転移したら暗黒の破壊者に変身出来る様になった件   作:仮面大佐

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第18話 魔王ミリム襲来

 こうして、俺たち、ジュラ・テンペスト連邦国と、武装国家ドワルゴンとの同盟が成立したのだった。

 俺たちの魔物の国に、心強い後ろ盾が出来た。

 で、その二日後。

 

「来てやったぞ、リムル、閻魔よ」

 

 何と、ガゼル王が再び来たのだ。

 

「随分と早い再訪ですね………」

「今度は何の用だよ?」

「お前達に土産をやろうとおもってな」

「土産?」

「何それ?」

 

 ガゼル王が供に合図を送ると布で簀巻きされたものを投げその拍子で表面の布がめくれると、そこに居た人に俺たちが驚く。

 

「えええっ!?」

「ベスターじゃねえか!?」

「うぅぅぅん………」

 

 泡を吹いて気絶しているベスターという人物であった。

 ちなみに、話は聞いている。

 ガゼル王が、理由を説明する。

 

「有能なコイツを遊ばせておくも勿体ないのでな。とはいえ、俺に仕えるのを許すわけにはいかん。好きに使え」

「王よ、それではベスター殿の知識が我等に流出することになりますぞ!?」

「流出していった本人が今更なにを言う」

「それは………」

 

 カイジンは止めようとしたがガゼル王の正論で言葉に詰まった。

 ガゼル王は、復活したベスターに声をかける。

 

「そのための盟約よ。お前達のこの地を、まだ見ぬ技術の最先端にしてみせろ。ベスターよ」

「はっはい!」

「ここで思う存分、研究に励むが良い」

「…………っ…………は!今度こそ………今度こそ、期待に応えてご覧にいれます」

 

 ベスターはそう言うと、今度は俺たちに顔を向ける。

 

「リムル殿、カイジン殿すまなかった。許されるならここで働かせてほしい」

「…………優秀な研究者が来てこっちも大助かりってもんだ。旦那。何かあったら、俺が責任を取ります。ここは俺を信じて、こいつを許してやって下さい」

「カイジン殿………」

 

 まあ、話を聞く限り、ベスターも、ガゼル王の期待に応えようとして、焦ったからな。

 俺たちは、頷いて答える。

 

「カイジンがそれで良いなら、俺たちに文句はないよ」

「ベスター。これからよろしく頼む」

「ははっ!不肖ながら、精一杯努めさせていただきます!」

「………………では、さらばだ!」

 

 ガゼル王はそう言って、去っていく。

 こうして、ベスターが仲間になった。

 ベスターには、フルポーションの作成だけでなく、ドライバーの作成を頼んだ。

 ガッチャードライバーとかの設計図を見たベスターは、目を輝かせると。

 

「不肖ベスター、これらのドライバーを完成させてみせます!」

 

 そんな風に、開発は進んでいく。

 時は少し遡り、傀儡国ジスターヴという場所では、ある4人が集まっていた。

 その4人は、魔王と呼ばれる存在であり、魔王カリオン、魔王フレイ、魔王クレイマン、魔王ミリムの4人がいた。

 カリオンが口を開く。

 

「ゲルミュッドの野朗は急ぎすぎたな。計画の言い出しっぺが出張って返り討ちに遭うなんざ世話のねぇこった」

 

 カリオンがそう言うと、ミリムがプンプンと怒りながら同意する。

 

「カリオンの言う通りなのだ!フレイもそう思うだろ?」

「あのねぇミリム。私が貴方達の計画とやらを知るわけがないでしょう?」

「む?そうか」

 

 ミリムの問いに、フレイはそう答える。

 カリオンは、フレイに聞く。

 

「つーかよ、なんでここにいるんだフレイ?」

「それは私が聞きたいくらいだわ。面白いから来いってミリムに無理矢理連れて来られたのよ。私は忙しいと断ったのだけどね」

 

 フレイはミリムに連れてこられただけだった。

 それを聞いたカリオンは、クレイマンに聞く。

 

「いいのかよクレイマン?」

 

 ミリムの自由すぎる行動にクレイマンも頭を悩ます。

 

「…………まぁいいでしょう。今更です」

 

 クレイマンが指を鳴らすと、テーブルに五つの水晶玉が現れる。

 

「ひとまず計画は頓挫したわけですが…………少々軌道を修正してやれば、まだチャンスはあります。まずはこれをご覧下さい」

 

 クレイマンが水晶玉に手をかざすと何かが映し出される。

 

「なんだこりゃ?」

「ゲルミュッドの置き土産です」

「む?なんなのだこいつら…………鬼人?」

 

 そこに映し出されていたのは、湿地帯での俺達の戦いの様子だった。

 

「ジュラの大森林から湿地帯にかけての戦いの記録です。豚頭帝(オークロード)以外にも面白い者どもが映っているでしょう?」

「おお…………っ!」

 

 その中でミリムの目に止まったのはドレッドに変身した俺とリムルの姿だった。

 そして映像が途絶える。

 

「ゲルミュッドが死んだせいでこれ以降の展開は不明ですが、これほどの者達が相手となると、豚頭帝(オークロード)は倒されたと見るべきでしょうね」

「もしも生き残っていた場合、彼らを餌に豚頭帝(オークロード)は魔王へと進化している……。そうでなかったとしても、彼らの中には魔王に相当する力をつけている者がいるかもしれない。なるほどね…………。つまり貴方達の計画というのは新たな魔王の擁立…………といったところかしら」

「さすがフレイ。ワタシ達の目論見を見事に看破するとは!」

 

 クレイマンの言葉を聞いたフレイは、ミリム達が何を考えているのかを察した。

 それと同時に、呆れたように首を振る。

 

「呆れた。随分大胆なことを考えたものね。あの森が不可侵条約に守られていることをお忘れかしら?」

野良の魔人(ゲルミュッド)が私に持ち込んだ計画です。魔王(我々)が直接動くわけではないので、条約に抵触はしませんよ」

 

 フレイの言葉に、クレイマンは笑顔でそう言う。

 

「どうだが…………」

「いいじゃねぇか。別に大軍率いて攻め込もうってワケじゃねぇし、強者を引き入れるチャンスだっつーから俺も乗ったんだ」

 

 カリオンはそう言って再度再生されている水晶玉を手に取る。

 その水晶玉には、嵐牙の姿が映っていた。

 

「見た限りじゃあ豚頭帝(オークロード)よりこいつらのほうが美味い」

(……まぁカリオンとミリムはそんなところでしょう。問題は飛び入りのフレイですが…………。来訪時から何か別のことに心を囚われている様子。その内容によっては恩を売ることが可能でしょう)

 

 魔王間の条約において、その可否を決める時に提案した魔王の他二名の魔王の賛同が必要となる。

 自分の意見に追従する魔王の存在は、他の魔王に対し大きく優位性を得ることになるのだ。

 クレイマンは、思考を巡らせる。

 

(…………悪くない。豚頭帝(オークロード)を失ったのは痛手ですが、むしろこの展開は理想的だ。魔王二人、上手くいけば三人に貸しを作ることが出来るのなら十分にお釣りが来る。あの魔人どもにはミリム達を釣る餌になってもらいましょうか。まずは森の調査を……)

「よし!では今から生き残った者へ挨拶に行くとするか!」

「「「…………は?」」」

 

 思考を巡らせているクレイマンを含めた三人は口を開けた。

 カリオンは、ミリムに声をかける。

 

「いやいやいや落ち着けよミリム。ジュラの大森林には不可侵条約があるっつってんだろ」

「そうですよミリム。堂々と侵入しては他の魔王達が黙ってはいません。まずは私が内密に調査を…………」

「何を言っているのだ。不可侵条約など今この場で撤廃してしまえばいいではないか。ここには魔王が四人もいるのだぞ」

「「「え!?…………あっ!」」」

 

 そう。

 条約の可否には、提案した魔法の他2名の魔王の賛同が必要なのだ。

 つまり、撤廃するのは可能。

 

「あの条約はそもそも暴風竜ヴェルドラの封印が解けないように締結されたものなのだ。暴風竜は消えたというウワサだしな。もう必要なかろう?数百年前の話だしお前達は若い魔王だから知らないのも無理はないのだ」

「そういうことなら条約破棄に反対する者もいないだろう。俺は賛成だ」

「私も賛成ですわね。元々私の領土はあの森に接しているし不可侵と言われても面倒だったのよね」

 

 それを聞いたカリオンとフレイが賛成する中、クレイマンは溜め息を吐いた。

 

「(………もっとも単純に見えて最も老獪な魔王…………。やはり侮れませんね。)…………いいでしょう。私も条約の撤廃に賛成します。今すぐ他の魔王達へ通達しましょう」

 

 そしてミリムのジュラの大森林の不可侵条約破棄案が、クレイマン、カリオン、フレイが賛同したことにより条約破棄が成立した。

 

「受理が確認され次第行動を始めることになります。無難なのはまず人をやって調査することかと思いますが…………」

「おいおい。こりゃ新しい戦力を手に入れようって話だろ。まさか協力しようってのか?」

「そうね………。どうせなら競争した方が潔いのではなくて?それで遺恨を残すほど器の小さい者はここにはいないでしょう?」

「いいなそれ!恨みっこなしで早い者勝ちなのだ!互いに手出し厳禁。約束なのだぞ?」

「ええわかったわ。」

獅子王(ビーストマスター)の名にかけて俺様も約束しよう」

「そうなるだろうと思いました。では今後は各々の自己責任ということで」

「ワタシはもう行くのだ!またな!!」

 

 そう言ってミリムは飛び出して行った。

 それを見ていたカリオン達も動き出す。

 

「俺様ももう行くぜ。配下から調査に向かうヤツを選ばにゃならねぇ」

「私も失礼するわ」

 

 カリオンとフレイが立ち去ろうとした時、クレイマンがフレイに声をかける。

 

「フレイ。何かお困りでしたら相談に乗りますよ。いつでも頼ってください」

「……そ。ありがとう」

 

 フレイはそう言って部屋から出て行った。

 一人になったクレイマンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「ミリム。カリオン。そしてフレイ。さてさて、また森が騒がしくなりそうですね…………」

 

 そんな風に呟く。

 そして現在、俺は、とんでもない魔力の塊が、こちらに向かってくる事に気づいた。

 

「なんか、嫌な予感がするな………」

 

 俺はそう呟き、ある丘へと向かっていく。

 途中で、リムルと合流する。

 

「リムル!」

「閻魔、お前も感じるか?」

「ああ!とんでもない魔力の塊が、こっちに来てる!」

 

 俺たちはそう話して、丘に到着すると、ピンク色の魔力の塊が、地面に着弾する。

 俺たちは、飛ばされない様にする。

 すると、ピンク色の魔力の塊の中に居たであろう何者かが、話しかけてくる。

 

「初めまして。私はただ一人の竜魔人(ドラゴノイド)にして、破壊の暴君(デストロイ)の二つ名を持つ、魔王、ミリム・ナーヴァだぞ!」

「魔王かよ?」

「うそ〜ん………。」

「お前達がこの町で一番強そうだったから、挨拶に来てやったのだ」

 

 ミリムという魔王は、そう言う。

 ていうか、何で魔王がもう来るんだよ!

 やっぱり、ゲルドの件で、目をつけられてたのか?

 絶対に勝てない。

 喧嘩を売ったら、俺が死ぬ!!

 そう考えている中、ミリムはリムルを突いていた。

 

「は…………初めまして。この町の主の片割れ、リムルと申します」

「…………で、俺は黒輝閻魔です」

「よ………よくぞ、スライムである俺と、人間の閻魔が、一番強いと分かりましたね」

「ふふん。その程度、私にとっては、簡単な事なのだ!この目、竜眼(ミリムアイ)は、相手の隠している魔素の量まで、測定出来るのだ」

「へぇ………竜眼」

「まあ、私の前では、弱者のふりなど出来ぬと思うが良い。そこのお前が人間でありながら、魔素が多く存在している事もな」

 

 なるほど、そんなスキルが。

 解析鑑定みたいな物か。

 それにしても、随分とやばい気配の魔王だよな。

 というより、そんな事まで把握してるのかよ。

 俺のユニークスキルである破壊者(ドレッド)の権能の一つ、釜による物だ。

 ドレッドライバーは、暗黒の扉を開く釜として使われていたから、その影響だろう。

 釜というのは、魔素や道具、生物などを自らの体内に押し込めて保存ができる。

 つまり、リムルの胃袋に似た権能だ。

 ちなみに、リムルに調べてもらった。

 大賢者曰く、俺が魔人と勘違いされたのは、それが理由だ。

 魔素が釜の権能によって溜まっていたから。

 そんな事を考えていると、ミリムが話しかけてくる。

 

「ところで、お前達のその姿が本性なのか?ゲルミュッドの残した水晶に映ってたあの銀髪の人型や、紺色の仮面の戦士の姿は、変化した物なのか?」

 

 ミリムは、俺たちにそう聞く。

 どうやら、仮面ライダードレッドの事は把握しているみたいだな。

 

「全部、知ってるって訳か」

「フン!この姿の事ですかね?」

 

 俺がそう言う中、リムルは、人としての姿になる。

 ミリムは、俺たちに近寄る。

 

「おお!やはり、お前だったのだな!………ただ、そこのお前が、紺色の仮面の戦士か?」

「そうだよ」

「…………では、豚頭帝を倒したのだな?」

「まあ、俺たちが勝ちましたけど………。で、何の御用なのでしょう?」

「もしかして、ゲルミュッドを倒した俺たちへの復讐ですか?」

 

 俺とリムルはそう答える。

 俺たちの質問に対して、ミリムは意外そうな顔をする。

 

「はあ?用件だと?挨拶しに来たんだけど」

 

 ミリムは、そう言った。

 俺が思った事としては。

 

(それだけかよ………)

 

 俺とリムルが唖然となっている中、背後から、誰かが出てくる。

 紫苑だった。

 

「えっ?」

「覚悟!」

「おい!」

「さっ!我が主に閻魔殿!」

 

 紫苑は、ミリムに向かって攻撃していき、嵐牙は、俺とリムルを咥えて、走り出す。

 

「ま、待て、嵐牙!」

「ちょっと待て!」

「待てません!お許しを!!」

 

 俺とリムルは、嵐牙に声をかけるが、嵐牙は無視して走る。

 紫苑の攻撃は、ミリムにあっさり受け止められていた。

 

「フフフ…………」

「うっ………!」

「何だ?私と遊びたいのか?」

「「待てって!!」」

「ギャイン!」

 

 ミリムが左手で剛力丸を受け止めているのに驚きながら、俺たちは木の枝を掴んで、嵐牙を止める。

 その際、俺とリムルの足で、嵐牙の首が絞まり、嵐牙は苦しそうにする。

 そんな中、ミリムは、紫苑を投げ飛ばしていた。

 すると、ミリムが糸によって拘束された。

 

「わっ!お………おお〜!」

「いかに魔王といえども、この糸の束縛より、逃れる事は出来まい」

「燃え尽きるが良い!!」

 

 蒼影の糸によって拘束されたミリムに、紅丸は黒炎獄(ヘルフレア)をミリムに放って、ミリムは炎に包まれる。

 

「火傷くらいしてくれると嬉しいが……」

 

 紅丸は、そう呟いていた。

 すると、炎の中から、笑い声が聞こえてくる。

 

「アハハハハ………!わぁ!凄いのだ!これほどの攻撃、私以外の魔王なら、無傷では受けられなかったかもしれぬぞ!………だが、私には通用しないのだーー!!」

 

 ミリムは、やっぱりと言うべきか、無傷だった。

 ミリムはそう叫ぶと、オーラを周囲に放出して、紅丸達を吹き飛ばし、近くにあった木も、根元からひっくり返る。

 俺たちは、嵐牙が抑えてくれていたというのもあって、無事だった。

 ミリムの周囲には、着地した時よりも遥かに巨大なクレーターが出来上がっていた。

 俺とリムルは紫苑の元に行く。

 紫苑はある程度ダメージを受けているみたいだな。

 すると、紅丸と蒼影が、俺たちに声をかける。

 

「リムル様、閻魔殿………お逃げ下さい………!」

「ここは、私たちが………!」

「お前たちもほれ。それ飲んで寝てろ」

「さて………行くか」

 

 リムルは、紅丸と蒼影に回復薬を渡して、俺は、ドレッドライバーを装着する。

 すると。

 

「閻魔。ここは、俺に任せてくれないか?」

「リムル?」

「頼む」

「…………分かったよ。やばくなったら、加勢するからな」

 

 リムルがそう言ったので、俺は、ドレッドライバーを装着したまま、リムルに任せる事にした。

 すると、シズさんが話しかける。

 

「閻魔君!」

「シズさん」

「なんで、魔王ミリムが…………!?」

「さあな。今はリムルを信じるしかない」

 

 シズさんがそう話しかけるので、俺はそう言う。

 リムルには何か考えがあるのだろう。

 ミリムが口を開く。

 

「どうした?まだ遊び足りぬのか?………良いだろう。もっと遊んでやるのだ」

「リムル様………」

「諦めたら、そこで終了だから、出来るだけやってみるさ。期待はするなよ」

「出来る限りはやれ」

「ほう………。私に立ち向かうのか?」

「自信があるのなら、俺の攻撃を受けてみるか?」

「アッハハハハ!良いだろう!面白そうなのだ!………ただし、それが通用しなかったなら、お前達は私の部下になると、約束するのだぞ」

「分かった」

 

 そう言って、リムルはクレーターの中心にあるミリムの方へと向かう。

 リムルは、どう対処するつもりだ?

 すると、リムルが構え、リムルの右手に、金色の液体が集まる。

 

(アレって確か………)

「食らえ〜〜!」

 

 俺がそう考える中、リムルは駆け出して、その金色の液体をミリムの口に突っ込む。

 しばらくの静寂の末、ミリムが叫ぶ。

 

「何なのだ、これは!こんな美味しい物、今まで食べた事が無いのだ!」

「どうした?魔王ミリム」

「えっ!?」

「ここで俺の勝ちと認めるならば、更にこれをくれてやっても良いんだが?」

(ああ、アレって、蜂蜜だな。)

 

 そういえば、確か、アピトって名付けた蜂から、蜂蜜を受け取ってたな。

 確かに、ミリムって、魔王だけど、幼そうに見えるもんな。

 

「欲しい………!うう………だがしかし、負けを認めるなど………!」

「う〜ん!美味しい!」

「あ〜っ!!」

 

 ミリムは、魔王としてのプライドか、負けを認めようとしなかったが、リムルが追い打ちをかける様に、蜂蜜をミリムの前で食べる。

 俺たちは、それを呆然と見ていた。

 

「お〜っと!そろそろ残りが少なくなってきたぞ!」

「ま………待て待て!提案がある!引き分け………!今回は引き分けでどうだ?今回の件、全て不問にするのだ!」

「ほほう?」

「も………勿論、それだけではないのだ!今後、私がお前達に手出しをしないと誓おうでは無いか!」

「…………良いだろう。その条件を受けよう」

「うわぁ!」

「では、今回は引き分けという事で。」

 

 そうして、リムルは若干悪い笑みを浮かべながら、ミリムに蜂蜜を渡す。

 未曾有の天災を、乗り切ったな。

 すると。

 

「ホッパー!」

「ホッパー1!?」

 

 ホッパー1が出てきて、ミリムに抱きついた。

 

「な、何なのだ!?」

「ホッパ、ホッパ、ホッパー!」

「な、なかなか可愛いな!それそれそれそれ!」

「ホパホパ!」

 

 ホッパー1に驚いていたミリムだったが、すぐに心を開いたのか、ホッパー1と戯れ合う。

 そういえば、ホッパー1は人懐っこいケミーだったな。

 俺たちは、場所を移動して、ミリムが蜂蜜を舐めるのを見ていた。

 

「あ〜ん!う〜ん!美味しい!美味しいのだ〜!」

「それは良かったな」

 

 俺は、ミリムにそう話しかけ、リムルと思念伝達で話し合う。

 ちなみに、ミリムは蜂蜜を舐めながら、ホッパー1を撫でていた。

 

『リムル、グッジョブ!』

『ああ!………それにしても、これ以上面倒な事になる前に、早く帰ってくれないかな〜』

『確かに…………』

 

 確かに。

 これ以上、ミリムがここに居ると、面倒な事になりそうだ。

 すると、ミリムが俺たちに話しかける。

 

「なあなあ」

「「ん?」」

「お前達は、魔王になろうとしたりしないのか?」

「…………何で、そんな面倒な事しないといけないんだ。」

「えっ!?だって、魔王だぞ!?かっこいいだろ?憧れたりとかするだろ?」

「しないって。それに俺、人間だし」

「えっ!?」

「「えっ?」」

 

 俺の言葉に、ミリムは驚いた様な表情を浮かべる。

 えっ、何で驚くの?

 リムルが、ミリムに質問をする。

 

「魔王になったら、何か良い事でもあるのか?」

「強い奴が、向こうから喧嘩を売ってくるのだ。楽しいぞ」

「そういうのは、間に合ってるし、俺たちは興味もないよ」

「ええっ!?じゃあ、何を楽しみに生きてるんだ?」

「色々だよ。」

「俺ら、やる事が多すぎて、かなり忙しいからさ。魔王の楽しみは、喧嘩以外には、何かあるのか?」

 

 俺の質問に、ミリムは言葉に詰まる。

 

「無いけど………。魔人や人間に威張れるのだぞ?」

「退屈なんじゃ無いか?それ」

 

 ミリムの答えに、リムルがそう言うと、ミリムは図星の態度を取る。

 まあ、魔王なんざ興味ないしな。

 魔王になって、余計なしがらみは増やしたくない。

 というより、人間の俺が魔王になれる訳が無いしな。

 ていうか、退屈してんじゃねぇか。

 

「じゃあ、そろそろ………」

「気をつけて帰れよ。えっ!?」

 

 俺たちがそう言うと、ミリムは俺とリムルを掴む。

 

「お前達、魔王になるより面白いことしているんだろ!?」

「ええっ!」

「ずるいぞ!ずるい!ずるい!もう怒った!」

「そう言われても………」

「教えろ!そして、私を仲間に入れるのだ!村に連れて行け〜!」

 

 そう言って、ミリムは、俺とリムルを激しく揺すって、俺とリムルを締める。

 …………っていうか、死ぬっ!!

 駄々っ子かよ!

 俺とリムルは、即座に脱出する。

 

「分かった、分かった」

「町には連れて行く。ただし、条件がある。今度から俺たちの事は、さん付けで呼べよ」

「ふざけるな!逆なのだ!お前達が私をミリム様と呼べ!」

「………じゃあ、こうしよう。俺たちがミリムと呼ぶから、お前は俺たちを呼び捨てで呼ぶ。どうだ?」

 

 俺とリムルがそう言うと、ミリムはそう叫ぶ。

 リムルが、折衷案を上げると、ミリムは少し目線を逸らして、答える。

 

「…………分かった。しかし、特別なのだぞ。私をミリムと呼んで良いのは、仲間の魔王達だけなのだ」

「はいはい、ありがとうな」

「じゃあ、今日から俺たちも友達だな」

「う………うむ」

「これから村を案内するが、俺たちの許可なく暴れるなよ。約束だ」

「もちろんなのだ!約束するぞ、リムル、閻魔!」

 

 どうにかなったみたいだな。

 ミリムが高笑いしていると。

 

「おや?」

「あ?」

 

 その声がして、蒼影を除いた全員が震える。

 蒼影は、リグルドあたりに知らせに行ったのだろう。

 震えた理由は、ガビルがとんでもない事を言ったからだ。

 

「どなたですかな?このチビッ娘は?」

「えい!」

「ああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 そんな事を言ったもんだから、ミリムに盛大に殴られ、石畳を破壊しながら、転がって行く。

 

「ああ…………」

「誰がチビッ娘だ!ぶち殺されたいのか?」

 

 暴れるなって、言ったばかりなのに………。

 早速暴れたミリムを俺たちが呆れながら見ていると、ミリムはガビルに話しかける。

 まあ、ガビルの自業自得な面もあるけど。

 

「良いか?私は今、とても機嫌が良い!だから、これで許してやるのだ!次はないから、気をつけるのだぞ!」

「ぶははっ!我輩の親父殿が、川の向こうで手を振っているのが見えましたぞ」

「お前の親父は生きてるだろ」

「何言ってんの?」

「あっ。ところで、そちらのチビッ娘………」

「ああ?」

 

 ガビルが、またチビッ娘って言おうとした瞬間、ミリムはガビルを睨む。

 

「おっと。お嬢様は一体………?」

「こいつは、ミリム」

「魔王の一人らしいぞ」

「魔王ですと!?」

 

 俺とリムルがそう言うと、ガビルは驚く。

 まあ、そうなるのも、無理はない。

 

「あのな、ミリム。怒っていても、すぐに殴ったりしたらダメだぞ」

「う………私を怒らせる方が悪いのだ。それに、あの位は、挨拶の内だぞ」

「殴り合いは挨拶じゃないんだぞ。それは禁止だ」

「うう………!」

 

 俺とリムルの言葉に、ミリムは頬を膨らませる。

 そんなこんなで、村の皆に、ミリムの事を紹介する。

 

「新しい仲間を紹介する」

「といっても、扱いは客人という形になるので、丁寧親切に対応して欲しい」

「ミリム・ナーヴァだ!」

 

 ミリムがそう叫ぶと、周囲がどよめく。

 まあ、魔王の一人だからな。

 

「なんと!?魔王ミリム様!?」

「おお………!ご尊顔を初めて拝謁出来ましたぞ!」

「さすが、リムル様と閻魔殿っす!」

「あの暴君と、ああも親しげに……。これで、このテンペストも、安泰という物だ………!」

 

 ミリムって、有名な魔王なんだな。

 っていうか、リグルドは泣きすぎだろ。

 すると、ミリムがとんでもない事を言った。

 

「今日から、ここに住む事になった!よろしくな!」

「「えっ?」」

 

 ミリムの発言に、俺たちが驚いていると、周囲が歓声を上げる。

 住むなんて、聞いてないぞ!?

 ただ案内して、案内し終わったら、帰る感じじゃなかったのか!?

 リムルが、ミリムに聞く。

 

「………住むって、どういう事だ?」

「そのままの意味だぞ。私もここに住む事にしたのだ」

「ああ………。ま、まあ、本人がそう言っているので、そのつもりで、対応して欲しい」

 

 リムルの質問に、ミリムが答え、俺がそう言うと、再び歓声を上げる。

 人気なんだな。

 すると、ミリムが叫ぶ。

 

「何かあったら、私を頼ってもいいのだ!」

 

 ミリムの宣言に、村人は歓声を上げる。

 すると、リムルがつぶやく。

 

「魔王と友達か………」

「そうだな。友達は変だな………」

「あ………聞こえてた?」

「聞こえてたぞ」

「え、えっと………。友達というより………マブダチだな!」

 

 ミリムがリムルを持ち上げ、俺の腕を持ち上げながらそう言うのに、村人は、何度目かの歓声を上げる。

 俺たちは、驚く。

 

「マブダチ!?」

「違うのか!?う、うぅ………。」

 

 俺の叫びに、ミリムが反応して、泣き出しそうになる。

 やっべぇ、地雷を踏んだか!?

 

「マブダチ!マブダチ!皆!俺たち3人はマブダチ!」

 

 リムルがそう宣言すると、周囲の人たちが、マブダチコールを始める。

 

「だろ?お前達も、人を驚かせるのが上手いな」

 

 こうして、火薬庫よりも危険な魔王ミリムが、ジュラ・テンペスト連邦国の仲間入りを果たした。

 そして、温泉宿で、ミリムは温泉に入っていた。

 一方、俺たちは、和室に集まっていた。

 集まっていた面子は、俺、リムル、シズさん、リグルド、カイジン、紅丸、蒼影、白老だ。

 集まっていた理由は、ミリムの扱いと、今後の方針だ。

 ただ、リムルが何かを考え込んでいた。

 

「リムル」

「ああ、すまない。何だっけ?」

「ミリム様の件です。まさか、魔王自らやって来るとは思いませんでした」

「私も驚いたよ」

「でもまあ、一応は許可なく暴れないと約束してくれてるし………」

「いや、しかし、気になるのは、他の魔王達の出方じゃねえか?」

「どういう意味だ?」

 

 リグルドとシズさんがそう言う中、リムルがそう言うと、カイジンはそう言う。

 カイジンの言葉に、紅丸達は頷き、俺は、理由を尋ねる。

 

「魔王は何人か居るんだが………お互いが牽制し合ってるんだ。今回、旦那方がミリム様と友達と宣言したから、この町も、魔王ミリムの庇護下に入る事を意味する。本来なら、それは望ましい事かもしれんが………」

「リムル様は、総統という立場にありますのじゃ。つまり、このジュラの大森林が、魔王ミリムと同盟を結んだ………そういう風に、他の魔王達の目には、映るでしょうな………」

「魔王ミリムの勢力が一気に増す事になり、魔王達のパワーバランスが崩れる」

「「なるほど………」」

 

 つまり、俺たちは、魔王達の勢力争いに巻き込まれるかもしれないって事か。

 面倒な事になりそうだな。

 

「しかし、実際にですぞ。魔王ミリム様を止めようとしても、無理でしょう」

「私でも無理かな……………」

「あれは、別次元の強さだった。リムル様がいなければ、俺たちは今頃、生きてはいない」

「その通りだ。他の魔王が敵対するというのなら、そいつらを相手にする方がマシだろう」

 

 そこまでか………。

 まあ、ミリムの暴走を止めた件に関しては、俺、何もしてないけどな。

 しばらくの静寂の末、獅子脅しの音がすると。

 

「という事で、ミリム様のお相手は、マブダチとして、リムル様と閻魔殿に全てを任せるという事で………」

「「「異議なし」」」

「「丸投げ!?」」

 

 俺たちに丸投げしたぞ!

 て言うか、俺まで!?

 俺たちが驚いている中、白老が口を開く。

 

「魔王ミリム様は、最強最古の魔王の一人。絶対に敵対してはならない魔王と、言われておりますしのう。今回ばかりは、リムル様と閻魔殿にお任せする他ありますまいて。ホッホッホッホッ」

「頑張ってね、2人とも」

 

 白老とシズさんはそう言う。

 仕方ないか………。

 俺とリムルは、そう思った。

 だが、俺たちは知らなかった。

 ミリムが巻き起こす旋風は、まだ吹き始めたばかりだという事を。

 一方、当のミリムは、朱菜、紫苑にお湯をかけていた。

 

「アハハハハ………!楽しいのだ!うおぉぉぉ!ハハハ………!」

「お風呂で遊んではいけませんって、言ってるでしょ!」

「うう…………くらえ!」

 

 紫苑はそう叫んで、お湯をミリムにかける。

 

「やったな!それ!」

「良い加減にしなさーい!!」

 

 女湯から、朱菜の叫び声が響くのだった。




今回はここまでです。
今回は、ミリムがやって来ました。
ちなみに、大鬼族達が村にやってきた際、閻魔が魔人だと間違われていた理由も明らかになりました。
ユニークスキルの影響です。
次回は、転スラ日記の話になります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ザ・フューチャー・デイブレイクで登場するドレッドルーパー軍式と仮面ライダードラドは出します。
ドレッドルーパー軍式は、テンペストの部隊に持たせようかなと思っています。
ドラドに関しては、映画を見てから判断しようかなと思います。
グリオンが変身するであろう仮面ライダーですが、閻魔が変身するのかどうかも含めて。
意見があればよろしくお願いします。
閻魔は現在、仙人から聖人になるルートになる予定です。
仮に仙人から聖人になる場合は、どんな感じになるのか意見があればよろしくお願いします。

閻魔の進化はどうするか

  • 仙人から聖人
  • 魔人になる
  • その他
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