弱虫ペダル Rainbow Ride (全話編集中)   作:サクータ

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RIDE,120 最後に残ったもの

 

ゴール手前1キロ地点

 

1キロ地点を走行中の侑達が乗ったサポートカー

 

車内ラジオ {先頭、京都伏見高校御堂筋選手を 追走、ゼッケン3番鳴子選手率いる虹ヶ咲学園3名が先頭との距離を詰めるも 50mまで近づいたところで 鳴子選手が失速! 虹ヶ咲学園、先頭との差120mまで離されました}

 

 

侑 「え? ど、どうしちゃったの章吉くん すぐそこまで近づいて 失速って」

 

幹 「お兄ちゃん…これって」

 

寒咲 「…ああ」

 

侑 「えっ? なに? どうしたの?」

 

杉元 (鳴子…)

 

段竹 (鳴子さん…)

 

古賀 「高咲さん」

 

侑 「は、はい」

 

古賀 「前に君ら同好会の食事にお邪魔した時 鳴子が言ったこと覚えてるか」

 

侑 「え? 1-2-3フィニッシュの事ですよね? それが何か?」

 

古賀 「3日目、最終日は 必ず全員がゴール出来るわけじゃない ゴールを獲るために仲間の犠牲を払わないといけない それは理解してるな?」

 

侑 「はい・・・え? ゴール・・・え? 章吉くん・・・え?」

 

幹 「ごめんね侑ちゃん、1-2-3フィニッシュの事は私たちも聞いてるよ けど今の放送を聴く限り鳴子くんは」

 

寒咲 「限界だ 残念だが鳴子はここで…リタイアする」

 

侑 「リタイアって 残り5キロのところでリタイア・・・っ! じゃあ1-2-3フィニッシュは」

 

古賀 「・・・見られない」

 

侑 「そ、そんな」

 

 

侑 (章吉くん…)

 

 

 

 

 

 

ゴール地点

 

 ざわざわ

 

 

せつ菜 「え? 章吉さん?」

 

歩夢 「きゅ、急に動かなくなっちゃったよ?」

 

果林 「もしかして彼…気を失ってるんじゃ!?」

 

歩夢・せつ菜 『ええ⁉️』

 

しずく 「気を失っているって…え? じゃあ章吉先輩 もう限か…」

 

歩夢 「し、しずくちゃん! それ以上は」

 

しずく 「え? あっ」

 

 

愛 「・・・」

 

 

せつ菜 「愛さん」

 

愛 「…せっつー」

 

***************

3日目スタート前

 

 

{スタート20分前になりました 選手の皆さんは準備をお願いします}

 

 

 

鳴子 「ほな、いこうか 小野田くん スカシ」

 

今泉 「ああ!」

 

小野田 「うん!」

 

侑 「頑張ってね みんな!」

 

愛 「あっ! 待って鳴っち!」

 

鳴子 「ん?」

 

愛 「最後にこれだけやりたくて! ん!」

 

自分の拳を鳴子に向ける愛

 

鳴子 「っ!」

 

愛 「鳴っち、フェスティバルが終わった後 坂道に「根性注入!」って言って こうやって拳を合わせてたでしょ? アレ、愛さんも鳴っちとやってみたいと思ってたんだ…良いかな?」

 

鳴子 「愛ちゃん…ハハッ! ええで! ほな、頼むわ!」

 

愛 「うん! じゃあいくよ 愛さんからの…」

 

 

愛 「根性注入‼️ドッ‼️

 

 

愛 「どう? 受け取った? 愛さんの根性注入?」

 

鳴子 「へへっ! ありがとうやで 受け取ったわ 愛ちゃんの根性注入!」

 

愛 「えへへ! これで鳴っちとの「友情」がう〜んと深まったね!」

 

鳴子 「へへっ そやな!」

 

今泉・小野田 『フッ(ハハッ)』

 

侑 「愛ちゃんだけずるい! わたしもソレやりたーい!」

 

せつ菜 「わたしもやりたいです!」

 

歩夢 「わ、わたしも!」

 

愛 「もう! みんなぁ!」

 

鳴子 「ハハハ! ええで! やろうか」

 

せつ菜 「坂道さんと駿輔さんもやりましょう!」

 

今泉 「えっ? 俺も」

 

小野田 「良いじゃん やろうよ今泉くん」

 

今泉 「・・・」

 

 

愛 「ほらほら! こっち来て! 今っちと坂道にもやってあげる!」

 

 

***************

 

 

愛 「せっつー 鳴っちはもしかして 限界…なのかな?」

 

せつ菜 「そ、それは…」

 

愛 「鳴っち、様子がおかしかったもん 何度も段差に乗り上げたり、サドルを抜いたり、先頭に追いつくのにすごく必死で 今だって下向いて動かなくなっちゃった…これって、そう言う事なんだよね? 鳴っち、限界なんだ…ゴール…3人でのゴール 出来ない…鳴っち…」

 

せつ菜 「愛さん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

今泉 「お前の情けないフラつきで前との差がまた広がった 50mまで詰めていたのが いまは120mくらいにまで離されてる」

 

 

小野田 (今泉くん、口では冷たい事を言ってるけど 手はしっかりと鳴子くんを支えてる! 倒れないように 鼓舞してるんだ 鳴子くんを!)

 

 

今泉 「お前が引いて 俺たちを先頭に連れて行くんじゃなかったのか 特急じゃなかったのか」

 

鳴子 「ッハハハハ…単線区間で今のはたまたま…下りの特急待ちしとっただけや みくびるなよ…鳴子特急を 鳴子特急は有言実行! 赤い車体に世界一正確なダイヤや! 予定通りきっちり目的地まで 最…速で…くっ!」

 

今泉 「・・・くっ❗️」

 

 

  バン‼️ 鳴子の背中に当てた今泉

 

 

今泉 「鳴子章吉‼️」

 

 

鳴子 「っ!」

 

 

今泉

「男 鳴子章吉‼️俺の知ってる鳴子章吉はどんな困難にも跳ね除け 真っ直ぐに進む強い男だ‼️ 果たせ…お前の…お前が決めた 最後の役割を‼️

 

 

  ドッ! 拳を鳴子の背中に優しく突く今泉

 

 

鳴子 「…ハハハ わかっとるやないか…」

 

 

鳴子 「ありがとうや 受け取ったわ お前の根性注入❗️

 

 

今泉・小野田 『っ‼️』

 

小野田 (鳴子くんを助ける今泉くんを初めて見た 鳴子くんが今泉くんに「ありがとう」って言葉 初めて聞いた……変わっていってる 水にぶつかる波紋のように ボクはさっきまで鳴子くんに飛び出しちゃダメだと思ってた これ以上進まないでって…せっかくここまで3人で来れたのに もう少しで約束が果たせそうなのに 巻島さんが夢を見ろって言ってくれたのにって…このまま鳴子くんが休んでくれれば もしかしたら3人でゴール出来るんじゃないかって…でも違う それはもう違うんだ 形は変わる 刻一刻と形は変わっていく 6人で 全員で ゴールしたいけど出来ないのと同じように)

 

 

小野田 (もう3人でのゴールは出来ない!)

 

 

小野田 (きっと巻島さんが言ってた事は)

 

 

 

(巻島)

(だから見ろ 夢を 途方もねぇ あり得ない夢を それは時に失敗し 時に叶わねえ けどそいつは その積み重ねは 周りを巻き込んで)

 

 

 

小野田 (「夢」を見て 夢の思いを受け継いで 新しい「道」を進み (ひら)く力に変えろって事なんだ!)

 

 

小野田 「鳴子くん‼️

 

 

鳴子 「っ!」

 

小野田 「大変だと思う! すごく大変だと思う! でも…あの…お願いします本当に! だから遅らせてボクからも! 力いっぱいの…」

 

 

  ドッ‼️

 

拳に強く握り締め、鳴子のゼッケンに突く

 

 

小野田 「根性注入をォォ‼️

 

 

鳴子 「‼️」

 

 

鳴子 「…ありがとうやで 小野田くん スカシ ハハハ…今 300℃になったわ!

 

 

鳴子 「おるらあああああ‼️」

 

 

 

「すげぇ追い上げだ 虹学‼️」

「見ろ‼️あいつのバイクサドルがねぇ‼️」

「虹学の赤い男 鳴子‼️」

「サドル外しダンシングだ‼️すげぇ‼️」

 

 

 

鳴子 「るらあああ‼️

 

 

鳴子 (伝わってくるわビシビシ 2人の想いが ヤバイわ めっちゃ背中を押す! キツイのに…もうすぐ限界やいうのに!)

 

 

鳴子 めっちゃパワー出るわ‼️

 

 

鳴子 (見とるか? 愛ちゃん これが虹学一の派手男 鳴子章吉! このインターハイの最後の走り! すまんな、1-2-3フィニッシュ 見せられへん 2人を先頭に連れていくため 捨てなきゃならんいう奴を実行中や ボトルも…サドルも…ゴールすることを捨てた…けどな…)

 

 

鳴子 「おるらああああああああ‼️」

 

 

 

御堂筋 「っ⁉️」

 

 

御堂筋 「ナ…ル…コォォ!」

 

鳴子 「御堂筋! 来たわ! お前がいうてた…余計なもん捨てな実行して! 捨てたわ! ボトルも…サドルも…ゴールすることも! いろんなもん捨てて走って捨てて…最後残ったんは…お前が1番最初に捨てろいうた…」

 

 

鳴子 「 ‘友情’ やったわ‼️

 

 

 うおおお‼️

 

 

「虹学 この登りで 先頭京伏に追いついた❗️」

「すげぇ追い上げたったぞ❗️」

「虹学の赤い男鳴子! あいつすげぇ❗️」

 

 

 

鳴子 「ハッ…ハハハ!」

 

今泉 「ハァッ!」

 

小野田 「ハッ!」

 

 

 

御堂筋 (並んだ!? 並ばれた!? 追いつかれた!? このボクがァ⁉️ 「友情ォ」? はぁ!? 全て捨てて残ったもんが「友情ォ」? キモ! キモ❗️ キモォ❗️ 1番捨てなアカンそれを それを使うて? はぁ⁉️ このボクに追いついたいうんか 鳴子ォォ‼️

 

 

 

鳴子 「ハッハッ…追いついた…か? スカシ…」

 

今泉 「っ!?」

 

鳴子 「ハッハッ…なぁスカシ…そのはずや…」

 

 

鳴子

気配するからな…ハッハッ…並んどるやろ…御堂筋に〈気配するからな…ハッハッ…並んどるやろ…御堂筋に〉」

 

 

今泉 (鳴子……もう目が!)

 

小野田 「っ‼️」

 

 

 スッ 鳴子の背中を優しく撫でる今泉

 

今泉 「ああ、追いついてるよちゃんと よくやってくれた…」

 

 

今泉 「感謝する」

 

 

鳴子 「…そら……良かった…わ…」

 

 

 

「おお、ここまで仕事してきた3番が下がる」

「1番後ろで休ませ…ん? 違う! 下げたんじゃない!」

 

 

 

 

小野田 「くっ………ありがとう 鳴子くん!」

 

 

 

 

 

鳴子 (追いついた…追いついたった…遂げた…やり遂げた…もう…なんも残ってへんわ…手も…脚も…つま先も…全部使い切ったわ…… 約束…果たせんかった…けど…ごっつい充実感や……)

 

 

 

   ガシャん‼️

 

 

「きゃあああ‼️」

「落車だ‼️」

 

 

落車して仰向けになる鳴子、震えた右腕を上げて拳を握る

 

 

鳴子 (後は……スカシ…小野田くん…持っていけ…ゴールまで ワイからの……)

 

 

鳴子

根性注入や‼️……気張れよ…派手に‼️)

 

 

 

虹ヶ咲学園ゼッケン3番 鳴子章吉 リタイア

 

 

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