工場の入り口で腕を組みながら社員の人と話してる現場責任者の方に体を振り返らせながらそっちの方を見つめる。そのまま他のおばさんとかが同じくらいの年齢の人と挨拶しながら帰っていく様子が通り過ぎていくのを声だけで感じることになる。ただ、それも数秒間の間だけ。責任者がこっちに向けて挨拶してきて、私も慌てて帽子を外しながら頭を下げた。
その時、今までその中に籠ってた熱気が一気に解放されて、髪の毛の間に夜の涼しい空気が入り込んで。頭を下げている間も感じ取る。元の姿勢に戻ると一緒にそそくさと帽子をかぶり直しながらつばを持ったまま、顔を少しだけ下げて背中を前のめりにしては早歩きで工場の敷地を出る。
周りに人があんまりいない通りまで来たところで、一旦帽子を外して深呼吸。だいぶ古くなってきた手元のそれの様子を見つめながら、さっきよりはそこまで涼しい感覚を味わうこともないまま、ただ両方の目尻を落っことしてそれの様子を見つめ続ける。その間、口元の力を込める位置を安定させられないままそこを左右に動かし続けるようにしてた。
でも、それが続けられるのも数分経ったのか自分でもわからない時。いきなり私の名前を呼ばれて少し肩を背中側で持ち上げるみたいな動きをしながら振り返ったら、そっちで手を振りながら挨拶してるおばさんがいて。一度頭を下げる。
それが終わったら空を見上げると、建物同士の間から夜空の様子を見つめることに。下の唇で上のを押すみたいな感じになりながら、何も動かない上に星や月の様子もないも見えないそっちの方を眺めてる私に対して、周囲では人が行きかいながら何かを話してる声が聞こえてるのが、耳に入ってるのだけが続いてた。
しばらくずっと少しだけ視線を下向きにしながら歩いてるつもりだったけど、今までの道よりも明らかに騒がしい声が聞こえ始めた辺りで顔を持ち上げる。周囲の建物よりも明らかに大きい上にその建物の周囲の道路も他よりも明らかに広くなってるコロシアムの様子を眺めさせられることになった。
あの頃と薄汚れて黒くなってる場所も灯りで照らされてる位置も全く変わってない光景。首を上に向けることで見つめてる間、私はその中から聞こえてくる普段聞いてるのなんか比べ物にならないくらいの大きな声がしてるのを聞いてる間、また空を見上げるみたいな角度でそっちを見る。
ただ、それでも見えてるのはコロシアムの外壁だけで。しばらくそこに取り付けられてる炎の灯りにだけともされてる様子だけしか見れずにいたけど、次々とまた新しい客が建物の中に入っていくのを何度か見た後に、私も肩を落っことしてからそっちの方へと進んで行く。
入り口の前には広い階段があるのもあって、そこを登ってる間には足がすごく重く感じて体がだるくなるけど、それでも下を向きながら少し足を大股目に開いて歩き出してた。でも、階段が終わったところで一度服をしっかりと伸ばしながらも足を進めるのは辞めずにいる。その動きをする時に顔を服の方へと向けたのもあって、顔の向きはそのままに口の位置を何度か整えてから脇を締めて荷物も体により寄せるような感じにしながら足取りを小さくして進んで行った。
「すみません」
コロシアムの屋根の中に入って周囲が暗くなるのを感じた辺りで、受付にいたおばさんに声をかけられて眉で瞼を引っ張りながら体の動きを止める。でも、その勢いのあまりのせいで上半身が少しだけ前のめりになっちゃう。小さく息を吸いながら同じ姿勢でいるのは数秒間だけにして。喉を締め付けながら体をまっすぐにしつつそっちに振り返る。
「チケット、お願いします」
相手の方を体だけ向けて目線は横の方に向けながらいようとしたのに、そっちの方が話しかけてくる方が早くて。下に向けてる顔から相手の方を見るけど、でも、相手は私の方を見るどころか、次から次へとやってくる客のチケットを回収してる方に意識が向かってるみたい。
こっちの方から何かを言おうにも、他の客が次から次へと来てるせいで、それを避けるので精いっぱい。とりあえず壁の方に避けてから、しばらく人が減るのを待つことになった。
「あぁ、すみません」
頭を下げながらその言葉を言っているも、向こうはこっちに何も言わずにただ受け取ったチケットの方を見てるだけ。私はそそくさと早歩きでその場を去ると、入り口と同じ高さの壇上で視線を左右に向けてチケット売り場に向かうも、待機列が出来てるのに気づかなくて、一度売り場の所に移動してからまた最後尾を目指すことになった。
会場に入ると私は視線をゆっくりと顔事左右に向けながら足を数歩動かすも、それで階段を降りたりはしないで、ただ近くにあった手すりの所に行くだけになる。そこに手を当てるだけにして力は全く入れない状態のままステージの様子を眺めてた。でも、それで何も体の様子を変えることもせずに、他の客の熱気であったり、息が詰まって静かになったりその反動で一気にわっとなったりする様子を耳だけで聞く。
それに対して私はただ体をステージとは横側に向けたまま片方の手を乗っけてるのと同じ方向に向けて。そのままただその腕の肘を落っことしたまま、ただステージと観客席全体の様子を眺めてた。今日は平日ということもあって人は少なくて開いてる席もある。でも、それらは全部ステージから遠い側のベンチの外周で。私に一番近い所であったりその数個前までの席は誰も座ってなくて石で出来たそれの様子が丸見えになってる。ただ、私以外の人は当然ながらそれに背中を向けてて、少し視線を下に向けることで私の影がしっかりと全身見える感じで写ってる。
しばらくそっちの方を見てるだけにしてたけど、他の観客の歓声が一気に大きくなったのに合わせて顔をふと上に向けると、ガーゴイルの電子鎧に身を包んだ選手が空中に煙のラインを作りながら飛び上がって旋回してる様子が見に入る。
それに合わせるみたいに私も含めて観客が顔事視線を向けてるけど、選手が観客席の上を飛ぶとそれに合わせて歓声も大きくなり、そっちに手を振ったり拍手をしている様子が私にも見える。さらに、私に近い側を飛んでる間も、ステージを挟んだ向こう側の観客が顔を上に向けたままいるのがわかる。
このコロシアムの中にいる観客でそれをしてないのはガーゴイルに倒されるために呼び出された選手。それと私だけ。屈強な体をしてるし大柄なその人を見てるだけで体の向きも視線と同じ方を見る感じになっちゃう。その上、両方の手で手すりを軽くつかんで、そこに力を入れずに滑らせてた。
でも、そんな私のことなんかお構いなしに空を飛ぶ選手は煙を周囲にまき散らしながらステージに着陸。それと共に周囲の興奮は一旦冷める。それで、やっとずっと聞こえてたガーゴイルの名前を呼ぶ声も止まって。その時に初めて私は観客席の中でもベンチが設置されてない下り階段を使って一番人が少なそうなところを見定めようと思ったけど、途中で足を一歩後ろへと下げた状態に。
そこでしばらく静止したままになってたけど、でも、それもほんの数秒間の間だけ。すぐに銅鑼が鳴らされてその音が心臓にまで響くくらいまで聞こえたところで、たくさんの小型ミサイル、私の時とは比べ物にならないくらいの量が一気に噴射されてるのが、人の頭の上だけでも見えてて。それを見てるだけで息を吸い込みながら顔を勢いよく下に向けるみたいにするけど、それよりも早く無数な爆発が次から次へと起きて。それのせいで私の体にまで来るくらいの大きな振動が起きるのを感じて、鼻から息を吸いながら口を閉じる。
それから椅子も一緒に揺れてるせいでほんのわずかだけど砂ぼこりが落っこちて行ってるのを見て、顔を起こしながら息を吸い込む。だけど、そっちのほうには誰もいなく。今も何度もガーゴイルの名前を何度も呼び続ける観客の声を聞き続けながら私は体を前のめりにして足を開く範囲は同じまま、早歩きくらいのペースで道を進むだけになってた。
まだ試合の熱気が冷めないままの状態でコロシアムの内部と外を繋ぐ通路の中を歩いてく。そこは向こうから聞こえてくる音がだいぶ小さくしか聞こえないせいで、私が片方の手で荷物を持ったままもう片方の手を胸に当てて歩いてく足音がしっかりと周囲に聞こえてる状態で続く。
コロシアムの中を引き返し始めた時と同じペースで進む私がほとんどペースを変えないまま進んで行くけど、さっきチケットの回収をしてた人は他のおばさんと談笑しながら大きな声で笑ってるみたいで、それがこっちにまで聞こえて来るし、その横を通り過ぎる間もペースが変わることはなかった。
そのままコロシアムの入り口すぐの所にある段差の所も勢いよく降りて。それから人がまばらな外にようやく出てくるけど、今も戦闘が続いてるみたいで。爆発によって何度も起きる振動と地響きの音と空気が揺れるのを感じ取る羽目になる。
そのまま開いてる側の手を下に向けてたのを握り締めて。眉をいきなり落っことしながら歯を噛みしめる。でも、その音なんかどっちも自分では聞き取れなくて。目を瞑りながら顔を横に向けてるままいた。
それを辞めるのはいきなり力を解放する感じでやって。そのままの勢いで自分のモーテルに向けて早歩きで歩き出した。
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