弱虫ペダル Rainbow Ride (全話編集中)   作:サクータ

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RIDE,106 山岳賞のラインまで

 

 

 うおおおお‼️

 

 

「来たぞ先頭! ふたりだ!」

「箱根学園は1日目優勝、2日目山岳ゼッケン 誰も止めることの出来ない長身エース 葦木場拓人!」

「一方虹ヶ咲学園は5番キャプテン 手嶋純太!」

「虹学は! 手嶋…か」

「いや、手嶋は確かに目立った戦績を残してない けど、1日目の山岳賞争いで僅差の2位だった 無冠の男、一度もタイトルを手にした事のない男が箱学のエースを倒す そう目論んで5番を出したんじゃないのか?」

 

 

 

 

葦木場 「良かったよ 来てくれて 純ちゃんと一緒に走れて 今どんな気持ち? 純ちゃん………俺はね………」

 

手嶋 「‼️」

 

 

箱学葦木場、身体を大きく左右に振るダンシングをして加速

 

 

葦木場 「凄く良い気分だよ‼️」

 

 

手嶋 (メトロノームダンシング! ここで!?)

 

 

手嶋 「・・・待てよ」

 

 

手嶋 「待てよ葦木場(しきば)ァァ‼️

 

 

手嶋 (くっ! 重テェ 脚、けどここで着いていかねぇと!)

 

少し反応に遅れて葦木場を追いかける手嶋

 

手嶋 「うあああああ‼️

 

なんとか葦木場に追いつき横に並ぶ

 

葦木場 「純ちゃん! すごいよ! そうでなくちゃ! ゾクゾクするよ! もういっちょいこう! 純ちゃん!」

 

手嶋 「マジかよ……心臓止まりそうだわ! 少しは休めよ葦木場(しきば)!」

 

 

 

 

 

後方

 

 

小野田 「ハァ ハァ ハァ」

 

黒田 「…………ハッ どうした虹学、苦しくなって勝負を捨てたか? 手嶋を出すとはな」

 

今泉 「・・・」

 

黒田 「1日目の山岳2位の奇跡に夢見たか? けどそりゃ、2度と起きないから奇跡言うじゃないのか? ここからゴールまで15キロ 飛び出した2人のうち どっちかの脚が止まれば もう一方がゴールを獲っちまうんだぜ 俺たちが何も仕事出来ずにそのまま」

 

今泉 「俺たちはそうならない為に 手嶋さんを出しました」

 

黒田 「悪いが、今の手嶋には葦木場を止める力ねぇだろ」

 

今泉 「はい、無いでしょうね でも止めるつもりです!」

 

黒田 「今度はなぞなぞか? どうやって止める 俺は手嶋が葦木場を止める力ねぇって言ってんだ」

 

小野田 「あの!」

 

黒田 「ああ?」

 

小野田 「…あの…ですね 手嶋さんに行っていただいた理由はですね 手嶋さんはあの…その…努力家だからです!」

 

黒田 「努力? ハッ! 何を言うかと思いきや 努力や頑張りだけでなんとかなるって言いたいのか 小野田くん!

 

小野田 「あの…ですね手嶋さんは この一年凄く努力して来ました 休まず、コツコツ小さな事を積み重ねて頑張る姿を見て僕はすごいと思ってました…」

 

 

小野田 「小さな事を積み重ねる力は「才能」じゃありませんか!」

 

 

黒田 「っ!」

 

 

 

 

 

手嶋 「ハァ! ハァ! ハァ! ハァ!」

 

 

手嶋 (今頃、俺の飛び出しを見て笑ってるか 黒田 そりゃそうだよな 俺はさっきまで全開でチームを引いていたんだからな リタイアするつもりで けど 目の前に思いがけない道が開いた ボロボロで倒れかかってる俺に)

 

 

(今泉 まだ戦う意思はありますか!)

 

 

手嶋 (一瞬、俺は思った ボロボロの時になんで? 今じゃなきゃ喜んで駆け出したのに だけど、ペダルを踏んだ 今だからだ 限界までやって ギリギリまで覚悟を決めて そう言う時にだけ 次の扉は開くんだ だからためらわずに進め! 手嶋純太!)

 

 

 

手嶋 「待てよ葦木場(しきば) もうちょい、一緒に走ろうぜ!」

 

葦木場 「純ちゃん すごい、やっぱりすごいよ」

 

手嶋 「せっかくだからなぁ! 葦木場(しきば)、お前の質問答えてなかったな どんな気持ち?ってやつ ボロボロのはずなのになんでだろうなぁ? 不思議だよ なんか、力湧いてくる 俺も凄く良い気分だよ!」

 

葦木場 「純ちゃん」

 

 

ロードレース山岳ラインまで残り4キロ

 

 

手嶋 (きつい、苦しい、けど不思議と気持ちが落ち着いてる こんな大舞台で チームの重積を背負って飛び出しているのに インハイ3日目の最後の山だって言うのに 身体が反応するんだ 波長が気持ちいい 多分それは 相手がお前だからだ 葦木場(しきば) リズムが合う感覚だ)

 

 

手嶋 「ハァ ハァ ハァ ハァ」

 

 

葦木場 「それは俺も同じだよ 純ちゃん」

 

 

手嶋 「っ!?」

 

 

葦木場

「なんとなく伝わってくるんだ ごめん、俺今感覚鋭くなってる」

 

 

手嶋 (こいつ! やっぱ凡人じゃねぇな 目線合わせただけで 痺れる! ビリビリくる!)

 

 

葦木場 ✨「こうなったら俺 強いよ」

 

 

手嶋 (感覚を解放した! こいつは元々理屈で走るやつじゃない 感覚で走る男 普段は天然だの人の会話聞いてねぇだのってよくいじられるけど それは競技の標準があってねぇだけだ 一度標準が合えば 感覚が同調すれば 信じられ無いほどのパフォーマンスを発揮する 中学の時からそうだった なって来た時のこいつは強かった 言葉に嘘はない こいつは今、相当に強い)

 

 

手嶋 「するかよ 本気の勝負」

 

葦木場 「だって、その為に前に出たんでしょ? するよ! 本気の! 純ちゃんは強いから試したい!」

 

手嶋 「買い被るなっていってんだろ 俺は去年の峰ヶ山のレースでお前に負けた ちまたじゃ平凡な脚って評判なんだよ! けど、卑屈になってるわけじゃねぇ それはそれで分かった上で俺があるつもりだ 歩んできた道も 目指して来た目標も 間違ってねぇって信じたい! だから…」

 

 

手嶋 「お前と戦って 勝って それを証明したい」

 

 

手嶋 「平凡なクライマーが 箱根学園のエースに何タンカ切ったんだって 冷静になれば 笑い出てくるのは百も承知だ けど同じ土俵に立ってる インターハイの道のこっち側に! 権利はある 逆に考えればこれはチャンスだと思ってる 多分、一生かかっても おまえとビックレースで 先頭で2人で走るシチュエーション 2度とない 奇跡だと思ってる だから、この奇跡の馬に乗っていこうと思ってる だって奇跡ってのは 願っても叫んでも滅多に起こんねえくせに 起こる時は立て続けに二度も三度も起こる………そういうもんだろう」

 

葦木場 「………うん、純ちゃんのそういう考え方をするところ 好きだよ」

 

 

手嶋 「残り3キロの山岳賞ラインまででどうだ?」

 

 

葦木場 (山岳賞のライン)

 

 

手嶋 「ふさわしいだろ? 俺たちの勝負に! あの頃の あの時と同じだ あの時と同じだ! 中学の時と!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インターハイ3日目 山岳賞ゲート横

 

 

 カシャ!

 

彼方 (ふふふ、遥ちゃんに送ってあげようっと)

 

 

 ざわざわ ざわざわ

 

「もう始まってるみたいだぜ インターハイ3日目の山岳賞争い!」

「箱学エース葦木場と虹学キャプテン手嶋の戦いかぁ」

「どっちが獲るんだ 今日の山岳ゼッケン!」

 

 

彼方 「・・・純くん」

 

 

***************

山岳ゲート手前の200m地点

 

しずく 「見てください ゲートが見えて来ました」

 

愛 「ホントだ!」

 

せつ菜 「あれが今日の山岳賞ゲート」

 

彼方 「・・・ぁっ」

 

 

 

 

手嶋 {残り3キロの山岳賞ラインまでどうだ? ふさわしいだろ? 俺たちの勝負に!}

 

 

 

 

彼方 「ぇ」

 

 

彼方 (純くん 今、山岳賞のラインまでって…)

 

 

果林 「彼方」

 

彼方 「果林ちゃん」

 

果林 「見たいんじゃない? 1番近くで」

 

彼方 「え? それは…」

 

果林 「見て来たら? 今、山岳賞までって聞いた瞬間 うずうずしたんでしょ? 純太くんが山岳賞を獲るところを、あの子たちはそれを信じて純太くんを送り出した その純太くんが1番に山岳賞を獲ろうとしてる 1日目の時のように彼を応援出来る最後のチャンスよ」

 

彼方 「でも果林ちゃんは? 果林ちゃん、今日は純くんを応援しないの?」

 

果林 「私は…今日のゴールを見る事にしたわ」

 

彼方 「そう・・・」

 

しずく 「彼方さん、我慢する必要ありませんよ」

 

彼方 「しずくちゃん?」

 

愛 「そうだよカナちゃん」

 

歩夢 「応援したい気持ちは私たちも同じです けど、今ここでは彼方さんの方が1番その気持ち 私たちにも伝わって来てるんですよ」

 

彼方 「そ、そんなに? 彼方ちゃん、顔に出ちゃってる? そんな感じ出しちゃってる?」

 

せつ菜 「はい、出ちゃってますよ! 純太さんのように ふふふ」

 

彼方 「・・・そっかぁ 出ちゃってるかぁ・・・えへへ・・・うん! 決めたよぉ〜 彼方ちゃん、ここで降りるよぉ! 間近で純くんが1番に横切るところを見る為に 精一杯応援しなきゃね!」

 

***************

 

 

彼方 (一昨日はゲートから少し下った場所で応援したけど 今日はゲートの真横 純くんが1番にゲートを横切るところ 見なきゃ!)

 

 





近江家

テレビ中継映像
{インターハイロードレース3日目最終日、最後の山岳賞争いが始まりました! ひとりは虹ヶ咲学園5番キャプテン手嶋純太選手 一方対するのは、箱根学園ゼッケン11番長身エースの葦木場選手! ここで手嶋選手、少し遅れる!}


遥 (あわわ! すごく大きい人、大丈夫かな 手嶋さん)

 ガチャ

彼方母 「ただいま」

遥 「あっ! おかえりお母さん」

彼方母 「あら、珍しいわねハル テレビでスポーツ中継を見るなんて」

遥 「うん、あのね さっきお姉ちゃんから連絡があってね ちょうど今テレビに映ってる自転車部キャプテンの手嶋さんって言う人の応援する為に 今「山岳賞ゲート」っていうところにいるんだって」

彼方母 「あ〜 そういえばカナは3日間 栃木県の方に行ってるのよねぇ」

遥 「うん、写真も送られてきたんだぁ ほら」

彼方母 「まぁ」

遥 「その手嶋さんがね 今お姉ちゃんがいる山岳ゲートに向けて走っているんだよ」

彼方母 「ふ〜ん ・・・ 彼、中々かっこいいじゃない」

遥 「でしょう? ちなみに、お姉ちゃんの恋人 だよ」

彼方母 「あら〜 じゃあ尚更応援しなきゃね ふふふ」

遥 (頑張ってください 手嶋さん!)
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