夜8時のIS学園の校門前、一人の女の子がボストンバッグ1つを持って立っていた。
「ふふふ、やっと着いたわIS学園!」
小さな体に自信満々の瞳をした少女は腰に手を当てて一息つく。
「これであいつにまた会える!待ってなさいよ一夏!」
そう言って女の子は意気揚々とIS学園の中へと入っていった。
[一時間後]
「うぅ……ここどこよぉ……」
先程まで自信満々の顔をしていた少女は先程とはかけ離れた迷子の子供のような、目に涙を浮かべて不安そうな顔をしていた。
「ここ広すぎよぉ……あっ!」
涙を浮かべた少女は辺りをキョロキョロと見回すと、遠くにぼんやりと明かりが見えた。希望を見つけた少女は明かりに向けて全力疾走する。
「失礼しますっ!……ピギャ!?」
ドアを勢いよく開けたと同時に吹っ飛ばされた誰かの背中が視界を覆うと同時に、その吹っ飛んできた背中が少女の顔面にぶつかった。
「どうした一夏!その程度の見切りで私の剣は返せないぞ!」
「………」
男……大尉は吹っ飛ばされたにも関わらず、何も無かったかのように起き上がる。一方で大尉を吹き飛ばした人物、千冬は竹刀を中段に構えたまま起き上がる大尉を見る。大尉を見る千冬の瞳は目の前にいる大尉を殺さんばかりに睨みつけていた。大尉は竹刀を使って立ち上がると2本の竹刀を構えて千冬に向き合う。二人は竹刀を持っているが剣道の防具は着けていない。それは千冬が防具が無くては痛みを感じないという理由からだ。大尉は竹刀を構えながら口を開く。
「……剣では……まだ勝てない……か。」
「お前とは積み重ねた時間が違うから…な!」
そう言うと千冬は大尉に向けて踏み込む。大尉は自分に振り下ろされた竹刀を躱そうと動く。
ムギュ
「(……ムギュ?)」
大尉は自分が何か不自然な物を踏んだ様な感触に気づく。その感触に一瞬気を取られたのが命取りだった。
大尉の頭に千冬の竹刀が振り降ろされる。大尉は防御をするが間に合わず、大尉の顔面に竹刀がぶつかった。
「一夏?あのくらいお前なら躱せただろう。どうした。」
「…………」
大尉は竹刀を顔面で受け止めたまま、視線を下に向ける。千冬が大尉の視線につられて下を見ると、そこには顔面を大尉に踏みつけられている少女がいた。
「……なんだコイツは」
「…………?」
千冬は大尉の顔面から竹刀を退けて大尉に質問する。しかし、千冬の質問に大尉はわからないと言いたげに首を傾げる。暗がりで顔が見えず、姿からおそらく少女だと判断した二人。千冬は少女の服の襟を掴むと明かりのある道場に投げる。明かりによって見えたのは白眼を向いた小柄の少女だった。
千冬と大尉はこの白眼を向いた少女を知っていた。
「一夏、コイツは確か」
「………鈴」
鳳鈴音、中国人で大尉の幼馴染みの一人。大尉がドイツに行くと同時に別れた大尉の友人である。しかし、大尉と千冬は久しぶりの友人に懐かしいや感動といった感情の前に一つ疑問に思っていた。
「「(何でここにいるんだ?)」」
二人は竹刀を肩に担ぎ、白眼を向いた鈴を見てそう思うのだった。
_______
「んん……」
顔面に痛みを感じながら鈴は起き上がる。そこはIS学園のパンフレットで見たIS学園の寮の部屋だった。
「一夏、起きたぞ。」
「…………」
鈴の看病をしていた箒が大尉に呼びかける。大尉はアイスを食べながら鈴の方へ視線だけ向ける。鈴は昔から変わらない雰囲気と片手に持ったアイスを見て、目の前にいる男が織斑一夏だとわかる。
「い、一夏!?あたし何でベッドに寝てるの!?」
「……道場前で……お前が気絶してたから……運んだ」
「そうだ……あたしは何かが目の前に飛んで来て……」
鈴は自分が気絶する前の記憶を思い出す。道に迷って、明かりを見つけて扉を開けたら目の前に人らしき物体が飛んで来た。鈴はアイスを食べている大尉の背中に何か見覚えがある気がした。
「そういえばあの時飛んできた背中……一夏の背中に似ているような……」
「………?」
「そうよ!あの背中にぶつかってあたしは気絶したんだった!」
大尉は鈴の言っている事がわからないと言いたげに首を傾げる。しかし、大尉は自分が千冬に飛ばされたのを思い出す。大尉が考えているうちに鈴は確信を得たように一夏を指さす
「思い出してわかったわ!一夏!あたしはあんたにぶつかって気絶したのよ!」
「…………」
「悪かったって?素直に謝るのは良いことよ。今回は事故だったから特別に許してあげるわ」
「……………」
「そうねぇ、今度あたしの買い物に付き合いなさいよ。そしたら許してあげるわ!」
「(なんでアイツは一夏が一言も喋ってないのに意思疎通できるんだ!?)」
大尉は何も喋っていないのに、鈴は大尉が言っている事がわかるように大尉に話す。大尉は鈴の買い物に付き合うという条件を了承したのか、頷いて肯定の意思を示す。大尉と買い物の約束をこぎつけた鈴は満足気に頷くと、箒に目を向ける。
「そういやさ、あいつ誰?」
「……箒……幼馴染」
「はぁ?あたし以外に幼馴染いたのあんた?」
「……お前とすれ違いの……幼馴染み」
大尉はそれだけ言うとテレビを点けてテレビを見る。
「なるほどね、"前の"幼馴染ね」
「………ほう」
"前の"という言葉に反応して箒の眉がピクリと動く。鈴は箒に挑発的な視線を向ける。
「ねぇ、前の幼馴染みさん。あんたさ、男と相部屋だと大変じゃない?私なら気にならないからさ、部屋変わってくれない?」
「私も気にしてない」
「……着替えとか男が一緒だと結構大変じゃない?」
「一夏はそういう時、何も言わずに部屋から出ていってくれるから大丈夫だ」
「……一夏の世話って大変よ?私なら慣れてるから平気よ?」
「私も慣れてるから平気だ」
鈴の言う事全てに箒がお茶を飲みながら言い返す。鈴は我慢の限界が来たのか、声が大きくなる。
「ああもう!いいから部屋変わりなさいよ!」
「いい加減わかれ!変わる気は無いのがわからないのか!」
「うるさいうるさい!大人しく変わらないと……!」
「変わらないとなんだ?やってみせろ!」
「……うるさい」
「グハッ!!」「ピギャッ!?」
鈴と箒の顔の距離が近づいて、一触即発の空気の中、周りの声が大きくてテレビの音が聞こえなくなってイライラした大尉が箒と鈴を文字通り"殴り飛ばした"
ドアを壊れて鈴と箒は廊下の壁に叩きつけられて気絶した。
「……修理届け出さないと」
大尉は気絶した鈴と箒を一瞥すると再びテレビを見るのだった
なんだこの低クオリティ