転移したら暗黒の破壊者に変身出来る様になった件 作:仮面大佐
俺とリムルがゼノビア姫を治したその日の夕方。
修練場では、二人の男が剣を交えていた。
一人は、アスラン殿下だ。
「ふっ!はあっ!」
「ふっ!はっ!」
二人の戦いは激しく、その場にいる人達全員が見ていた。
すると、アスラン殿下が配下の剣を弾く。
「だいぶ良くなったぞ。精進を続けろ」
「はっ!ありがとうございます!」
「アスラン殿下!」
アスランはそう労うと、配下はそう答える。
すると、一人の男が駆け寄ってくる。
「カールか。どうした?」
「例の商人を捕らえました」
「本当か?」
「ええ。これで動かぬ証拠が…………」
駆け寄ってきた紫の髪の男は、カールというらしい。
カールとアスラン殿下はそう話すと、配下の一人が駆け寄ってくる。
「殿下!」
「ん?」
「申し上げます!ゼノビア姫が…………!」
「んっ?どうした?何があった?」
「突然、病状が回復なさり、視力も戻られたとの事です!」
配下は、アスラン殿下にそう言う。
それを、柱の影から蒼影が見ていた。
その夜、俺とリムルは、蒼影から報告を受けていた。
「アスラン王子ですが、自分ならば勝率は五割…………と言った所でしょう」
「マジか!正直、舐めてたな」
「紅丸ならどうだ?勝てそうか?」
「一切の制限が無ければ」
蒼影の報告に、俺たちはそう反応する。
紅丸でも、制限が無ければ勝てるとなると、かなり強いな。
そんな中、リムルが蒼影に聞く。
「ふむ……………どんな人物だった?」
「剛毅で仲間想い。覇者の風格を備えた好青年という印象を受けました」
「となると……………アスラン派を押すのが正解か?そういえば、パウロはどうしたんだ?」
リムルの問いに、蒼影はそう答える。
俺はそう言うと、パウロの事を思い出し、蒼影にそう聞くと、蒼影は顔を顰めながら口を開く。
「……………酒場に入るなり、酒とつまみを頼み、リムル様と閻魔殿の悪口三昧でした」
「悪口?」
蒼影がそう言うと、リムルはそう聞く。
蒼影曰く、パウロはこう言っていたらしい。
『ガァ〜キの癖に、生意気だぁ〜!人使いが荒いだけっす!なぁ〜にが我が主だ!!』
そんな風に言っていたらしい。
……………内心、不満だったんだな。
俺とリムルが呆れて、シズさんが苦笑すると、蒼影は口を開く。
「ほ、ほほう……………?」
「ですが、そのおかげで疑われてはいません」
「疑われてないなら、大丈夫か。それなら、俺たちは用事を済ませる。蒼影は引き続き、パウロの監視を頼む」
「承知」
リムルがそう言うと、蒼影はそう言う。
まあ、怪しまれるよりかはマシか。
俺がそう言うと、蒼影は移動する。
俺たちは、アイコンタクトをして、目を閉じる。
俺の意識は、ゼノビア姫の部屋に居る人形へと向かう。
人形を仕込んでおいて正解だったな。
この様子だと、ゼノビア姫が回復したのは、知れ渡っているだろうし、何か動きがあるかもしれない。
ちなみに、悪意人形のような姿で、箪笥の下に隠れていた。
しばらくすると、リムルがやってくる。
俺たちは意識を本体へと戻す。
すると、視線の先には、嵐牙が居た。
「ハッハッハッハッ!我が主達よ!怪しい者は近付きませんでした!」
「お、おう……………警護、ご苦労さん……………」
「シズさんもありがとうな」
「ええ」
嵐牙がそう言う中、俺とリムルはそう言う。
その後、バラクさん達と食事をする事に。
食事をする中、バラクさんが口を開く。
「それにしても…………フフッ。あの侍医長が悔しがる姿が目に浮かぶわ」
「姫様が回復されたならば、あの者の栄華もここまでですわ」
2人はそんな風に話す。
あの侍医長、どんだけ嫌われてるんだよ。
まあ、無理もないが。
すると、従者がやってくる。
「旦那様!旦那様!!」
「なんだ?騒々しい」
「ほ、報告します!表玄関に、アスラン王子が訪問されております!」
従者がそう言いながら入ってくるのにバラクさんはそう聞くと、従者はそう答える。
アスラン殿下が?
すると、シフォンさんが反応する。
「こんな時間に?」
「ふむ……………目的は、リムル殿と閻魔殿であろうな」
「え?」
「やっぱりか」
「なるほど。姫様を癒したリムル様と閻魔様に、感謝されておられるのかも」
「でなければ、敵対派閥である俺の家にやって来たりはせぬだろう。お通しされるが、よろしいかな?」
「「うん」」
シフォンさんとバラクさんがそう言うと、リムルは首を傾げ、シフォンさんとバラクさんがそう言う。
まあ、十中八九そうだろうな。
しばらくすると、アスラン殿下が現れる。
「すまんな。夜分に失礼するぞ」
「久しぶりだな、アスラン殿下。剣の腕は鈍ってはおらぬだろうな?」
「はっ!俺に指導した事があるからと、偉そうに申すでないわ」
アスラン殿下とバラクさんはそんな風に話す。
すると、俺とリムルを見て、口を開く。
「リムルに閻魔と言ったか。妹を救ってくれて、感謝する」
「おっ……………?」
アスラン殿下はそう言うと、頭を下げる。
よっぽど、妹さんが大切なんだな。
周囲の人たちが驚く中、アスラン殿下は口を開く。
「妹も含めて、俺たちは仲の良い兄弟だったんだ。いずれ、兄貴が王になった時、軍務卿になって支えるつもりだった。だが………」
『いや、いきなりそんな話をされても、対応に困るというか……………』
アスラン殿下がそう言う中、俺はそう思う。
流石に突っ込むのは失礼なので、黙っておくが。
そう思う中、アスラン殿下は話し続ける。
「兄貴……………サウザー王太子は変わってしまったのだ。3年前、病に倒れてからというもの、ゼノビアの病状は悪化を続け、目の光までも失う始末。俺も兄貴も焦ったが、グスタフにもどうしようもないと言われてな。これが本当に病だったのなら、運命だと思えただろうさ」
「違う……………とでも?」
アスラン殿下はそんな風に話す。
何かを掴んだのか?
そう思う中、バラクさんはそう聞き、アスラン殿下は答える。
「バラクよ。近頃、陛下と面会が叶った事があるか?」
「……………いいえ。ございませんな」
「どういう事なんだ?」
「国外に情報が漏れぬ様、情報を隠し続けておりますが、国王テドロ陛下も、病に臥せっておられるのです」
アスラン殿下はそう聞くと、バラクさんはそう答える。
俺とリムルが首を傾げると、シフォンさんはそう答える。
国王陛下も病に臥せてるのか。
そりゃあ、国外に漏れるわけにはいかないな。
すると、アスラン殿下が口を開く。
「面会が叶うのは、グスタフのみ。あり得んだろう?息子である俺が、父王陛下にお会いできぬなどと……………!」
「確かに……………」
「そういえば、俺も……………いや、言われてみれば、なぜ今まで陛下に会えぬ事を疑問に思わなかったのか?」
アスラン殿下がそう言うと、俺はそう呟き、バラクさんはそう言う。
確かに、言われてみれば妙だ。
実の息子でさえも、面会出来ないというのは。
グスタフって侍医長は、何者だ?
すると、アスラン殿下が口を開く。
「そうだ。それを重臣である貴様らが不自然だと感じておらぬ事こそが、この国の末期的状況を証明しておるのだ!」
「………………」
アスラン殿下はそう言うと、バラクさんは拳を握る。
すると、アスラン殿下はとんでもない事を言う。
「何故、今まで黙っていたのが不思議か?なに、簡単な話よ。ゼノビアだけでなく、我が敬愛すべき兄君も、グスタフの手に落ちていたからだ」
「なっ!?その発言、いかに殿下といえど、聞き捨てなりませんぞ!」
「アスラン殿下は、サウザー王太子が黒幕だとお考えなのでしょうか?」
アスラン殿下がそう言うと、バラクさん達はそう反応する。
まあ、当然だな。
すると、アスラン殿下が口を開く。
「貴様らも考えてみよ。病弱だった兄上が、突然、別人の様に力強くなったのが、3年前だったのだぞ。無関係だとは思えんだろうが」
『3年前って…………』
『ああ。ゼノビア姫が病に倒れた時と同じ頃だな』
アスラン殿下がそう言う中、俺とリムルは、思念伝達でそう話す。
確かに、無関係とは思えないな。
すると、アスラン殿下が再び口を開く。
「恥じるでないぞ。貴様達は、そう思い込まされていたのだ。兄上の
「
「そうとも。
アスラン殿下はそう言うと、シフォンさんとバラクさんは顔を見合わせ、アスラン殿下はそう言う。
確かに、吸血鬼が使いそうだよな。
まあ、偏見だが。
それに、吸血鬼だけがそれを使えるという訳でも無い可能性もあるしな。
すると、バラクさんが反論する。
「ですが、サウザー王太子は陽光の下で平然と活動なさっておられます」
「
「……………では、アスラン殿下はグスタフ侍医長が
「いや、兄上は
バラクさんが2回ほどそう聞くと、アスラン殿下はそんな風に答える。
リムルが口を開く。
「
「そんなのがあるのか…………」
「俺の古き友……………カールがな、この事件が一国の王位継承権争いなどではなく、魔王ヴァレンタインによる人類防衛圏の破壊工作じゃないかと疑っているのだ。」
「魔王……………!?」
「話がでかくなってきたな…………」
リムルがそう聞くと、アスラン殿下はそう答える。
話の規模が大きくなってきたな。
魔王が絡んでくるとは。
吸血鬼の魔王という事か?
すると、バラクさんが気合を入れる様な表情を浮かべると。
「ぬぅぅぅぅぅ!まさか、この俺まで
「ほう。
バラクさんはそう言うと、アスラン殿下はそう言う。
それを見ていた俺は。
『
俺はそんな風に考えた。
凄いな。
すると、バラクさんは膝をつく。
「……………むざむざと魔の者に手に落ちていた、この愚か者をお許しください」
「あなた…………」
「シフォンよ。俺の手を取るが良い」
バラクがそう言い、シフォンさんが見ていると、バラクがそう言う。
シフォンさんが手を取ると、再び
なるほど、手を取れば、他者も可能と言う事か。
すると、シフォンさんが口を開く。
「私たちも
「もっと早く打ち明けていただければ……………」
「…………証拠を得るまで言い出せずにいたのだ」
「決定的な証拠もあるのですな?」
「
「おお……………!」
シフォンさんとバラクさんがそう言うと、アスラン殿下はそう答える。
証拠もあるのか。
というより、物事がかなり進みすぎじゃないか?
怖いな。
すると、アスラン殿下は俺たちに話しかける。
「リムル殿、閻魔殿。改めて、感謝する」
「あはは……………」
「貴殿らの薬があれば、ゼノビアが
「王女殿下は、
「俺もそう思いたい。ともかく、優先すべきは、逆臣グスタフを討つ事よ」
「このバラク、微力ながらお力添えさせていただきたく存じます」
「期待しているとも。準備が出来次第、王宮へ攻め込む。グスタフを討ち、ゼノビアを救い出す!」
アスラン殿下は俺たちに礼を言うと、バラクの質問に答える。
随分と物事が進んでいるよな。
その後、当てがわれた部屋に戻り、分身体の方へと意識を飛ばすと。
『っ!?寒気がする!?』
俺はそう思う。
単独で戦うのは避けるべきだな。
人間の国だから、下手にドレッドに変身すると、バレるだろうからな。
無闇には動けないな。
すると、リムルから思念伝達が来る。
『閻魔、これ、やばくね?』
『確かに…………ひとまず、様子を見よう』
『だな』
俺とリムルはそう話すと、リムルは上に向かい、俺は箪笥の影から覗く。
すると、ゼノビア姫に話しかける人がいた。
恐らく、サウザー王太子だろう。
「ゼノビア!アスランが君を苦しめていたのに、私には何も出来なかった。不甲斐ない兄を許してくれ」
「いいえ、大兄様。大兄様は何も悪くありませんわ」
サウザー王太子とゼノビア姫がそう話していた。
すると、リムルが話しかけてくる。
『なあ、大兄様って言ってるということは……………』
『彼がサウザー王太子だろうな』
リムルがそう言うのに、俺はそう答える。
サウザーと聞くと、仮面ライダーサウザーの方しか浮かばないな。
そう思っている中、2人の会話は続く。
「それに、アスラン兄様のせいだと決まったわけでも……………」
「いいや。アイツが犯人に決まっているさ!グスタフも言っていたがね、アイツは
「はい。ご心配をおかけしました」
「構わないとも」
ゼノビア姫とサウザー王太子がそんな風に話す。
妹想いの兄貴という感じだが。
まあ、
懐柔して、反旗を翻したわけだし。
部屋からサウザー王太子が出て行くと、とんでもない
なるほど、妹の前で
俺は、外の様子を伺う。
「ゼノビアが回復した今、遠慮はいらん。アスランと奴を支持する者どもを根絶やしにしろ」
「はっ!」
サウザーは、配下にそう言う。
色々と、引っかかる点があるな。
互いが互いに犯人だと思っている様だし。
とはいえ、このままだと二つの勢力が全面戦争を始めるぞ。
すると。
「……………そこに居るのは、どなたかしら?」
「えええっ!?」
「えっ!?」
ゼノビア姫がこちらを見ながらそう言う。
いつからバレたんだ!?
俺とリムルが慌てていると。
「ああ、昼間来て下さった方達かしら。リムル様に閻魔様と……………」
「違います!!」
「あら?でしたら、あなた達のお名前は?」
「ええっと……………。カイトです」
「お、俺は、サトルです」
ゼノビア姫がそう言う中、リムルがそう叫び、俺たちは咄嗟にそう言う。
「そう……………サトルさんとカイトさんとおっしゃるのですね」
「は、はい……………」
『疑われてるか?』
ゼノビア姫がそう言う。
俺とリムルは意を決して、ゼノビア姫の側による。
「まあ!その姿も可愛いですわね」
「ええっ!?あの……………俺はスライムでして、そのリムルさんとは関係ないので……………」
「ええっと……………」
「とても優しそうなおじさまとお兄さんですね。そういう事にしておきますので、私のお願いを聞いてくれませんか?」
「お願い?何ですか?」
ゼノビア姫がそう言う中、リムルが言い訳をしていると、ゼノビア姫はそう言う。
おじさまにお兄さんって、俺たちの前世が分かっている様な口ぶりだな。
「私は目が見えなくなりましたが、その代わりに、人の魂の形が見える様になったのです」
「人の魂の形?」
「ええ。サウザー大兄様やアスラン兄様は、泣き叫んでいる少年の様。とても優しい方々なのです」
ゼノビア姫がそう言うと、俺はそう聞き、ゼノビア姫はそう言う。
となると、2人とも犯人とは思えないな。
というより、人の魂の形が分かるという事は、先ほどの発言にも納得が行く。
そんな中、ゼノビア姫の話は続く。
「それに比べて、グスタフ侍医長は怖い方。とてもドロドロしていて、薄紫の闇の様」
『閻魔。彼女の権能は、ユニークスキル、
『……………やっぱりか』
ゼノビア姫がそう言う中、リムルからの言葉に、納得がいく。
恐らく、ああ呼んだのは、俺たちの前世の姿を垣間見たからだろう。
という事は、グスタフ侍医長が黒幕の可能性が高いという事か。
すると、リムルが口を開く。
「だったらそれを……………」
「言えませんわ。私がそれを口にしてしまえば、お兄様達が危険ですもの」
「危険?どういう事だ?」
「父王陛下は、私が倒れてから一度もお見舞いには来ては下さいませんでした。昔から、あの方はご自分の事にしか興味がないのです。そして、グスタフ侍医長は父王陛下の腹心」
「つまり、グスタフが国王からの命令で動いていると?」
「はい。……………っ!隠れて!そして、気配を消して下さいませ!」
「っ!?」
リムルがそう言うと、ゼノビア姫はそう答える。
最低な父親だな。
すると、ゼノビア姫がそう叫ぶので、俺とリムルは隠れる。
扉が開かれると、グスタフ侍医長が現れる。
あいつ、何しに来た?
「……………ふっ!」
すると、グスタフ侍医長は何かの魔法を発動する。
何をしているんだ?
すると。
『あいつが使った魔法は幻覚魔法、
リムルはそんな風に言う。
ただ眠らせるだけか。
何でそんな魔法を?
「今回復されるのは、時期尚早。あのお方の為にも、もっと魂を磨き上げておかねばならぬ」
あのお方?
グスタフがそう言うのに、俺は首を傾げる。
グスタフの言うあのお方とは、誰のことだ?
国王か、はたまた別の存在か。
俺とリムルが前に出ようとすると。
『ダメですわ!』
「「っ!?」」
「ん?今何か……………いや、気のせいか」
ゼノビア姫のそんな声が聞こえてきて、俺たちは下がると、グスタフはそう言う。
俺たちの気配に気付いたという事か。
危なかったな。
グスタフの奴、侮れないな。
すると。
『その通りですわ。大兄様の今の強さも、恐らく、侍医長によって与えられた物』
ゼノビア姫は、思念伝達と思われる方法で話しかける。
アスラン殿下の推測は当たっていたという事か。
すると、ゼノビア姫が口を開く。
『ですので、おじさまとお兄さんに兄様達をお救い頂きたいのですわ!』
ゼノビア姫はそう頼み込む。
どうしたものか……………。
すると、何かの記憶が流れ込む。
それは、かつてのアスラン殿下、サウザー王太子、ゼノビア姫の記憶だった。
俺とリムルは、アイコンタクトをすると、口を開く。
『ダメだね』
『やはり……………』
『どうせ救うなら、あなたも一緒だ』
『ああ……………!』
『全力を尽くすよ』
『本当に、優しいお方達ですね』
俺たちはそう話す。
やっぱり、放っては置けないからな。
すると、紫色の光が出てくる。
グスタフ侍医長の手から出ていた。
グスタフ侍医長が口を開く。
「ふっ。あの小娘と女も呼び出して、生贄にしてやる……………!」
グスタフ侍医長がそう言うと、そのまま部屋から出て行く。
誰が女だ。
俺は立派な男だっつうの。
女装してたけど!
その後、分身体から意識を離し、俺たちはシズさんと一緒に一旦、
「……………アスランとサウザー。両王子を争わせて、グスタフという奴に何の徳があるのです?」
「ゼノビア姫の考えでは、国王の命令なんじゃないかという話だが……………」
「今重要なのは、二つの勢力の全面戦争を止める事だ」
「それで、いつ出向きますか?」
「………………ふむ」
紅丸がそう聞く中、俺とリムルはそう答える。
紅丸の質問に考えていると。
『大賢者が、明日には動きがあると思うってさ』
『やっぱりか。グスタフが、ゼノビア姫に呪いをかけてたから、これによって、体調が崩れた責任を俺とリムルになすりつけて、俺たちを呼んだアマディ侯爵家に責任問題をでっち上げる。そして、準備万端のサウザー派閥が、アスラン派閥を叩き潰すという事だろうな』
リムルがそう言うと、俺はそう言う。
グスタフが俺たちを生贄にしようとか言っていたから、何かを召喚する為に俺たちを利用しようとしているというわけか。
俺とリムルは頷き合い、口を開く。
「明日だ。紅丸、お前にはアスラン王子の足止めをお願いしたい」
「お任せを」
「蒼影。お前にはバラクさんを任せる。説得に応じれば良いが、そうでなければ、力づくで押し止めてくれ」
「御意」
「シズさんと嵐牙は、アマディ侯爵家の守りを頼む。奥方や家人に被害が及ばぬ様、しっかりと守ってやってくれ。」
「承知!我にお任せを!」
「任せて」
俺たちはそう命じる。
すると、紅丸が話しかける。
「それで、閻魔殿とリムル様は何を?」
「俺?」
「俺たちは野暮用を済ませるさ」
紅丸がそう聞くと、俺たちはそう答える。
一方、コリウス王国では、ある建物の上に、フードを被った女性がいた。
「どうなっておる……………?どうしてあの者達が事件に巻き込まれておるのじゃ…………。面倒じゃな。何事も起きぬ様に、放置するのが正解なのやもしれんが、妾がここまで来てしまったという事実こそが鍵となっておる可能性もある。……………まあ、様子見じゃが、我らに罪をなすりつけようとしている者は、この際だし、状況次第では仕置いてやろう。ふっ」
その女性は、そう呟く。
その翌朝、予想通りに、俺たちは拘束されていた。
「侍医長殿!これは一体…………!?」
「その者達が持ち込んだ怪しげな薬のせいで、姫殿下は眠り続けておるのだ!ああ、おいたわし……………貴様、この責任、どう取るつもりじゃ!!」
バラクさんがそう言うと、グスタフ侍医長はそう言う。
薬じゃなくて、ただのはちみつだ。
そう指摘するのも億劫なので、無言を貫く。
俺たちは牢へと入れられる。
だが、既に意識は分身体と別の人形の方へと移っている。
「よし。これでアリバイが出来たな」
「あとは、動くだけだ」
俺とリムルはそう呟いて、意識をゼノビア姫の部屋に居る分身体へと移す。
すると、ゼノビア姫が反応する。
『まあ!本当に来て下さったのですね!』
『当然だろう?約束したからな』
『さてと』
ゼノビア姫とリムルがそう話す中、俺とリムルはアイコンタクトをして、外に出て、姿を変える。
リムルは前世の姿をベースにした姿になり、俺は釘宮リヒトの様な姿になる。
従者は2人か。
すると、気付いたのか、俺たちの方を見る。
「なっ!?怪しい奴!?」
「まさか、姫様を狙った刺客では……………!?」
「操糸妖縛陣!」
従者がそう言う中、リムルは操糸妖縛陣を発動して、従者を拘束する。
俺は、ゼノビア姫をお姫様抱っこの要領で抱える。
「それじゃあ、姫様は預かりますね」
「ま、待ちなさい!」
「失敬な!何者なのです!?」
「待てと言われて待つ泥棒が居ないように、何者かと問われて答える不審者もいないだろう?だけど、俺は優しいから教えてやろう。俺は大怪盗リ……………サトルだ!」
「ちなみに、俺は大怪盗カイトだ」
従者達がそう言う中、俺とリムルはそう言う。
ボロを出しかけたな。
「リサトルにカイト?」
「違います!サトルです!大怪盗サトルね!そこんところ、間違えないようにね!」
「それじゃあな」
「あっ!」
従者がそう呟くと、リムルはそんな風に叫ぶ。
やれやれ。
俺たちは、王宮から脱出する。
すると、ゼノビア姫が聞いてくる。
『あの…………大怪盗というのは、何でしょう?』
「……………ノリです」
「乗っかっただけです」
『はぁ……………ですが、何も言わない方が良かったのでは?』
「ぐうの音も出ないな」
「あははは……………違いますとも!情報撹乱の為に、偽情報を流したのです」
ゼノビア姫の質問にそう答えると、正論を返す。
俺がそう言う中、リムルはそう言う。
その夜、アスラン派閥は、準備を終えていた。
その中には、パウロの姿もあった。
すると、バラクもやってくる。
「集まったようだな」
「ああ。行くぞ!」
「おう!」
バラクとアスランがそう言うと、冒険者達がそう言う。
そこに、紅丸と蒼影がやってくる。
2人に気づいた冒険者が口を開く。
「何だ、テメェら!」
「おいおい!まさか、邪魔しようってのかい?俺たちを舐めてると痛い目を見るぜ。へへっ!どこの誰だか知らんが、この俺!空拳改め、棒将のパウロ様が相手をしてやる!命が惜しければ黙って……………っ!?」
冒険者がそう言う中、パウロはそんなふうに言う。
だが、言葉は最後まで続かなかった。
何故なら、蒼影にフルボッコにされたからだ。
パウロは近くの建物の壁に激突して、そのまま落ちてくる。
それを見ていた紅丸は。
「………………やりすぎだろ?」
「こいつは大将達の悪口を言っていたからな。少々お仕置きしてやったのさ」
「なるほど。それなら文句はないな」
紅丸がそう言うが、蒼影の言葉にすぐにそう言う。
すると、冒険者達が叫ぶ。
「テメェら!良い度胸じゃねぇか!!」
「おらぁ!パウロを倒したからって、良い気になってんじゃねぇぞ!!」
2人の冒険者がそう言う。
すると、アスラン殿下とバラクさんが入る。
「やめろ、お前ら」
「君達では、その者どもに勝てぬ」
「どうせ、逆臣グスタフが雇った刺客だろうが……………邪魔をするなら容赦せん」
「刺客ではないが、邪魔はさせてもらう」
「このあと用事があるものでな。悪いが、貴様と遊んでいる暇はないんだ!!」
アスラン殿下とバラクさんがそう言うと、紅丸はそう言う。
紅丸とアスラン殿下は、それぞれの剣を抜いて、ぶつかっていく。
バラクさんは蒼影に話しかける。
「……………君だね?我が家の周辺を監視していたのは」
「ほう?気づいていたか」
「認めるか!」
バラクさんはそう聞くと、蒼影は否定せずにそう言う。
バラクさんも剣を抜いて、蒼影に向かって行く。
紅丸とアスラン殿下、蒼影とバラクさんの戦いは、互角に進んでいた。
それを見ていた冒険者たちは。
「す、すげぇ…………!?」
「俺たちが入る隙なんてねぇぞ…………!?」
「あの男、強い……………!」
「あっちもだ!無双のバラクさんを相手に、互角に戦ってやがるぜ!」
冒険者たちはそんな声を出す。
「ハァァァァァ!」
アスラン殿下はそう叫び、紅丸と剣をぶつけていく。
紅丸は。
「ちっ。(思ってた以上にやるもんだ。大将達が来る前に決着をつけたかったが、剣だけでは難しいか!)」
そんな風に思い、アスラン殿下に攻撃して、アスラン殿下は回避する。
(蒼影からは聞いていたが、こいつの実力は本物だったか。それよりも俺の実力を蒼影に測られていたのが嫌になるね)
紅丸はそう思いつつも、笑みを浮かべる。
それを見たアスラン殿下は。
「何がおかしい?」
「ふっ。いや、お前が強いから少し嬉しくなったのさ」
「ぬかせ!」
アスラン殿下がそう聞くと、紅丸はそう答える。
2人は、戦闘を続行する。
蒼影とバラクさんは、蒼影が傷だらけになるも、鍔迫り合いをする中、苦無で攻撃して、バラクさんは回避する。
「ふっ。確かに強いが、俺の敵ではないな」
「なっ!?何をほざく!貴様は満身創痍ではないか!」
蒼影がそう言うと、バラクさんはそう叫ぶ。
すると、蒼影は煙を出す。
煙が晴れると、傷がない蒼影が現れ、バラクさんは驚く。
「なっ!?」
「俺は分身を得意としている。本来なら複数の分身体で相手をするのだが、貴殿に敬意を表して、一対一のままで戦ってやろう」
バラクさんが驚く中、蒼影は分身体をまとめながらそう言う。
それを見たバラクさんは。
「卑怯な…………。俺の…………負けだ」
バラクさんは膝をつきながらそう言う。
一方、紅丸とアスラン殿下は。
「くっ!」
「仲間は降参したぞ。どうする?」
「くっ……………!勝負は、これからだ!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
「でやぁぁぁ!!」
アスラン殿下は、バラクさんが降参したのを見て、紅丸はそう聞くが、アスラン殿下はそう言いながら、紅丸の方へと向かって行く。
すると。
「紅丸ー!蒼影ー!」
「待たせたな!」
そこに、俺たちが向かって行く。
今回はここまでです。
今回は、コリウスの夢の中編です。
閻魔は、悪意人形の様な物を使って、分身体の変わりになる様にしました。
閻魔なりの工夫です。
そして、次回でコリウスの夢は終わります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。