転移したら暗黒の破壊者に変身出来る様になった件   作:仮面大佐

36 / 40
第32話 ドワルゴンとの国交樹立

 俺たちは、武装国家ドワルゴンに向かい、英雄王、ガゼル・ドワルゴと会談をする事になった。

 俺たちは場所を移して、話す事に。

 

「ガゼル王にまずは感謝を。カイジン達の罪を取り消してくれて、ありがとう」

「他の大臣どもを納得させる為には、国外追放とするのが最適だったからな」

「なるほど。最初から許すつもりだったって事か」

「それに、貴様の様な怪しげな者に、我が国内で自由にさせるのは、面白くないと思ったからだ」

「まあ、それもそうか」

 

 確かに、初見からすれば、怪しいと思うのは、無理もないよな。

 喋るスライムだしな。

 

「とはいえ、カイジンやガルム達を手放すなど、断腸の思いであったわ」

「ガルムのおかげで、防具類も用意できたし、ドルドやミルドは、建設関係で大いに役立ってくれている」

「それに、カイジンが俺たちの手の届かない分野を取りまとめてくれているので、どうにかこうにか、集団としてやっていけてるんだ」

「奴らも我が国で燻っておるよりは、自由にその腕を振るえる環境に身を置く方が良かろうて。ベスターはどうした?来ておらぬのか?」

「実は、ベスターも誘ったには誘ったんだけど…………」

 

 そう。

 ドワルゴンに向かう前に、ベスターにも声をかけていたのだ。

 たまには息抜きとして、ドワルゴンでゆっくりさせるのもありだと思って。

 だが、ベスターの返答は。

 

『う〜ん……………。折角ですが、成果を出すまでは、ガゼル王に出す顔を持ち合わせておりません』

 

 そう答えて、ベスターはテンペストに残ったのだ。

 ベスターが言った事を俺が伝えると。

 

「ハハハハッ!ベスターらしいのう。奴もまた、その才を存分に発揮できる場を得たという事か。ハハハハッ!」

 

 ガゼル王は、ベスターの行動に納得していた。

 そんな中、俺は口を開く。

 

「ベスターはああ言っていたが、充分な成果を俺は出していると思っているよ」

「ほう?閻魔がそこまで言う成果とは気になるな」

「これを見て下さい」

 

 俺はそう言うと、ガゼル王はそう反応する。

 俺はある設計図をガゼル王に渡す。

 それを見たガゼル王は、口を開く。

 

「………ほう!これは」

 

 ガゼル王がそう反応して、ドルフも書類を覗き読む。

 

「まさか………魔装兵!?」

「……あの頃のものより、安全性など過去の問題点が解消されているな」

「信じられません。我らドワーフとエルフの技術を持ってしても、ここまで精密な設計図は出来ません」

「これをベスター1人でやってのけたのか?」

 

 それを見たガゼル王とドルフさんはそう話す。

 ガゼル王がそう聞いてくると、俺は口を開く。

 

「いや。ある妖精が完成させた物を、俺とベスターが話し合って、更に改良した設計図だ」

「妖精?」

「………魔王ラミリスだ」

「「っ!?」」

 

 俺がそう言うと、ガゼル王はそう聞く。

 ラミリスの名前をあげると、2人は驚いた表情を浮かべる。

 経緯を話した。

 ちなみに、シズさんには事前承諾を得ている。

 イングラシア王国に居る召喚された子供達を救うべく、魔王ラミリスと接触した。

 上位精霊を宿す事で、助ける事が出来るなどだ。

 

「…………なるほどな」

「まさか…………魔王が我が国の魔装兵を自己流で完成させていたとは…………」

「子供達を救った件は内密にお願いします」

「分かっておる」

 

 それを聞いた2人はそう反応する。

 どうやら、内密にしてくれるみたいだな。

 すると、ガゼル王が口を開く。

 

「……………で、リムル、閻魔よ」

「んっ?」

「改めて聞きたい事がある」

「俺たちも、その為に来たしな。」

「あの暴風大妖渦(カリュブディス)を倒したという高出力の魔法兵器とは、一体どの様な物なのだ?」

「ん〜………………」

「戦略級魔法をも凌ぐ前代未聞の威力だったそうだが」

 

 やっぱりか……………。

 魔法兵器じゃなくて、魔王ミリムなんだよな……………。

 まあ、説明する為に来たんだ。

 ちゃんと言わないとな。

 

「あれは……………本当に魔王ミリムの力なんだよ」

「魔王ミリム」

「あの日もそんな冗談を言っておられましたが……………」

「冗談じゃなくてね……………」

「申し訳ないが、信じられません。あの少女が……………天災(カタストロフ)級の魔王だなんて……………」

「まあ、気持ちは分かります」

 

 そうだよな。

 そんな事を言われても、信じられないよな。

 あれでも魔王なんだよな……………。

 すると、ガゼル王は、笑みを浮かべる。

 

「フッフッフ…………!法螺にしては、荒唐無稽すぎるな。よかろう。信じるぞ、リムル、閻魔よ」

「あ……………」

「はぁ……………」

「よいな、ドルフ」

「はっ。しかし……………いつの間にか、最古の魔王の2人と知り合いになるとは…………。リムル殿と閻魔殿は、本当に不思議な御方だ」

「フフンッ!」

 

 ドルフの言葉に、紫苑は自慢げにしていた。

 何で自慢げなの?

 すると、朱菜がやって来る。

 朱菜が持ってきたワゴンには、蒸留酒が乗っていた。

 

「お待たせしました」

「お」

「それは?」

「ああ。ちょっとした手土産だ」

 

 リムルが朱菜に合図をすると、四つのグラスに酒を注ぐ。

 それを、ガゼル王の元に運ぶ。

 

「どうぞ」

「うむ」

「ドルフ様も」

「ありがとう」

 

 ガゼル王とドルフさんは、朱菜からグラスを受け取る。

 ガゼル王は、グラスを見ると、声を出す。

 

「これは…………ドルドが作ったのか?」

「その通り」

「うむ」

 

 俺とリムルも、朱菜から酒を受け取る中、ガゼル王は、グラスをじっと見つめていた。

 

「素晴らしいな。この薄さ、細やかな模様。これは、解毒の刻印魔法か。気が利くな」

「俺たちが毒味しても良いんだけどな」

「フッ。貴様らが毒を盛るなどとは思っておらぬわ」

 

 そう言ってくれるとは、余程信頼してくれているんだな。

 ガゼル王は、匂いを嗅ぐ。

 

「品があるな」

 

 そう言って、ガゼル王は酒を飲み、ドルフさんも続いて飲む。

 

「おお、これは…………!」

「あっ……………!」

「美味い…………!」

「素晴らしい…………!」

「じゃあ、俺たちも」

「だな」

 

 俺たちも、酒を飲む。

 これも、かなり美味いよな。

 ちなみに、俺は酒は強い方だ。

 飲んでもあまり酔っ払わないから。 

 すると。

 

「成功するなよ!折角のアルコールを消してどうする!」

 

 リムルがそう叫ぶ。

 いきなり叫んだリムルに、俺は肘でつつく。

 

「どうした?」

「あっ、いや、何でもない」

「やれやれ……………。これは、リンゴで作った蒸留酒なんだ。果実を輸入出来る目処が立ったから、この先、量産出来ると思う」

「輸入とは、このドワルゴン以外にも、貴様達と国交を結ぼうという者が現れたのか。ブルムンド王国辺りか?」

「うん。そこもだけど、この果物は獣王…………」

 

 リムルがそう答えると、ガゼル王とドルフさんが、俺たちに詰め寄る。

 

「ユーラザニアか!?」

「そ、そうだ」

「誇り高き獣王が、他国と取り引きを!?」

「貴様ら、魔王ミリムと魔王ラミリスだけでなく、魔王カリオンにも懐かれたのか!?」

「恐るべき魔王たらし…………!」

 

 おい、言い方!

 俺が心の中でそう突っ込んでいると、リムルが説明をする。

 

「いやいやいや。たまたま魔王カリオンの部下を助けてさ。それが縁で、互いに交易しようって話になったんだ」

「まあ、まだ使節団の派遣程度の付き合いだけどね」

 

 俺とリムルがそう言う中、ガゼル王が椅子に座り、ドルフさんが言う。

 

「だとしても、テンペストの重要性は、一気に跳ね上がる!いずれは、ファルムス王国に代わる貿易の中心地になるかも!」

「うむ。確かにな」

「買い被りすぎだ」

「スムーズに交易するには、輸送路の整備もしないといけないしな」

「未来の話はともかく、今飲んでいるのは、ファルムスから輸入しているどの酒よりも美味い。成果を期待しているぞ」

 

 ガゼル王はそう言って、酒を飲む。

 ファルムス王国か……………。

 確か、ヨウムの出身地だったな。

 そう思う中、ヨウムはくしゃみをする。

 

「へっくしょん!」

「風邪か?」

「ったく。誰かが俺の噂をしてる様だぜ」

 

 一方、そんな事を露知らずの俺は、ファルムス王国について、ガゼル王に質問をした。

 

「ファルムス王国って、どんな国なんだ?」

「まあ、西方諸国でも、1・2を争う大国だな。我が国も、食糧はファルムスや帝国からの輸入に頼っておる。」

 

 ガゼル王はそこまで言うと、身を乗り出して、俺たちに話しかける。

 

「…………とはいえ、ここだけの話だが…………」

「ん?」

 

 俺たちも、身を乗り出してガゼル王の話を聞く。

 ガゼル王が言った事は、俺が抱くある不安を煽るには十分だった。

 

「俺はあの国王は好かん」

「そうなのか?」

「というと?」

「あの王は欲深すぎる。だから、是が非でもユーラザニアとの貿易を成功させろ。そして、兄弟子に酒を融通するのだ、弟弟子達よ」

「ああ……………。兄弟子は今関系ないだろ」

 

 欲深いか……………。

 なんか、胸騒ぎがするな。

 すると、紫苑がリムルの頭に胸を置きながら言う。

 

「大丈夫で〜す。」

「あっ、紫苑…………!」

「いつの間に……………!?」

 

 やっべ!

 今は、かなり不味いだろ!

 俺たちが青ざめる中、紫苑は顔を赤くして言う。

 

「リムル様と閻魔殿なら、きっと〜。ユーラザニアとの貿易もババ〜っと素敵に纏めて下さいま〜す!」

「おい!」

をダメだ、酔っ払ってやがる!」

「私たちの食卓にも〜当たり前のように美味しい料理が並ぶ様になりました!そこに美味しいお酒が加わるのも、約束されたも当然の話なのです!リムル様と閻魔殿にお任せを〜!」

「「あっ!」」

「「ああ〜!!」」

 

 紫苑がそう言いながら、再び酒を飲み、ぶっ倒れる。

 リムルはすかさずスライムの状態になり、紫苑を支える。

 

「セーフ…………」

「あ……………」

「うぃ〜……………」

「ったく、この娘は本当にもう…………」

「すいません!お見苦しい所をお見せしました!」

 

 真眼がそう謝る中、ガゼル王とドルフさんは顔を見合わせ、笑う。

 

「「ハハハハッ!」」

「悪いな、リムルの秘書が」

「よいよい。早く部屋に連れて行ってやれ」

「失礼します」

 

 そう言って、リムル、朱菜、紫苑は部屋へと戻る。

 すると。

 

「閻魔。少し話がある。お前は残れ」

「はい、分かりました。リムル、先に戻ってくれ」

「おう」

 

 そう言って、リムルは先に戻る。

 俺はガゼル王に話しかける。

 

「…………それで、話とは?」

「…………その魔装兵の案に関してだ」

「…………はい」

 

 俺がそう聞くと、ガゼル王はそう言う。

 俺は椅子に座る。

 

「…………この設計図には、お前も関与している様だが…………このドレットルーパーとやらは何だ?」

「…………はい。その件に関しては、今から説明します」

 

 ガゼル王は設計図のある箇所を見て、そんな風に言う。

 そう。

 わざと書き残したのだ。

 ドレットルーパーという単語を。

 俺はそう言うと、説明を始める。

 ドレッドの量産を考えている事。

 その為に、魔装兵を改良して、ドレットルーパーとして使える様にする事。

 最初は零式だが、いずれ壱式、弐式、参式、軍式といった物を量産していく事。

 それらを話すと、ガゼル王は頭を抱えていた。

 

「…………ええっと、大丈夫ですか?」

「これが大丈夫な様に見えるか?…………貴様は何を考えている!?世界の軍事バランスを崩壊させる気か!?」

 

 俺がそう聞くと、ガゼル王は我慢できないと言わんがばかりにそう叫ぶ。

 まあ、軍事バランスが崩れかねない物だからな。

 ドレットルーパーは。

 俺は説明する。

 

「もちろん、これを使っての侵略は考えていません。あくまで防衛の為です。ファルムス王国などに対する」

「……………理由を聞こう」

 

 

 俺はそう言う。

 ドレットルーパーの製造目的は、あくまで国の防衛の為だ。

 俺がそう言うと、ガゼル王はそう言って、続きを促す。

 

「……………まず聞きたいんですけど、ファルムス王国の国王が欲深いとは、どういう感じなんですか?」

「文字通りだ。ファルムス王国は、我がドワルゴンや他国との貿易で、莫大な利益を得ているからな」

「俺たちのテンペストが、ファルムス王国に代わる貿易の中心地になるという事は、ファルムス王国の利益が減ると言う事ですよね?」

「そうだな」

 

 俺の質問に、ガゼル王はそう答える。

 つまりは、あり得るかもしれないのだ。

 

「だとしたら、ファルムス王国が、俺たちのテンペストを潰しにかかる可能性は、高いという事ですよね」

「恐らくな」

「無理もありません」

「……………やっぱりか」

 

 そう。

 ファルムス王国からしたら、俺たちは、自分達の利益を奪う余所者という事になる。

 しかも、俺たちの国は、魔物の国。

 そんな国は、潰しても構わないという思想になりそうだ。

 

「まあ、気持ちは分からんでもない」

「…………………」

「……………お前達を見ていると、対照的に思えるな。理念は同じだが」

「え?」

「リムルは今を、貴様はその先を見据えている。ファルムス王国の動向を知ろうとする辺りからな」

「…………………」

 

 ガゼル王はそう言う。

 まあ、不確定要素だからな。

 ファルムス王国は。

 すると、ガゼル王は口を開く。

 

「…………とにかく、事情は分かった。だが、今後そういう事をするならば、まず俺に相談しろ」

「…………分かりました。では、ガゼル王にはこれを」

 

 ガゼル王はそう言う。

 まあ、武装国家と言われるくらいだから、そこら辺のアドバイスは聞いておいた方が良いだろうな。

 俺はそう言って、あるケースを渡す。

 その中身は、ドレッドライバーだった。

 

「…………ドレッドライバーの量産は進んでいるという事か?」

「はい。ガゼル王にも、使っていただきたいなと思いまして」

「…………ふっ。そういう事なら、受け取っておこう」

「はい。では、これで」

 

 そう言って、俺はガゼル王に礼を言って、その場から退出する。

 やはり、ファルムス王国の動向は、気にした方が良いかもしれないな。

 帰ったら、万が一に備えた計画を立てるか。

 ドレットルーパーの量産も含めて。

 そんな事を気にする中、リムルは原稿を再確認していた。

 一夜が明け、ドワルゴンとテンペストの二国間友好宣言の日がやって来た。

 俺たちは、テンペストのイメージを持って、ここに立っている。

 しっかりと挨拶をして、好印象を与えないとな。

 紫苑がリムルを持ち上げ、リムルは言う。

 

リムル「初めまして、皆さん!」

 

 そう言うリムルは、裏声だった。

 緊張しているんだな。

 まあ、無理もないか。

 

リムル「ジュラ・テンペスト連邦国、略してテンペストの盟主、リムル=テンペストです!」

 

 リムルがそう言うと、ゴブタ達から拍手が上がり、周囲も釣られて拍手をする。

 

リムル「あっ、どうも、どうも!」

 

 リムルがそう言って、挨拶をする。

 そして、口を開く。

 

リムル「え〜、私は、魔物と人間の橋渡しとなる様な国家を築きたいと願っております。ここドワルゴンは、まさに魔物と人間の共存共栄がなされており、私の目標です。ガゼル王には、私の理想に賛同していただき、感謝の念に堪えません。これからも、共に助け合える関係を守りたい。それには、皆様の協力が欠かせません。我が国には、私を始め、沢山の魔物が暮らしています。魔物の国と言っても、差し支えないでしょう。ですが、その心根は、皆様と何ら変わる所は無いのです。出来れば、魔物だからと言って、恐れるのではなく、新たな友として受け入れて欲しい。この言葉が偽らざる本心である事をここに誓い、私の挨拶に代えさせていただきます」

 

 リムルがそう言い終えると、周囲から拍手と歓声が上がる。

 その後、ガゼル王からは。

 

「短すぎる。謙り過ぎる。情に訴えかけ過ぎる。はっきり言って0点だ」

「うう……………」

 

 そんな風に酷評されていた。

 まあ、ガゼル王からしたら、そんな風なのだろう。

 

「国を治める者が、国民に謙る物ではない。まして、他国の住民に下手に出れば、舐められるだけだ」

「うう……………」

「こうなったら良いなどと、甘えた統治は厳禁だ。素晴らしい物とは、自然にやって来るのではなく、自ら掴み取りに行く物なのだ」

「はい」

 

 そんな風に言われていた。

 まあ、無理もないか。

 リムルは、ガゼル王からの忠告を聞き入れる。

 その後、リムルから夜の蝶という店に行く事を誘われた。

 仮にも一国の王が下心満載で行くのはどうかと思うがな。

 仕方なく、リムルのお目付け役として付いていく事にした。

 すると。

 

「あら、閻魔さん」

「朱菜か?どうした?」

 

 そう言って、朱菜がやってきた。

 俺は朱菜と少し話をしていた。

 リムルからはバレない様にと言われていたけどな。

 

「ところで閻魔さんは夕食はどうしますか?」

「夕飯か?そうだな。生憎と金は持ってるからな。ドワルゴンの料理も味わってみたいし、普通に酒場とかにでも行こうかな?」

「そうですか。私はてっきりリムル様やゴブタたちとどこかで打ち上げに行くのかと思ってました」

 

 朱菜がそう聞いてくるので、俺はそう言う。

 すると、朱菜はそんな風に言う。

 何で気づいたんだ?

 

「リムルたち、打ち上げに行くのか?それなら一言いってくれればいいんだがな」

「ええ。リムル様たちも言ってくださればそれくらい構いませんのに。………ですがリムル様は今は一国の王。それでしたらある程度の節度は守っていただきませんと。羽目を外しすぎては私たちの国へのイメージを悪くしかねませんからね」

「そうだな。羽目を外しすぎないようにしなきゃな」

 

 俺がそう言うと、朱菜はそう言う。

 確かに、羽目を外しまくって、イメージダウンは避けて欲しいからな。

 俺がそう言うと、朱菜は口を開く。

 

「えぇ。そうですよね。例えばそう………『夜の蝶』とかいう風俗店に行くのでしたら尚更。ですよね?閻魔さん?」

 

 朱菜はそんな風に言う。

 え?何で知ってんの?

 

「何で知ってんの………ですか?」

「あ、はい」

「実は先ほど、ゴブゾウから話を聞きまして。ところで、閻魔さん?さっき酒場に行くって言ってましたよね?ならどうしてゴブゾウの口から閻魔さんの名前が出てきたんですか?」

 

 はい、終了。

 ゴブゾウがあっさりバラしたとさ。

 ていうか、俺も巻き込むなよ!?

 俺はある行動をした。

 

「……………すいませんでした」

 

 速攻で謝った。

 こういうのは、早めに謝った方が傷は浅くすむ。

 それに、どうせバレているのだ。

 隠していても意味は全くない。

 俺は、お目付け役として行く事にしたというのを伝えた。

 それで何とかなった。

 そんな中、朱菜は口を開く。

 

「……………閻魔さん。確かに行くのはよろしいですが、条件があります」

「……………条件?」

「それが終わったら、私と一緒に居てほしいのです」

「……………おう」

 

 朱菜は、そんなふうに言う。

 俺は、それを了承する。

 リムル達と合流して、夜の蝶へと入っていく。

 まあ、今は楽園だが、後で地獄になるけどな。

 エルフの胸に挟まれているリムルを見ながら、そう思っていた。

 やばい、刺激が強すぎる。

 すると、俺にも話しかけてきた。

 

「あぁ〜!この子も結構良い顔じゃない!」

「本当ね!」

「あははは…………」

 

 エルフ達は俺を見ながらそう言い、俺は気まずい表情を浮かべる。

 一方、ゴブタ達の方に、エルフが一人やって来る。

 

「いらっしゃい、坊や達。スライムさんのお友達ね。大歓迎よ」

「ぬっ、お……………おお〜!」

「うふふ…………」

「おっ、お世話になるっす!」

「うふっ、何のお世話かしら?」

「好きです」

「あら、嬉しいわ」

 

 ゴブタはそう言って、跪き、手を伸ばす。

 が、エルフの方は、受け流していた。

 

「お連れさん達はもう出来上がってるわよ」

「お連れ?ああ……………」

 

 そう。

 カイジン達が既にいたのだ。

 カイドウが話しかける。

 

「リムル殿。今日は俺まで呼んでくれて嬉しいよ」

「カイドウさんにはお世話になったし、これくらいはさせてくれ」

「やっぱり、リムルの旦那は、その姿の方がしっくり来るなぁ」

「そうかな?」

 

 リムルとカイドウはそんな風に話す。

 リムルが話しかける。

 

「人型はお気に召さなかったか?」

「いや、そういう訳じゃねぇが…………。どうにも一致しなくてな………」

「まあ、無理もない。今日は、ゆっくり兄弟で語り合ってくれ」

「馬鹿野郎!」

「のわっ!?」

 

 俺がそう言うと、カイジンが叫ぶ。

 

「こんな場所で野郎と話してどうする?せっかく綺麗な姉ちゃんが居るんだ!俺たちも楽しもうぜ!」

「そうだぞ、閻魔殿!お姉ちゃん達に失礼ってもんだ!」

 

 似てるな、この二人。

 というより、カイジン達も、下手したら地獄を見るかもしれないんだぞ?

 すると、二人のエルフの声がする。

 

「ゴブタちゃん、凄〜い!」

「上手ね〜」

「「ん?」」

 

 俺たちが振り返ると、ゴブタが椅子か何かを持って、逆立ちしていた。

 何をしているんだ。

 ちなみに、ゴブタは、高価なグラスを足に乗っけられ、エルフの言葉に目や鼻から血を出してぶっ倒れた。

 リムルと俺は、ママに話しかけていた。

 

「ママさん、ちょっと良いかな?」

「なあに、スライムさん?」

「ちょっと、よかったらこれらを店に置いてくれないかな?」

「何、これ?」

 

 そう言って渡したのは、テンペストで作った酒だ。 

 

「うちで作った新商品の酒だ。ガゼル王にも卸すから、あんまり沢山は渡せないんだけど、お得意様限定で出してみてよ。感想が聞きたいから」

「あらまあ。でも、良いの?」

「一人一杯のサービスで、いくらまで出せるのか、リサーチして欲しい」

「あらあら。二人は強かなのね。スライムさん、昼間カチカチになって、演説してたのが嘘みたいね。」

「えっ!?見てたの!?」

「しっかりとね」

「あ……………あれは、まあね、演技だよ、演技!初心っぽく見えただろ?」

「ウフフッ。そういう事にしておきましょう」

 

 嘘つけ。

 演技じゃなくて、普通に緊張してただろ?

 すると、ママさんが言う。

 

「でもね、私は好感を持ったわよ」

「え?」

「誠実そうって思えたから。やはり、人を惹きつけるのは、誠実さだと思うのよね、私は。その点、スライムさんなら満点だった」

「そっか」

「私も見てみたいわ。人間や魔物、エルフ、どんな種族でも垣根なく、皆が笑い合える国を」

「ありがとさん」

 

 そう言って貰えるのは、嬉しいな。

 ただ、全ての国が、ドワルゴンやブルムンドみたいな、良い国とはあり得ない。

 ファルムス王国みたいな、不安な要素がある国もあるのだ。

 もし、テンペストが攻められたら、俺は、守り切れるのだろうか?

 そんな不安がありつつも、夜は更けていく。

 俺たちは、宿に帰る事になった。

 

「おっとっとっと。おいおい、しっかりしてくれよ、兄貴!いくら何でも飲み過ぎだじょ〜」

「お前こそ〜」

 

 カイジン達ドワーフは、かなり酔っ払っていた。

 ゴブタは、貧血になっていた。

 

「おい、大丈夫か?」

「目が回るっす……………」

「ったく。良いか、お前達。宿に帰る時、誰にも見つからない様にするんだぞ。今夜見た夢は、俺たちだけの秘密だからな」

「はい!」

「はいっす。」

「ほら、行くぞ。」

「うん」

「お手伝いしましょうか?」

「ああ、すみませ…………ああああ!シュッ、シュシュ…………!」

 

 リムル達が移動しようとした瞬間、朱菜が声をかけ、リムルは慌てる。

 地獄が始まるな。

 後ろをチラリと見ると、カイジン達が逃げていた。

 

「なっ、ななっ、ななな…………!?」

「なぜここに、ですか?」

「ハッ!うんうんうんうん!」

「ゴブゾウと閻魔さんが、全て話してくれたので」

「なっ!?ゴッ、ゴブゾウ!?閻魔!?お前ら、どうして〜!?」

「はえ?おら、朱菜様にどこに行くか聞かれたで、お答えしただけっす」

「というより、もうバレてたぞ」

「何してくれてんだ、お前ら〜!」

 

 そう言われてもな。

 早めにバレた方が、傷は浅いだろ。

 すると。

 

「酷いです、リムル様」

「ハッ!?」

 

 路地裏から、紫苑の声が聞こえてきて、紫苑が現れる。

 しかも、剛力丸を背負って。

 

「置いていくなんて…………あんまりです!」

「いっ、いや、だって、そのえ〜っと…………ふえっ!?」

 

 リムルが言い訳をしようとする中、紫苑は地面を蹴る。

 

「黙って行くなんて、酷いです!」

「うっ、ぐ…………!」

「貴方達が、閻魔さんとリムル様を夜遊びに誘ったのですか?」

 

 朱菜はそう言って、カイジン達に声をかける。

 どうやら、逃げきれなかったみたいだな。

 その後、俺は先に宿に戻った。

 しばらくすると、俺の部屋に朱菜がやってくる。

 

「朱菜」

「お待たせしました」

 

 朱菜は顔を赤くして、俺の部屋に入って来た。

 そんな中、俺は朱菜に聞く。

 

「朱菜。リムルはどうしたんだ?」

「リムル様なら、紫苑の料理を一週間食べる事になりました」

「そ、そっか……………」

 

 リムルの奴、結構災難な目に遭ってるな。

 そんな中、朱菜はベッドに座り、俺の肩に頭を置く。

 

「朱菜?」

「……………閻魔さん。私、少し、寂しかったんですよ。リムル様のお目付役とはいえ、行ってしまったのですから。」

「……………悪かったよ」

「しばらく、こうして貰いますからね」

「ああ」

 

 朱菜はそんな風に言う。

 心配させてしまったのは事実なので、甘んじて受ける。

 俺としても、朱菜にこうされるのは悪くないと感じている。

 朱菜の事が好きなのか……………?

 そんな風に考える。

 こうして、ドワルゴンでの予定を全て終え、帰国の途に就いた。

 ちなみに、リムルは1週間、朝食は紫苑が作った物を食べる羽目になった。

 一方、とある国では。

 

「あっ、姐さん、来やしたぜ。あれがヨウム。英雄っす」

 

 その姐さんと呼ばれた人物は、ヨウムを見ていた。

 ヨウムは、その女性と一緒にいた人に話しかける。

 

「よう、イサーク。どうした?」

「姐さんが、ちょっと話があるってんで、聞いてもらえませんかね?」

「姐さん?」

 

 イサークという男がそう言い、ヨウムが首を傾げる中、その女性は、フードを取る。

 その女性は、クレイマンと接触していたミュウランだった。

 

「私は、魔法が得意なので、英雄の貴方のお役に立てると思います。聞けば、ヨウム様の元には、魔法使いは少ない様ですし」

 

 それを聞いたロンメルは、不安げな表情を浮かべるが、ヨウムは答える。

 

「……………残念だな。魔法使いは間に合ってる」

「女が何の役に立つって言うんだ?」

 

 ヨウムがそう答え、カジルがそう毒づくと、ミュウランは眉を顰め、挑発する。

 

「ふ〜ん。なら、本物の魔導師(ウィザード)の恐ろしさを見せてあげる」

「ふ〜ん」

 

 こうして、ミュウランとヨウムが戦う事になった。

 流石に、街から離れた森に移動して。

 ミュウランは移動して、ヨウムはミュウランを追う。

 

「おおらっと!?何っ!?ぐっ………!」

 

 すると、ヨウムは地面に開いた穴に嵌る。

 

地面固定(アースロック)。」

 

 ヨウムが脱出しようとする中、ミュウランが魔法を発動して、ヨウムは動けなくなる。

 

「くうっ、動けねぇ!」

「あんな単純な魔法に、あの様な使い方が!?」

空気遮断(エアシャット)!」

 

 カジル達が驚く中、ミュウランは別の魔法を発動して、その魔法は、ヨウムを取り囲む。

 

「待ってろ、てめえ!叩きのめしてやる!」

 

 ヨウムはそう言うが、ミュウランが発動した魔法によって、その中は、真空状態になる。

 ヨウムが苦しむ中、ミュウランは言う。

 

「終わりよ。呆れた。まさか、状態異常への対策も取っていないなんて。対魔法戦が全然なってないじゃないの」

 

 ミュウランは呆れながら言い、魔法を解除する。

 ヨウムは、息を吸って言う。

 

「あ〜負けだ、負けだ。よっ」

 

 ヨウムは、素直に降参して、穴から脱出して、ミュウランに近寄る。

 

「あんた、強いな。名前は?」

「………………ミュウラン」

「よろしくな、ミュウラン」

 

 ヨウムは、笑いながらミュウランに握手を求める。

 ミュウランは、少し戸惑いながらも、手をヨウムの方に向ける。

 二人は、握手をする。

 ミュウランは、何を企んでいるのか。

 凄まじい悪意がテンペストに迫っていた。




今回はここまでです。
今回は、ドワルゴンでの話です。
閻魔は、ガゼル王にドレットルーパーの事を話しました。
ドレットルーパーを知ったガゼル王は、頭を悩ませました。
軍事バランスが崩壊しかねない代物ですし。
閻魔は、夜の蝶に向かいましたが、お目付役として向かう事で、説教は免れました。
そんな中、ミュウランがヨウムに接触する。
そして、悪意がテンペストへと迫っていた。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
次回は、リムルの華麗な教師生活の話をやって、コリウスの夢の話をやり、いよいよ、悲劇が幕を開けます。
コリウスの夢の話でリクエストがあれば、受け付けています。
閻魔は、リムルみたいに女性寄りの体ではないので、もしかしたら、紅丸と蒼影と同じタイミングで介入させるかもしれません。
あと、閻魔はヒナタと戦わせますが、そこで新たな力を得る予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。