「だろ?今年は畑も大きく作るんだ。皆、初めての奴も多いけど、面倒見てやってくれ」

「はい!私はこの街の農業担当ですから!任せて下さい!」

 

 頼もしいな。

 すると、ゴブタは案山子に気づく。

 

「あ?何で畑の真ん中に人形があるんすか?」

「案山子だよ。カラスよけの」

「でも、あまり効果が無いんですよ。折角の春野菜も、こんな有様です」

 

 リリナはそう言って、一つの春キャベツを取り出す。

 その春キャベツは、齧られていた。

 

「げ!俺の好きな春キャベツ!」

「齧られてるね………………」

「一応、ホークスターにも手伝ってもらってるんですが、なかなかに重労働でして…………」

「あいつら、頭良いんすよ!こんなチャチなんじゃダメっす!自分に任せて下さい!」

 

 リムルとシズさんがそう言うと、リリナさんはそう言う。

 そう、ホークスターも手伝ってくれているが、ホークスターだけでは大変だろうな。

 ゴブタはそう言うと、作業を始める。

 

「おりゃあああ!出来た。どうっすか?この逞しい肉体。そして、精悍な顔立ち。これでもう安心すよ!ちょっと隠れて見てみましょう!」

「精悍……………?」

「どうかな……………?」

 

 その案山子は、ゴブタに似た様なデザインとなった。

 ある種の不安を抱きながら、俺たちは隠れる。

 

「これならあいつらもビビって、絶対に大丈夫っす」

 

 俺たちが見ている中、その案山子は、動物達に攻撃されまくり、壊れてしまった。

 ゴブタが、ムンクの叫びみたいな顔になった後、壊された事実に撃沈していた。

 

「あう……………あう……………あう……………」

「これ吊るしてみ」

「何です?これ?」

「これは何なの?」

「目玉君って言ってな。カラスよけのアイテムだ」

 

 まあ、案山子よりもそっちの方が良いかもな。

 その後、俺、リムル、紅丸、シズさんの4人で、稲を植えていく。

 

「ふぅ……………」

「良い感じじゃないか?」

「うん」

 

 俺とリムルとシズさんがそう話す中、蒼影は、別の場所で、クナイを地面に刺していた。

 それも、等間隔に。

 

「凄い……………」

「確かに……………」

「フッ。巡回警備の時間だ。行くぞ」

「はっ!」

 

 蒼影はそう言って移動する。

 そんな中、蒼華と蒼玉は、地面に突き刺さったクナイを一本ずつ取って、つぶやく。

 

「種まき…………したかったのかな…………?」

「そうかな……………?あっ」

 

 そう呟く中、蒼影が二人が持っていたクナイを糸で回収する。

 

「遅れるな」

「はっ、はい!」

「分かりました!」

 

 二人はそう返して、蒼影に向かう。

 一方、朱菜達は、炊き出しの準備をしていた。

 

「朱菜様!鍋の準備ができました!」

「ありがとう」

「「ただいま」」

 

 ハルナと朱菜がそう話す中、ガルムとドルドの二人が帰って来る。

 

「ガルムさん!ドルドさん!お帰りなさい!」

「おや、朱菜ちゃん達も畑に行くのかい?」

「ええ。仕事がひと段落したので、炊き出しに」

「頑張る皆さんの為に、お昼には温かな物を食べていただこうと思いまして」

「おお。そりゃ良い」

「あとは任せて行ってきな」

「ありがとうございます!」

「では、行ってきます!」

 

 ハルナと朱菜は、畑の方に向かう。

 それを見ていたガルムとドルドは。

 

「良い娘だなぁ。兄弟」

「そうだなぁ。兄弟」

「「んっ!」」

 

 そう話すと、猛然と作業を始める。

 

「お尻と足首がキュッと!」

 

 ガルムは板にデザインを書いて、それを積み重ねていき、ドルドはミシンを使う。

 

「いける!いけてる!」

 

 二人が作業をする事しばらくして、作業は終わり、もんぺ服が出来上がった。

 それを見ていた二人は。

 

「もんぺ姿いいなあ、兄弟」

「そうだな、兄弟。流行らそう」

 

 二人は満足していた。

 周囲は、布やら糸や裁縫道具で散乱する中、それを見ていたカイジンは。

 

「…………………お前ら、仕事熱心だな」

 

 そう言うと、上から梁が落ちてきた。

 一方、畑の方では、ゲルドとギルドは色んな人たちに呼ばれていた。

 

「ゲルドさ〜ん!」

「おう」

「ギルドさ〜ん!」

「待ってろ。すぐに行く」

 

 ゲルドとギルドは、物を運搬していた。

 そんな中、俺とリムルは、ゲルドとギルドに話しかける。

 

「お〜い、ゲルド、ギルド」

「ああ……………」

「折角だし、二人も植えてみろよ」

「いや……………俺たちは運搬役で………………」

「良いから、良いから」

「はっ、はぁ……………」

 

 ギルドとゲルドは、俺たちの言葉に折れて、苗を植える事に。

 

「そうそう。等間隔に」

「苗を潰すなよ」

「ん…………う〜ん……………」

「これで良いですかね?」

「ああ。これで、夏には実が一杯食べれるぞ」

「実が………………」

 

 俺がそう言うと、ギルドとゲルドはその苗を見ていた。

 しばらくの静寂の末、口を開く。

 

「……………見にきても良いでしょうか?」

「時々……………」

「おう」

「皆で見に行こう」

 

 俺たちはそう話す。

 その後、昼飯になった。

 

「ずっと中腰は流石に堪えるのう…………」

「何言ってるだ。誰よりも正確で速かっただ」

「ヌホホホホ。年の功よ」

 

 白老と黒兵衛は、そう話す。

 そんな中、ゴブタは鍬を持ちながら言う。

 

「自分のご褒美って、本当にこれなんすかね?」

 

 ゴブタは、若干不安になっていた。

 一方、朱菜は皆にお昼ご飯を配っていた。

 

「はい!」

「ありがとうございます!」

「お兄様もお昼いかがですか?」

「うん」

 

 朱菜の受け取った昼食を持ちながら、子供が移動するのを見ながら、朱菜は紅丸に尋ねる。

 すると、子供達が紅丸に質問をする。

 

「紅丸様!」

「うん?」

「どうしたら、紅丸様みたいに強くなれるんですか?」

「うんうん!」

「そうだな……………」

 

 子供達の質問に、紅丸は子供達に視線を合わせる。

 

「好き嫌いなんかせず、何でもよく食べる事かな。そして……………まずは…………」

「わっ!」

 

 紅丸はそう言いながら、石を握り潰す。

 

「強い体を作るんだ。」

「うわ〜!分かりました!紅丸様!ありがとう!」

「おう!午後も頑張ろうな!」

「は〜い!」

「しっかり食って、強くなれよ!ちびっ子ども!」

 

 子供達は駆け出して、紅丸はそう言う。

 そんな中、朱菜が話しかける。

 

「お兄様もどうぞ」

「ああ」

 

 朱菜はそう言って、お盆を渡す。

 そんな中、スープの中に人参が入っている事に気づいて、紅丸は朱菜に言う。

 

「いや……………だからちょっと、人参避けてくれって……………!」

「あら?強くなれませんよ。はい」

 

 朱菜は、紅丸に有無をいわせずに、お盆を渡す。

 俺たちはおにぎりを食べながら周辺を見る。

 春の空気がガツンとくる。

 土の匂いは意外と強い。

 空気を胸に、飯を腹に。

 ただそれだけで、満たされる。

 ただそれだけで、実感できる。

 そんな中、シズさんが口を開く。

 

「懐かしいな……………」

「シズさん?」

「子供の頃、よくお母さんと一緒に、畑で作物を育ててたのを思い出すよ」

「そっか………………」

 

 シズさんは思い出していた。

 かつて、魔王レオン・クロムウェルによって召喚される前、よくお母さんと一緒に、作物を育ててた事を。

 

「寂しくないのか?」

「………………確かに、もうお母さんと会えないのは寂しい。でも、新しく出来た第二の故郷で、こんなにも楽しい。だから、寂しくないよ」

「そっか。じゃあ、俺たちも手伝わないとな!」

「ああ!」

「一緒に頑張ろう。」

 

 俺たちは、作業を再開する。

 そんな感じで作業をしたら、夕方になっていた。

 俺たちは、口を開く。

 

「じゃあ、無事、植え付けの終了を祝って、乾杯!」

「お疲れさん!」

 

 俺たちは、食事をする事にした。

 

「んぐ、んぐ……………プハーッ!美味しい〜!」

「おっ!ロールキャベツ!」

「秋には無事に稲がなると良いなぁ」

「お疲れ。良い働きぶりだったな」

「貴殿もな」

「お疲れ様です」

「我輩の水田の舞はいかがでしたかな?」

「ヤッハハ…………失敬。見ておりませんで」

「うーわっ!美味そうな匂い!たまんねぇ!」

「鍬さばきなら、自分に任せて欲しいっすね!」

「よっ!ゴブタ!」

 

 そんな風に、皆が作業の疲れを労い、ご飯を食べていく。

 そんな中、俺とリムル、シズさんはトレイニーさんと一緒にいた。

 

「皆さん、お疲れ様でしたね」

「まあ、本当に大変なのは、これからだろうな」

「そうですね。収穫までは色々……………でも、今年はきっと良い作物が取れますよ」

「うん。きっと良い作物が出来るよ」

「おお。お墨付き!トレイニーさんは植物の専門家だしな」

「ええ。ですから……………」

「「うん?」」

「待っていたんですよ、私。お、さ、そ、い……………」

 

 トレイニーさんはそう言って、リムルの麦わら帽子を自分に被せながら、そう言う。

 あ、やべ。

 この人誘うのを忘れてた。

 すると、トレイニーさんは涙を浮かべながら、スコップでその辺の土を掘る。

 

樹妖精(ドライアド)なのに……………管理者なのに……………。ずっとずーっと、そこの木の陰から……………」

「ごめんなさい!収穫時にはちゃんと声をかけますので………………!」

「あー。泣かせた、泣かせた」

「機嫌なおして下さい。ほら、ポテチありますよ!」

「…………………ぐすん」

「アハハハハ…………………」

 

 こうして、俺たちはトレイニーさんを宥めるのに、苦労した。

 その後、トレイニーさんの事を知ってか知らずか、梅雨が始まった。

 異世界にも、梅雨はあったのだ。

 それを、俺、リムル、シズさん、ゴブタは外から見つめていた。

 

「今日も雨っすか。毎日これじゃあ、気が滅入るっすね」

「まあ、梅雨だしな」

「あらあら。そんな事を言わないで下さい。雨は必要なんです。天からの恵みを大地がたっぷりと受け止めて、緑は茂り、虫たちが増え、小動物が繁殖し、またそれが土に……………」

 

 トレイニーさんはそう言うと、ポテチを食べて、口を開く。

 

「あら、新味。そうして、森は着々と大きくなっていくのですから」

「そうなんですね」

「へぇ……………だからちょっと太ったんすね。」

「おっ……………!?」

「ちょっ……………!?」

「あ」

 

 すると、雷鳴が響き、雨足が強くなる。

 俺はゴブタに言う。

 

「おい!早く窓を閉めろ!」

「はいっす!」

 

 トレイニーさんを怒らせると、自然環境に影響を与えかねんな。

 というより、ゴブタ、それはあまりにも失言だろ!

 こうして、外は嵐となったのだった。

 そして、中も。

 シズさんは、黒笑を浮かべながら、ゴブタに近寄る。

 

「ゴブタ君。前にも言ったよね?そういうのは言っちゃいけないって」

「は、はいっす………………」

 

 シズさんは、ゴブタに対して、説教をおこなった。

 ゴブタは、白くなって撃沈した。




今回はここまでです。
今回は、農業の話です。
テンペストでは、ケミー達も自由に過ごしています。
そんな中で、農業をやっていく。
リムル達のドライバーに関しては、ベスターが来てからです。
次回は、夏の話になります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
閻魔のヒロインに、悪魔三人娘が入っていますが、どんな風に出会わせましょうか?
閻魔自体、人間なので、名付けも命懸けですし。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告にて承っております。
ガッチャードの今日の話を見ると、ケミーを出しても大丈夫かなと不安になりますね。

閻魔の進化はどうするか

  • 仙人から聖人
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