弱虫ペダル Rainbow Ride (全話編集中)   作:サクータ

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インターハイ栃木県大会前日
夕方 自転車部部室

鳴子 「3日目の最後の山のエースから小野田くんを外すって どう言う事っすか! 手嶋さん! 小野田くんは去年の優勝者ですよ! あの真波を交わしたんすよ!?」

今泉 「俺も反対っすね 小野田が調子が悪いって言うなら分かります けど悪くないっす インハイまでに俺がしっかり記録してますから」

小野田 「うん、おかげで助かってるよ 調子上がってるみたい けど、手嶋さんの考えての事なら 僕は受けるよ そのオーダー」

今泉 「小野田」

手嶋 「外すと言ったのは」

今泉 「っ?」

手嶋 「おそらく外さざるを得ない状況が来ると予想してでの外すだ」

小野田・今泉・鳴子 『っ!』

手嶋 「インターハイ3日目の山は長い 最後の山に入る時、箱根学園は盤石の状態になってる その中でも最も厄介だというのが 真波だ」

小野田 (っ!)ドクン

手嶋 「箱根学園史上初の1年生メンバーで 去年のインハイファイナリスト しかも今年は更に強くなってるって噂だ 盤石な状態で真波が飛び出し、そのままゴールへ駆け登る これが俺の考える最悪のシナリオだ」


小野田 (真波くん、強くなった真波くんに僕は勝てるだろうか 僕は…ゴールは続く道がある 空に向かう登り坂 何が起こるかわからない道 みんな全力で走るんだ まだ何も決まってない真っ白な未来 もし、強くなった真波くんと勝負が出来て 精一杯ついていけたら 僕はきっと…すごく嬉しい)


手嶋 「その真波を虹学としては早めに潰しておきたい」

鳴子 (早めに)

今泉 (潰す)

手嶋 「山でのファーストアタック こちらから仕掛ける 最後の山に入ったら 並ぶと同時に一名で仕掛ける 箱学は必ず追手を出す その追手を全開で引き、抑え、疲れさせ、とことんまで脚を削る けど、3日目の山は長い ファーストアタックを担った者は体力を消耗し仲間に抜かれゴールする体力さえ残らず 脚をついてしまうだろう」


手嶋 「敵を1人潰すと同時に途中リタイア それが山のファーストアタック!」


小野田 (リタイア)

手嶋 「最後の山で真波を誘き寄せ 真波を潰せるのは」

今泉・鳴子 『っ!』

手嶋 「小野田 お前しかいない」

小野田 「・・・」

手嶋 「もし3日目、俺の想定通りの展開となった時 やれるか 小野田」


小野田 「はい!」




RODE,105 手嶋のオーダー

 

 

手嶋 「審判車だ❗️先頭が近いぞ❗️

 

 

今泉 「代わる鳴子!」

 

鳴子 「気張れやスカシ!」

 

今泉 「言われなくても!」

 

 

今泉 「うおおおおおお‼️

 

 

チームを引いていた鳴子と交代し、前を走っていた審判車を抜いて数メートル進んだところで

 

 

手嶋 「代わる 今泉!」

 

今泉 「はい!」

 

手嶋 (2年に引かせて、小野田にリタイア頼んどいて俺だけ引かない訳にはいかねぇんだ! 見えろ箱学! このカーブを過ぎた先に)

 

 

手嶋 「見えろ箱学ゥゥ❗️

 

 

 

 

 

 

黒田 「……………っ! なっ!?」

 

 

手嶋 「見えた!」

 

 

黒田 「虹学…だと!?」

 

 

手嶋 「地の底から這い上がって来たぜ 黒田!」

 

 

黒田 「くっ!」

 

葦木場 「純ちゃん」

 

 

 

 

標高約1500m地点

インターハイ3日目の山岳ライン付近を走る虹ヶ咲学園のバスの内

先頭の箱根学園を映していた先導車の映像を見ていた同好会メンバー達

 

しずく 「み、見てください! 箱根学園の後ろ 先輩達がもう一度追いついて来ました!」

 

彼方 「純くん!」

 

愛 「もぉ〜! 心配させすぎだよ! ハラハラさせすぎ!」

 

歩夢 「良かったぁ みんな、まだ諦めてなくて」

 

せつ菜 「あの泉田さんって方のもの凄い走りであそこまで離されるとは思ってもいませんでした」

 

愛 「すごく速かったよね」

 

しずく 「これが箱根学園のエーススプリンター 度肝を抜かれました」

 

彼方 「は、はじめんの方が速いよぉ〜」

 

果林 「ふふ、そうね だけどあれだけ離されたら 誰でも諦めてしまう物よね」

 

せつ菜 「はい けど、どれだけピンチになっても諦めず前を追いかける それで今こうして追いついた 本当にすごいです チーム虹学!」

 

果林 「流石純太くんのチームね 彼方」

 

彼方 「うん! 頑張って 純くん!」

 

 

 

 

 

手嶋 「想定通りだ 小野田はファーストアタックに備えて脚を貯めろ!」

 

小野田 「はい!」

 

手嶋 「鳴子、今泉」

 

今泉 「はい」

 

鳴子 「ハイな!」

 

手嶋 「ありがとよ」

 

今泉・鳴子 『えっ?』

 

手嶋 「お前達の希望がなければ 箱学に追いつかなかった」

 

 

手嶋 「今から前の箱根学園に並ぶ! 俺が全開で引く!」

 

 

手嶋 「すまねぇ、後のことは…ゴールは 3人で 頼んだぞ」

 

小野田・今泉・鳴子 『!?』

 

 

 

 

 

 

標高1700m地点

道路脇の駐車スペース

 

 

巻島 「今頃あいつら、最後の勝負に入った頃か?」

 

金城 「ああ」

 

巻島 「でも流石に標高1700mは夏でも冷えるッショ」

 

金城 「だな」

 

巻島 「時に金城? お前が虹ヶ咲学園の旗を預けたキャプテン 手嶋純太は ここまで 登ってくると思うか? 草津の温泉街を抜けて 幾度と続く葛折りを抜けて ここまで」

 

金城 「手嶋が…か」

 

田所 「来るさ! 手嶋と青八木は俺が鍛えたんだ あいつらは根性だけは誰にも負けねぇ」

 

巻島 「・・・」

 

田所 「・・・て言うのは 希望だ 多分難しいだろうな」

 

巻島 「ショ」

 

田所 「あいつは根性はあるが 脚は平凡だ」

 

金城 「残念だが田所の言うとおり、インターハイで生き残るためには特別な何かが必要だ 手嶋にはそれがない」

 

巻島 「じゃあ金城、お前はあの時何故キャプテンに手嶋を選んだ ここまで来れない平凡な男を 怪我こそしていたが 古賀をキャプテンにするって道もあったッショ 奴なら来れたかもよ」

 

金城 「確かに手嶋は弱いし平凡だ 奴自身も言っていた…」

 

  (俺は底の方にいます 底辺のプレイヤー)

 

金城 「だと だが手嶋は腐らず努力を続けていた 1分1秒を大切にして 何度も這い上がろうと足掻いて 去年虹学は細い糸を手繰り寄せ優勝を成し遂げた 頂点を獲ることが出来た だが、競技において最高の成果を出した者にはその代償として 進化の停滞が必ずある 最高の瞬間を手にした者は 満足感から緊張の糸が切れ落胆し、進む道を迷う 優勝した虹学、新しい虹学に最も必要なのは それは」

 

 

金城 「更に進もうとする力だ」

 

 

金城 「いかなる条件でも、一歩一歩歩んでいくメンタル 目標を失わない強い心 それが奴には沸々とあった だから選んだ 底の方からしか見えない景色は必ずある まだだ…まだだと思う力は行き詰まった状況を打破し、先入観を打ち破る そして平凡な男の努力 もがき、他のプレイヤーにパイプレーションとして伝わり 前に進む力になる」

 

巻島 「・・・ックハ 金城? それってさ、さっきお前が言ってた ここまで生き残るために必要な何か じゃないの?」

 

 

 

 

 

 

 

手嶋 「うああああああ‼️

 

 

手嶋 「くっ! うう! おいおい俺の身体 こんなところで悲鳴をあげてんじゃねぇよ もがけ純太 これが最後のインターハイだ」

 

今泉 「箱学に近づいてる!」

 

小野田 「手嶋…さん」

 

鳴子 「ちょ⁉️後は頼むってどいう事っすか! ここは交代して引いてった方が!」

 

手嶋 「ここは休んどけ! 休んどかなきゃならないんだ これはオーダーだ! 鳴子、今泉」

 

今泉・鳴子 『っ!』

 

手嶋 「敵が泉田が引いたアドバンテージがあるんだ 全員が全開でボロボロになりながら引いても速攻やられてしまう 誰かがひとりで引かなきゃなんないんだ! それ、俺しかねぇだろう! だから」

 

 

手嶋 「それまで動けよ俺の心臓❗️

 

 

手嶋 「うああああああ‼️

 

 

 

悠人 「っ!(なんだ?…この人)」

 

 

 

手嶋 ✨はあああああああ‼️」

 

 

 

今泉 「す、すげぇ この人の…」

 

鳴子 「アカン、なんやこれ? 手が震えて来た」

 

小野田 「届く、手嶋さんの どんなことでも前に進もうとする熱いバイブレーションが」

 

 

 

 

 

歩夢 「な、なに? この感じ?」

 

しずく 「純太先輩の走りを見ていたら なんだか」

 

せつ菜 「心が熱くなって来ました 1日目の山岳賞の時とは違う何かが」

 

愛 「愛さん、手が震えて来たよ なに? これ?」

 

果林 「画面越しでも伝わってくるわ 純太くんのどんなことでも前に進む 彼の熱い熱気が」

 

彼方 「純くん」

 

 

 

 

 

悠人 「黒田さん! なんか分かんないですけど並ばれそうです!」

 

黒田 「くっ 悠人 2人で前を引くぞ」

 

悠人 「はい!」

 

 バッ❗️

 

黒田 「っ!?」

 

黒田と悠人が前を引こうとした途端、チームを引いていた葦木場が横に手を出した

 

葦木場 「幸ちゃん ひとつだけわがまま言っていい?………俺に引かせて」

 

黒田 (拓人!?)

 

葦木場 「純ちゃんのあの走りを見ていたら 抑えらんない」

 

 

葦木場 「勝負しよう? 純ちゃん」

 

 

手嶋 (葦木場(しきば)

 

 

葦木場 「届くんだ バイブレーションが もう頭の中のクラシックなりはじめた…」

 

 

♪「交響曲第9番」

 

葦木場 「ベタに「第九」だ❗️

 

 

箱学エース葦木場、ダンシング体制に入りひとりチームから飛び出す

 

 

今泉 (葦木場さんが❗️)

 

鳴子 (立った❗️)

 

小野田 (前に出る❗️)

 

手嶋 (3メートル前に出た! 誘ってんのか 俺を 勝負しようって おいおい)

 

 

手嶋 「俺は箱学にチームを並ばすって 最後の役割を果たすために走ってるんだ!」

 

 

手嶋 ✨うああああああ‼️」

 

 

 

葦木場 「それだよ純ちゃん! そのバイブレーションだよ! 勝負しよう!」

 

 

手嶋 ✨どの状況見て言ってんだ葦木場(しきば)❗️」

 

 

 

今泉 (っ! 状況!? 今俺たちは箱学に追いつこうとしている 想定通りだ ただひとつ違うのは エースの葦木場さんが飛び出そうとしているところだ 箱学はどうする!? ここで葦木場さんが出る事は考えていなかったはず もし、このままエースが出れば この後の展開がガラリと変わる! この状況を一変させた大元は手嶋さん(この人) だとすれば!)

 

 

手嶋 「ハァ! ハァ! ハァ! うああああ‼️」

 

 ザアアアア!

 

今泉、チームを引いていた手嶋の前に上がる

 

手嶋 「え!? な、何やってる今泉!」

 

 

今泉 「まだ戦う意思は残ってますか!」

 

 

手嶋 「えっ!」

 

今泉 「後ろで脚を休めてください 少しでも そしてこのインターハイ最後の覚悟を決めてください!」

 

手嶋 (覚悟!?)

 

 

今泉 「箱学は仕掛けて来ます!」

 

 

手嶋 (箱学が先に!?)

 

鳴子 「おるらあああ❗️ワイもスカシと同意見っすわ!」

 

手嶋 「鳴子まで!」

 

鳴子 「来ますデェ 多分強烈なのが」

 

手嶋 (っ!)

 

 

箱根学園、エース葦木場を送り出す

 

手嶋 (まさかここで 箱学は エース葦木場を出すのか!)

 

 

今泉 「この状況を作り出したのはあなたです 手嶋さん!」

 

手嶋 「なっ!」

 

今泉 「あなたの献身的な走りが俺たちや周り そして箱根学園のエースまでもより動かしたんです!」

 

手嶋 「俺…が」

 

小野田 「案外そういうのって ご本人が1番気付かないかもしれませんね」

 

小野田・今泉・鳴子 手嶋の背中に手を置く

 

今泉 「今葦木場さんを止められるのは あなただけです!」

 

 

手嶋 (俺が…止める)

 

 

小野田 「お願いします❗️」

 

鳴子 「頼みますデェ❗️」

 

今泉 「行ってください❗️」

 

 

小野田・今泉・鳴子

虹ヶ咲学園キャプテンクライマー 手嶋純太‼️

 

 

3人が想いを込めて手嶋の背中を押して送り出した

 

 

手嶋 (無茶させんなよ 嘘だろ葦木場(しきば) お前とここで戦えるだなんて…)

 

 

手嶋 「ハッ 自転車って…」

 

 

手嶋 「ファンタスティックだな❗️インターハイの先頭だぞここ❗️

 

 

葦木場 「純ちゃん❗️」

 

手嶋 「葦木場(しきば)❗️」

 

葦木場 「来たんだ 来てくれたんだ! 嬉しいよ! 勝負しよう!」

 

 

手嶋 (3年最後のインターハイ 最高にきつい最後になりそうだ)

 

 

 

手嶋 「ああやるよ! 覚悟は出来てる!」

 

 

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