メスガキゲーマーのわからせたい! 保管庫 作:にゃあたいぷ。
音ゲー界隈には語り継がれる伝説がある。
四年前の事、とある音ゲーの全国大会決勝戦の舞台で大学生の男が太鼓を叩いていた。彼は過去、全国大会で二連覇を達成した男であり、十年に一人の逸材と呼ばれる音ゲー界隈のカリスマ的存在である。二度目の優勝の時は一回戦から決勝戦まで圧倒的な大差を付けての勝利であり、史上初となる三連覇の掛かったこの年の大会に対する意気込みも凄まじかった。初戦からフルコンボを連発し、全国大会のプレッシャーすらも力に変えて自己新記録を連発した。彼の集中力は勝ち上がる度に増し続けて、決勝戦では完全究極体と評される程に仕上がっていた。
最早、勝負が成り立っていなかった。会場に居る誰もが彼の優勝を信じており、筐体のメーカーでもある大会の運営は彼を殿堂入りにする為の書状まで用意していた程だ。
そんな彼の隣で太鼓を叩くのはUMAを名乗る無名の少女。予選で筐体に付属されている撥を手に取り、ギャラリーから失笑を買っていた彼女もまた全国大会の舞台でフルコンボを連発し、あれよあれよという間に全国大会に出場して決勝戦まで勝ち上がってしまっていた。決勝戦で選ばれた曲は過去三年間、誰もフルコンボを達成する事が出来なかった最高難易度の曲による譜面でたらめ。決勝戦の舞台でも少女は筐体付属の撥を手に取り、曲を選択する前に五秒だけ太鼓を叩いて感触を確かめる。そして音ゲー界隈が生み出した最終兵器との勝負に臨んだ。
少女は眠たそうな目とは裏腹に目で追いかける事が出来ない程の撥捌きを披露する。
少女は予選から決勝戦まで自分で曲を選択する事をしなかった。
ランダム曲選の譜面でたらめ。比較的簡単な曲になる事も多かったので注目を浴びなかった。幼い見た目をしていたので、なんとなしに記憶に残っている。しかしカリスマの放つ強烈な光に目を焼かれた観衆は、彼女の淡々と熟すプレイスタイルに意識を向けられなかった。百人に問えば、九十九人がカリスマが勝つと語る。残りの一人は、彼女の対戦したプレイヤー達だった。その者達ですらも十中八九でカリスマが優勝すると思い込んでいた。
カリスマに脳を焼かれた者達の表情に陰りが出始めたのは、一曲目の半ばに入った頃。フルコンボを決めている筈のカリスマのスコアが僅かに少女を下回っていた。騒めく観衆、一曲目を終えた時、歴史上初となるフルコンボが達成された。歴史的快挙、今の筐体が世に出てから世界中の音ゲーマー達が挑んで散った夢の跡、遂に辿り着いた頂の果て。渾身のガッツポーズを決めたカリスマの顔が曇ったのは、何故か自分のスコア画面に敗北の文字が刻まれたからだ。
少女は自分のスコア画面を見て、少し微笑んだだけだった。
世界最強の音ゲーマーの話になると誰もが圧倒的カリスマ力を誇る完全究極体を上げる。
彼は史上初となる三連覇を達成し、メーカーから殿堂入りの書状を貰って全国大会を卒業する。
彼が居た時代に生まれた音ゲーマーは生まれた時代を間違えたと言われた。
彼も含めて。
彼は誰もが認める十年に一人の逸材で完全究極体と呼ばれるに足る人間だ。
しかし同時期に産まれた百年に一人の逸材が居た。最早、自分達と同じ人間と呼ぶ事も烏滸がましい存在。理解の範疇を超えて人間をも超越した何者か。過去、AIがオセロを終わらせた。チェスを終わらせた。囲碁と将棋を終わらせた。当時、世界中で誰もが挑んでフルコンボを達成できなかった最高難易度の曲は、三曲あった。彼女は伝説となった全国大会決勝戦の舞台で二曲をフルコンボで達成し、残る一曲でフルスコアを叩き出した。無名の少女が音ゲーにおける一つの時代を終わらせてしまった。
彼女の事を表現する術を持たなかった音ゲーマー達は、彼女のプレイヤー名に準えて未確認生命体と呼び称えた。
UMA。全国大会に出場したのは一度限り、しかし決勝戦の衝撃から未だに“最強を超えた何か”と畏怖されるただ一人の生命体である。
◆
理解が、追い付かなかった。
突撃銃の斉射を受けて、その大半を叩き落とすなんて芸当はプロゲーマーでも不可能だ。
光剣を両手に握る羊の少女が、踊るように間合いを詰める。懐の深くまで潜り込まれた事に舌打ちし、ワンタッチで突撃銃の先端に取り付けられた銃剣を外す。そして突撃銃を彼女の視界を妨げるように優しく放り投げる、直後に手首のスナップだけで手榴弾を投げた。突撃銃は光剣で容易く両断される。そして残された手榴弾を見て、メリーはギョッと目を見開いた。
頭上から飛来した光剣が手榴弾を貫いた、そして爆発する。
直前に身を屈めた私は、シールドのゲージ残量がゴリッと削れるのを横目に爆発の跡を見た。漂う黒煙に光の軌跡が入り、切り裂かれる。そして煙の中から光剣が飛び出す。右手に握り締めた銃剣で弾き飛ばす。光剣の刀身に重量はない、大きく飛び退いて薄れつつある黒煙を睨んだ。晴れる煙の中からメリーが煤汚れた姿で現れた。けほっと咳を零し、私を見た。残る二本の光剣が、彼女を中心にした衛星のように回っている。
今ので仕留めきれなかったのは痛い。
「…………」
彼女は何も言わず、無言で両手を動かす。
指揮を執るように操作された三本の光剣が、私に襲い掛かる。三方向からの連続攻撃を対処する術を私は持ち合わせておらず、距離を取って一本一本を丁寧に対処していくしかない。幸いにも指揮を執っている間、彼女は自分から動こうとはしなかった。一本目の袈裟斬りを身を逸らして躱し、首を狙った二本目を身を屈めて避ける。三本目の足元を狙った横薙ぎを軽く跳んで躱した。そうするとまた一本目が狙って来たので、銃剣で弾き飛ばす。二本目が着地際を狙っていたので、CODE:アクセラレーションで落下速度を倍にし、相手の攻撃が届くよりも先に片脚を着地して後方に跳躍して躱す。視界の端に三本目が背後に回っていたのを確認していたので、首を狙っていると当たりを付けて大きく身を屈める。するとまた一本目が下がった頭を狙って斬り上げて来たので、銃剣で払った。私が大きく動かされるのに対して、相手は両腕を動かすだけだった。掠める髪先の焦げる臭い、執拗な攻撃に嫌気が差す。何処かで切り返さないとじり貧のまま殺される。どうしても躱せない攻撃だけ銃剣で弾いて、反撃の糸口を探る。
大人しく退けば良いだけの話なのかも知れない。
CODE:Fの銃弾は、視認出来る程度に速度が遅くなっている。具体的にいうとエアガン程度、銃口から発射されると分かった上で目を凝らせば見えるくらいだ。だけど突撃銃の弾速に反応出来たとしても狙撃銃の弾速に対応する事は難しいはずだ。狙撃手である日和なら勝てる。私が相手をする必要はない、けど。退くのは癪だ、だから私は強引にでも前に出る。CODE:アクセラレーションを起動し、羊の少女まで続く道に望みを掛ける。それは細い細い糸の上を駆け抜ける所業。それを理解した上で、あえて挑んだ。
回避は必要最低限、石畳の地面を踏み締めて人間一人分もない隙間に身体を捻じ込んだ。シールドのゲージが青から黄に、黄から赤に、温存していた分が一気に削られる。
「関係ない、死ななければ安いッ!」
絶え間なく続く、光剣の猛追を潜り抜けて、更に更にと加速させる。
CODE:アクセラレーションは、速度に直接作用する。身体の動作には影響を与えないけども走行速度や落下速度に影響を与えてくれるのだ。あと十メートルの距離でシールドが底を尽きた、次の一歩で左腕を切断される。更に一歩、右手に握り締めた銃剣で光剣を懸命に弾いた。残り五メートルで相手の攻撃の手が緩まった。直後、右足首に違和感がある。地面すれすれを這うように飛んでいた光剣が私の右足を切断したようだ。左腕と右足の切断面が0と1に分解される。まだ死亡判定にはなっていないけど、カウントダウンが始まった。あと一歩、左足で地面を全力で踏み付けて、全身全霊で跳躍する。ここ一番での大勝負、攻撃が緩んだと思ったメリーの両手には光剣が握られていた。
気にせず、一撃で仕留める為に右手に持った銃剣をメリーの額の中心を目掛けて、突き出す。
「わかりやすい」
その時、メリーの両腕が消えたように見えた。幾重もの剣閃の軌跡、伸ばした右腕がバラリと輪切りにされる。
彼女の両腕は、ちゃんと付いている。余りにも動きが早過ぎて見えなかった。まだだ、と歯を食い縛って、今度は全身を伸ばして私の額を相手の顔面にぶつけてやろうとした。だけど、それは彼女の大きく振り上げた足によって妨げられる。彼女の足裏が胸元に押し込むように乗せられていた。重力に逆らえず、地面に落ちた。だけど右の足首を失った状態では立つ事もできず、かといって横に倒れる事もできず膝立ちになってしまった。
メリーは両手の光剣を手元で器用に回転させて、そして光の刀身を交差させて私の頸を挟み込んだ。
「程々に楽しめた」
その言葉を最後に、メリーは私の頸を刎ねた。
◆
二挺拳銃は本来、強い武器ではない。
近距離の銃器は短機関銃か散弾銃が良いし、白兵戦も熟す距離だと普通の拳銃の方が使い勝手が良かった。
ぶっちゃけた話、ネタ武器のひとつである。
CODE:Fには、こういった中途半端な武器が数多く存在する。
というのも本作がVR全盛期と呼ばれる今の時代を築き上げた名作のひとつであり、実験的に組み込まれた要素が数多く存在していた。対戦用としてのゲーム性を損なわない為、特殊な要素を持つ武器は性能を低めに設定されており、修正を重ねることで少しずつ性能を上げている。そして二挺拳銃は、強化を受けた事が一度もない。二挺拳銃は作中で登場するボスが使う武器であり、高度なAIがガン=カタを使用するので下手に二挺拳銃の性能を上げるとゲームバランスが崩壊する可能性があるからだと予想されている。
私もガン=カタには憧れるのだけど、流石に昔観た映画と同じようには上手くいかなかった。
それでも二挺拳銃は私だけのスペシャルだ。
「CODE:リコチェット」
私、小春茉莉に向けてRENが突っ込んで来る。
二挺拳銃で応戦するも揺れる金髪に目測が眩んだ。彼女の身体を掠めるだけで捉え切れない、まるで銃弾が彼女の身体をすり抜けているかのように感じられる。見て躱している訳じゃない。もしそうであれば彼女の勝率はもっと高くなる筈なのだ。何度も繰り返して反復した動き方、特殊な歩行が照準と撃つタイミングを狂わせられる。元になった動きは恐らく、アメリカンフットボール。ゲームだから出来る人体に負荷を掛けたステップの刻み方、相手を誘って揺さぶるタイミングは実戦を繰り返す事で身に付けたものだ。RENは相手をよく観察する。激しい運動の中でも極力、相手から視線を切るような真似をしなかった。
RENが右手に握る片手剣。振り被ると同時に大きく踏み込んできたのに合わせて、私は一歩分だけ退いた。
右手の拳銃で彼女の眉間に照準を合わせた、左手の拳銃は地面に向ける。彼女の視線は、私の右手の指先に集中していた。引き金を引く直前、彼女の身体が私から見て、左側に逸れる。その瞬間に左手の拳銃を地面に向けたまま放った。CODE:リコチェットは起動済、地面を跳ねた銃弾が躱した彼女の身体に刺さる。
「ちィッ!」
高々一発の銃弾程度はシールドに妨げられる。
そんな事は分かっている。重要なのは、シールドは衝撃までは吸収しないということ。僅かに蹲る彼女が動きを止めた一瞬の隙を突いて、二挺拳銃で相手の眉間に照準を合わせた。苦悶の表情を浮かべるRENは、歯を食い縛って身体を起こし、射線から逃れようと身体を捩る。彼女の視線は銃口に注がれていた。
私は、引き金に人差し指を掛けたまま、拳銃から手を放す。
二挺の拳銃は、重力に従って銃口が地面に落ちる。注視していたものが一瞬で消えた事にRENは目を見開いた。RENの反射神経と動体視力の良さは知っている。だけど彼女は感覚に頼る天才肌ではなかった、ヤマを張るタイプの勝負師だ。想定外の事態に混乱し、状況把握に思考を費やす。御姉様なら考える前に撃っている。紅葉も同じだ。彼女は警戒すべきを警戒しても、不可解な事がある時は撃ってから考える。
こういうのに引っかかるのは葛葉小雪と同じ、よく考えながら戦うタイプだ。
「てぇいッ!」
左足を軸にし、右足の爪先で彼女の脇腹を抉った。
彼女の金色の瞳が揺れる。ヒュッと口から息が漏れる音を残し、彼女の身体が真横に吹き飛んで行った。十数メートルの距離が離れる。二度、三度と身体を地面に打ち付けた彼女は、片手で地面を叩いて強引に体勢を立て直す。
まだ片膝を着いた姿勢。そんな彼女に二挺拳銃の銃口を突き付ける。
「……CODE:バースト」
地面に添えられた右手から衝撃波が放たれた。
瞬間的に砂煙が舞い上がる。私は舌打ちを零し、砂煙から距離を取った。
カンと右側から音がした。
瞬間的に視線を送れば、何もなかった。
ゴミ箱が置いてあった。傍に薬莢が転がっている。
「おとりッ!」
勘付いた私が右手の拳銃で正面、左手の拳銃で左側をカバーする。
そして視界の端で砂煙の中から金髪の少女が姿を現す。彼女が飛び出したのは右側だった、思考を読まれていた。
咄嗟に二挺拳銃を右側に戻し、引き金を引いた。
RENは思い切りが良い。ゲームをゲームとして楽しんでいる。
全速力で駆け出す彼女に照準は追い付かず、メインストリート脇に建てられた電灯に掴まって右から左へと切り返した。
その時に電灯脇に置かれていたゴミ箱を私に向けて、蹴り上げた。
躱さざる得ない、右から左へと駆け抜けるRENに先回りする形でゴミ箱を左に避ける。
二挺拳銃を構える。しかし向けた銃口の先に彼女の姿がなかった。右側から足音がする、前に突き出した両腕を右に移動させる。彼女を捉えた、照準が合わさる瞬間、彼女は左へとステップを刻んだ。数舜、遅れて発射した銃弾は、やはり彼女の金髪を捉えただけだ。だけど、まだ距離は遠い。彼女が私の懐に入るよりも先に仕留める事が出来るはずだ。点で捉えるよりも、連射して面で捉える。
そう考えた時、彼女が小さく呟いた。
「CODE:バースト」
五度目の使用。衝撃波の音と共に彼女の身体が急に加速する。
私が引き金を引いた時、彼女は私の右手の甲を、そっと左手で押した。
狙いが外れる。拙い、右腕の外側に入られてしまった。
蹴りは無理。退くのも間に合わない。
私は左腕の肘を曲げて、拳銃で彼女の胴体を狙う。よりも早く背中に回り込まれる。
回り込まれた時、同時に短刀で首筋を斬られてしまった。
「とろいね」
何時の間に片手剣から持ち替えたのか。
身体が0と1に分解される中、悔しさに歯を食い縛った。
◆
バトルロワイヤル戦も佳境を迎える。
Vs界隈では敵なしのteam.風花雪月のチームメンバー同士の対抗戦を売りにした本対戦は、半ば企画倒れになっている。というのも終盤戦まで残った面子にteam.風花雪月は、小春日和の一人だけである為だ。
企画そのものが失敗した訳でもない。
no name:茉莉も倒されたか
no name:RENって子、初めて見たけど強いな
no name:あのメリーっての何者?
no name:テレキネシスで光剣を操ろうってした奴は居たけどな
no name:三本同時に操るのはイミフ
小春茉莉と呉紅葉の二人が倒された事で視聴者の興味は、二人の少女に注がれる。
茉莉の身体が完全に分解されたのを見届けたRENは、大きく息を零す。日に何度も対戦をしている身の上ではあるが、常に対戦している状態での連戦は思っていたよりも疲弊する。そして近場には、まだ他のプレイヤーが居る事も分かっていた。
中央広場からメインストリートに誰かが入って来る。
その足音に反応して、RENが後ろを振り返った。モコモコのドレスを着た少女、両手には光剣を握り締めている。臨戦態勢を取らなかったのは、彼女から殺気を感じなかったからだ。少女、うたた寝メリーは、RENの姿を確認すると小さく息を零す。
そして二人は一歩、同時に歩み出す。
「残りのリソースが回復するまでの時間は?」とRENが問い掛ける。
「……まだ、少し掛かる」とメリーが眠たそうに答えた。
「私は、さっき使い切ったばかりだから一分程度、必要になる」
会話を交えながら一歩、また一歩と歩み寄る。
今、戦場に居るのは二人きり、メインストリートに足音だけが響き渡った。互いに理解していた。
互いに互いが近接主体の戦い方である事を見抜いた上で、距離を詰める。完全に相手を信じている訳ではない。警戒心を維持したまま、だけど相手が不意打ちをしてくる奴ではない事を直感で見抜いた上で歩み寄る。緩んだ雰囲気が一歩、また一歩と歩む度に張り詰めていった。着崩したシャツのボタンを下から留めていくように、心のドレスコードを整える。
書き込まれるコメントが二人の歩みに合わせて少なくなる。
呼吸するのも忘れる程の緊張感。気付けば、大半の視聴者が拳を握り締めていた。
唾を飲み込んだ。
二人が互いの間合いに足を踏み入れた時、誰も書き込まなくなった。
カツ、カツ、カツ、と二人の足音だけがメインストリートに響く。RENが挑発的に笑っていた、対するメリーは無表情だ。だけど瞳だけはギラギラと輝かせる。互いが互いを獲物だと認識していた。RENは強者に飢えていた、メリーは刺激に飢えていた。互いの武器の切っ先が届く範囲に入っても歩みを止めず、手を伸ばせば届く距離になっても更に踏み込んだ。
互いの息が吹き掛かる距離、RENは自らの額をメリーの額にコツンと当てる。
金色の瞳と青色の瞳。二人は互いの瞳を睨み付ける。
二人は一歩も退くことをしなかった。
「あと十秒、カウントダウンは必要?」
「いらない、それも含めて対戦」
「最高、後で名前を教えてよ」
「私に勝ったら教えてあげる」
二人の会話を耳にし、視聴者が各々でカウントダウンを刻み始めた。
画面越しにも伝わる張り詰めた緊張感に瞬きも出来ない。
もう二人から目が離せない。
胸の鼓動が高まる。乾く唇、息を飲み込んだ。
あと数秒が待ち切れなかった。
額を合わせていた二人が、息を合わせたかのように踵を返す。
そして互いに背中を合わせた。瞼を閉じる小さく息を吸い込んだ。二人は背中越しに相手の存在を感じ取る。相手の胸の鼓動を背中に受ける。温もりを感じ取り、息遣いにも意識を向ける。
そうして二人は限界まで集中力を高め合った。
始まりは一瞬、初手で勝負が決まるかも知れない緊張感。空気がピリピリと張り詰める。
大半の視聴者が零を刻んだその時だ。
二人の頭上から大きな発砲音が聞こえた。
硝子の砕ける音。天井から降り落ちる大量の硝子片、紛れて落下する二人分の人影。
しかし二人は、頭上から降り注ぐ何かを意にも留めなかった。
お互いに頭の中にあるのは、互いの存在だけだった。
太陽光を受けて煌めく硝子片が舞台を彩る。
その幻想的な光景を背景に二人が弾けるように動き出す。
RENとメリーの真剣勝負が今、幕を開ける。
▼チーム風
〇小春日和@CYB :P狙撃銃・E突撃銃・E短機関銃:CODE・オートトラッキング
×歌風ハルカ@CYB:P短機関銃・P短機関銃・?:CODE・アサルトラッシュ
×歌風カナタ@CYB:P重機関銃・P日本刀・P手榴弾:CODE・テレポーテーション
▼チーム花
×小春茉莉@CYB :P二挺拳銃・煙幕弾・?:CODE・リコチェット
×幽谷風子@GoP :P軽機関銃・P拳銃・?:CODE・プロテクト
×伽藍堂ソラ@Emo:P散弾銃・P金属バット・P手榴弾:CODE・アクセラレーション
▼チーム雪
×葛葉小雪@CYB :テーザー銃・閃光弾・P弾道短刀:CODE・ダミードール
〇うたた寝メリー@PCO:E光剣・E光剣・E光剣:CODE・テレキネシス
〇サフラン@CYB :P狙撃銃・?・?:CODE・?
▼チーム月
×呉紅葉@CYB :P銃剣付突撃銃・E小銃・P擲弾発射器:CODE・アクセラレーション
〇久遠綴璃@CYB:P狙撃銃・P散弾銃・?:CODE・?
〇REN :P片手剣・P短剣・P大鎌:CODE・バースト