転移したら暗黒の破壊者に変身出来る様になった件 作:仮面大佐
この話は、少しほど時間を遡り、精霊の棲家で子供達に精霊を宿した直後だ。
ある日、俺はテンペストで事務作業をしていた。
「それにしても、ミョルマイルという人物から、ハイ・ポーションの注文が来るとはな」
俺はそう呟く。
リムルから聞いたのだが、ミョルマイルという商人が、ハイ・ポーションを仕入れる事になったそうだ。
その為、精霊の棲家で、子供たちに上位精霊を宿らせた後は、ちょくちょく遊びに行っているが、基本的には、テンペストで仕事をしている。
すると、リムルの気配を感じた。
「リムル?」
俺は、ワープポータルがある場所に向かう。
すると、他にリムルが戻ってきた事を察したのか、住人が多く居た。
「お帰りなさい!リムル様〜!」
「リムル様〜!」
「お帰りなさ〜い!」
「ようやく戻ってこられたんですね!」
「今夜は宴会じゃあ〜!」
そして、リムルを胴上げをしていた。
「よお、リムル。どうした?」
「お、おお、閻魔!少し、用事があってな」
リムルは、帰ってきたのではなく、用事があって、テンペストに一時的に戻ってきたそうだ。
その訳としては、自由学園で、野外訓練があるそうだ。
これまでは、Sクラスの面々は参加してなかったが、ジェフという教師の挑発に乗った結果、Sクラスの面々も参加する事になったそうだ。
ていうか、挑発に乗るなよ。
野外訓練ね。
何故か、俺は嫌な予感がしていた。
リムルが何かを企んでいる事、そして、その野外訓練で向かうグラトルの街で、何かが起こりそうな気配がするのだ。
俺のこういう嫌な予感って、大体的中してるんだよな。
ガビルの謀反だったり、フォビオの一件だったり。
まあ、フォビオの一件に関しては、まさか、
そう思う中、周囲の皆は、先ほどまで喜んでいたのが、一気にテンションが下がった。
「じゃあ、すぐにイングラシアに戻る感じなのか?」
「そういう事だな。エース、悪いな」
「良いって、良いって」
「帰ってこられた訳では、無いのですね………………」
「すぐに戻られてしまうとは…………」
「寂しいです……………」
「まあまあ、そうガッカリすんな」
「そうそう。あと、10日ほどしたら、すぐに戻るよ」
「本当ですか!?」
そんな感じに、落ち込む皆を落ち着かせて、リムルは、本題を話す。
朱菜にはヘルモスの糸から作ったマントを、ガルムにはチェインメイルを、カイジンと黒兵衛には子供達の武器を用意するように頼んだ。
そうして、武器が用意できた。
それぞれ、ケンヤは剣、ゲイルは槍と盾、リョウタは弓、クロエはシズさんのような細くてよく切れる剣、アリスは忍者のような武器………簡単に言えばクナイだそうだ。
ちなみに、シズさんの自由学園での扱いは、理事長……………神楽坂優樹……………のお客という扱いらしい。
一応、後任の先生の引き継ぎなどもやっているので、ある意味では、非常勤講師と言えるだろう。
黒兵衛とカイジンは、武器を用意した。
「こんな感じでどうだべ?」
「うん!良いねぇ!これなら十分だ!アイツらも喜ぶだろう!流石だな!黒兵衛!カイジン!」
「本来なら、所有者に合わせて調整するもんなんだがな。そうじゃなきゃ、バランスが上手く取れねぇだろ?」
「んだ。マジックウェポンなら、魔法で調整されるだが、ここにあるのは、そこまで期待出来ないだよ」
「まあ、子供だから、成長に合わせて調整する必要性はあるから、大丈夫じゃないか?練習用に使えば」
まあ、子供は成長するから、すぐにサイズなんて変わるだろ。
すると、リムルが口を開く。
「そうだな。あとは……………」
「まだ必要な物があるのか?」
「ああ。旅用の馬車をどうしようかなと思ってね。子供5人と大人が1人寝泊まりできるようなのがあれば良いんだが…………」
「あるぜ」
「あるのかよ!?」
「リムルの旦那に閻魔の旦那が前に言ってただろ?豪華な馬車で確か…………キャンピングカーって、言うんだっけか?」
「実は、閻魔さんの気まぐれで頼まれて、作ってみたんだべ」
「マジか!黒兵衛、カイジン、閻魔!グッジョブ!」
リムルにそう言われて、俺、黒兵衛、カイジンはサムズアップをする。
そういえば、キャンピングカーみたいなのを頼んでたな。
皆で旅をする際に、不便なく行きたいからな。
とはいえ、基本は馬車なので、引っ張る動物が必要だが。
流石に、エンジンみたいな動力源を作る訳にはいかないし。
まあ、俺はレプリゴルドダッシュを使っているので、今更みたいな感じがするが。
すると、リムルが話しかけてくる。
「なあ、頼みがあるんだけど」
「うん?」
「少し、子供達のことを見守ってあげてほしくてな」
「え?」
リムル曰く、その野外訓練では、リムルはSクラスの子供達とは一緒にいないそうだ。
贔屓になってしまうかもしれないと言う理由で。
まあ、妥当だな。
だからこそ、自由学園の教師では無い俺なら、子供達を見守れるのではないかと。
「それ、子供達にバレたら、リムルが差し向けたって即バレするぞ」
「だからこそだよ。バレないようにやって欲しい」
「はぁ……………わぁーったよ」
「おう!さすがは、閻魔ちゃんだな!頼りになるぜ!」
「おだてるな。あと、ちゃんづけは辞めろ!気持ち悪い!」
まあ、俺も子供達が上手くやれているのか、気になるしな。
という訳で、俺は離れた場所から、見守る事にした。
嫌な予感もするので。
リムルが出発した後、俺も出発した。
朱菜とかは、俺もイングラシアに向かう事を嫌がったが、シュークリームを買ってくると言ったら、許してくれた。
俺がイングラシアに到着すると、シズさんがやって来た。
「悪い、待たせた」
「ううん。大丈夫だよ」
何故、シズさんと合流したのかというと、シズさんも、子供達が心配だったからだそうだ。
その為、俺とシズさんは、子供達のルートを確認して、こっそりついて行く事に。
手筈を確認して、出発の日になって、俺たちは後を追う事に。
子供達は出発して、俺たちはこっそりと見ている。
「皆、上手くやれてるね」
「ああ。まあ、安心するのはまだ早いけどな」
俺とシズさんは、そう話しながら、進んでいく。
ちなみに、夜には子供達の近くにテントを張り、野宿をしていた。
勿論、俺とシズさんは別々のテントに入っているが。
そんな感じで、4日目の昼、目的地であるグラトルの街に到着した。
子供達は、グラトルの街の近くの洞窟に向かっていた。
子供達とティス先生が入って、時差で俺とシズさんも入る。
「なんか……………胸騒ぎがするな」
「そうね」
俺とシズさんは、そう話しながら、進んでいく。
ちなみに、透明化の魔道具を作っておいて、それを使っている。
まさか、緊急離脱用に作っておいた物が、ここで役にたつとはな。
決して、ストーカー目的ではない。
すると、笑い声が聞こえてくる。
「笑い声?」
「子供には聞こえねぇな」
俺とシズさんが頷き合うと、ギリギリまで近づく。
すると、子供達とティス先生が、集団に取り囲まれていた。
「『何をしているのかしら』だってよ!ねえ、頭」
「ぎゃっははは!頭はこの中で俺だけだぜ!」
「盗賊団の類か」
「何で……………!?」
「来たのはこいつらだけか?」
「どうやら、そのようですぜ」
俺たちがそう呟く中、頭はそう聞いて、仲間がそう答える。
どうやら、勘付かれてない様だ。
頭は、仲間に奥にいる人物に指示を聞きに行かせた。
「お前ら、盗賊かなんかか?」
「えっ?ええっ!?」
すると、子供たちはティス先生を守るように配置する。
「先生は下がってな」
「ちょっと!?あなた達!これは訓練じゃないのよ!?」
「まあまあ!護衛対象は大人しく守られてなって!俺たちがこいつらをぶちのめすから!」
「ぶちのめす?生意気なガキどもだな」
頭がそう言うと、他の仲間が武器を取り出す。
「皆……………!」
「シズさん。アイツらを信じよう」
「………………ええ」
シズさんは、皆を助けようとするが、俺は止める。
アイツらが、柔な奴らじゃない事は、俺も分かっている。
「先生、ここは僕たちに任せて下さい」
「加点してくれると嬉しいです」
「ええ……………!?」
「皆、頑張ろう!」
「ビーストノーム。ティス先生を護衛しろ!」
そうして、子供達と盗賊団は、戦闘を開始した。
「ビーストノーム!」
ゲイルはビーストノームに叫び、ジャンプして迫る敵2人を倒させた。
リョウタは普通の矢と風属性の矢を放つが、躱される。
だが、アリスはクナイを自在に操り、頭にネジが刺さってる奴の動きを止める。
「まだ踊り足りない、かしら?」
やへ、へへっ、もう良い……………かしら?」
「じゃあ、とどめですね」
リョウタはそう言って、矢を放つ。
頭のネジが締まり、気絶した。
クロエは、2人を相手していて、片方が出した土煙に紛れて、地面を液状化させる。
「そこか……………!」
「ふふっ」
クロエは敢えて、姿を見せて、盗賊を誘導して、液状化した地面に誘導する。
その後、もう片方も地面にはまり、ビーストノームが目の前に現れて、拳を大きく振り下ろす。
「よし!良いぞ、ビーストノーム!」
ゲイルはそう言う。
盗賊は、気絶していた。
それを見ていたティス先生は唖然として、俺とシズさんは安堵していた。
そんな中、ケンヤは盗賊の頭と応戦していた。
「へぇ。思ってたより強いじゃん」
「ケンちゃん!油断しないで!」
「任せろって!」
「舐めるなよ、ガキが!伊達に盗賊の頭をやってるんじゃないんだぜ!」
頭はそう叫んで、ケンヤに強烈な一撃を叩き込む。
ケンヤは、一撃を何とか凌ぐが、その際、胴体がガラ空きになり、攻撃を受け、負傷する。
「ああっ!」
「ヒーリング!」
が、クロエがすかさず回復魔法を使い、ゲイルの傷は塞がる。
「なっ!?」
「サンキュー!クロっち!」
「か、回復魔法だと!?お、おい!お前ら手を……………!?」
頭は、仲間に助けを求めたが、仲間達は既に捕縛されていた。
「情けない奴等め!」
「私たちは英雄、
「……………だってよ、シズさん」
「………………」
クロエの言葉に、俺はニヤニヤしながら、シズさんを見る。
シズさんは、教え子達の成長に、微笑ましい表情を浮かべていた。
「よく言ったぜ、クロっち!あとはお前だけだ!」
ケンヤはそう言って、猛攻を仕掛ける。
頭は、剣で防御するが、猛攻に耐えきれず、色々と負傷して、ケンヤの攻撃で右腕が切断される。
「このガキが……………!良いだろう。負けを認めてやろう」
頭はそう言って、子供達は喜ぶが、左手で服の内側を探り、何かを取り出す。
「なんてな!」
「あれって……………!?」
「フル・ポーション?」
何でアイツがそんなもんを持ってんだ?
頭がフル・ポーションをかけると、欠損した右腕が完治する。
「グハハハハ!油断したな!……………って、あれ?」
頭はそう叫ぶが、子供達は、ジト目をしていた。
そんな中、ケンヤが剣の腹でぶっ叩き、気絶した。
「大人はよく汚い手を使うって、リムル先生に教え込まれてるんだよ!」
「シズ先生と違って、リムル先生はちょっと卑怯な所があるもんね」
「ちょっと所じゃないわよ」
「あはははは……………!」
リムル、何やってんだよ。
シズさんも、少し呆れを滲ませたため息を吐いていた。
だが、気になる事がある。
何故、盗賊団の頭が、フル・ポーションなんて物を持っているのかだ。
まあ、テンペストで売っているのは、フル・ポーションを薄めたハイ・ポーションだが。
どこか、別ルートで手に入れたのか?
そんな事を考える中、シズさんに肩を叩かれていた。
「どうした、シズさん?」
「あれ……………!」
「うん?」
すると、奥から、2人の男性がやってくる。
片方は、奥にいた人を呼びに行った人で、もう片方は執事だった。
だが。
「…………あいつ、人間じゃない?」
俺はそう呟く。
疑問形になっていたのは、確信を持てなかったからだ。
俺は、リムルの大賢者の様な解析系のスキルを持っていないからな。
すると。
「えっ?」
「違う……」
「…………あれは執事じゃない」
ケンヤとリョウタの言葉に捕まっている盗賊の頭も困惑していた。
「執事どころか……人間じゃない。お前は妖魔だな!」
「フフフ。まさか私の正体を見破る者がいるとはね。」
ケンヤがそう言うと、ゲスダーという人物が正体を現す。
耳が尖り目が赤く染まり両手に鋭利な爪が伸びる。
妖魔って言うのか。
そんな種族がいたのか。
ケンヤ達は再び武器を手に取り構える。
それを見た妖魔は。
妖魔「おや、やる気満々ですね。」
妖魔は姿を徐々に変えていった。
これは、介入する事を考えるか。
ちなみに、盗賊団は確保済みだ。
俺とシズさんは頷き合い、俺たちはそれぞれのドライバーを装備する。
ドレッドで様子見と行くか。
そんな中、子供達は妖魔と応戦する。
だが、妖魔に攻撃は効いておらず、ケンヤ、ゲイル、アリスが吹っ飛ばされ、気絶する。
そして、クロエとリョウタ、ビーストノームも、倒されてしまった。
「皆!」
「しょうがない!介入するぞ!」
「「変身!」」
俺たちは、変身しながら飛び出す。
『ドレッド・零式』
『スチームホッパー!アチーッ!』
俺はドレッド零式に、シズさんはファイヤーガッチャードデイブレイクに変身する。
「ティス先生!大丈夫ですか!?」
「えっ!?シズ先生……………!?」
「お前、何者だ!」
「おや、まだ仲間が居たとは。それに、西方聖教会に目をつけられたくはないのですが。何せ、妖魔軍先見部隊は、まだ少数でしか活動出来ていないのです」
先見部隊?
まるで、この世界を侵略するみたいな言い方だな。
なら、とっとと倒す方がいいか。
俺とシズさんは、駆け出そうとするが。
「おおっと!良いのですか?」
「何がだ?」
「この子供達は、人質です。あなた達2人が来ようとしたら、即座に殺しますよ?」
「なっ………………!?」
「人質とか、卑怯な真似をしやがって…………………!」
そう言われて、俺とシズさんは迂闊に動けなくなってしまう。
すると、妖魔がティス先生に話しかける。
「そうだ、先生。1人、1人だけ選びなさい」
「えっ……………!?」
「そのままの意味です。ここに隷属の首輪があります。生きながらえる代わりに、我らに隷属する子供を1人、選ぶのです」
「こいつ………………!」
こいつの狙いはすぐに分かった。
ティス先生が、子供達を犠牲にして、自分は助かろうとさせようとしているのだ。
それに、隷属した子供も殺すというのも。
卑怯にも程があるだろ……………!
こんな下劣な奴は、この世界で初めて見た。
すると、ティス先生は呟く。
「私は……………教師です!」
「あ?」
「私が憧れた人は、全身全霊をかけて、子供達を守ろうとした。そんなあの人に…………私は、少しでも近づきたい!例え、1秒であったとしても、シズ先生がしたように、全力で、子供達を守る!」
「ティス先生………………。」
「守ろうぜ。俺たちにとって、大切な子供達を!」
ティス先生は、ケンヤが使ってた剣を構え、俺とシズさんも構える。
ティス先生の心の中は、後悔が多かったのだろう。
シズさんが居なくなった後、ティス先生が、Sクラスの担任になった。
だが、見捨ててしまった。
そんなティス先生は、今度こそ、クロエ達を守るという決意に満ちていた。
アンタは、立派な教師だよ。
「そうですか。ならば、その2人もまとめて、苦痛を味合わせて、楽しませて下さい」
「召喚!」
妖魔はそう言って、俺たちに迫る中、ティス先生はそう叫ぶ。
すると、とんでもない存在を感じた。
(何だ……………この気配は!?)
それほどの気配を感じるのだ。
しかも、リムルが呼び出したベレッタ以上の。
すると、俺たちも妖魔の間に、魔法陣が生まれる。
「召喚だと!?バカめ!貴様如きが……………!」
「クフフフフフ………………!」
妖魔が驚く中、悪魔が現れる。
その悪魔は、黒い羽を生やした男性だった。
やべえな。
オーラが半端ない。
「
「御名答。
「あの悪魔は……………!」
「シズさん、知ってるのか?」
「……………前に話したでしょ?数十年前、フィルトウット王国で会った悪魔の話。あの悪魔がクロ」
「あいつが…………!?」
妖魔とその悪魔がそんなやりとりをする中、シズさんはそう言うので、俺はそう聞くと、シズさんはそう言う。
まじか。
シズさんの話によれば、その悪魔は、原初の悪魔の内の1人、
という事は、ティス先生に合わせたのか?
すると、妖魔が口を開く。
「舐めるな!その女が呼び出せる程度なら、この私が負けるはずもない!」
妖魔はそう言って、オーラを放出する。
だが、あっという間に背後を取られていた。
「ほう。その根拠が知りたくもありますが………………」
「なっ………………!?」
「時間がありません」
悪魔は、妖魔の背中に腕を突っ込み、人を引っ張り出す。
あれは、あの執事だ。
取り込まれていたのか。
「簡単に背中が取れましたよ。お強い筈では?」
「ひ、ヒィィィィ!」
悪魔はそう言って、妖魔の腕を切断する。
それを見て、ティス先生は恐怖していた。
まあ、無理もない。
その妖魔は、あっさり倒された。
それを見て、俺とシズさんは変身解除する。
強すぎるな。
俺が相手にするには、無理ゲーすぎる。
俺が驚く中、その悪魔は、ティス先生を見る。
「さて」
「っ!?」
「長々と話をする暇はありません。召喚主であるあなたに、負担をかけないよう、これでも気を遣っているのですよ。それよりも、報酬を頂きたいのですが。よろしいですか?」
「…………………覚悟は、出来てるわ」
まさか、ティス先生の命を奪う気か!?
そう思う中、悪魔は要求を告げる。
「それでは、要求を告げます。私の事は、一切秘密にする事」
「………………え?」
「この約定を違えた時、あなたの魂を頂くことになるので、ご注意を」
「それで、俺とシズさんの場合はどうするんだ?この場にいる以上、秘密にするのも無理だろ」
「ふむ。まあ、あなた方は大丈夫です。それに、借りは返しましたよ。シズ」
「…………………久しぶりね。クロ」
「あ、ありがとう………………。でも、この状況は…………どう説明すれば…………」
まあ、そうだよな。
誰が倒したかって事になるからな。
「下らない。そこの少年を守護する光の精霊と、シズとそこの男が倒した事にすればよろしいでしょう」
「え?」
悪魔がそう言うと、ケンヤから光の精霊が現れる。
「気づいてたのかよ」
「え!?あなたが、光の…………!?」
「あ、どうも〜」
ティス先生と光の精霊が話す中、その悪魔は、隷属の首輪を拾う。
「それでは、私はこれで。それにしても、そこのあなた」
「うん?」
「あの3人が興味を示す者に会えたのも、悪くないでしょう。あなたの強さには、どこか納得がいきますし。それでは」
悪魔は、そう言って、チラッとクロエを見た後、姿を消す。
ティス先生と光の精霊が話す中、俺は考えていた。
(妖魔族の侵略の可能性、原初の黒の存在、アイツが言う俺に興味を示す存在。分かんない事だらけだな)
それにしても、シズさんは、あの悪魔と出会っていたのか。
その後、子供達を起こして、俺たちはグラトルの屋敷へと戻った。
ちなみに、シズさんがここに居る事に関しては、休みを貰って、俺にグラトルの街を案内していたという事にした。
翌日、リムル、ジェフという教師、グラトル伯爵を加えて、話をする事に。
無論、あの悪魔の事は伏せて。
「なんと!昨日はそんな事が!?」
「本当に大変だったんだぜ」
「うむ。
「聞いたことがないな。いや、西方聖教会ならば、何か知っているやもしれんが」
西方聖教会ね。
確か、魔物を敵視している存在だったな。
あんまり会いたいとは思わないな。
もしかしたら、敵対する可能性も考慮に入れておくか。
そう考えている中、話はどんどんと進んでいき、クロエが俺とリムルに話しかける。
「ねえ、リムル先生、閻魔さん。2人は、フル・ポーションを持ってないの?」
「ん?持ってるが」
「俺も」
そう答えた時、ジェフ先生とグラトル伯爵が驚く。
「り、リムル殿!閻魔殿!ほ、本当に、フル・ポーションをお持ちで!?」
「い、今、ここにあるのか!?あの秘薬が!?」
「あ、はい。ありますけど……………」
「秘薬って、フル・ポーションの事だったんですね」
念のために、フル・ポーションを携帯しているのが、幸いしたな。
ジェフ先生曰く、失った手足を再生させるフル・ポーションなら、病気も治るそうだ。
ただ、グラトル伯爵曰く、服用した後に死亡した事例もあるので、確実性は無いが、やる価値はあるそうだ。
グラトル伯爵とジェフ先生が頭を下げるので、俺とリムルは、廊下に出て相談する。
「まさかフルポーションが病気にも効果があるとはな」
「けど死亡した事例もあるって………」
そう思う。
すると、リムルが答えてくれた。
どうやら、死亡した事例というのが、細胞異常が促進された場合というらしい。
そこで、悪性部位を切除して、フル・ポーションをかけるという手法を取ればいけるそうだ。
俺とリムルは頷き合い、部屋に戻り、フル・ポーションを取り出す。
「た、確かに、本物のようだ。それも、10本も」
「リムル殿、閻魔殿!ぜひ、譲っていただきたい!」
「良いですよ」
「ですが、一つ、条件があります。」
「条件?金ならいくらでも払おう!」
「あ、こ、今回の勝負は、リムル先生に勝ちを譲ろう!」
「はい?譲ってもらえなくても、俺の勝ちでしょう!」
リムルがそう言ったのを皮切りに、ジェフとリムルは、口喧嘩を始める。
何をやっているんだ…………。
それを見ていた子供達は。
「大人って、どんな手段を使っても、勝ちにこだわるんだから」
「まだまだ認識が甘かったみたい」
「これは、悪い見本だからね」
「皆、真似しちゃだめよ」
「「「「「は〜い」」」」」
アリスとクロエがそう言って、シズさんとティス先生が、子供たちにそう言う。
俺は、2人を仲裁する。
「リムル、ジェフ先生!グラトル伯爵が困ってるだろ!そこら辺にしておけ!すいません、うちのリムルが」
「おい、閻魔!?」
「それで!条件は?」
「ああ、そうでした。」
「奥様の治療は、リムルが行います」
「ええっ!?」
「それが条件です」
こうして、奥様がいる部屋へと向かい、リムルは手術を開始した。
ちなみに、リムルは大賢者のオートモードを使用した。
流石に、手術は素人だしね。
その後、手術は無事に成功して、奥様は元気になった。
奥様とグラトル伯爵が一緒に歩いているのを、俺、リムル、シズさん、ティス先生、ジェフ先生、執事が見ていた。
「よかったです。」
「ええ。元気になられて」
「はい、本当に……………!」
良かったよ。
すると、ジェフ先生が話しかける。
「リムル先生、閻魔殿」
「ああ、はい」
「どうしました?」
「その………………何だ………………本当に、ありがとうございました!この恩は、一生忘れません」
ジェフ先生はそう言って、頭を下げる。
まあ、救えたのなら、本望だよ。
こうして、自由学園の野外訓練は、終了したのだった。
余談だが、グラトル伯爵は、後に、妻であるウラムスの治療方法を、学会へ報告した。
この世界の医療が飛躍的に進歩する事になるのだが、それはまた、別の話。
別の余談になるが、アピトの蜂蜜が悪性細胞を死滅させる効果がある事が判明した。
まあ、結果論だが。
そして、俺は、この時には、気づいていなかった。
テンペストに厄災が訪れ、この件で遭遇した悪魔と再会するというのを。
今回はここまでです。
今回は、後のディアブロとの邂逅です。
ウラムスを救う事が出来ました。
次回から、コリウスの夢の話に入り、そしていよいよ、ファルムス王国の侵略の話が始まります。
果たして、閻魔の運命は。
閻魔はヒナタと戦わせますが、その際、新たな力を二つほど獲得させます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ガッチャードのVシネマの最新情報が来ましたね。
ヴァルバラドGTの登場に、新たな敵としてウロボロスが登場する。
果たして、どうなるのか。