まだトゥルーディアが起きてないのもあって、電気をつけてないままにしてるモーテルの中で、私はほんの少しの声だけ出しながら寝返りを打つ。続けてほんの少しだけ頭を持ち上げてその下に折り曲げた肘を入れるみたいにしてるけど、それが続いたのもほんの数秒間の間だけ。それからまたもう1回寝返りを打ってからほんの少しだけ声を出す。
ただ、それでも周囲から聞こえてくるのは家の向こうで大型の荷物を運んでる馬車の音であったり、大きな声で笑う人の音がどこまでも響いてるみたいな感じで聞こえてくる。まだだいぶ遠くにいるみたいだから、けっこう長い間聞こえるような気もする。そんな中で私はただ口を紡いだまま体を横に倒してるだけに。
でも、それですらも長い間保ってられなくて、息を吐きながら体を起こす。それから猫背の体勢で大きく後ろに伸ばした髪型の重さを体感しながら頭を少しだけ前のめりに姿勢でいる。そのまま周囲のまだ夜なせいで寒い感覚を味わい続けてた。その状態でしばらくの間、ブランケット越しに置いてある手を膝の上に乗っけたまま、甲側を上にした状態で関節をほんの少しだけ持ち上げた状態なのを放置したまま口を紡いでる。
一度だけ瞬きしてから顔の向きを変えて、少し離れたところのベッドで寝てるトゥルーディアの方を見ようとするけど、今日は外の天気が悪いせいでほとんど部屋の様子は見えないまま。相手がどこにいるのかも全然わからないままで。上の唇を下のに押し込む感じになりながらいるつもりだったけど、でもそれで下のが潰れてる気はしない。
もう1回ブランケットを強く抱きしめるみたいにして、そこにたくさんのしわを作りながら膝を折り曲げて体を横にした。
小さく開けた口から息を吐きながら顔を上に向けてコロシアムの様子を見上げる。だいぶ近くにいるせいもあって、その全体を見るためには首を限界まで倒さなきゃいけなくて、またもう1回ゆっくりと息を吐き出す。ただ、槍を肩に背負ったままにしてるのもあって、それに頭が近寄りすぎないか気になるけど、それだけでなく髪の毛が重くてその重さに引っ張られそうになるのを感じる。
上瞼を使って目の開けた範囲を広げたままそっちの方を見つめてる私はいつの間にか口を閉じてた。それだけでなく、喉も前側を使って締め付けちゃってて。その状態がしばらく続く。でも、私の前を通る感じで前のめりになったトゥルーディアが、口の両端を使いながらそれらを上に持ち上げてて。私の少し上の方からこっちを見て来てる。
それに気づいてから私の方から小さく「行こう」とだけ言ってから顔を少し下に向けて歩き始める。でも、周囲では1つ1つが何を言ってるのか全然わかんないくらいの喧騒があるせいでとても相手に聞こえてるのかもわかんなかった。そして、それは私の足音も一緒。ただ、私は足を使ってまっすぐに進んでるだけにしてる。
私たち以外では話しながら一斉に笑ってる声だったり、馬車が立ててる馬の足音や車輪がでこぼこしてる道路の上を進んでいる音、それ以外にも出店の店員が大きな声で呼子をしているのだったりが聞こえてくる。そして、そのお店で使ってる魔法器具が大きな音を立てて動かしている物であったり、売り物をねだる子供の声もする。
そんな中でも確かに聞こえてくるのは、お母さんが現役だったころにはいなかった他の選手が武器を持ってる片方の手を空に向けて掲げながら何かを言ってるの。最初はトゥルーディアの少し後ろを歩くだけにしてるつもりだったのに、それに続いたたくさんの黄色い声の歓声が聞こえた瞬間、息を吸いながらそっちの方を見る。
向こうでは数列になるくらいの大きな輪っかを作る人だかりが出来上がってて、そのせいで中心の様子でわかるのは掲げられている剣の様子くらい。でも、それでも人たちが出してる大きな声や手に持ってる装飾品の様子は私にも見える。
気づいたら私のコロシアムの方へと向かってる足が止まってたみたいで、向こうの方からこっちに近づいてきてるトゥルーディアが地面と平行に近い感じにしてた体を立てて、空中で立ってるみたいにしてる。それに気づいた矢先に、片足を一歩だけ下げながらほんのわずかな声を出してそっちを見て両方の頬を使って笑みを作る。
さらに続けて早口目に色んな声を出すみたいにしてるのに対して、トゥルーディアはほんの少しだけ目の範囲を広げながら私の名前を呼ぶ。でも、それから少しだけ間を開けてからサラっという感じでまたさっきと同じことを言ったら、今度は体を前のめりにしながら武器を持ってない方の手を前後に振りながら早歩きで前に進んで行く。そのまま、ある程度進んだところで自分の頭を守るために被ったヘルメットの位置をより深くするために片方の手を使った。
太陽を背にするみたいに建ってるコロシアムは私の方から見るとその表面のほとんどを影にしてる感じで見えてたけど、その中に入っていくと、ステージの方につながってる通路はその中に灯りが付いてないせいでだいぶ奥の光が小さく見える。そのせいで、私は砂が混じった茶色っぽいそっちの方へと向けて、数回瞬きを繰り返した。
「いっぱい、人がいるんだね」
トゥルーディアのわざと強い抑揚をつけてるみたいな声で話かけられてるのに気づいて、そっちの方を見る。両方の手を横へと伸ばすような形にして首で視線と顔を左右に向けるみたいで、それから自分の胸の所に両方の手を持ってきてる。それからその2つを組み合わせる訳でもなく、くっつけるだけにして斜め上の方を顔事見るみたいにしてた。
「大丈夫。私が付いてるから」
咄嗟にというわけでもないけど、開けてる時間を出来るだけ大きくしないようにしながら私の方から体を前にしてトゥルーディアに近づいたら、肩を1回だけ揺らしながらその両手を自分ので包む感じで握る。それからも、私たちなんかよりも全然年上の人が後ろを通って行ったり、武器と鎧がぶつかり合ってるみたいで大きな音がするけど、でも、私は意識してそっちを見ないようにする。
顔を背けそうになっちゃうけど、歯にも力を入れる感じでトゥルーディアを見続けてた。それから頬を前に出す感じで膨らませる。
「ありがと」
私がじっと前を見ているのに対して、顔をほんの少しだけ前のめりにしてる相手は、私の方を上目遣い気味に見てたのを一度瞬きして下に向ける。それからも数回瞬きして視線を横に向ける。それだけじゃなくて、頬をほんの少しだけ赤くしてるみたいだった。
それを見てから私は1回だけ息を吐いてから肩を落として周囲の様子をもう1回一瞥。ゴーレムのメンテナンスをしてる人や鎧を磨いてる人。他にも体のアップをもう始めて汗を掻いてる人までいる。そっちの方をしばらくの間見てるだけにしてるつもりだったけど、それは特に無意識でやってるだけだったみたいで、すぐに一度顔を振ってから両方の口を紡いで一旦置いといた槍を強く握りしめる。
両方の手でその持ち手を持ったまま体を前に進めて受付まで行って。その机の書類を書き込むために一旦立てかけようとするけど、そのたびにそれが転がって地面に落っこちそうになって。何度か拾う羽目になってた。それが終わってから口で何度か呼吸をしてたら、スタッフの人に声をかけられて、一度謝ってから私の整理番号と名前を書く。トゥルーディアが私のことを覗き込むみたいな体勢をしてるのもあって、私は両方の口を潰したまま筆を動かして、斜めになって枠からずれそうになったせいで、途中で軌道修正をすることに。
それから一度だけ息を吐いてから相手の様子を見てたら、後ろの人がいることに注意されて、1回謝ってから無造作な方に進んで、結果として何度も人の立ってるのを避けるみたいにして進むことに。
「練習行こ」
壁の方に背中をくっつけて両方の手を組んで顔を伏せようとした瞬間に声をかけられた。トゥルーディアが出したその声は、語尾を持ち上げるみたいにしてる上に、体も上下にはねさせるみたいな動きをしてる。私はその声が聞こえるまでずっと下を見てたから、ハッと顔を持ち上げて息を一瞬だけ吸い込む。それから視線を左右に反らしながら声になってない声を数秒間出して。そうしてるせいもあって、また辺りにいる人たちがいる方を見ることに。
トゥルーディアの後を付いて行ったことで、しばらくただ私たちの足音だけを聞く時間が合ったけど、それも数秒間の間だけ、だんだんと白く明るい光が私の方にまで届いて来てて。それに近づけば近づくほど、観客が床を足で叩く音と歓声が大きくなって。視線が目の中で細かく動くのを感じる。同じく息を強く締め付けてたら、いつの間にかステージの入り口の所に来てて。トゥルーディアの横に立ってて。それのせいで空の灯りの眩しさを腕で遮ることに。
一緒に歯を食いしばってたけど、それも何とか耐えきったら、とんでもなく大きくて、私たちなんかよりも何倍、何十倍も背が高いどころか、普通のジャンプだったらとても手すりにすらも届かないくらい大きなコロシアムの観客席が視界に広がる。
もうすでに組手を多くの選手がここでしてて、その組み合わせは砂煙のせいもあって私の目じゃ全然数えられない。それに、私たちが来たのとは反対の向こう側の入り口があるはずなのにそれすらも見えなくなってた。
その光景を見てるだけで、ただ私は口を開けたまま眉を下げることしかできなくて。私が顎を限界まで持ち上げて上を見てるのに対して、そっちの方ではもうすでに組手の様子を見ながらいる人たちがギリギリ分かるくらいで、それ以外にわかるのと言えば飲み物なのか食べ物なのかをわからない物を持って歩いてる人たちがいるくらいで、それ以外には座ってる人達がいるくらいしかわからなくて。その向こう側にある空はただ円形に切り取られててその外側の様子は見えなかった。
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