休みになってほしいんじゃよ
ゴーレムが降り立った数秒後、アリーナ全体にブザーが鳴り響き警報が発令される。
『謎のISが侵入!生徒は直ちに指定の場所に避難して下さい!』
「な……なによ……あれ……」
地面に倒れている鈴は目に見えるゴーレムに鈴は驚愕する。IS学園の警備は世界有数の筈、しかしあのISはIS学園の警備に一切引っかからずにこのアリーナまで来たからだ。鈴は疲弊して弱りきった体で必死に起き上がろうとする。しかし鈴が起き上がろうとするが大尉に頭を掴まれて起き上がれない。
「い、一夏……あんたなにを……?」
「……邪魔だ」
大尉は鈴の頭を掴んで持ち上げると鈴が出てきた方の出撃台の方へ投げる。閉じる出撃台の扉越しに鈴が投げ込まれて行くのを確認した大尉はゴーレムに向き合う。
「……シュレディンガー」
「はいはーい、ここにいますよ大尉」
「……ここにあるカメラ……全てを破壊しろ」
「ん?どうしてですか?」
『ヴェアヴォルフとして戦う可能性があるかもしれないからですよシュレディンガーくん』
「……ドク」
「生徒たち全ての避難を確認したのでアリーナのドア全てをロックしましたよ。彼女たちが大尉の正体を知るには少し早いですからねぇ」
白狼のプライベートチャンネルに六枚のレンズがあるメガネをかけた女性が映る。大尉は口調とその狂気を感じさせる笑みを見て懐かしそうにモニターに映る女性を見る。
「彼女たちがまだこの事を知るにはまだ覚悟が足りませんよ。知らない方が幸せなんですよ…今は…ねぇ」
「……りょーかい!シュレディンガー准尉!任務を果たして参ります!」
シュレディンガーはドクが何を言いたいかを理解し、笑顔で敬礼をしてその場から消える。
『それでは大尉、あの戦争処女に教えてあげましょう』
ドクがそう言うと大尉は白狼のフェイスマスクを外し大きく息を吸う。ドクはそれをモニター越しに見て口元を釣り上げる。
『何を相手に戦争を挑みに来たのかを…ねぇ』
「AhwoooooooN!!」
小さな戦場に一匹の狼の遠吠えが響いた。
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「織斑先生!アリーナの全ドアがロックされています!通信関係も全て反応無し!外部との連絡も取れません!」
「何が起こっている…!」
千冬は苛立たしげに扉を蹴る。何者かにハッキングをされ、扉は何重にもロックされており破れる気配は無い。試合が終ったと同時にやって来た黒の巨人。千冬はその正体に薄々感づいてはいるが、自分の家族に万が一何かあったらと不安で顔に焦りの表情が浮かぶ。麻耶はキーボードを打ちながら何とか外部と連絡を取ろうとするが連絡は取れそうにも無かった。そして麻耶はある事に気づく。
「こ、これは……!織斑先生、アリーナについてあるカメラ全てが何者かに破壊されています!」
モニターに映る画面が一つ一つ着実に黒くなっていく。麻耶たちは気づいていないが、カメラが映らなくなっているのはシュレディンガーが物理的にカメラを破壊していっているからである。何処にでもいて何処にもいない、彼女はカメラの視界に入る事無く能力を使って瞬く間にカメラを破壊しているのだ。やがて全てのモニターが映らなくなり千冬たちに情報を得る方法が無くなった。
「くそ!これでは一夏に何かあったら私はどうすればいいんだ…!」
千冬は苛立ちを紛らわそうとタバコを取り出して火をつける。それを見て麻耶はある事に気づいて千冬が吸おうとしているタバコを指さす。
「織斑先生……タバコの向きが逆です」
「…………」
麻耶に言われて千冬が気づくと千冬は恥ずかしそうな表情でタバコを握り潰した。
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大尉は遠吠えを上げるとゴーレムに接近する。ゴーレムは大尉に反応すると大尉に向けてレーザーを乱射する。大尉は地面を飛び回りレーザーを避けるとゴーレムに接近するのに成功する。大尉はゴーレムの頭を掴んで地面に叩きつけるとゴーレムを掴んでいない方の手でロングモーゼルの銃口をゴーレムの頭に向けるとオートに切り替えゴーレムの頭に連射する。ロングモーゼルのマガジンが空になるまで撃ち続けるとゴーレムは関節部分を曲げて大尉に向けてレーザーを発射する。大尉は上半身を反らしてそれを避けるとレーザーを撃ってきた腕を掴む。
「……絶対防御は」
大尉はゴーレムの腕をおかしな方向へ曲げる。何かがちぎれるような音が聞こえてくる。ゴーレムは力任せに大尉を振り解こうするが腕はピクリとも動かず、全く振り解ける気配は無かった。
「……完璧ではない……!」
ブチィッ!という音が鳴るとゴーレムの腕が引きちぎれる。大尉はちぎれた腕を一瞥すると腕を放り投げる。
「……人形では……俺には勝てない」
大尉は二天狼を呼び出すと両刀でひたすらにゴーレムを斬りつける。ゴーレムも腕のレーザーで反撃しようとすると、大尉はゴーレムがレーザーを撃とうとする度にゴーレムの腕を蹴り飛ばしてレーザーの射線を逸らす。
大尉の絶え間ない連激により段々とゴーレムのシールドエネルギーがゼロへと近づいてくる。大尉は刀を一本床に突き刺してもう一本の刀を両手で持つ。
「……………」
大尉は無言でゴーレムのコアがあると思われる胸部分を思いっきり突き刺す。胸を突き刺されたゴーレムは痙攣のような行動をすると動きを停止した。
大尉は特に何も感じて無いのか動きを停止したゴーレムを一瞥すると、ゴーレムの頭に刀を突き刺す。
『お見事。さすがは大尉ですねぇ。』
モニター越しにドクが大尉に拍手を送る。大尉は頷くとドクを見て思った事を口に開く。
「……ドク」
『なんでしょう?』
「……女になったんだな」
『最後まで真面目にやってください』
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[とある場所]
「うっひゃ〜、いっくん強すぎだよぉ」
モニターに映る大尉を見てウサギ耳を着けた女性がニヤニヤと笑う。
「やっぱこの程度じゃいっくんが満足する闘いは届けてあげられないなぁ」
女性はマグカップに入ったコーヒーを啜りながらモニターの1つを見ると不審な点を見つける。
「あれあれ〜?ゴミが一つ紛れ込んでるなぁ〜?まぁいっか」
女性はニヤニヤ笑いながら大尉が映るモニターを眺める。
「どうせもう直ぐ廃棄になるだろうし……ねぇいっくん?」
女性は指で銃を作るとバァン♪と言って再びコーヒーを啜るのだった。