スタンドアップ   作:コンテナ店子@コミケ出ます

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次回作書き始めました。
次回も遊戯王OCGの二次造作を予定しています。


第10話「決闘をめぐる対話」

「ただいま」

 

 瞬きしてから部屋に入って、それから数秒だけ口を開けてから、一瞬で消えるようなものだけどそんなに早口にはせずに声を出す。その間、顔を伏せがちにしてたけど、言い終わってから気づいた後、すぐにそれ持ち上げてトゥルーディアの様子を見た。

 

 少しだけ頬を膨らませながら顔を伏せがちにしてるその子は、私と目が合った瞬間すぐにそれを明後日の方向に反らす。でも、そっちの方には何もない。ただ灯りを付けても薄暗いモーテルの壁があるだけ。

 

 正座してる相手がいるベッドの上に私も勢いよく座り込むと、靴ひもを一本ずつ外していく。それが終わった方から足を何度も上下に振って放り投げるみたいに靴を投げ飛ばした。それからもう一度トゥルーディアの方を見ると、何やら両方の手を背中に回したまま顔をそっぽに向けつつ私の方を目線だけで見て来てる。

 

 一度だけ私は眉を下におろしてから元に戻す。そして、ベッドの足の所に置いてあった荷物を手にすると、その中にあった昨日の新聞で包まれてるパンをそっちに放り投げた。

 

「食べて」

 

 向こうの膝元に跳んで行ったのがパンくずをわずかに飛ばすのを眺めた後、私もベッドの上に両手を伸ばしながらお尻から上だけを寝転がらせる。同じ体勢で一度だけ自分の硬いパンをかじった。

 

 そのままただ天井を見つめてるだけにしてた私だけど、しばらくただパンを眺めてるだけにしてたトゥルーディアが枕の後ろ側に手作りで作ったマイクを隠してる。それから、足をベッドの上で擦りながらこっちに近づいてくると、目を細めて四つん這いみたいな体勢に。そのまま私の方にパンの先端を向けて来た。

 

「まずは、お名前を聞かせてください」

 

 単語を1つ1つ言っていくみたいなゆっくりとした話し方をするトゥルーディアに対して、私はただ上の方に目線を向けることで相手の様子を見つめるだけ。新聞越しにパンを持っている側も含めて両方の手を上側に持って行くようにして、その場にただただ寝転がっている私も、四つん這いから正座に変わったの以降は全く動かないままいる相手も、外を歩いてる人の足音がだんだんと大きくなっているのを聞く。でも、うちの前を通った後は、それも小さくなって、どこかに消えていった。

 

 それから私は数秒後に、小さく口を開けながら言葉になってない声を出してた。

 

「プリメラです」

 

 私が一度自分の名前を言った後、語尾を付ける前に少しだけ間を開ける。それから、勢いよく落っことすような音で続きを出す。それと一緒に視線を自分の仕事着のままの服が見える方へと向ける状態に。そのまままた小さく口を開けた状態でいる。

 

 一方で、私の視界からは外れることになったから何をしてるのかわからなくなったトゥルーディアは口を閉じたまま言葉になってない声を出したままいるみたい。いつだったかについたインクや床の汚れが洗濯しても落ちなかったみたいで、そのままになってる自分の作業着を見つめてる。その間、この部屋の中で聞こえてる相手の声以外であるのは、隣の部屋でする籠った話声くらい。

 

「今は、いくつですか」

 

 またさっきと同じくらいのペースで声が出たのに遅れたみたいで、話の途中でパンの先端を自分の側に持ってくる。声が終わるとまたすぐにそれをこっちへと向けて来るのもあって、結果として自分の方を向いているのはほんの一瞬の間だけだった。

 

「14です」

 

 今度は向けられてからすぐに返事をする。でも、普段の話し方よりもゆっくりと、文字1つを強調するみたいな話し方をしてみてた。最初と同じ姿勢のままベッドの上で頭を滑らせて顎を持ち上げた状態のまま、相手の方を見てる私と、足をしっかりと揃えて正座してベッドの上に座ってるトゥルーディア。脇もしっかりと占めた状態でいるまま、小さくありがとうございますって言いながら頭を下げてた。

 

「好きなことは、なんですか」

 

 両方の手で持ったパンをまた私の方に向ける。今も寝転がった状態でいるこっちは後頭部をまた滑らせたらまた天井をしばらく見つめる。少しだけ時間が経ったら視線を横へと逸らしながら口を紡ぐ。続けて、おでこの辺りで一度指を滑らせて近づけてから、そのお腹の部分だけをくっつけてる状態で静止。その間も目線はずっと同じ方向を向けてた。

 

「体動かすこと、とかかな」

 

 文字同士の間はほとんど開けないけど、途中で一旦呼吸を入れ替えるために言葉を止めてる間は数秒間、けっこう長めな時間を取る。その間、目線を左右に少しだけ動かしてた。ただ、その間も私は自分の前腕の内側だけを見つめるみたいになってた。

 

 言葉が終わってから、トゥルーディアはしばらく何も言ってこないし、体もほとんど動かさないでいるみたいで。こっちは自分の右腕も左腕と同じようにお腹の方へと持ってって、その両者をそこで重ね合わせる。少しだけ息を吸い直してから瞬き。口から開ける時はだいぶその範囲を狭くしておくけど、力は入れないように。

 

 一方で、私のすぐそばにいつの間にかトゥルーディアが四つん這いで来てて、そこで寝っ転がる。でも、それで体がほとんどベッドの上に入りきれなかったみたいで、こっちから体を斜めにして入れるようにしてあげる。

 

 それから相手の様子を目線だけで見つめると、片方の手の甲側をおでこに乗っけて、もう片方のパンを握ってる方の手を体と同じ向きでベッドの上に放り投げてる。ただ、その状況のまま何もない天井をじっと見つめてるみたい。その様子をただ眺めてたら、向こうの腕や足でいつも燃えてる魔法の炎がないし、その時にやっと私はいつも足の所にも出してる炎が今は凄く小さくなってるのに気づいた。

 

「今日のお仕事は、大変でしたか」

 

 さっきとほとんど変わらないくらいのペースで話すトゥルーディアの声を聞いた私は、耳の辺りがくすぐったくて、少しだけ頬を膨らますみたいな動きをさせて顎を引っ込める。お腹の上で乗っけてる手の中指を反対側の手の三本の指で挟むみたいにしながら、その後者を何度も前後に滑らせてた。

 

 その間も相手はしばらく自分の胸元でパンを両方の手で持ってるままにしてて。しばらく時間が経ってから空中で腕を倒すみたいな勢いでこっちにそれを向けて来た。ほんのわずかなパンくずがこっちに跳んでくるみたいで、それが私に当たることはなくて、ただシーツのしわの間に入ってくみたいだった。

 

「ぼちぼち」

 

 抑揚もほとんど付けず、一瞬で言い終わるようなあっさりとした声で言う私に対して向こうは同じ感じでお礼を言う。向こうの方を見ようとするけど、唇の両端を伸ばして小さく頬を膨らませてるだけで、じっと天井の方を今も見てるだけ。ただ、私もそれを少しの間だけしか見てなれなくて、すぐに上を見る。

 

 指を前後させてたのも一旦止めたらさっきと同じ表情のまま中指の関節同士の間をもう片方の手の同じ指で擦り始める。口からゆっくりとあふれ出るみたいに出る息だけを感じながら小さく瞬き。顎を自分の作業着の方に近づけた。

 

「どうして、コロシアムに出場しないんですか」

 

 ずっと動かしてや指の動きが止まる。でも、相手も相手で少しだけ言葉を濁したかったみたいで、最初の文字だけその音が何回か繰り返してるみたいだし、それまで何も音を出してなかった。

 

 数秒間時間を開けてから相手の方を振り返る。向こうはいつの間にか体を起こして内股気味の体勢でベッドの上に座ってる。それから、体をちょっとだけ前のめりにする感じにしながら手を同じ場所に付いて、小さく口を開けてるみたいだった。

 

「だから、その日休出だって言ったじゃん」

 

 ただ、私はその姿に対してそれだけ言い終わったら、頭の下に腕を入れて枕代わりにしながら寝返りを打って背中を向ける。続けて下の唇に上のを押し付けながら口を紡ぐ。続けて背中を猫背気味に。開いてる方の手を自分の顔の前に置いて、そこに力を入れないまま握ってるのか握ってないのかわからないくらいの感じにして手のひら側を見つめる。

 

 その間、トゥルーディアは一瞬だけの声で言葉になってない物を出してたけど、それ以降は何も言ってないし、シーツが擦れる音もベッドが軋む音もしない。本当にこの部屋の中からは何も聞こえない状態だった。

 

 しばらくそのままでいる状態で、周囲の部屋から聞こえてくる籠った音を聞いてたけど、しばらく時間が経ってから私の方から立ち上げって、それから先は一度止まらずに「シャワー浴びてくる」ってだけ言って洗面所の方にまで向かった。

 

 

 

 シャワーを流してる間、私は髪の毛にその出口を当てながらただバスタブの縁に座ったまま頭を垂れる。両方の肘を膝の上に乗っけたままにして両手を組んで。唇はずっとさっきと同じ形のままにしてた。

 

 

 

 シャワーが終わってタオルで髪の毛を拭いて、それを肩にかけたまま部屋に戻ったら、もうトゥルーディアは寝てるみたいで、こっちの方に背中を向けたまま全然動かないまま。その様子に毛布を掛けてあげてから私も玄関すぐそばに投げ捨ててあったブランケットを取って床で寝ることにした。

 




読了ありがとうございました。
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