転移したら暗黒の破壊者に変身出来る様になった件   作:仮面大佐

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第33話 原初の黒との邂逅

 この話は、少しほど時間を遡り、精霊の棲家で子供達に精霊を宿した直後だ。

 ある日、俺はテンペストで事務作業をしていた。

 

「それにしても、ミョルマイルという人物から、ハイ・ポーションの注文が来るとはな」

 

 俺はそう呟く。

 リムルから聞いたのだが、ミョルマイルという商人が、ハイ・ポーションを仕入れる事になったそうだ。

 その為、精霊の棲家で、子供たちに上位精霊を宿らせた後は、ちょくちょく遊びに行っているが、基本的には、テンペストで仕事をしている。

 すると、リムルの気配を感じた。

 

「リムル?」

 

 俺は、ワープポータルがある場所に向かう。

 すると、他にリムルが戻ってきた事を察したのか、住人が多く居た。

 

「お帰りなさい!リムル様〜!」

「リムル様〜!」

「お帰りなさ〜い!」

「ようやく戻ってこられたんですね!」

「今夜は宴会じゃあ〜!」

 

 そして、リムルを胴上げをしていた。

 

「よお、リムル。どうした?」

「お、おお、閻魔!少し、用事があってな」

 

 リムルは、帰ってきたのではなく、用事があって、テンペストに一時的に戻ってきたそうだ。

 その訳としては、自由学園で、野外訓練があるそうだ。

 これまでは、Sクラスの面々は参加してなかったが、ジェフという教師の挑発に乗った結果、Sクラスの面々も参加する事になったそうだ。

 ていうか、挑発に乗るなよ。

 野外訓練ね。

 何故か、俺は嫌な予感がしていた。

 リムルが何かを企んでいる事、そして、その野外訓練で向かうグラトルの街で、何かが起こりそうな気配がするのだ。

 俺のこういう嫌な予感って、大体的中してるんだよな。

 ガビルの謀反だったり、フォビオの一件だったり。

 まあ、フォビオの一件に関しては、まさか、暴風大妖渦(カリュブディス)の核として囚われていたとは、思わなかったが。

 そう思う中、周囲の皆は、先ほどまで喜んでいたのが、一気にテンションが下がった。

 

「じゃあ、すぐにイングラシアに戻る感じなのか?」

「そういう事だな。エース、悪いな」

「良いって、良いって」

「帰ってこられた訳では、無いのですね………………」

「すぐに戻られてしまうとは…………」

「寂しいです……………」

「まあまあ、そうガッカリすんな」

「そうそう。あと、10日ほどしたら、すぐに戻るよ」

「本当ですか!?」

 

 そんな感じに、落ち込む皆を落ち着かせて、リムルは、本題を話す。

 朱菜にはヘルモスの糸から作ったマントを、ガルムにはチェインメイルを、カイジンと黒兵衛には子供達の武器を用意するように頼んだ。

 そうして、武器が用意できた。

 それぞれ、ケンヤは剣、ゲイルは槍と盾、リョウタは弓、クロエはシズさんのような細くてよく切れる剣、アリスは忍者のような武器………簡単に言えばクナイだそうだ。

 ちなみに、シズさんの自由学園での扱いは、理事長……………神楽坂優樹……………のお客という扱いらしい。

 一応、後任の先生の引き継ぎなどもやっているので、ある意味では、非常勤講師と言えるだろう。

 黒兵衛とカイジンは、武器を用意した。

 

「こんな感じでどうだべ?」

「うん!良いねぇ!これなら十分だ!アイツらも喜ぶだろう!流石だな!黒兵衛!カイジン!」

「本来なら、所有者に合わせて調整するもんなんだがな。そうじゃなきゃ、バランスが上手く取れねぇだろ?」

「んだ。マジックウェポンなら、魔法で調整されるだが、ここにあるのは、そこまで期待出来ないだよ」

「まあ、子供だから、成長に合わせて調整する必要性はあるから、大丈夫じゃないか?練習用に使えば」

 

 まあ、子供は成長するから、すぐにサイズなんて変わるだろ。

 すると、リムルが口を開く。

 

「そうだな。あとは……………」

「まだ必要な物があるのか?」

「ああ。旅用の馬車をどうしようかなと思ってね。子供5人と大人が1人寝泊まりできるようなのがあれば良いんだが…………」

「あるぜ」

「あるのかよ!?」

「リムルの旦那に閻魔の旦那が前に言ってただろ?豪華な馬車で確か…………キャンピングカーって、言うんだっけか?」

「実は、閻魔さんの気まぐれで頼まれて、作ってみたんだべ」

「マジか!黒兵衛、カイジン、閻魔!グッジョブ!」

 

 リムルにそう言われて、俺、黒兵衛、カイジンはサムズアップをする。

 そういえば、キャンピングカーみたいなのを頼んでたな。

 皆で旅をする際に、不便なく行きたいからな。

 とはいえ、基本は馬車なので、引っ張る動物が必要だが。

 流石に、エンジンみたいな動力源を作る訳にはいかないし。

 まあ、俺はレプリゴルドダッシュを使っているので、今更みたいな感じがするが。

 すると、リムルが話しかけてくる。

 

「なあ、頼みがあるんだけど」

「うん?」

「少し、子供達のことを見守ってあげてほしくてな」

「え?」

 

 リムル曰く、その野外訓練では、リムルはSクラスの子供達とは一緒にいないそうだ。

 贔屓になってしまうかもしれないと言う理由で。

 まあ、妥当だな。

 だからこそ、自由学園の教師では無い俺なら、子供達を見守れるのではないかと。

 

「それ、子供達にバレたら、リムルが差し向けたって即バレするぞ」

「だからこそだよ。バレないようにやって欲しい」

「はぁ……………わぁーったよ」

「おう!さすがは、閻魔ちゃんだな!頼りになるぜ!」

「おだてるな。あと、ちゃんづけは辞めろ!気持ち悪い!」

 

 まあ、俺も子供達が上手くやれているのか、気になるしな。

 という訳で、俺は離れた場所から、見守る事にした。

 嫌な予感もするので。

 リムルが出発した後、俺も出発した。

 朱菜とかは、俺もイングラシアに向かう事を嫌がったが、シュークリームを買ってくると言ったら、許してくれた。

 俺がイングラシアに到着すると、シズさんがやって来た。

 

「悪い、待たせた」

「ううん。大丈夫だよ」

 

 何故、シズさんと合流したのかというと、シズさんも、子供達が心配だったからだそうだ。

 その為、俺とシズさんは、子供達のルートを確認して、こっそりついて行く事に。

 手筈を確認して、出発の日になって、俺たちは後を追う事に。

 子供達は出発して、俺たちはこっそりと見ている。

 

「皆、上手くやれてるね」

「ああ。まあ、安心するのはまだ早いけどな」

 

 俺とシズさんは、そう話しながら、進んでいく。

 ちなみに、夜には子供達の近くにテントを張り、野宿をしていた。

 勿論、俺とシズさんは別々のテントに入っているが。

 そんな感じで、4日目の昼、目的地であるグラトルの街に到着した。

 子供達は、グラトルの街の近くの洞窟に向かっていた。

 子供達とティス先生が入って、時差で俺とシズさんも入る。

 

「なんか……………胸騒ぎがするな」

「そうね」

 

 俺とシズさんは、そう話しながら、進んでいく。

 ちなみに、透明化の魔道具を作っておいて、それを使っている。

 まさか、緊急離脱用に作っておいた物が、ここで役にたつとはな。

 決して、ストーカー目的ではない。

 すると、笑い声が聞こえてくる。

 

「笑い声?」

「子供には聞こえねぇな」

 

 俺とシズさんが頷き合うと、ギリギリまで近づく。

 すると、子供達とティス先生が、集団に取り囲まれていた。

 

「『何をしているのかしら』だってよ!ねえ、頭」

「ぎゃっははは!頭はこの中で俺だけだぜ!」

「盗賊団の類か」

「何で……………!?」

「来たのはこいつらだけか?」

「どうやら、そのようですぜ」

 

 俺たちがそう呟く中、頭はそう聞いて、仲間がそう答える。

 どうやら、勘付かれてない様だ。

 頭は、仲間に奥にいる人物に指示を聞きに行かせた。

 

「お前ら、盗賊かなんかか?」

「えっ?ええっ!?」

 

 すると、子供たちはティス先生を守るように配置する。

 

「先生は下がってな」

「ちょっと!?あなた達!これは訓練じゃないのよ!?」

「まあまあ!護衛対象は大人しく守られてなって!俺たちがこいつらをぶちのめすから!」

「ぶちのめす?生意気なガキどもだな」

 

 頭がそう言うと、他の仲間が武器を取り出す。

 

「皆……………!」

「シズさん。アイツらを信じよう」

「………………ええ」

 

 シズさんは、皆を助けようとするが、俺は止める。

 アイツらが、柔な奴らじゃない事は、俺も分かっている。

 

「先生、ここは僕たちに任せて下さい」

「加点してくれると嬉しいです」

「ええ……………!?」

「皆、頑張ろう!」

「ビーストノーム。ティス先生を護衛しろ!」

 

 そうして、子供達と盗賊団は、戦闘を開始した。

 

「ビーストノーム!」

 

 ゲイルはビーストノームに叫び、ジャンプして迫る敵2人を倒させた。

 リョウタは普通の矢と風属性の矢を放つが、躱される。

 だが、アリスはクナイを自在に操り、頭にネジが刺さってる奴の動きを止める。

 

「まだ踊り足りない、かしら?」

やへ、へへっ、もう良い……………かしら?」

「じゃあ、とどめですね」

 

 リョウタはそう言って、矢を放つ。

 頭のネジが締まり、気絶した。

 クロエは、2人を相手していて、片方が出した土煙に紛れて、地面を液状化させる。

 

「そこか……………!」

「ふふっ」

 

 クロエは敢えて、姿を見せて、盗賊を誘導して、液状化した地面に誘導する。

 その後、もう片方も地面にはまり、ビーストノームが目の前に現れて、拳を大きく振り下ろす。

 

「よし!良いぞ、ビーストノーム!」

 

 ゲイルはそう言う。

 盗賊は、気絶していた。

 それを見ていたティス先生は唖然として、俺とシズさんは安堵していた。

 そんな中、ケンヤは盗賊の頭と応戦していた。

 

「へぇ。思ってたより強いじゃん」

「ケンちゃん!油断しないで!」

「任せろって!」

「舐めるなよ、ガキが!伊達に盗賊の頭をやってるんじゃないんだぜ!」

 

 頭はそう叫んで、ケンヤに強烈な一撃を叩き込む。

 ケンヤは、一撃を何とか凌ぐが、その際、胴体がガラ空きになり、攻撃を受け、負傷する。

 

「ああっ!」

「ヒーリング!」

 

 が、クロエがすかさず回復魔法を使い、ゲイルの傷は塞がる。

 

「なっ!?」

「サンキュー!クロっち!」

「か、回復魔法だと!?お、おい!お前ら手を……………!?」

 

 頭は、仲間に助けを求めたが、仲間達は既に捕縛されていた。

 

「情けない奴等め!」

「私たちは英雄、井沢静江(シズエ・イザワ)の教え子だもん!盗賊なんかに負けられないもの!」

「……………だってよ、シズさん」

「………………」

 

 クロエの言葉に、俺はニヤニヤしながら、シズさんを見る。

 シズさんは、教え子達の成長に、微笑ましい表情を浮かべていた。

 

「よく言ったぜ、クロっち!あとはお前だけだ!」

 

 ケンヤはそう言って、猛攻を仕掛ける。

 頭は、剣で防御するが、猛攻に耐えきれず、色々と負傷して、ケンヤの攻撃で右腕が切断される。

 

「このガキが……………!良いだろう。負けを認めてやろう」

 

 頭はそう言って、子供達は喜ぶが、左手で服の内側を探り、何かを取り出す。

 

「なんてな!」

「あれって……………!?」

「フル・ポーション?」

 

 何でアイツがそんなもんを持ってんだ?

 頭がフル・ポーションをかけると、欠損した右腕が完治する。

 

「グハハハハ!油断したな!……………って、あれ?」

 

 頭はそう叫ぶが、子供達は、ジト目をしていた。

 そんな中、ケンヤが剣の腹でぶっ叩き、気絶した。

 

「大人はよく汚い手を使うって、リムル先生に教え込まれてるんだよ!」

「シズ先生と違って、リムル先生はちょっと卑怯な所があるもんね」

「ちょっと所じゃないわよ」

「あはははは……………!」

 

 リムル、何やってんだよ。

 シズさんも、少し呆れを滲ませたため息を吐いていた。

 だが、気になる事がある。

 何故、盗賊団の頭が、フル・ポーションなんて物を持っているのかだ。

 まあ、テンペストで売っているのは、フル・ポーションを薄めたハイ・ポーションだが。

 どこか、別ルートで手に入れたのか?

 そんな事を考える中、シズさんに肩を叩かれていた。

 

「どうした、シズさん?」

「あれ……………!」

「うん?」

 

 すると、奥から、2人の男性がやってくる。

 片方は、奥にいた人を呼びに行った人で、もう片方は執事だった。

 だが。

 

「…………あいつ、人間じゃない?」

 

 俺はそう呟く。

 疑問形になっていたのは、確信を持てなかったからだ。

 俺は、リムルの大賢者の様な解析系のスキルを持っていないからな。

 すると。

 

「えっ?」

「違う……」

「…………あれは執事じゃない」

 

 ケンヤとリョウタの言葉に捕まっている盗賊の頭も困惑していた。

 

「執事どころか……人間じゃない。お前は妖魔だな!」

「フフフ。まさか私の正体を見破る者がいるとはね。」

 

 ケンヤがそう言うと、ゲスダーという人物が正体を現す。

 耳が尖り目が赤く染まり両手に鋭利な爪が伸びる。

 妖魔って言うのか。

 そんな種族がいたのか。

 ケンヤ達は再び武器を手に取り構える。

 それを見た妖魔は。

 

妖魔「おや、やる気満々ですね。」

 

 妖魔は姿を徐々に変えていった。

 これは、介入する事を考えるか。

 ちなみに、盗賊団は確保済みだ。

 俺とシズさんは頷き合い、俺たちはそれぞれのドライバーを装備する。

 ドレッドで様子見と行くか。

 そんな中、子供達は妖魔と応戦する。

 だが、妖魔に攻撃は効いておらず、ケンヤ、ゲイル、アリスが吹っ飛ばされ、気絶する。

 そして、クロエとリョウタ、ビーストノームも、倒されてしまった。

 

「皆!」

「しょうがない!介入するぞ!」

「「変身!」」

 

 俺たちは、変身しながら飛び出す。

 

ドレッド・零式

スチームホッパー!アチーッ!

 

 俺はドレッド零式に、シズさんはファイヤーガッチャードデイブレイクに変身する。

 

「ティス先生!大丈夫ですか!?」

「えっ!?シズ先生……………!?」

「お前、何者だ!」

「おや、まだ仲間が居たとは。それに、西方聖教会に目をつけられたくはないのですが。何せ、妖魔軍先見部隊は、まだ少数でしか活動出来ていないのです」

 

 先見部隊?

 まるで、この世界を侵略するみたいな言い方だな。

 なら、とっとと倒す方がいいか。

 俺とシズさんは、駆け出そうとするが。

 

「おおっと!良いのですか?」

「何がだ?」

「この子供達は、人質です。あなた達2人が来ようとしたら、即座に殺しますよ?」

「なっ………………!?」

「人質とか、卑怯な真似をしやがって…………………!」

 

 そう言われて、俺とシズさんは迂闊に動けなくなってしまう。

 すると、妖魔がティス先生に話しかける。

 

「そうだ、先生。1人、1人だけ選びなさい」

「えっ……………!?」

「そのままの意味です。ここに隷属の首輪があります。生きながらえる代わりに、我らに隷属する子供を1人、選ぶのです」

「こいつ………………!」

 

 こいつの狙いはすぐに分かった。

 ティス先生が、子供達を犠牲にして、自分は助かろうとさせようとしているのだ。

 それに、隷属した子供も殺すというのも。

 卑怯にも程があるだろ……………!

 こんな下劣な奴は、この世界で初めて見た。

 すると、ティス先生は呟く。

 

「私は……………教師です!」

「あ?」

「私が憧れた人は、全身全霊をかけて、子供達を守ろうとした。そんなあの人に…………私は、少しでも近づきたい!例え、1秒であったとしても、シズ先生がしたように、全力で、子供達を守る!」

「ティス先生………………。」

「守ろうぜ。俺たちにとって、大切な子供達を!」

 

 ティス先生は、ケンヤが使ってた剣を構え、俺とシズさんも構える。

 ティス先生の心の中は、後悔が多かったのだろう。

 シズさんが居なくなった後、ティス先生が、Sクラスの担任になった。

 だが、見捨ててしまった。

 そんなティス先生は、今度こそ、クロエ達を守るという決意に満ちていた。

 アンタは、立派な教師だよ。

 

「そうですか。ならば、その2人もまとめて、苦痛を味合わせて、楽しませて下さい」

「召喚!」

 

 妖魔はそう言って、俺たちに迫る中、ティス先生はそう叫ぶ。

 すると、とんでもない存在を感じた。

 

(何だ……………この気配は!?)

 

 それほどの気配を感じるのだ。

 しかも、リムルが呼び出したベレッタ以上の。

 すると、俺たちも妖魔の間に、魔法陣が生まれる。

 

「召喚だと!?バカめ!貴様如きが……………!」

「クフフフフフ………………!」

 

 妖魔が驚く中、悪魔が現れる。

 その悪魔は、黒い羽を生やした男性だった。

 やべえな。

 オーラが半端ない。

 

悪魔族(デーモン)を召喚したのか!?この気配…………使役型ではなく、自立型か!」

「御名答。妖魔族(ファントム)にしては、少しは博識ですね」

「あの悪魔は……………!」

「シズさん、知ってるのか?」

「……………前に話したでしょ?数十年前、フィルトウット王国で会った悪魔の話。あの悪魔がクロ」

「あいつが…………!?」

 

 妖魔とその悪魔がそんなやりとりをする中、シズさんはそう言うので、俺はそう聞くと、シズさんはそう言う。

 まじか。

 シズさんの話によれば、その悪魔は、原初の悪魔の内の1人、(ノワール)らしいからな。

 という事は、ティス先生に合わせたのか?

 すると、妖魔が口を開く。

 

「舐めるな!その女が呼び出せる程度なら、この私が負けるはずもない!」

 

 妖魔はそう言って、オーラを放出する。

 だが、あっという間に背後を取られていた。

 

「ほう。その根拠が知りたくもありますが………………」

「なっ………………!?」

「時間がありません」

 

 悪魔は、妖魔の背中に腕を突っ込み、人を引っ張り出す。

 あれは、あの執事だ。

 取り込まれていたのか。

 

「簡単に背中が取れましたよ。お強い筈では?」

「ひ、ヒィィィィ!」

 

 悪魔はそう言って、妖魔の腕を切断する。

 それを見て、ティス先生は恐怖していた。

 まあ、無理もない。

 その妖魔は、あっさり倒された。

 それを見て、俺とシズさんは変身解除する。

 強すぎるな。

 俺が相手にするには、無理ゲーすぎる。

 俺が驚く中、その悪魔は、ティス先生を見る。

 

「さて」

「っ!?」

「長々と話をする暇はありません。召喚主であるあなたに、負担をかけないよう、これでも気を遣っているのですよ。それよりも、報酬を頂きたいのですが。よろしいですか?」

「…………………覚悟は、出来てるわ」

 

 まさか、ティス先生の命を奪う気か!?

 そう思う中、悪魔は要求を告げる。

 

「それでは、要求を告げます。私の事は、一切秘密にする事」

「………………え?」

「この約定を違えた時、あなたの魂を頂くことになるので、ご注意を」

「それで、俺とシズさんの場合はどうするんだ?この場にいる以上、秘密にするのも無理だろ」

「ふむ。まあ、あなた方は大丈夫です。それに、借りは返しましたよ。シズ」

「…………………久しぶりね。クロ」

「あ、ありがとう………………。でも、この状況は…………どう説明すれば…………」

 

 まあ、そうだよな。

 誰が倒したかって事になるからな。

 

「下らない。そこの少年を守護する光の精霊と、シズとそこの男が倒した事にすればよろしいでしょう」

「え?」

 

 悪魔がそう言うと、ケンヤから光の精霊が現れる。

 

「気づいてたのかよ」

「え!?あなたが、光の…………!?」

「あ、どうも〜」

 

 ティス先生と光の精霊が話す中、その悪魔は、隷属の首輪を拾う。

 

「それでは、私はこれで。それにしても、そこのあなた」

「うん?」

「あの3人が興味を示す者に会えたのも、悪くないでしょう。あなたの強さには、どこか納得がいきますし。それでは」

 

 悪魔は、そう言って、チラッとクロエを見た後、姿を消す。

 ティス先生と光の精霊が話す中、俺は考えていた。

 

(妖魔族の侵略の可能性、原初の黒の存在、アイツが言う俺に興味を示す存在。分かんない事だらけだな)

 

 それにしても、シズさんは、あの悪魔と出会っていたのか。

 その後、子供達を起こして、俺たちはグラトルの屋敷へと戻った。

 ちなみに、シズさんがここに居る事に関しては、休みを貰って、俺にグラトルの街を案内していたという事にした。

 翌日、リムル、ジェフという教師、グラトル伯爵を加えて、話をする事に。

 無論、あの悪魔の事は伏せて。

 

「なんと!昨日はそんな事が!?」

「本当に大変だったんだぜ」

「うむ。妖魔族(ファントム)という魔族ね。そんな奴が、盗賊団に紛れていたとはな」

「聞いたことがないな。いや、西方聖教会ならば、何か知っているやもしれんが」

 

 西方聖教会ね。

 確か、魔物を敵視している存在だったな。

 あんまり会いたいとは思わないな。

 もしかしたら、敵対する可能性も考慮に入れておくか。

 そう考えている中、話はどんどんと進んでいき、クロエが俺とリムルに話しかける。

 

「ねえ、リムル先生、閻魔さん。2人は、フル・ポーションを持ってないの?」

「ん?持ってるが」

「俺も」

 

 そう答えた時、ジェフ先生とグラトル伯爵が驚く。

 

「り、リムル殿!閻魔殿!ほ、本当に、フル・ポーションをお持ちで!?」

「い、今、ここにあるのか!?あの秘薬が!?」

「あ、はい。ありますけど……………」

「秘薬って、フル・ポーションの事だったんですね」

 

 念のために、フル・ポーションを携帯しているのが、幸いしたな。

 ジェフ先生曰く、失った手足を再生させるフル・ポーションなら、病気も治るそうだ。

 ただ、グラトル伯爵曰く、服用した後に死亡した事例もあるので、確実性は無いが、やる価値はあるそうだ。

 グラトル伯爵とジェフ先生が頭を下げるので、俺とリムルは、廊下に出て相談する。

 

「まさかフルポーションが病気にも効果があるとはな」

「けど死亡した事例もあるって………」

 

 そう思う。

 すると、リムルが答えてくれた。

 どうやら、死亡した事例というのが、細胞異常が促進された場合というらしい。

 そこで、悪性部位を切除して、フル・ポーションをかけるという手法を取ればいけるそうだ。

 俺とリムルは頷き合い、部屋に戻り、フル・ポーションを取り出す。

 

「た、確かに、本物のようだ。それも、10本も」

「リムル殿、閻魔殿!ぜひ、譲っていただきたい!」

「良いですよ」

「ですが、一つ、条件があります。」

「条件?金ならいくらでも払おう!」

「あ、こ、今回の勝負は、リムル先生に勝ちを譲ろう!」

「はい?譲ってもらえなくても、俺の勝ちでしょう!」

 

 リムルがそう言ったのを皮切りに、ジェフとリムルは、口喧嘩を始める。

 何をやっているんだ…………。

 それを見ていた子供達は。

 

「大人って、どんな手段を使っても、勝ちにこだわるんだから」

「まだまだ認識が甘かったみたい」

「これは、悪い見本だからね」

「皆、真似しちゃだめよ」

「「「「「は〜い」」」」」

 

 アリスとクロエがそう言って、シズさんとティス先生が、子供たちにそう言う。

 俺は、2人を仲裁する。

 

「リムル、ジェフ先生!グラトル伯爵が困ってるだろ!そこら辺にしておけ!すいません、うちのリムルが」

「おい、閻魔!?」

「それで!条件は?」

「ああ、そうでした。」

「奥様の治療は、リムルが行います」

「ええっ!?」

「それが条件です」

 

 こうして、奥様がいる部屋へと向かい、リムルは手術を開始した。

 ちなみに、リムルは大賢者のオートモードを使用した。

 流石に、手術は素人だしね。

 その後、手術は無事に成功して、奥様は元気になった。

 奥様とグラトル伯爵が一緒に歩いているのを、俺、リムル、シズさん、ティス先生、ジェフ先生、執事が見ていた。

 

「よかったです。」

「ええ。元気になられて」

「はい、本当に……………!」

 

 良かったよ。

 すると、ジェフ先生が話しかける。

 

「リムル先生、閻魔殿」

「ああ、はい」

「どうしました?」

「その………………何だ………………本当に、ありがとうございました!この恩は、一生忘れません」

 

 ジェフ先生はそう言って、頭を下げる。

 まあ、救えたのなら、本望だよ。

 こうして、自由学園の野外訓練は、終了したのだった。

 余談だが、グラトル伯爵は、後に、妻であるウラムスの治療方法を、学会へ報告した。

 この世界の医療が飛躍的に進歩する事になるのだが、それはまた、別の話。

 別の余談になるが、アピトの蜂蜜が悪性細胞を死滅させる効果がある事が判明した。

 まあ、結果論だが。

 そして、俺は、この時には、気づいていなかった。

 テンペストに厄災が訪れ、この件で遭遇した悪魔と再会するというのを。




今回はここまでです。
今回は、後のディアブロとの邂逅です。
ウラムスを救う事が出来ました。
次回から、コリウスの夢の話に入り、そしていよいよ、ファルムス王国の侵略の話が始まります。
果たして、閻魔の運命は。
閻魔はヒナタと戦わせますが、その際、新たな力を二つほど獲得させます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ガッチャードのVシネマの最新情報が来ましたね。
ヴァルバラドGTの登場に、新たな敵としてウロボロスが登場する。
果たして、どうなるのか。
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