転移したら暗黒の破壊者に変身出来る様になった件   作:仮面大佐

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第25話 忍び寄る悪意

 俺たちが日常を過ごしていた頃、フォビオはある事を思い出していた。

 

『いきなり攻撃するとか、物騒だな。何の用だ?』

親友(マブダチ)に何するのだ〜!』

 

 俺に拳をあっさり受け止められ、ミリムにあっさり倒された事だ。

 フォビオは、焚き火を見ていたが、悔しさからか、顔を歪める。

 

「くぅ…………!」

 

 フォビオは、手に持っていた枝を折り、焚き火に放り込む。

 

「くそっ!許せねぇ………!」

 

 フォビオは憎々しげにそう言う。

 そう言うフォビオを、仲間達は不安そうに見つめていた。

 

「俺を誰だと思ってる………!黒豹牙フォビオだぞ………!」

「魔王ミリムが相手では、不可抗力という物です。例え、魔王カリオン様でも………」

「馬鹿野郎!カリオン様なら、こんな無様は晒さなかっただろうぜ。………俺が未熟だっただけの話よ。…………しかし、このまま成果なく戻るのは、俺の誇りが許さんのだ」

 

 フォビオはそう言いながら、焚き火を見つめる。

 そして、話を再開する。

 

「……………あいつらは、自分達で街を作っていやがったな。下等な魔物や人間だと侮っていたが、俺たちでも及ばぬ様な、技術を持っていやがる。」

「全くです。配下に加えるなどと言わず、我らがユーラザニアと国交を結びたいほどですな」

「ああ。魔王ミリムが居なかったとしても、俺の対応は間違っていた。人間とはいえ、テンペストに住む者にに攻撃するなんてな。頭ごなしに支配しても、奴らの信頼は得られなかっただろうからな。…………だが、今更だぜ。この屈辱は、怪我が癒えても、消えやしねえ。カリオン様に、迷惑をかけねえように、何とかして、復讐してやりたいんだよ」

 

 フォビオは、自分の対応が間違っていた事は分かっていた。

 だが、自分の攻撃をあっさり受け止められ、返り討ちにされた。

 その屈辱は、あまりにも大きかった。

 仲間のエンリオが、諌めるくらいには。

 

「………そうは申されましても………復讐など、現実的では………」

「分かってんだよ!頭では無理だって!…………だけど、こればっかりは、理屈じゃねぇんだよ。く…………!」

 

 ミリムへの復讐に燃えるフォビオを、仲間達は不安そうに見つめる。

 すると。

 

「ホーホッホッホッ………!」

「はっ!?」

 

 突然響く笑い声に、獣人達は、笑い声がしてくる方を見る。

 

「何者だ!」

 

 エンリオがそう叫ぶと、太った男性が出てくる。

 クレイマンの仲間である中庸道化連の一員、フットマンだ。

 

「は?」

「いやいや〜。その悔しい気持ち。この私にも、よ〜く理解出来ますね〜。ご機嫌よう、皆様。私は、フットマンと申します」

「……………フットマン?」

「中庸道化連が1人、”怒った道化(アングリーピエロ)”のフットマンとは、私の事。どうぞ、お見知り置きを」

「「………………」」

 

 いきなり現れたフットマンに、フォビオとエンリオは、警戒心を顕にする。

 すると、フットマンの後ろから、女の子が出てくる。

 クレイマンと話していた、ティアだ。

 

「そんなに警戒しないでほしいな〜。あたいは、ティア!貴方達の敵じゃないよ!」

「……………何の用だ?」

「ホーホッホッホッ!私はね。怒りと憎しみの感情に呼ばれて、やって来たのですよ」

「怒りと憎しみ?」

「上質な怒りの波動を感じました」

「うっ…………!」

 

 フットマンの言葉に、フォビオは言葉を詰まらせる。

 フォビオは、ミリムに、怒りと憎しみの感情を抱いていた。

 その結果、この謎の魔人を誘き寄せた事に気づいたのだ。

 フットマンは、フォビオに話しかける。

 

「何をお怒りになっているのか、是非とも、お聞かせ下さい。…………きっと、力になってご覧にいれますから」

「あ…………」

 

 フォビオが、フットマンの言葉に俯くと、エンリオが前に出る。

 

「フォビオ様。このような者どもの話を聞く必要はございません。排除してもよろしいですか?」

 

 エンリオがそう言うと、仲間の獣人達も、身構える。

 エンリオは、フットマン達に話しかける。

 

「我々は、魔王カリオンの獣王戦士団に属する者。野良の魔人程度が、相手になるとでも思ったか?」

「…………力が欲しいのでしょう?ございますよ。とびっきりの力が…………。当然ですが、危険も大きい。しかし、その危険に打ち勝った時、得られる力は絶大です」

「……………ほう」

「フォビオ様!?」

 

 フットマンの言葉に、フォビオは興味を示し、エンリオは驚く。

 それを見たティアは、畳み掛ける。

 

「勝ちたいんだよね?魔王ミリムに!だったらさ、あんたも魔王になっちゃいなよ〜!」

「魔………王…………!」

「あ…………」

 

 ティアの言葉に、獣人達は驚く。

 しばらく、静寂が訪れ、その場には、焚き火が爆ぜる音がした。

 

「…………魔王だと?その様な戯言で、俺を騙せるなどと…………」

暴風大妖渦(カリュブディス)

「はっ!」

 

 フォビオは、フットマンの言った言葉に驚く。

 フットマンは、話をする。

 

「ご存知ありませんか?」

「カリュブディス…………だと?」

「あ…………!」

「あ〜あ。あの大怪魚の邪悪な力なら、魔王に匹敵するんだけどな〜。要らないんなら、他を当たるから、もう行くね。………ほら、行こ!」

「ホッホッホッ………。残念ですねぇ………」

 

 ティアとフットマンは、その場から去ろうとする。

 そんな2人を、フォビオは呼び止める。

 

「待て」

「「フッ」」

 

 フォビオが呼び止めた事に、ティアとフットマンは、ほくそ笑む。

 エンリオは、フォビオに声をかける。

 

「なりません!フォビオ様!」

「…………俺は、最初から面白くなかったんだ。何で、豚頭帝(オークロード)の様な雑魚が、魔王に抜擢されるんだ。………ふざけるな!新しい魔王が必要だと言うなら、俺が………!俺が強くなるなら、カリオン様だって、笑って許してくれるだろうぜ」

「フォビオ様…………」

「詳しく聞かせろ」

 

 フォビオの言葉に、フットマンとティアは振り返る。

 

「おお〜!流石にフォビオ様ですね〜。そうでしょうとも!魔王となるのは、貴方を置いて、他には居ませんとも!」

「やっぱり、強い者が魔王にならないと、間違ってるよね。あたいもそう思うよ!その点、フォビオ様なら適任だよね!」

 

 そうして、フォビオは、フットマンとティアから、話を聞く事にした。

 エンリオ達は、それを見ていた。

 

「…………この話、てめぇらに、何の得がある?目的は何だ?」

「魔王になったら、あたい達を贔屓にしてくれたらいい!当然、色々と、便宜を図ってもらいたいしね」

「ホッホッホッ。我々だけでは、カリュブディスを従える事は、出来ませんからねぇ」

「せ〜っかく、封印された場所を見つけたけど、このままじゃ、宝の持ち腐れだし」

「タイミングよく、フォビオ様をお見かけしましてね」

「…………なるほどな。だが、俺がカリュブディスを従える事が出来るかどうかは………」

 

 ティアとフットマンの話を聞いたフォビオは、不安そうにそう言う。

 すると、フットマン達は。

 

「ホーホッホッホッ!フォビオ様なら、必ずや成功するでしょう!」

「大丈夫!大丈夫!」

「…………俺が魔王になった時に、自分達が最も役に立ったって、実績が欲しいって事か。」

 

 フットマンとティアの話を聞いたフォビオは、そう呟く。

 一考の末、出した答えは。

 

「…………その話、引き受けようじゃねぇか」

 

 フォビオは、引き受けてしまった。

 その先に待っているのは、傀儡となる未来だとは、気付かずに。

 フットマンとティアが、焚き火で温まる中、フォビオは、エンリオ達に声をかける。

 

「お前達は戻れ」

「フォビオ様!」

「事の顛末を伝えるのだ」

「しかし…………」

「カリオン様には、迷惑はかけられねえ。三獣士の地位を返上し、野に下るとお伝えしてくれ。…………今まで仕えてくれて、感謝する」

「フォビオ様…………」

「俺は修羅となり、俺の力を、魔王ミリムと、あの閻魔って奴に認めさせてやる」

「あ…………。分かりました。カリオン様に、ご報告致します。………しかし、カリュブディスの力は未知数。くれぐれも、お気をつけ下さい」

 

 そう言って、エンリオ達は、ユーラザニアへと戻っていった。

 そんな中、エンリオが思った事は。

 

(フォビオ様は、愚かなお方ではない。本当にカリュブディスが居るんだとしても、従える事が出来るはずだ)

 

 そう思っていた。

 エンリオ達を見送ったフォビオに、フットマン達が話しかける。

 

「では、向かうとしましょう」

「ああ。俺とカリュブディスの力を合わせたなら、あの魔王ミリムと、閻魔の憎たらしい面を、泣きっ面に変えてやれるだろうぜ」

「ホッホッホッ!その意気です」

「うんうん!あたいも応戦してるよ〜!」

 

 そうして、フォビオ達が動き出す。

 一方、テンペストの温泉宿では。

 

「ぷは〜!」

「ぷはっ!」

「ぷは〜!」

 

 ミリム、紫苑、朱菜の3人が、潜水対決をしていた。

 それを、シズさんは苦笑しながら見ていた。

 

「どうだ!私の勝ちなのだ!私の方が、長い時間潜ってられるのだ!」

「いいえ。勝ったのは私です」

「違います。ほんの僅かの差ですが、私の勝ちです」

「お風呂で潜水しちゃダメだよ?」

 

 ミリム、紫苑、朱菜の3人は、そう張り合い、シズさんがそう突っ込む。

 ミリム達は、シズさんの事を無視する。

 

「負けを認めないとは、狡いぞ!紫苑!朱菜!よ〜し!だったら、もう一回だ!決着をつけてやる!」

「良いでしょう。もう一度」

「本来なら、お風呂に潜るのは良くない事ですが、やりましょう」

「アハハハハ………………」

 

 シズさんの苦笑いと共に、再び潜水する音が、俺たちが入っている男湯の反対の女湯から聞こえてきた。

 

「はぁ…………。あっち、楽しそうだな〜。向こうに行けば良かったかな………」

「本音がダダ漏れだぞ」

 

 まあ、男湯に居るのは、フューズ、ゴブタとゴブゾウなのだが。

 ムッツリスライムめ。

 リムルは、フューズに話しかける。

 

「なぁ。いつまでこの街にいるつもりだよ」

「まだ、納得してない感じですか?」

「えっ?あ…………いえ。リムル殿と閻魔殿の疑いは、とっくに晴れているんですがね」

「晴れてるんだ……………」

「じゃあ、何でだよ」

「いやぁ…………。ここは、実に居心地がよろしくてですな…………。ろくに休みも無かったですし、ゆっくり羽を伸ばすのも、良いのではないかと…………」

 

 居心地良いのは、ありがたいな。

 今後、人間との取引も増えるだろうし、そう思ってもらえるのは、嬉しいもんだ。

 リムルは、呆れ顔で言う。

 

「お前なぁ………。『あなた方が本当に人間の味方なのかどうか…………しっかりと、確かめさせて貰う事にします。』とか、かっこいい事言ってたくせに」

「ふぅ…………」

「聞いてないね」

 

 リムルの言葉に対して、フューズは息を吐きながら、お酒を飲む。

 俺が苦笑していると、リムルは、きつめにフューズに聞く。

 

「おい!」

「え?」

「そういえば、ヨウム達の件は、どうなってるんですか?」

「そうだぞ!俺たちの代わりに英雄に仕立て上げる協力をしてくれる約束!」

「ああ………」

「ああ………じゃないって!もうヨウム達は旅立ったんだぞ。英雄として、各地で名を売る為にな」

 

 リムルは、青筋(?)を浮かべながらそう聞くと、フューズは答える。

 

「それなら、問題ないですよ。既に仕込みは終わらせております」

「そうなのか?」

「ええ。ちゃんと、豚頭帝を倒した英雄として、名を広められる様に、根回ししてあります。そして、リムル殿達は、それを手伝った害のない魔物達だ………と、噂になる様に」

「そっか………なら良いや」

 

 流石はギルドマスター。

 仕事が早いな。

 ただ、一つ懸念点があるとしたら………。

 

(やっぱり、他の異世界人が、この街をどう思うかだよな………)

 

 そう、この街は、魔物の街。

 異世界人は、人間だから、ゲームをやっている人からしたら、絶好の獲物といえるだろう。

 何せ、リムルが定めた掟によって、こちら側から、仕掛ける事はないからな。

 まあ、今、そんな事を考えても意味はないか。

 すると、フューズが風呂から上がろうとする。

 

「さて、私はお先に…………」

 

 フューズが上がろうとすると、リムルが声をかける。

 

「ああ、そうだ。お前達のブルムンド王国へも、道を作ろうかと思ってるんだけど」

「えっ?いや………えっ?いやいや…………。それは、ありがたい事ですが、大規模な国家事業になりますぞ。莫大な予算が…………」

「そこだよ、フューズ君」

「く………君?リムル殿にそう呼ばれると、何だか、背中がむず痒いのだが………」

「まあ、そんな事はいいさ。要は、今後の取引の為にやるんだろ?」

「ああ。当然だが、作業は、俺たちが引き受けようじゃないか。ただし」

「ただし?」

「我が国の特産品を、他の国にも売りつけたいので、諸々の相談ができる人物の紹介を頼みたい」

「分かりました。お安い御用です」

「ありがとうございます」

 

 すると、女湯の方から、ミリム達の声が聞こえてきて、リムルは頬を赤く染める。

 そんなリムルに、俺は呆れていた。

 俺たちも、風呂から上がる事にした。

 そして、部屋に戻る。

 

(……………今日は疲れたな。もう寝るか)

 

 俺はそう思い、布団に入り、就寝につく。

 すると。

 

『確認しました。個体名”黒輝閻魔”の仙人への進化完了しました』

 

 そんな声が聞こえてきた様な気がしたが、俺は眠りについた。

 一方、フォビオ達は、カリュブディスが封印されている場所に着いた。

 

「ここに?」

「そうだよ〜」

「まだ、復活していませんが、破壊への渇望が漏れ出ています。そうした感情が大好物な我々だからこそ、発見できたのですけどね」

「確かに………異様な妖気を感じるな。カリュブディス………」

 

 フォビオは、カリュブディスの妖気を感じ取っていた。

 フットマンは、フォビオに声をかける。

 

「カリュブディスの復活には、本来、大量の死体が必要です」

「死体?」

「カリュブディスとは、精神生命体の一種です。この世界で力を行使するには、肉体を与えてやらねばなりません」

「なるほど…………それで?」

「貴方の役目は…………」

 

 フットマンは、その先を言わなかった。

 だが、フォビオは、それだけで察した。

 

「まさか、お前………!」

「従えるとは…………つまり、カリュブディスをその身に宿し、ご自身と同一化するという事なのですよ」

「俺の体に………!?」

「辞めるなら、今だよ」

「うっ………!」

「でも…………」

「でも?」

「この封印は、もう長く持たないかも………」

 

 ティアの言葉に、フォビオが質問をする。

 

「持たなかったら、どうなる?」

「いずれ、自動的に復活しちゃう………かな?」

「死体が必要なんだろ?」

「そうだけど…………封印されてても、自分の復活に必要な魔物の死体ぐらいは、用意出来ちゃうんじゃないかな………。そうなったらあたい達は、くたびれ損になっちゃう!」

「そうですね〜」

「けど、復活しちゃったら、制御は無理だろうし、純粋な破壊の意思だから、誰の命令も聞かないだろうし………」

 

 ティアとフットマンがそう話す中、フォビオが口を開く。

 

「復活する前に封印を解き、その力を奪わないとダメという訳か?」

「えっ?あ………うん。そういう事」

「流石です」

「良いだろう。カリュブディスの力、我が物としてやろう!」

 

 そう言って、フォビオは洞窟の中へと入っていく。

 その時に、フォビオは呟く。

 

「やってやるぜ。カリュブディスを俺の体に従えて、あの小生意気な魔王ミリムと、あの閻魔って奴を………!」

 

 フォビオの決意は固かった。

 一方、フットマンとティアは。

 

「行きましたねぇ」

「行ったねぇ」

「流石は、脳が筋肉で出来ているカリオンの部下ですねぇ」

「簡単だったねぇ」

 

 そう言った直後、2人は高笑いする。

 フットマンは、ティアに尋ねる。

 

「これで終了ですか?」

「クレイマンからは、『カリュブディスを復活させて、ミリムに向かわせろ』………としか、聞いてないよ。………あっ!」

「ん?」

「用意してた下位龍族(レッサードラゴン)の死体、要らなくなっちゃったねぇ」

「………しかし、備えあれば憂いなしですからね」

 

 2人は、再び高笑いをする。

 フォビオは、クレイマンの策略に利用されたのだ。

 その翌日、俺は少しリムルに見てもらっていた。

 

「……………どうだ?何か、少しだけ違和感を感じるんだよな」

 

 俺はそんな風に言う。

 なんか、体の感覚が少しだけ違う様な気がするんだよな。

 その為、リムルに見てもらう事にした。

 リムルの大賢者なら、何か分かるかもしれないからな。

 すると。

 

「……………お前、凄い事になってるぞ!」

「ん?」

「お前は、仙人に進化したらしい!」

「……………仙人?」

 

 リムルがそう叫ぶので、俺は首を傾げた。

 大賢者曰く、仙人とは、過酷な修練を積んだ人間が進化した存在で、寿命が大幅に伸び、精神生命体に近い状態になるらしい。

 

「過酷な修練については………………覚えがあるよな?」

「ああ……………心当たりしかない」

 

 リムルがそう聞くと、俺はそう言う。

 確かに、白老やシズさんの特訓はマジできついし、ドレッドに変身しながら行なっていた時もあるから、そういう意味では過酷なのかもしれない。

 俺のユニークスキルも、 錬金術師(ツクリカエルモノ)から、 超錬金術師(アルケミスト)に進化したそうだ。

 その後、シズさん、紅丸、朱菜にも集まってもらった。

 

「どうしたの?閻魔君」

「何かありましたか?」

「ああ。リムルも含めた4人に渡したいものがあってな」

 

 シズさんと紅丸がそう聞く中、俺はそう言いながら、ある物を出す。

 それは、ガッチャードライバー、ガッチャードライバー(デイブレイクver)、ハイアルケミストリング、ヴァルバラドライバーだ。

 

「これって……………ドライバーか!?」

「ああ。ガッチャードライバーとかが完成したから、渡しておこうと思ってな」

 

 リムルがそう聞くと、俺はそう言う。

 ベスター曰く、何かの卵が入ったらしいが、よく分からん。

 その後、リムル達にドライバーの扱い方を教えた。

 俺たちはテンペストに戻っていた。

 実は、ミリム、エレン、カバル、ギドに付き合って、魔物狩りをしていたのだ。

 魔物達が入った袋を台車に乗せて、動いていたギドが、息を吐きながら言う。

 

「はぁぁぁ……………重かった〜〜」

「ワ〜ハッハッハッハッ!今日も大量なのだ!」

「ほう」

「本当に大量だね」

「ミリムちゃんは凄いんですよ。すぐに魔物を発見するので、今回も狩りが楽々でした!」

「ワッハッハっ!魔物の発見くらい、余裕なのだ〜!今夜もご馳走なのだ!」

 

 まあ、魔王だからね。

 俺も、ドレッドに変身して、魔物を倒していった。

 リムルは、ギド達に労いの言葉をかける。

 

「うんうん。お疲れさん、お疲れさん」

「本当、疲れやしたね〜」

「風呂入って、一杯やるか!」

「一杯やるのだ!はっはっはっ!あ?」

「ん?」

 

 カバル達がそう話していると、殺気に近い気配を感じる。

 俺たちは、その方向へと向く。

 

「何者です!」

 

 その際、紫苑はリムルをミリムに渡したが、ミリムもリムルを放り投げ、シズさんがキャッチする。

 紅丸、蒼影、白老も現れる中、俺たちの目の前に、緑色のオーラが現れる。

 そこには、トレイニーさんに似た人がいた。

 樹妖精(ドライアド)なのは、間違い無いだろう。

 というより、トレイニーさんの妹、トライアさんだろう。

 

「ド……………樹妖精(ドライアド)でやす……………!」

「初めて見た……………」

 

 ギドとカバルがそう言う中、その樹妖精(ドライアド)は、口を開く。

 

「私は、樹妖精(ドライアド)のトライア。トレイニーの妹です」

「トライアさん」

「それにしても、どうしたんだ?その殺気と姿は、どういう訳だ?」

 

 トライアさんがそう言うと、俺とリムルはそう聞く。

 すると、トライアさんは口を開く。

 

「緊急事態でございます。厄災が近づいています」

「厄災?」

厄災級魔物(カラミティモンスター)である、暴風大妖渦(カリュブディス)が復活いたしました」

暴風大妖渦(カリュブディス)?」

 

 カラミティって言われてるって事は、かなりやばそうだな。

 それを聞いた途端、皆が顔を見合わせる。

 

「魔王に匹敵する暴威であります。我が姉、トレイニーたちが足止めを行っておりますが、まるで歯が立ちません」

「マジか………………」

「そして、暴風大妖渦(カリュブディス)の目的は、この地である模様」

「なっ!?」

 

 それを聞いた俺たちは、驚愕する。

 何だって、そんなヤバい奴がここに向かってるんだ?

 そう思う中、トライアは言う。

 

「天空の支配者たる暴風大妖渦(カリュブディス)に対し、地上戦力では無力。至急、防衛態勢を固め、飛行戦力を用意すべく、進言に参りました」

 

 天空の支配者か。

 確かに、地上戦力では、限界があるな。

 俺たちは頷き合い、至急、会議室に皆を招集する。

 トライアは、暴風大妖渦(カリュブディス)がどういう存在なのかを説明する。

 

「カリュブディスは、はるかなる昔に生まれ、死と再生を繰り返しております。凶暴なる天空の支配者。流石は、森の支配者にして、守護者たる、暴風竜ヴェルドラ様の申し子と言えるでしょう」

「ヴェルドラの申し子?」

「どういう事だ?」

「カリュブディスは、ヴェルドラ様から漏れ出た、魔素だまりから発生した魔物なのです」

 

 じゃあ、リムルとカリュブディスは、兄弟みたいなもんか?

 話を聞いていたが、リムルも、ヴェルドラと縁がある魔物だしな。

 すると、フューズが立ち上がる。

 

「カリュブディスが復活したのなら、魔王以上の脅威となりますよ。何しろ、魔王と違い、話が通じる相手ではないのです」

「言ってみれば、知恵なき魔物。固有能力の魔物召喚(サモンモンスター)で、空泳巨大鮫(メガロドン)というサメ型の魔物を異界から召喚して暴れる………と、伝えられています」

 

 メガロドンねぇ………。

 これは、豚頭帝よりも厄介な気がするな。

 トライアさんは、悲痛な表情で語る。

 

「状況は最悪です。召喚されたメガロドンは、なぜか近くにあった下位龍族(レッサードラゴン)の死骸を、依代にした模様」

「なぜか………?」

「その数は、13」

「魔王並の化け物一体と、召喚された空飛ぶサメが13体。それは、一体何の冗談だ………」

 

 何故か、近くにあった下位龍族(レッサードラゴン)の死骸か…………。

 これは、何者かが、カリュブディスを復活させた可能性が高いな。

 朱菜が、俺とリムルに話しかける。

 

「閻魔さん、リムル様。」

「ん?」

「どうなされます?」

「そりゃあ、迎撃だろうな………」

「フッフッフッ………!」

 

 すると、ミリムが笑い出す。

 

「何か、重要な事を忘れてはいないか?」

「何だ?」

「カリュブディス如き………この私の敵ではない!軽く捻ってやるのだ!」

 

 ミリムはそう言って、服を脱ぎ捨てて、魔王としての服装になる。

 確かに、ミリムは強いからな。

 心強いな。

 そう思っていると。

 

「その様なわけには参りません」

「い………!?」

「私たちの街の問題ですので」

(断るんかい)

「えっ?だが、私はマブダチ………」

「そうですよ。友達だから、何でも頼ろうとするのは、間違いです。閻魔さんとリムル様が、どうしても困った時は、是非とも、お力添えをお願い申し上げます」

 

 朱菜がそう言うと、ミリムは露骨に落ち込む。

 

「ま、まあ………その…………なんだ。俺たちを信じてくれ」

「そ、そうだぞ」

「折角………折角………私の見せ場がやって来たと思ったのに………」

「カリュブディスを倒す!準備しろ!」

「はっ!」

 

 俺とリムルがそう言うと、皆はそう返す。

 壱式やレプリのレベルナンバー10を使うか。

 全員がカリュブディスの迎撃の準備に動く中、フューズが俺たちを見る。

 

「倒すって………。あの、分かってるんですか?相手は、樹妖精族(ドライアド)でさえ、足止めできない化け物ですよ」

「盟約を結んだガゼル王の応援も期待出来るし、やるだけやってみるさ」

「ああ。この街は、絶対に守ってみせるさ」

 

 フューズが呆れ気味にそう言うと、俺とリムルはそう答える。

 そして、フューズは質問をする。

 

「…………逃げないのですか?」

「…………逆に聞くけど、逃げてどうするんだ?」

「俺たちが、この国で一番強い。絶対に勝てそうもないなら、すぐに逃げて、次の策を考えるけど、そうじゃないなら、正面から自分の目で、敵の強さを確かめるべきだろ?」

 

 それを聞いたフューズは、納得したかの様に笑う。

 

「…………なるほど。魔物の主とその側近。そうでしたね」

「王を失ったら、終わりの人間とは、その辺りは違うんだよな」

「そうだな」

「しかし、あれですな………。リムル殿は、我々人間の様な考え方をされるのですね。とても、魔物とは思えませんよ」

 

 まあ、元人間だからな。

 すると、リムルが口を開く。

 

「う〜ん。そうかもな。信じられないかもしれないけど、実は、俺、元人間なんだよ。」

「…………俺も含めてだが、シズさんと同じ異世界人だったんだ。………多分な」

「向こうで死んで、俺はスライムに生まれ変わったんだけどね」

 

 そう言って、リムルは、人間態になる。

 フューズは、シズさんに問いかける。

 

「そうなんですか?」

「ええ。あの2人も、私と同じ異世界人。閻魔君の場合は、転移者だけどね」

「俺は、シズさんの肉体を複製させてもらった。シズさんと似てるのに、情けない真似は出来ないしな」

「そうそう」

「やっぱり、2人は信じられるよ!」

「うん」

 

 それにしても、リムルは唐突に話すな。

 まあ、俺も話す予定だったし、別に良いか。  

 そうして、ジュラ・テンペスト連邦国首都、中央都市リムルと、武装国家ドワルゴンの中間地点で、カリュブディスとメガロドンとの戦いが始まろうとしていた。




今回はここまでです。
白老やシズさんとの修練、そしてドレッドに変身していた事で、閻魔は仙人に進化しました。
その為、能力も上がり、壱式とかにも耐えられる様になりました。
そして、現れるカリュブディス。
閻魔も、壱式を使います。
リムル達も変身が可能になったので、出そうかなと思います。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
エルドラドライバーが判明しましたが、今後、この小説でもドラドは出そうかなと思っています。
ドレットルーパーも。
今後の展開などでリクエストがあれば、活動報告から承っております。
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