転移したら暗黒の破壊者に変身出来る様になった件   作:仮面大佐

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第19話 魔王が来た!

 魔王ミリムがやって来たその翌日、ミリムはポテチを抱えながら寝ていた。

 

「食べるだけ食べて、寝ちゃいましたね」

「仕返ししましょう」

「やめろ。このテンペストが地獄になるだけだ」

「おいおい」

「やれやれ……………」

 

 朱菜がそう言う中、紫苑がそう言うので、俺たちは、紫苑を止めて、会議室の方に向かう。

 一方、ミリムは寝ていたが、目が覚める。

 

「あ?うー……………!せっかく良いところで……………!ん?ん?」

 

 ミリムはそう言って立ち上がり、周囲を見る。

 俺たちは既に移動していて、居なかった。

 

「皆、どこに行ったのだ」

 

 ミリムはそう言いながら、ポテチを食べる。

 すると、ミリムのアホ毛が動き、会議室の方に視線が向く。

 

「そこだな」

 

 ミリムはそう言う。

 会議室には、俺、リムル、紫苑、朱菜、紅丸、蒼影、白老、リグルド、シズさんが居た。

 ミリムの世話役に関して、抗議していたのだが………………。

 

「……………という事で、ミリム様の担当に相応しいのは、マブダチのリムル様と閻魔殿という事に……………」

「ドキッ!」

「え?」

「賛成ですじゃ」

「私も賛成です」

「賛成ー!」

「私も賛成」

「賛成」

「賛成」

「賛成」

 

 こんなふうに、俺たちが世話をする事になりそうだった。

 

「えっ…………うわっ、ちょい待って……………!」

「うそ〜ん……………」

「賛成多数で決定ですね」

「それでは今後、ミリム様のお世話担当は、リムル様と閻魔殿という事で」

 

 マジかよ……………。

 俺とリムルが呆然としている中、ミリムが入ってくる。

 

「リームルー!閻魔ー!魔王になる気はなったかー!?」

 

 そう言って、押し飛ばそうとしてきたので、俺は躱すが、リムルは突き飛ばされ、リムルの一部が紅丸にくっつき、リムル本体は、壁にぶつかる。

 まるで、トマトが壁に当たり、潰れたみたいに。

 ちなみに、蒼影は避けていた。

 

「うひゃっ!」

「「り、リムル様!」

「閻魔さん!大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ」

「何というお姿に……………!」

「は、剥がれません……………!」

 

 それを見た紫苑とリグルドは、リムルを剥がそうとする。

 そんな中、俺とリムルは、ミリムに言う。

 

「悪いが、ミリム。今は国づくりで忙しいんだ」

「あと、俺の体自体も大変だ。それに、魔王なんて、余計な敵やしがらみを増やすだけだろ?」

 

 俺とリムルはそう言う。

 紅丸は、顔に張り付いたリムルの一部を剥がして、本体に戻す。

 それを聞いたミリムは叫ぶ。

 

「えー!そんな事はないのだ!魔王は………えーっと……………えーっと…………自分で考えた必殺技名を大声で叫んでも、皆、何となく納得してくれるのだ!魔王だから!」

「おお……………!」

 

 絶対、今考えただろ。

 それを聞いた紅丸達は、満更でもない表情を浮かべる。

 それを見たリグルドが叫ぶ。

 

「ちょちょちょ!いやいやいや!」

「鬼人って、そういうのが好きなのかな……………」

「おい、どうする。場の空気が微妙になったぞ」

「私は悪く無いのだ」

「アハハハ………………」

 

 それを見ていたリグルドが慌てる中、シズさんはそう呟き、俺たちはそう言う。

 すると、チャイムが鳴る。

 

「あ?」

「もう12時か」

「あー!この音は、お昼ご飯の時間なのだ!」

「分かった、分かった。お前、そもそもご飯食べなくても平気だろ?」

「ここのご飯はうまーだから、何度でも食べるのだ!」

「そう言ってもらえて、嬉しいよ」

「フフフッ。では、お持ちしますね」

 

 魔王も気に入ってくれるとは。

 ありがたい物だな。

 そうして、お昼ご飯を摂る。

 しばらくして、紫苑は食べ終える。

 

「ごちそうさまでした」

 

 紫苑はそう言って、食器を片付ける。

 だが、紅丸とミリムは食べる手が止まっていた。

 何故なら、人参が残っていたからだ。

 

「ミリム様。お野菜もきちんと食べてくださいね」

「うぇー!これ、人参そのままではないか!」

「うんうん」

「ちゃんと料理してありますよ。甘くて美味しいですから」

「いやなのだ!人参は匂いがきつくて、口に合わないのだ!」

「うんうん」

「好き嫌いしてると、大きくなれませんよ」

「平気なのだ!人参など食べなくても、魔王にだってなれるのだぞ!」

「はぁ……………!」

「フフ………………」

 

 紅丸って、人参が苦手なんだな。

 美味しいのに。

 すると、朱菜が何かを思いついた笑みを浮かべて、ミリムと紅丸の皿を預かる。

 戻ってくると、人参は、色んな形にカットされていた。

 

「ほら!色々な形に切ってみました。」

「ほう!可愛いのだ!はむっ。美味しいのだ!これならいくらでも食べられるのだ!」

 

 ミリムは、あっさり人参を食べた。

 星とかの形にカットしただけなんだがな……………。

 要は、加工されていれば大丈夫ってわけね。

 一方、紅丸は。

 

「………………」

「さっさと食え」

「……………紅丸さん?」

「ひっ!?」

「食べ物を粗末にするなんて……………ダメだよ。ね?」

「………………すいません、食べます」

 

 紅丸がミリムがあっさりと人参を食べた事に呆然としていると、蒼影とシズさんはそう言う。

 シズさんは、太平洋戦争の頃に生きていたからな。

 食べ物を粗末にするのはダメなのだろう。

 シズさんの気配に怯えた紅丸は、大人しく人参を食べる。

 無敵の侍大将の面影は、消えていた。

 

「ふー……………美味しかったのだ。今日は天気もいいし、街の探検に行ってくるのだ!」

「まあ!良いですね。おやつを作っておきますから、また後で顔を出して下さいね」

「おやつ!凄いのだ!待ちきれないのだ!」

「フフフッ……………その前に探検、ですよね?」

「あっ、そうだったのだ!行ってくるのだ!」

 

 ミリムはそう言って、部屋から飛び出す。

 ドアを倒して。

 それを見たリグルドが震える中、俺は声をかける。

 

「リグルド。俺が直しておくよ」

「いえ!自分が!」

「大丈夫だよ」

「は、はぁ……………」

 

 俺は、ミリムが破壊した扉を直す事に。

 やれやれ。

 魔王の力は凄まじいよな。

 一方、待機中の嵐牙の元に、ミリムがやって来ていた。

 

「ん?」

「遊んでやるぞ、嵐牙とやら!アハハハ!」

「んっ……………!有無を言わせぬ構えですな。しかし、我はリムル様に…………!」

「遠慮するな。ペットは好きなのだ」

「はっ、はぁ……………」

 

 嵐牙がそう言う中、ミリムは嵐牙の背中を撫でる。

 

「よく思い出せんが、昔、こうやって撫でてた気がする」

「いや……………ですから……………今は待機中で……………ひっ!」

 

 ミリムが撫でると、嵐牙はそんな風に言う。

 

「(な……………なんという巧みな手捌き…………!)ああ…………あああ…………!(まさに魔王!)」

「ここか?ここか?ウリウリウリウリ〜!」

「ああ〜!(このままでは流される!溺れてしまう……………!リ……………リムル様〜!)」

 

 ミリムが撫でると、嵐牙は気持ちよさそうな表情を浮かべる。

 すると。

 

「浮気をしましたね」

「ふはっ!?」

「フフッ。これはこれは…………リムル様にご報告ですね」

 

 嵐牙の視線の先には、紫苑が居て、そのまま逃げる。

 以前の仕返しが出来ると言わんがばかりに、紫苑はにやけていた。

 

「ああ………………!」

「えーい!モフモフ〜!」

「くぅん……………」

 

 嵐牙が冷や汗を流しまくる中、ミリムは嵐牙に頬擦りをしていた。

 俺とリムルが街を歩く中、とんでもない音が聞こえてくる。

 その方に行くと、ゴブタが建物にめり込んでいたのだ。

 

「ああっ!どうした?」

「またゴブタが何かやらかしたのか?」

「ちょっ……………!開口一番、何すかそれ!?」

「おおっ!お前、意外とタフだな」

「自分はただミリム様の為に…………!」

 

 お前がやらかしてる確率が高いからだよ。

 ゴブタ曰く、ミリムの服装に関して、言ったそうだ。

 ミリムが来た時に着ていた服は、もっと豊満な人向けだと。

 おい、原因それだろ。

 

「ふっ。皆を代表して、紳士的なアドバイスをしただけっす…………!?」

 

 ゴブタがそう言うと、ミリムに殴られて、再び壁にめり込む。

 余計なことを……………!

 多分、ミリムは、胸が小さい事を気にしているんだろう。 

 最古の魔王らしいが、果たして、成長するのだろうか?

 すると、俺たちの方を向いて聞いてくると同時に、俺に向かって寸止めのパンチを放つ。

 

「……………そうなのか?」

「いやいやいやいや……………!」

「それと、今何か失礼なこと考えてなかったか?」

「今日もミリムは元気だなって考えてたんだよ」

 

 ミリムがそう聞くと、俺、リムル、黒兵衛、ガルムたちは、全力で否定する。

 肯定したら最後、命はない。

 それを聞いたミリムは、笑みを浮かべる。

 

「フフン…………はっ!そろそろ朱菜の所に行かねば。へへっ!どゅわっ!おやつが出来てるはずなのだー!」

 

 ミリムはそう言うと、ジャンプする。

 その際、地面が割れた。

 ミリムが動くだけで、周囲に被害が出るよな。

 

「おやつー!」

 

 ミリムは部屋に入る際、再びドアを外しながら中に入る。

 

「あら。おかえりなさい、ミリム様」

「おやつー!おやつー!おやつー!」

「はい、どうぞ」

「ほほ〜!やったのだー!」

 

 朱菜が出したのは、コーン蒸しパンだった。

 

「はむっ!これもうまーなのだ!」

「ふふっ。ん?」

 

 朱菜が麦茶を入れる中、ミリムの方を向くと、ミリムはコーン蒸しパンを全て食べ終えて、寝ていたのだ。

 朱菜は、ミリムに布団をかける。

 

「ゆっくりしていってくださいね」

 

 朱菜はそう言う。

 しばらくして、俺たちが戻って来て、口を開く。

 

「人参……………人参……………生は嫌なのだ……………。ミッドレイ、火を通せ………」

「どんな夢を見てるんだか」

「朱菜はよくミリムにはっきりものが言えるな。人参食えとか。一応ソレ、魔王だぞ。やばい級の」

天災級(カタストロフ)だしね」

「それだなんて失礼ですよ。確かに、ミリム様は、無茶苦茶な所もありますけど、ちゃんとお話しすれば、道理を通してくださる聡明さを持ち合わせたお方です。だからこそ、リムル様も閻魔さんもお友達になれたのでしょう?」

「まあ、一理あるな」

「確かに。意外と物分かり良かったし」

「ええ」

 

 確かに、無茶苦茶だよな。

 ドアの修理とかも必要だし。

 でも、物分かりがいいよな。

 朱菜の言う通り、聡明さは持ち合わせているのかもな。

 

「無茶しかしなくて、考えなしな娘をずっと見てきたので、分かるんです」

「へぇ…………そうなんですか。朱菜様も意外と苦労してるんですね。」

「何をやっているんだ……………!?」

「そうですね。」

 

 絶対に、無茶しかしなくて、考えなしの娘って、紫苑だろ。

 現に、ミリムに落書きしてるし。

 知らないぞ。

 俺とリムルが執務室に向かうと、紫苑達が口を開く。

 

「んで、どうした?」

「実は、私はミリム様の事を快く思っていないのです」

「ほう」

「お前らしくもないな。出会った時にのされた事をまだ根に持ってるのか?」

「あの時、私にもっと力があったなら……………リムル様とついでに閻魔殿がミリム様の行いに頭を悩ます事など…………」

 

 紫苑に、俺たちの事を思ってるのかな。

 ついでと言われたのが地味にショックだが。

 そう思う中、紫苑は口を開く。

 

「だって……………リムル様を困らせちゃう系女子は、この私だけですから!この立ち位置だけは譲れません!」

 

 いい話だと思ったのに。

 ていうか、困らせてる自覚はあるのか。

 そう思う中、リムルは紫苑を外につまみ出す。

 やれやれ。

 その後、ミリムは外に出て、散歩をする。

 すると、ガビル達と会う。

 

「お?お〜!」

「わっ!」

「また会ったな!龍人族(ドラゴニュート)の…………」

「こ……………これはミリム様」

「確か、ガビルと言ったか?凄いだろ!覚えているのだ!」

「なっ、なんと!我輩の名前を覚えて!えっへへへへ……………!」

「お前のように頑丈な(おもしろい)奴は好きだぞ!」

 

 ガビルが浮かれる中、ミリムはそう言う。

 どうやら、ミリムにとって、頑丈な奴は面白い奴だと思っているようだ。

 

「さっすがガビル様!」

「あんた大物だぜ!」

「然り!」

「「「ガビル!ガビル!」」」

「え?いや〜ハハハハハ…………!」

 

 ミリムとの解釈違いを起こす中、そんな風に煽てられる。

 そんな中、ミリムはある存在に気づく。

 

「あ?あいつはクレイマンの…………」

「あああああ!!」

 

 ミリムが駆け出すと、ガビルを押してしまい、ガビルは上空に吹っ飛ばされる。

 

「ガビル様ー!えいっ!」

「羽出ない!羽出ない!焦ったら羽出ない!」

「ガビル様!」

「こっちだ!」

「南無三!」

 

 ヤシチ達は、ガビルを受け止めようとする。

 だが、太陽の光が目に入ってしまった。

 

「「「あっ、眩しい!」」」

 

 太陽の眩しさに目を眩ませてしまい、ガビルは建国記念碑に命中してしまい、破損してしまった。

 その夕方、現場では、ゲルドとギルドの二人が資材を運んでいた。

 そこに、ミリムが現れる。

 

「お前達は、片方は元は豚頭帝(オークロード)で、もう片方は近しい者だな。それだけの力があるのに、何をチマチマとやっているのだ。武を持って威を示したいと思わないのか?石塊を運ぶのが、そんなに面白い事なのか?」

 

 ミリムはそう問う。

 ミリムからしたら、それだけの力を持っているのに、工事をしている事が気に食わないのかもしれない。

 それを聞いたギルドは、答える。

 

「何かを作り出し、残すのは甲斐がある」

「アハハハ!」

「あ……………」

「今日も沢山採れたね!」

「ああ。うちに帰ろう。母ちゃんが待ってる」

「うん!」

 

 ボアがそう答えると、親子が通る。

 ミリムが親子を見ている中、今度はゲルドが答える。

 

「これが……………」

「あ……………」

「今の私たちに与えられた仕事です」

「ふーん……………よく分からないのだ。もうちょっと見てていいか?」

「どうぞ」

 

 ミリムはそう言うと、ゲルドとギルドはそう言って、作業に戻る。

 それを、ミリムは眺めていた。

 一方、俺たちの所に、リグルドがやってくる。

 

「リムル様、閻魔殿。今、少しよろしいですか?」

「良いぞ」

「どうした?」

「ええ。本日までに取りまとめた、ミリム様による被害報告をさせて頂こうかと…………」

「リグルド……………怒ってる?」

「いえいえ。滅相もない」

 

 なんか怒っているような気がするが。

 俺たちは、報告を聞く事に。

 

「ドアノブ、窓ガラス、食器その他……………」

「まっ、まあ、天災級(カタストロフ)にしては、可愛らしい被害じゃ…………」

「実はそれは、今朝の物で……………こちらが、昼過ぎの被害報告です」

「え?リグルド、怒ってる?」

「滅相もない」

 

 リグルドが机に木の板を強く置くのを見て、俺はそう聞くと、先ほどよりも目力が強くなったリグルドの姿があった。

 絶対に怒ってるよな!?

 

「ドア更に追加で5枚、中央通りで店舗の半壊二軒、建国記念碑破損」

「建てたばっかなのに……………」

 

 建国記念碑まで壊したのか!?

 俺が驚く中、追加の木札を置く。

 

「げっ!?スナック樹羅の看板!?」

「わ…………分かった!俺たちから言っとく!国の代表として、ミリムの友人として、ちょっと強めに……………!」

「そしてこれが、さっき届いた被害報告です」

「やっぱり……………怒ってる?」

「滅相もない」

 

 絶対に怒ってるよな!?

 目力がやばいって!

 その後、スナック樹羅の看板の修理をしに来たのだが。

 

「ミリム〜。釘だぞー」

「……………って、寝てるな」

 

 そう。

 ミリムは寝ていたのだ。

 ハルナが毛布をかける中、俺たちは口を開く。

 

「本当だ。魔王の癖に」

「興奮して疲れたんですよ。真新しい物や、多くの住人に囲まれましたから」

「子供か」

「子供でいいんですよ。長い長い時間を生きるには、心を老いさせない事です。自由に生き、感情を昂らせ、退屈を嫌う。リムル様と閻魔殿のお好きな生き方ですよね?」

「そうだけど、今は国の盟主だから、自由の前に責任って奴があるんだ」

 

 まあ、長い時間を生きるには、そういうのが大事なのだろう。  

 とはいえ、そんな経験はないのだが。

 

「立派になられましたね。リムル様、閻魔殿。では、責任をもって、看板を直してくださいね。」

「やっぱりか……………」

「いや、壊したのは俺たちじゃ…………」

「リムル様は盟主兼ミリム様係で、閻魔殿は補佐兼ミリム様係ですよね?」

 

 そう言われると辛いんだがな。

 俺たちは、スナック樹羅の看板を直していく。

 そして、ミリムを連れて帰る事に。

 ちなみに、俺がミリムを背負っている。

 それをリムルの胃袋から見ていたヴェルドラとイフリートは。

 

「ぐぬぬぬ……………!よもや、こんな光景を見る羽目になるとは…………!」

「しかし、ミリム様は自由奔放な方ですね。寝落ちされておんぶされて帰宅とは。さしものヴェルドラ様も、同じ天災級(カタストロフ)として、ミリム様の痴態には、眉を顰められますか」

「当然であろう!こんな所に封じられておらなんだら、今すぐひっぺがして叩き起こして、ゲンコを落として、説教をくれてやるわ!」

 

 イフリートがそう言う中、ヴェルドラは大きく叫ぶ。

 

「そこは我の場所であろうがー!…………とな」

「おんぶ…………されたかったんですか?」

「ふふん!微笑ましい友情の図であろう?」

「シュールです。というか、潰してしまいますよ」

「クァーッハッハッハッハッ!」

 

 イフリートがそう突っ込む中、ヴェルドラは笑う。

 イフリートのヴェルドラに対する尊敬度が、少し下がった。

 一方、俺たちが歩く中、ミリムが口を開く。

 

「リムルと閻魔は、そんなにこの国が大切なのか?」

「なんだ、聞いていたのか」

「そりゃあ、ゼロから始めて、一から作った国だしね。街も皆も残らず大切だよ」

 

 ミリムの問いに、俺とリムルはそう答える。

 ミリムは、再び口を開く。

 

「怖くはないか?」

「ん?」

「そんなたくさんの大切な物が…………繋がりが、一つでも無くなると考えたら………私は怖いのだ。大切な物はいつだって、小さくて、呆気ないほど脆い。きっと後悔する。作った事を後悔するのだ。その時、お前達は、今のままでは居られなくなる」

「寝てろよ、もう。寝てろ」

 

 ミリムはそう言う中、リムルはそう言う。

 ミリムの過去に、一体何があったのか。

 そして、遠くない未来、その言葉が現実になってしまう事は、今の俺には分からなかった。

 分かるだけの経験が無かった。

 その時、俺はどうなってしまうのかも、まだ暗闇の中だ。

 もしかしたら、ミリムの深層心理が、寝言の形で現れたのかもしれない。

 その翌日、客室に向かうと、そこはもぬけの殻だった。

 あの言葉の意味を、ミリムを客室に戻してから、ずっと考えていた。

 何が起こるのかというのを。

 すると。

 

「ただいまなのだー!リムルと閻魔も食べるか?採れたてだぞ!」

「お前、それ……………!」

「農場の柵を直したらくれたのだ。ちゃんとごめんもしたぞ!」

「そっか……………。でも、大切な物とか、繋がりとか、思わせぶりに語っておいて…………」

「あ?何の話なのだ?」

 

 やっぱり、覚えてないんだな。

 という事は、ミリムの深層心理が寝言の形で現れたのだろう。

 嵐は、まだまだ続きそうだった。




今回はここまでです。
今回は、ミリムの話です。
テンペストにやってきたミリムは、破茶滅茶に過ごします。
そんな中、ミリムの放った一言。
それは、未来の予言か。
果たして、閻魔はどうなるのか。
次回は、秋の収穫の話です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から受け付けています。

閻魔の進化はどうするか

  • 仙人から聖人
  • 魔人になる
  • その他
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