オリジナル生徒登場注意
アコは、反省文の山に苦しみ、ヒナは窓の外を見ている。
(藤丸立香は…明海議員曰く自分でも勝てるかどうか怪しいとされる力を持った大人。
明海議員は私を遥かに超える力を持った生徒。
現に彼の下についた便利屋はまるで天災のような力を振るっていた。
彼自身にはそんなに力は持っていない…見たところヴァルキューレの一般生徒ぐらいかしら…でも彼の真骨頂は指揮下に入った者に対する援護といったところね。)
そこに扉が強く開かれる。
風紀委員会の生徒の一人が入ってくる。
「失礼いたします! 覇布奈オリエが各地で暴れ、「英雄を出せ」と言い、現在は温泉開発部の部室で暴れております!」
覇布奈オリエ、温泉開発部などのゲヘナの主要な規則違反者を人質に取り、風紀委員会や万魔殿の強者との戦い…特にゲヘナの英雄空崎ヒナとの戦いを要求するテロリスト。
汎人類史とキヴォトス、どちらの本来の世界線にも存在しない生徒。
だが、二つの世界が衝突したことで誕生した生徒。
一部の生徒から悪を見抜き、事前に潰すダークヒーローと呼ばれている。
「ハァ…またなの…レティシアとチナツは厄災の狐と、バゲコとイオリは美食研究会と交戦中、ランコは帰って早々寝てるし…仕方ない。」
温泉開発部。
ゲヘナの風紀委員会がマークしている要注意団体。
総勢200人を超える大規模規則違反集団。
温泉開発と銘打ってキヴォトス各地で破壊活動を行う集団で、七囚人までとはいかないがキヴォトスの中では危険視されている組織。
今日の彼女達には不穏な動きがあると報告があった。
大規模な温泉開発を行うつもりだったのだろう。
しかしオリエがそれを察知したのか温泉開発部を襲撃し、ヒナ委員長をおびき寄せる餌とした。
温泉開発部ではなく私を見ろと言わんとばかりに
「行ってくるわ。アコ。」
ヒナは、そう言って銃を持って出撃する。
「いってらっしゃいませ。」
アコは、反省文を中断し、ヒナを見送る。
温泉開発部の部室。
辺り一面には炎の竜が引っ搔いたような無数の燃える爪痕が残されており、温泉開発部が保有している備品の数々が破壊されている。
温泉開発部の部長『鬼怒川カスミ』と『下倉メグ』のヘイローは消え、気を失っており、気絶した二人を侍らせるように温泉開発部のソファーに座る一人の生徒がいた。
「あァ…まだか。」
天使と悪魔の翼を持った生徒が右手にはめた赤熱化した爪をガチガチと退屈そうに鳴らす。
ガチガチと鳴らす度に爪は火花を散らす。
天使の翼は右に広がり、悪魔の翼は左に広がる。
天におわす父の如き神聖、地獄の魔王の如き邪悪の要素が混じった様な歪なヘイロー。
渾沌に呻く様にトリニティの如き白とゲヘナの如き黒が混りあった髪色のロングヘアー。
彼女の名は覇布奈オリエ。
ゲヘナ最強の規則違反者である。
「貴方は何故、いつも私達が大規模な温泉開発をする時に限って…」
温泉開発部の部員は、ヘイローが点滅し、気を失う前にオリエに問いかけた。
「あァ? 私はテメェらを意味無く襲ってる訳じゃねえぜ?」
オリエは、気絶しかかっている生徒の頭を掴み、返答する。
「テメェらが今日計画していた温泉開発計画…ありゃ、無意味だ。」
そう言って、懐から開発予定地の地層について書かれた資料を取り出し、ばら撒く。
「その温泉に対する愛や熱意の本気度は認めるぜ? だが、開発予定地の地層を調べてみた所、ただ破壊を巻き起こすだけで温泉は掘れやしねェ。
だから私はテメェらが無意味な大規模破壊を起こす前に私がテメェらを有効活用したってワケ。麗しの英雄ヒナ委員長をおびき寄せるエサとしてな。」
オリエは、そう言ってケラケラと笑う。
「それにひきかえ美食研究会の奴らは理にかなっている。代金以下の不味いメシに金なんざ払いたくねェモンな。私も美食研の奴らと一緒にぼったくりの飯屋を破壊していった。怠惰に客から金だけ貪り取ろうとする奴らの腐れ根性が気に食わねえ。
毎日本気で給食作りに励んでいる給食部に対する誘拐や爆破の件以外ではヤツらとはウマが合うってモンよ。
便利屋の奴らは…まぁ、アイツらはアイツらでよくやっているよ。行動にだいぶ粗が目立つがな。」
オリエは、立ち上がり、温泉開発部の部員の襟元を掴み、壁に押し付ける。
気絶させない様にオリエは部員の頬に叩くとヘイローが鮮明となる。
「ヒナ委員長は誰であろうと見捨てねェ。例えテメェらであってもな。辛い時、苦しい時、悲しい時、どこからともなく現れて助けてくれる無敵のヒーロー。
さぁ、「ヒーロー助けて」とヒーローの登場を願え、欲せ。
悪の怪人が自分達を襲っていると嘆くがいい!」
「その必要は無いわ。覇布奈オリエ」
マントがはためく。
黒い角から青い輝きが漏れ出す。
それは希望。
それは光。
それは空を裂く雷鳴。
英雄、空崎ヒナが現れた。
邪竜のような瞳を持った生徒は、
「待っていたぜ! 第一の英雄! 私の本命! ククク…アハハハハハ!!」
オリエは、温泉開発部の部員をヒナの方へ投げ飛ばすと、ヒナは部員を受け止め、優しく下ろし、終幕:デストロイヤーを構え、連射する。
キリスト教の裏側『聖堂教会』の戦闘集団『代行者』の頂点に座する『埋葬機関』の一人が用いる概念兵装『第七聖典・第一死因「焼死」』に酷似したアサルトライフル『
アサルトライフルというには性能が桁違いで、ヒナ委員長が持つ終幕:デストロイヤーを超える連射性能と威力を有する。
「相変わらずね。オリエ。私が言うのも何だけど私と戦いたいなら風紀委員会に襲撃をかければいいのに」
「ハッ! それは出来ん相談だなァ! 私は万全のテメェと戦いてェ! 今日、テメェがゲヘナで片付ける筈だった鎮圧案件は全て事前に私が片付けた! 準備運動を兼ねてな! これでテメェに肉体的な疲労や今後の戦いの為の遠慮をする必要はねェ! 本気で来い! 我が英雄空崎ヒナァ! 今日、この地ゲヘナに私達の闘争を邪魔する者はいねェ! 思いっきり楽しもうやァ!」
ヒナとオリエの拳はぶつかり合う。
周囲に衝撃波が走る。
邪竜退治の英雄譚が幕開けた。
さながらインドラとヴリトラの年に一度の戦い。
或いはジークフリートとファフニールの死闘だ。