今回シュレディンガーがシュレディンガーらしくないかもしれません。ごめんね!
前回短めだったので今回は長めに書きました
発射されるレーザーとミサイルを大尉は最小限の動きで避ける。それを見た節制14は口笛を吹いてニヤニヤと笑う。
「ヒュー、やるじゃねぇか。そうじゃねぇと面白くねぇぜヒャハハハハハ!!」
「……………」
節制14が笑い、大尉がそれを見つめている時マイクに電源が入るような音がし、スピーカー越しに声が聞こえる。
『一夏ぁぁぁ!!そんな奴さっさと倒せ!!目の前の傲慢な奴に負けるなぁぁぁ!!』
声を上げて、大尉にそう言っていたのは箒だった。その表情は大尉を応援しようとしている純粋な表情をしていた。だがそれは普通の人に対してならかなり無茶な要求だ。ゴーレムが襲来してから箒はいち早く部屋を飛び出し通気口を通ってさっきここにたどり着いたばかりで、何が起こったていたのか全然わかっていない、大尉が節制14の能力によりISが展開できないのを知らないのだ。状況がわかっていない箒は大尉にIS無しでISを倒せと言っている、普通の人なら不可能に近い事を箒は要求しているのだ。
しかし、大尉は普通では無い。
スピーカー越しに出された大声を聞いてから節制14は箒がどこにいるのか理解し、鬱陶しそうな表情をする。
「チッ…人が気分良いのにそれを害しやがって……うぜぇな」
レーザーを発射する壺が箒に向けられ、エネルギーが収束してるような音が聞こえ始める。箒はそれを遠目越しに見て目を見開いて驚愕する。
「な……!」
「ホントにムカつくな……死ねよ」
「……箒……バカな事を……!」
「ああもう!仕事を増やさないでよ!」
レーザーが発射されようとしている中、二つの影が動いた。大尉は上空に浮遊している節制14目掛けて跳躍し、レーザーを発射する壺の銃口を逸らそうと蹴り飛ばす。もう一つの影、シュレディンガーは何が起きようとしているのか瞬時に理解して能力を使い箒の所まで行くと、箒を今いるところから移動させる。
2人のお陰かレーザーが箒に当たる事は無く、最悪の事態が免れる。シュレディンガーは箒を安全な所まで連れていくと、箒の頬を引っぱたいた。
「キミはバカ?敵を無闇に刺激するなって日本では習わなかった!?ていうか習っていなくても常識だよ!?」
「わ、私は一夏を……」
「そう言う事しなくていいから、キミがしたのは敵を刺激したっていうバカな事だよ!」
シュレディンガーが箒に対してそう言うと、箒は自分に非があるのを認めたく無いのかシュレディンガーの頬を引っぱたく。
「うるさい!私は奴を刺激なんてしてない!私は一夏を…。『ウザいなぁ』……っ!?」
箒が怒りながらそう言うと、シュレディンガーはそれ以上言わせないと冷たい声で言う。シュレディンガーの表情を見て箒は言葉を詰まらせる。シュレディンガーの表情はいつものニコニコとした笑顔とはかけ離れた冷たい表情をしていた。
「ウザい、ホントにウザイよ。今のキミに何を言っても無駄みたいだね。初めて箒ちゃんの事が鬱陶しいと思ったよ。」
シュレディンガーはいつの間にか箒の後ろに立ち、箒の口に薬を着けたハンカチを当てる。
「もう寝てなよ、邪魔だからさ」
シュレディンガーが冷たい声でそう言ってから数瞬間を置いて、箒の意識は無くなった。箒の意識が無くなったのを確認したシュレディンガーはインカムでドクに連絡をする。
「ドクー、バカの対処は済んだから大尉に大丈夫って伝えておいて」
『わかりましたよ、まったく困ったことをする子ですねぇ』
「ホントだよ、お陰で気分が盛り下がっちゃった。」
『フフフ、シュレディンガーくんがあんな冷たい声を出せるなんて知りませんでしたよ。シュレディンガーくん、早く来なさい。一緒に面白いものでも見ようじゃありませんか。』
「へぇー、どんなものが見れるのドク?」
『狩り、ですよ。シュレディンガーくん』
ドクの言葉を聞いてシュレディンガーは先程の冷たい顔から子供のような笑みになる。
「ニヒッ♪面白そう、すぐに行くよ」
『ええ』
ドクとの会話がおわり、シュレディンガーはインカムの電源を落として箒を見る。
「バイバイ、箒ちゃん」
それだけ言うとシュレディンガーはいつの間にか消えるのだった。
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『大尉、篠ノ之さんでしたかな?彼女はシュレディンガーくんが安全な所で眠らせておいたので大丈夫ですよ』
「……そうか」
ISが待機形態になっていても通信だけはできるようで、ドクから連絡を受けた大尉は一息つく。
「ったくよぉ……折角の気分が台無しだぜ。獲物チャン、悪いがあんたは俺のストレス発散に付き合ってもらからヨロシクゥ!!ありのまま殺られてくれよぉ!!」
節制14がそう言うと、閉じられた観客席の上に立つドクと座っているシュレディンガーが口元を釣り上げて笑う。
「ありのままに、ですか」
「ニヒッ♪ありのまま、だってさ」
ドクは大尉に通信を繋げると狂気を感じさせる笑みで大尉に伝える。
「大尉、敵がありのままのあなたを要求してますよ。なら見せてあげては?」
『…………』
大尉はドクの言葉に頷くと大尉は拳を構える。大尉から放たれる殺気は遠くにいるドクたちにもビリビリと伝わってくる。その殺気に当てられた節制14はISのおかげで気絶せずに、体が地面に押さえつけられそうな恐ろしい殺気と闘気で顔に嫌な汗が垂れる。
「な、なんだこの殺気はよぉ……!?」
「…………」
大尉が人間離れした跳躍で節制14の元まで飛ぶ。節制14はそれに気づき、壺からレーザーを放つが大尉は壺を蹴り飛ばし、節制14の顔を殴る。大尉の攻撃は生身にも関わらず、ISに乗り手の生命の危機に関わらる攻撃と判断され、節制14に絶対防御が発動される。
大尉は節制14の顔面を何回も殴ると、最後に顔に膝蹴りを入れて離脱する。大尉は持ち前の身体能力であちこちを飛び回り、節制14は狙いを定められずにいた。
「クソがぁっ!!あちこち飛び回りやがってぇ!!」
節制14は高速で辺りを飛び回る大尉に悪態をつく。大尉が壁を跳躍して節制14目掛けて近づくと、節制14はチャンスとばかりに壺からレーザーとミサイルを連射する。空中にいるためか大尉は避けようともせずに節制14の元に飛んでいく。そしてレーザーとミサイルの雨が大尉に直撃し、爆炎が舞う。それを見て節制14は中指を突き立てゲラゲラ笑う。
「ヒャハハハハハ!!ミサイルとレーザーの弾幕だぜ!ざまぁみやがれ!」
節制14はハイになって笑って気づいていないが、霧のような物が節制14に近づいていた。霧はやがて人のような形になり、大尉が節制14の前に現れる。大尉は節制14の髪を掴み、耳元で囁く。
「……捕まえた」
直後、大尉の腕が膨れ上がり節制14を投げて地面に叩きつける。大尉は重力に引かれ地面に着地すると胸と頭の前に拳を構える。この時ようやく節制14は自分の立場に気付いた。自分が狩られる者側になったこと、手を出してはいけない化物を相手にしてしまった事に。大尉は怯えた目になった節制14目掛けて跳躍し、容赦無く顔面に飛び蹴りを食らわせる。
飛び蹴りを受けた節制14はアリーナの壁に叩きつけられる。大尉の蹴りの威力を証明するかのように節制14の体の大部分は壁にめり込み、ブースター部分はおかしな方向にぐにゃぐにゃに曲がって、移動できそうになかった。これまでの大尉の攻撃により節制14のISのシールドエネルギーはゼロになっており節制14は怯えた目で通信チャンネルを開き、ある所に繋ぐ。
「お、おい!HERMIT9!!こんな奴がIS学園にいるなんて聞いてねぇぞ!!」
『ええ、聞かれてませんので』
「てめぇっ!!」
『細かい事を聞かずに任務だけ聞いて去ってしまうからそうなってしまうのです。そもそもあなたの任務はIS学園の教員用のISの強奪の筈です。織斑一夏との交戦は含まれていません。折角織斑一夏が試合で離れている時を狙ったというのに……バカな真似を。』
呆れたような冷たい表情をしていたHARMIT9はモニター越しに冷たく笑う。その表情は節制14の死を宣告しているようだった。
『ですが無駄死にではありませんよ、あなたとの戦闘で送られてくるデータは他のメンバーに届けられ後の闘いに役に立つ。ですから安心して死んで下さい。Goodbye TEMPERANCE14.』
「ハーミットオオォォォォッ!!てめぇぇぇぇっ!」
『あーあ、見捨てられちゃったね。』
一方的に通信を切られて怒り狂う節制14の頭に声が響く。節制14の頭の中には一人の少女、シュレディンガーがあぐらをかいて笑っていた。
『やぁ、僕は君の死刑宣告人。キミがもうすぐ死ぬってことを伝えに来たんだ。』
シュレディンガーは子供のような笑顔のまま、節制14に死を宣告する。
『キミは狼を狩ろうとしたんだよ、狩る者は狩られるかもしれないっていう心構えをしなくちゃね。キミは惨め泣いて命乞いをして逃げてればよかったんだよ、人の身で大尉に勝てるわけないじゃん。自分の実力を見誤ったんだ、キミは死んで後悔する事!じゃね♪』
シュレディンガーはそう言うと節制14の中から消える。そして節制14は大尉の方を見る。そこで節制14は恐ろしいものを見てしまう。節制14は見なければよかったと深く後悔する。
「ヒッ……!!」
ハーミット9の目の前には霧を体のあちこちに漂わせる白い狼が佇んでいた。狼は通信が終わったのを理解すると節制14目掛けて駆け出し、牙を節制14に向ける。
「こ、この化物がぁぁぁぁ!!」
節制14が叫びながら壁から抜け出そうともがくが狼はそれを気にもせずに進み、節制14の身体に噛み付く。
「や、やめろ!死にたくねぇ!!やめてくれぇぇぇ!!」
節制14は断末魔を上げながら狼に身体を食いちぎられる。狼は自身の白い体毛を敵の血で赤く染めると狩りの終了を告げるように雄叫びをあげていた。
「AhwooooooooN!!」
雄叫びを上げた狼の身体は霧に包まれやがて霧の中から大尉が現れる。大尉は口に含んでいた何かをペッと吐き出す。吐き出されたのは人間の目だった。
「……証拠隠滅とはいえ……こんな奴を喰う羽目になるとはな」
大尉は不機嫌そうな表情のまま、吐き出した目を踏みつぶす。
「……久々に人を喰ったがマズイな……喰えたもんじゃない」
大尉は倒れてるゴーレムを一瞥すると、背を向けてアリーナから去っていった。
感想見たら節制14叩かれすぎワロタw
前回の感想で読者さんが言ってたことが
'大尉にとってISは拘束具'
一応ISはパワードスーツなのにこんな扱いになってしまい作者は笑うしかありませんでした。
大尉は原作で人を喰っている場面はありませんが、食べないということは少なくとも一度人を喰って、食べるのをやめたものと考え、このような事を書きました。
あと一応学園に死体があったらイカンでしょ。
……イカンのか?
まあ、そういった理由ですよ。