ここまでありがとうございました。
次回はVS蛟龍を主役とした作品を予定しています。
近日中に開始する予定です。そちらもよろしくお願いします。
「プリメラ、いるの……?」
最初に私の名前を呼んだ後、またしばらく時間を開けてからその続きを言う。それから、私の方からは何もできないまま、ただ時間だけが過ぎていくのを感じる。姿勢もずっと同じまま、ただ目線だけを小さく動かして、眉を顰める。さらに、突き出した両方の膝の内側に自身の顎を仕舞うような体勢になった。
一方で、ドアの方はほんの一瞬だけそこが回す音がするけど、それはすぐに戻って、また同じような音がする。なのに、私はわずかに開けてた目の範囲ですらも閉じて。よりおでこを前に出すような体勢に戻る。その状態で私は何もせずにただ脇を閉めてるだけにしてた。
そして、それは何度かドアノブが動く音がしてる間も同じ。そこが小さく音を何度か立てる後に高い音に続いて重いドアが開かれる音がして。でも、それはほんの少しの範囲しか開いてなくて。目を開けた私がトゥルーディアの様子を見れたのは、そこから片方の目だけを入れてくる後だった。
でも、それもほんの一瞬の間だけ。また閉じた後にはまた辺りからは何も見えなくなって。この部屋に入り込んでたその子の体から発せられてるほんの少しの光もすぐになくなる。とても私の体や周囲のベッドまで届いてるとすらも言えないくらいの灯りしかないそれに対して、私は見てることしか出来ない。
喉がまた引っ込む感覚がして、言葉になってない声を出しながら体を持ち上げてトゥルーディアがさっきまでいた方に自分の手を伸ばそうとするけど、でも、それなんか全然そっちの方には届かなくて、また口を紡ぐことに。腕はまだ伸びてるけど、指は下に向かってて。目線も顔と一緒に下を向く。
ただ、しばらくしたら、両方の手でドアを押したまま顔を下に向けてるトゥルーディアが脇を閉めた状態で、両方の目を強く閉じてて。そのまま限界までドアを開けて閉じる慣性がなくなるところまで持って行ってる。
それから、両手をドアの表面にくっつけたまま、体もそこに近い位置にまで持ってきて、顔を下に向けてた。ずっとそっちに向けながらも、おでこをドアに近づけてて、でも触れあったりはしない位置にしてて。そこからたまに私の方を見てくる。
ただ、こっちもこっちでトゥルーディアのベッドに手を付いて体を起こすけど、一度口を開けたのにそこから声が出てくることはなくて。それからまた目線を横にそむける。それからまっすぐに落っことした方の腕の肘にもう片方の手を軽く添えるみたいにしてた。さらに、唇を紡いで、それの重ね合わせる位置がわからなくて何度も右往左往をさせる。
しばらくしたらトゥルーディアの方から私の方に体を見せるみたいに向きを変えて、背中とそっち側に回した腕をドアに押し付けながら、ただ顔をこっちじゃない方の斜め下に向けたままいて。そこで口を紡いで眉を落っことしてる。
私も息を吸うけど、それは横に広げる感じで開いた口のわずかな隙間でしかなくて。なるたけゆっくり自然な形で吸いたいのに、体に力を入れながら、鎧の隙間の服を摘まむせいで、急にそれが喉の奥に押し込まれるみたいになってた。
「あのね、みんな、私のこと笑ってて……」
部屋の中に入ってくる大きな灯り、開けっ放しになってるドアの枠の中に立ったまま、私の方を見ないでいるトゥルーディアはずっと同じ方、外のテラスのコンクリートを眺めてるみたいだった。そのせいもあって、部屋の中が薄暗いままなのに顔に当たる光が入り混じってて。その部分にはほんのわずかしかない赤い炎の光すらも届かない。
一方で、私はベッド同士の間に立ったまま声をかけたいのに、でも、歯を噛みしめてないと、体中に力を限界まで込めてないと、私はそこに立っていることすらも出来なくて。気づけば背中が大きく猫背になって。体を大きく前に倒れそうになってた。
「どうして、どうして!」
一度途中で止めるけど、それ以外はまるで私の方に怒鳴りつけるみたいに大きな声を出しながら、体を前のめりにしてるトゥルーディア。一度ドアにたたきつけた握りこぶしも、そうじゃない方も、声と一緒に大きく上下に振り回して。頭も同じで。一度声が止まったと思った後も、何度も何度もこのモーテル全体に響くくらいの大きさで何度も何度も叫び続ける。
でも、私は膝を折ってそれを床のカーペットの上に倒すくらいしかできなくて。そのまま自身の体を両腕で抱きかかえながら頭を前に倒してる。そのまま何度も小さく謝る声を出すけど、でも、そのせいで体に込めてた力が抜けて。結果としてその声の隙間から息を吐くタイミングも、そうじゃない時も全部含めて私の目からまたさっきと何も変わらない涙が溢れて来ちゃう。
「ごめん、ごめん、ごめんトゥルーディア……」
口を限界まで横に広げながら両方の歯を噛みしめて、そこから勢いよく吐き出す息と一緒に出た声は、ほんとに私自身でも聞こえれるかどうかわからないくらいの大きさで。何とか絞り出すくらいの大きさのそれを出し終わった後、両方の手を顔の前に当てたまま、息をまた吸い込んで、それが喉に当たるたびに激しく咳を繰り返す。
いつの間にかトゥルーディアの方から出てくる声が止まってたみたいで、私が出してる嗚咽の音だけがあふれ出てくる。何度も喉を締め付けて抑え込もうとするのに全然抑え込めなくて、最初は正座した足の上に自分のお尻を乗っけるみたいな姿勢でいるはず。それなのに、気づけば足がずれて内股みたいになってる上にお尻もカーペットの上に落っこちる。
今も両方の手で顔を覆うみたいにしてるまま両肘を体に押し込む体勢でいるのに対して、外から聞こえてくる音は何もない。顎を限界まで自分の元に引き寄せながら、ただ嗚咽に合わせて体を前後に動かし続けてた。
「私、もっと、もっと頑張るから……だから……」
強く歯を噛みしめながら、両方の手を一度顔から放すと、それと一緒に右手の手首辺りで目元を何度もぬぐう。それから一度だけ歯を噛みしめて。一度強く息を吐きだした。それから勢いよく顔を起こした。
そしたら、トゥルーディアがいつの間にか私の方にまで来てて。その目と私の目が会うことになった。
「……私の方こそ、ごめんね」
その言葉と一緒に、私の頭の上に手を乗っけたトゥルーディアの方を見る。向こうはカーペットの上に膝を立てるみたいな態勢でいる結果、私のことを少しだけの上から見下ろすみたいな形になってて。顔の向きもそれに合わせてる。気づいたら、トゥルーディアも泣いてるみたいで、でも、それでも何度も頬を前に膨らませながら口を広げて、そこから何度も明るい声を出そうとしてた。
ただ、それに対して見上げる私は嗚咽とも取れないような声を繰り返し出すことしかできなくて。気づいたら、その胸に飛び込みながら、今までも一番大きな声を出しながら泣いて。でも、それでも全然抑えらなれなくて。途方もないくらい大きな声を出す。
その間も、トゥルーディアはほんの少しだけ背中を折り曲げる状態で私のことを抱きしめてくれてて。片方の手を頭の腕で前後に動かしながらも、もう片方の手で私の肩を抱く。そのどっちにもほとんど力が入ってないままになってるのだけを感じながら、私は両方の手でトゥルーディアの背中を強く抱きしめるだけにして。ずっと同じ声だけを出し続けてた。
読了ありがとうございました。