スタンドアップ   作:コンテナ店子@コミケ出ます

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本編ももう終盤です


第18話「最後まで連れて行く」

 バスを降りてから何も話さないでいたこともあって、モーテルの階段を登り始めるまではずっと私たちは横の車道を進む馬車の音だけを聞いてた。ただ、私は唇を強く紡いでるのかどうかを自分でもわからない状態のまま顔をほんの少しだけ下に向けた状態でずっと歩いてく。片方の手で自身の作業着を握ってて、もう片方の手はずっと下に向けながら、足の動きに合わせて手を前後に振り続けてた。

 

 コロシアムの方から離れてくみたいに歩いてく私たちの進行方向に対して、後ろの方に太陽があるせいで自分たちの前に影が出来上がってて、自然に進んでるだけでその動きも見ることになる。私と同じ動きをしてるそれに対して、どこにも視線の焦点を当てることもないし、それは近くを歩いてる他の人だったり近くにある建物の何かと交じり合って正しい形が見えなくなってた。

 

 一方で、トゥルーディアは私のすぐそばを飛んでるみたいでそのほんのちょっとだけ変化するみたいな仕草で起きてる空気の変化だったり、お互いの方が擦れ合いそうになってるのを感じ取ったりしてた。ただ、声を出してるのか出してないのかわからないくらいの音を私の方に伝えてくる。それに対して、私も視線をそっちに向けてるのか向けてないのかわからないくらいの声を出すために、口を開けてることくらいしか出来ない。

 

 いつもと変わらないくらいのゆっくりなペースで階段を登ってる間、私のの音だけを聞きながら進んで。その間、遠くの方の部屋から出発の挨拶の元気な声を出してる小さい子供と母親の声を聞く。それが空の向こうにまで届いてくみたいだけど、それに対して私はずっと足を進めるペースが変わらないままだった。

 

 部屋に入ると、私が「ただいま」と言う声をほんの一瞬だけ出すのと一緒にトゥルーディアもそんなに大きくない声で、語尾の方を伸ばしながらその音をだんだん小さくしてく感じに。それからその子は自分のベッドの上に座ってて。しばらく玄関の所で荷物をブランケットのすぐそばに置いてる私は顔を少しだけ伏せたままそっちの方を見る。

 

 部屋の電気をつけてベッドの方に寄ってくとすぐ横に座ったら、ほんの少しだけ息を吸ってる音を私の方にまで届けてくる。それと一緒に一気に振り返ったその姿に対して、口を横に開きながらほんの少しだけ肩を落っことす。それに対して相手は目を上下に開きながら、目の中だけを動かして視線を逸らす。それから、私の方を空から降り注ぐ光を反射してる目で見つめて来てた。

 

 私も私で、気づいたらほんの少しだけ頬が膨らみながら、それに目の両方の端っこが引っ張られてるのに気づいて。一旦顔を洗うみたいに両手を当てて、そこに力を押し込みながらゆっくりと動かしてく。それから、もう一度相手の方を見たら、また同じ感じで私の方を見て来てた。

 

 顎をほんの少しだけ自分の方に近づけて、喉を締め付けながら口の中を飲み込む感じで動かす。それから一度瞬きして相手の様子を見た。

 

「あのさ」

 

 またさっきモーテルの中に入った時と同じ感じでほんの一瞬で終わるくらいの声を出す。でも、それでも今はドアが動くこともないのもあって、全然問題なくトゥルーディアにも聞こえてるみたいで。一旦顔を持ち上げるみたいにしながら背中を伸ばす。

 

 自分のお腹の所で両方の手を小さく重ねるみたいにしてるトゥルーディアと、太ももの付け根の所に腕を乗っけて手を組み合わせてる私。2人がただ見つめ合っているだけの時間が続く。どっちも話さない間は、また左右の隣の部屋から誰かが歩いてるほんのちょっとの音がするくらい。それ以外は私が1回だけ言葉になってない声を出すだけで終わらせた。

 

「ちょっと、来て欲しい所があるんだ」

 

 最初はちょっとだけ大きめの声を出したけど、それに続いたのは出来るだけそれを荒立てないように。それで肩を落っことすのを意識してた。それからは、ただトゥルーディアの様子を見つめるだけにしてた。

 

 けど、向こうは一度視線を下の方に向けながらお腹の所にくっつけてる手の指を小さく動かし続ける。でも、それ音がすることもなければ出来上がってるうっすらとした影の形が変化することだってない。顔の向きをそっちに向けることだってない。その状態が数秒間続いた後に、相手の方から「うん」とだけ言って。私の方から素早くだけど足取りが大きくなりすぎないようなペースで立ち上がると、そのまままっすぐにモーテルのドアの方へと行く。

 

 そこを開ける時、しばらく電気は付けてるけどそれが少し眩しくて外から目に入ってくる光を腕で遮った。

 

 

 

 

 

 

 道路からある程度離れた場所にある墓地の中で、私の膝の所にすらも届かない墓石に書いてある文字を1つずつ確認する。その間、特に何も話さずにただ足だけを進めてく。芝生は今もあの時と同じくらいの長さで切り分けられてるみたいで、私の足が踏みしめてる場所以外のがずっと風に揺れてる。

 

 近くには誰もいない一方で、遠くの方では私たちと同じように墓参りにいる人の様子が見えてるけど、その人たちも私たちの様子なんか見てなくて、視線は下に向けてるみたい。歩くスピードも同じくらい。

 

 気づいたらもう今日来るつもりだったところまで来てて、それを見た途端、私は足を片方だけ前に出した状態で静止。ただ、そこに埋まってるのの様子だけを、上瞼を降ろしたままで、唇に力を入れてるのか入れてないのかわからない状態でいる。そのまま立って墓石を見下ろしてるだけにしてた。

 

 数秒間そうしてる結果として、トゥルーディアもすぐに私の横に追いついたみたいで。そこでまたこっちの肩にぶつかるかどうかすれすれのところで体を横向きにしている所から地面と垂直に近い角度に戻してるみたい。それから、ほんの少しの声で一瞬だけ話しかけて来てたけど、でも、しばらく同じ方向を見るだけにしてた。

 

 少し時間を開けてからハッと気づいて相手の方に軽く謝りながら視線を向ける。それから先は、互いに何も話さないまま視線を下に向けたままにしてて。数秒後に私も体を回して元の方向に戻す。

 

「私、コロシアムに出るよ」

 

 しばらくずっと下の方を見た後に、ずっと同じ大きさの声で、ほとんど間も開けない感じで声を出す。そしたら、息を吸い込むトゥルーディアの音が聞こえて。それからまっすぐに私の方を見て来てた。上の方で浮かんだままいるその様子に対して片方の膝だけ立ててしゃがんでるみたいにしてる私は、しばらくしたらまた瞼を落っことす。それから視線をお母さんの墓石の方に戻した。

 

 この前掃除しに来た時とほとんど変わらない様子でいるそれは、表面でこっちの光景を反射してるみたいに見えるけど、でもそれはうっすらとなんとなく私が着てる濃い赤色の普段着と曇った薄暗い灰色の空が反射して見えてるような気がするくらい。他にあるとすれば上の方に写ってる葉がなくなった木の尖った枝が私の方に届いてるのだけ。

 

 出来るだけ顔に力を入れないようにしながら瞼を持ち上げてそっちの方を見てたけど、だんだんと瞼と一緒に眉を落としていく。それから下の唇で上のを押し上げてた。その状態で片方だけ立てた膝の上に片方の前腕を乗っけたまま喉を締め付けてる。その先の手は親指だけが中に入る感じになってたけど、それ以外の指は全部下を向いたまま握られることも力を入れることもなくただぶら下がってた。

 

「お母さんも、そうして欲しいって、たぶんそう思ってる」

 

 さっきまでと同じ方向に顔を向けたまま、ほんの一瞬だけ言葉を発する感じにした。それは1つの文を出すたびにそれを止めてまた少ししてから出し直してを何度も繰り返す。そして、言い終わった後もしばらくの間私はずっと同じ体勢で同じ方向を見続けるだけにしてた。

 

 でも、私がいつも通りのまっすぐな形にした唇で正面を向いて立ったら、鼻から息を出して。それからトゥルーディアの方を見る。

 

 そっちは唇の両端をわずかに持ち上げながら目の中をほんの少しだけ左右に動かすみたいにしてて、それから瞬きも何回かしてるみたい。それを終わらせてから私の方に向けて「ありがとう」とだけ言って来たのは、後半の方を前半に比べて持ち上げるみたいな話し方をしてて。それから下瞼を使って目を大きく見開いてるみたいだった。

 

 一方私は鼻からほんの少しだけ息を吐いてから片方の腕を腰骨の上に乗っけるみたいにしながら「いこっか」とだけ言ってお母さんのお墓の前を後にする。それからしばらくの間は草木が揺れてる音だけを聞いてるはずだったけど、だんだんと外の道路を走ってる車や人たちの声も聞こえてくるように。

 

 その結果として、私は喉を強く引き締めながら着てる服を引っ張って。脇を締めたまま両方の腕で自分の体を抱くみたいに。歩きながら同じ体勢で背中をわずかに前のめりにしながらわずかに早歩きになりながら進む。それ以外には何もしないでいるまま、気づいたらもう私の足は自分のモーテルにまで来てた。

 




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