見にくかったらごめんなさい。
フランス某所、ここに一人の女性が薄暗い部屋の中に潜んでいた。カトリーヌ・デュノア、デュノア社社長夫人である。彼女が何故この薄暗い部屋に隠れるように潜んでいるのかには理由がある。WORLD21と名乗る男からIS学園理事長が自分を狙っているという情報を貰ったからだ。WORLD21はシャルロットが裏切る可能性があるとVTシステムを送ってきて、怪しい人物だと思っていたが、シャルロットから曖昧な連絡しか来なかったので、彼の情報は信用できると思い懇意にしていた男だった。その彼が送ってきた情報を見て最初は冗談だと思って聞き流して相手にしていなかったが自分が持つ複数の口座の凍結から始まり、自分が投資してた会社の謎の不祥事による倒産、部下の離反と言った自分の力を削いでゆくような出来事が立て続けに起こりいよいよ冗談に感じられなくなったためカトリーヌは信用する直属の部下たちと一緒に一番安全と思える場所に隠れていた。
理事長が自分を諦めるまで彼女は此処に隠れるつもりだった。ここなら安心できる、そう思っているカトリーヌは高そうなワインの瓶に入っているワインをグラスに注いでグラスを傾けていた。しかし、彼女の安心は直ぐに崩れ去る。特製のドアがバンッ!と勢いよく開かれる、開いたドアには数人の男女が入って来た。数人の男女はカトリーヌがいる部屋に歩いて入って来ると数人の男女の中から白人にしては低い身長の太めの男が現れる。カトリーヌはその男を見た瞬間に恐ろしい何かを感じる。
「IS学園理事長…!」
「ああそうだよ、初めましてデュノア夫人。まったく面倒くさい所に隠れてくれる。キミたちが面倒くさいことをしてくれたお陰で私は妻との夕食をキャンセルしなきゃならなくなったじゃないか」
「い、いつの間に此処に…?警備の部下たちは何をしていたの!?」
「制圧したよ。容易くね、全く笑えたよ。あの程度でわたしを止められると思っていることが非常に面白くて笑えたなぁ。」
カトリーヌはモニターに映る部下達を見る。しかしそこには全員いつもと同じように警備している所しか見えない。訳が分からなくなり冷静でいられなくなってきたカトリーヌを見て理事長が楽しそうにニヤニヤと笑う。
「そう言えばキミは自らが信頼している部下と共に兎が巣穴に隠れるように此処に来たそうじゃないか。はて、その部下の全員が本当にキミに忠誠を誓っていたのかね?」
「何が言いたいっていうの…!?」
理事長がニヤニヤしながらそう言うとカトリーヌは意味がわからないとヒステリックを起こす一歩手前の状態になる。少佐が連れている顔の半分に呪文のような刺青らしきものを入れている部下、ゾーリンがヤレヤレとため息をつく。
「わからないのかい?あんたが信用している部下の中には理事長の手の者がいて、あんたが何もわからないように細工したってことさ」
「そんなバカな!ありえないわ!彼女たちは私の忠実な…!」
「あんたがそう思いたいなら勝手にそう思いな。だけど現実はそうじゃない。」
ゾーリンがそう言うと3人の女性たちが出てくる。女性たちを見た瞬間にカトリーヌは目を見開く。
「エリス、セシル、クラリス!あなたたちこの私を裏切ったの!?」
「別に裏切ってなどいませんよ。わたし達はデュノア社に諜報員として潜り込んでただけですから。」
「な…!あれだけ目をかけて上げたというのに…!」
「ええ、ちょっと仕事が出来るように演じたらあなたはコロッと騙されてましたから。おかげで中枢に潜り込むのは簡単でした。そこにだけは感謝してます。それでは」
カトリーヌが金切り声に近い大声を出すと、3人のうちのデュノア社でISのパイロットとして潜り込んでいた金色の長髪を一つに纏め、切れ長の目をしたエリスが淡々と言うと直ぐに後ろに下がる。
「まぁ、そういう訳だ。彼女たちのお陰でここを制圧するのは簡単だったよ。」
裏切り者!と何度も言うカトリーヌを理事長は楽しそうに見ながら言う。ヒステリックを起こしていたカトリーヌはふとある事に気づいて理事長を思い切り睨む。
「他の部下は一体どうしたの!?全員裏切った訳が無い!」
「そうだなぁ 、ここに来るのには多少抵抗されたよ。まぁ我々が出来るだけ静かに制圧したという事とキミが素晴らしい防音の部屋にいたお陰で全く気づいて無かったようだがね。トバルカイン、彼女に彼女の部下を見せて差し上げろ。」
「ええ、それでは夫人、どうぞこちらを。」
灰色のスーツに中折れ帽子を被った男性はトバルカインと呼ばれると理事長に命令された通りにカトリーヌにある物を投げる。カトリーヌが見たのは自分の部下の内のISによる警備を任せていた部下だった。しかしその部下は瞳孔が開ききっており、生命活動をしている様子が見られず、そして全身の至る所にトランプが刺さっていた。トバルカインは部下だった物を投げるとエースの模様に×がつけられているトランプをカトリーヌに見せる。
「残念、広い場所ならいざ知らず、室内で場所が限定されて自由に動き回れないIS相手にこの私が負ける筈がない。」
「な…!男が生身でISに勝ったとでも言うの!?」
「ええ、こちらの方は私が男性と見るなり余裕ぶってましたが私に追い詰められていく内に変わってくるあの表情は正にグッド、ベリィグッド」
トバルカインは言いたいことだけ言うと理事長の後ろに下がる。理事長はカトリーヌが自分たちの後ろで何か合図のようなものを送っている事に気づくがあえて何も言わない。そしてカトリーヌがハンドシグナルで号令を出すとドアの後方から大きな銃声が鳴る。銃声が鳴ると理事長の後ろに控えているトバルカインと長い黒髪でメガネをかけた女性、リップヴァーンがニヤリと笑う。
「甘いですなぁ」
「おバカな子」
トバルカインがトランプで銃弾を切り捨て、リップヴァーンがニヤリと笑うと腕部分にISを展開、手に持ったIS用の大きさのマスケット銃から銃声が鳴る。マスケット銃から出た弾丸は複雑な軌跡を残しながら理事長たちを狙って撃ってきた操縦者の元に向い、弾丸は止めどなく操縦者に襲いかかり、シールドエネルギーをゼロにして行動不能にする。いとも容易くやられた操縦者を見てカトリーヌは絶望した表情になる。絶望した表情のカトリーヌを楽しそうに眺める少佐はゆったりとカトリーヌの傍まで歩み寄る。
「これで無駄な抵抗は終わりかね?ありがとう、とてもつまらなかったよ。」
理事長がニヤニヤ笑いながら言うとカトリーヌはまだよ…まだよ…といいながらタブレットをいじくる。理事長はというと特に何もする様子も無くニヤニヤとカトリーヌを眺める。カトリーヌはしばらくタブレットをいじくると突然大声で笑い始める。
「アハハハ!!今VTシステムに命令を出してやったわ!目に入るもの全てを破壊するようにね!ただでは捕まらないわ!せめてお前が守るものを破壊しつくしてやる!」
「何?VTシステムに命令を出して全てを破壊するようにした?…………アッハッハッハ!!下らない!あー本当にに下らない!!下らなさ過ぎて逆に笑いが込み上げてきた!!アッハッハッハ!!」
VTシステムに命令を出したというカトリーヌの言葉に理事長は大笑いする。ひとしきり大笑いした後に理事長は笑い過ぎてズレたメガネをクイッと上げる。
「何かいい策でも思いついたのかと思ったらシステムに頼るだと?何をバカ事を言ってるんだ。意思もない1と0の組み合わせでしか物を考えられない機械が全てを、人間を破壊する?なんて下らない。キミは私達の事を、彼のことを解っていない!凄いぞぉ彼は!何たって彼は今ここにいる全員がいても恐らくかなわん!今アリーナに向かっている彼の相手が機械だと?これは本当に愉快だ!本当におもしろい!」
薄暗い部屋には理事長の笑い声が響き、ゾーリン、トバルカイン、リップヴァーンの3人はカトリーヌを呆れたように見つめるのだった。
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『危険です!観客席にいる学生たちは速やかに避難を開始して下さい!』
VTシステム発動により、すぐに学園は警戒令を発動し生徒を避難させる。慌てて出口の方へと駆け出す生徒たちがいるような状況でVip席のような所で席に足を組んで座りながら、ティーカップで紅茶を飲んでいる少女がいた。少女の名はネロ。このIS学園の理事長の一人娘であり、この学園屈指の実力者である。同じ部屋にネロを警護するように立つ白いスーツを纏った長い金髪の男性がネロの元に近づく。
「お嬢様、警戒令が発動されました。避難された方が―」
ネロはティーカップを傾けながら男の前に手を出してそれ以上言わせなくする。男はネロの手により口を噤む。ネロはティーカップをテーブルに置いて楽しそうに下の状況を眺める。
「余は去らぬぞルーク。こんな面白いモノ、見なくては損をしてしまう」
「し、しかし理事長にお嬢様の護衛を任せられた私としてはここは避難された方が―」
ルークと呼ばれた高校生のようなまだ幼さが残る顔立ちの男はネロに避難をした方が良いと進言しようとするが再び出された手により口を噤む。
「何度言っても無駄だぞルーク。余は去らぬ。余に何か会ったら護衛のお前が守れば良いだけのこと。それに余はその気になれば自分の身は自分で守れる。お前はただ自分に与えられた役割をやれば良い。」
ネロが左耳にある薔薇の紋様が着いているピアスをいじりながらそう言うとルークはため息をついてわかりましたとだけ言っていつでも自分の武器を出せるように備えながらネロ同様下の状況を眺めるのだった。
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アリーナ内、黒い物体は動かずただ近くにいる二人をじっと見つめていた。じっとしている黒い物体をラウラは激しい憎悪の目で睨みつけてプラズマ手刀で黒い物体に襲いかかる。
「貴様ぁ…!人形如きが教官の真似事をするなぁぁ!!」
ラウラはシールドエネルギーが残り少ないと自覚していながらも黒い物体に斬りかかる。ラウラはシュヴァルツァ・レーゲンの性能全てを出し切って黒い物体目掛けて突っ込む。ラウラが黒い物体を切ろうとした時、黒い物体はさっきのじっとしていた姿が嘘のように動き出し、襲いかかるラウラを一閃の元切り捨てた。切り捨てられたラウラは苦痛の声と共に地面に転がり、切られた部分の脇腹を抑えながら必死に睨みつける。一方黒い物体は最早ラウラに興味無しといった感じで再び動かなくなる。
「そこのIS!止まりなさい!繰り返します!直ちに行動を止めなさい!」
「こちらアルファ!ポイントに着きました!」
「こちらベータも同様にポイントに到達!チャーリーとデルタ、エコーも到達を確認!」
ラウラが倒れるとそのすぐ後に警告を発する麻耶に連れられて四人の教員たちがISを纏って黒い物体を取り囲む。黒い物体はレーダーで何か来たと感じながらもぼーっと立っている。教員たちは黒い物体の行動停止と中にいるシャルルの救出のため慎重に近づく。そして教員たちがいざシャルルを救おうと本格的な行動を開始した時、黒い物体に異変が生じる。
「――――――!――――――!!」
黒い物体は頭を抑えて何かを堪えるような動作をすると突然教員たちに襲いかかった。その動きはあまりにも早く、近くにいた教員たちはあっという間に、一方的にシールドエネルギーを大幅に奪われて吹き飛んでいく。
「―――!―――――!」
「な!?グアッ!!グハッ!!」
黒い物体は吹き飛んでいく教員たちに更なる追撃を仕掛け、地面に倒れる教員たちを何度も何度も持っている刀をぶつける。教員たちは反撃を試みるが黒い物体は教員たちの攻撃をいとも容易く避け、より追撃を仕掛ける。やがて教員たちはISを解除させられ気絶した。
「な。なんという事だ……IS学園の教員たちがあんなにも容易く……これが教官の……いや、あれは最早教官のデータですらない……あれはただの狂戦士
だ……」
「くっ……こんなとき何も出来ないだなんて……助けはもう来ないんですの……?」
地面に倒れるラウラが恐ろしいモノを見てるように黒い物体を見つめ、シールドエネルギーが無いセシリアは自分が今何も出来ないこの状況を下唇を強く噛んで悔しがる。誰かこのバーサーカーを止められるものはいないのか、その時アリーナの上空にヘリコプターが飛んできた。
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「……出来るだけ急いだつもりですが少し間に合いませんでしたか……。」
ヘリコプターの中にいるドクは下の状況を確認しながらあと少し早くつけたらと後悔の念を出す。ドクはヘリコプターの中にいる大尉の方を見て降下を促す。
「大尉、思ったより状況は深刻です。先程他の教員たちから連絡が来ました。VTシステムの中枢にはデュノアさんがいます。恐らく中にいるデュノアさんを出せたらVTシステムは機能を停止する筈です。しかし気をつけて下さい。何とか白狼のワンオフアビリティは発動できますが油断は禁物ですよ。教員たちの避難は私たちに任せておいて下さい。ああ、あとこのコートを着てって下さい。これは倉持技研の最新型のISスーツです。これなら以前より良くISが追従してくれます。……なにより大尉にはコートが良く似合いますからね」
「……………」
大尉はドクの言葉に大尉は頷くとドクから渡された以前ミレニアム時代の時に着ていた襟が立っている熱帯用コートような倉持技研最新のISスーツを身にまとい、ヘリコプターから飛び降りる。大尉は真っ直ぐ降下すると生身でありながら平然とアリーナの地面に着地する。
「ち、父……!」
「一夏さん……!」
「……待たせたな」
突如地面に着地した大尉にセシリアとラウラが驚いて大尉を見つめる。大尉は着ていたコートを靡かせながら黒い物体を見据えた。
真打ち登場!
大尉の「待たせたな」には
「……(読者のみなさん)待たせたな」
という意味もあったりする(ていうか大部分)。
いやー、大尉を登場させるのに随分かかりましたね。次は大尉が活躍します。こうご期待!
そして今回でミレニアムのリップヴァーン、ゾーリン、トバルカイン、ルークが登場。
そしてネロ、その他が登場
まさかルークが出てくるとは思わなかったでしょう(ドヤァ
当初はトバルカインとゾーリンは敵(サンドバッグ)として出す予定でした。しかしアニメヘルシングを見て気が変わったので味方にしました。
敵側がヤバイって?大丈夫!WORLD21含め他の敵も かなり強い設定にしてあるので(※WORLD21はクッソ強い設定にしてある)。マジでぼくが考えた
なんちゃらって奴です。
おっと?ルークがいるということは……?
あとあのコートのようなISスーツは無理矢理です。やっぱ大尉にはコートだよね!と思いやった。これについての突っ込みは受け付けません。勘弁して下さい。