…我々は望むジェリコの嘆きを
…我々は覚えている七つの古則を
「オマエにとって『厄介な世界』と相対したものだ。■■■」
金髪の豹の如き男は絶望し項垂れている黒いドレスを着た狼のような女にそう話しかけた。
「まぁ、そうなったのもこの世界において選択に失敗した『厄介な世界』の■■■■とオレのせいなんだがね。」
男はそう言い、女をよそに死人の如き仮面の男の前に立つ。
「オレの真名はアサシン『テスカトリポカ』。世界を滅ぼす為に現れた。オレと契約しろ。キヴォトスに来るまで死の概念を知り得なかった世界…■■とは異なる意味で『戦士』である■■■■、■■の■■■『■■■■■■』よ。オマエの■■がそれを望んでいるなら世界を滅ぼす神…つまりオレの力が必要になる。損はさせないぜ?」
テスカトリポカは仮面の男に手を差し出す。
仮面の男は包帯が巻かれた手で、テスカトリポカの手を握ると仮面の男の手に赤い刻印『令呪』が刻まれる。
仮面の男にとって経験した事のない事象だ。
「契約は成立した。さて、■■■■■■。■■■。オマエらはオレに何を叶えて欲しい?」
仮面の男は指示を出すとテスカトリポカは承諾した合図を出し、どこかへと向かう。
「世界を滅ぼす戦いだ。獣の騎手が顕現する世界…相対する世界へ行くとしよう。」
我々は望む七つの奇跡を。
我々は覚えているジェリコの聖杯を。
「シッテムの箱へようこそ。藤丸立香先生。」
令呪を宿した男は電車の揺れと音で目を覚ます。
「私のミスでした」
片目が隠れた少女。キヴォトスに来る前から黒い死を魂に刻み込まれた男は誰かの面影を呼ぶ。
「マシュ…?」
(いや、マシュじゃない。彼女は――日常に――ありふれた人間として地に足つけて生きている――悲しいけれど俺とはもう会う事はない。誰だ?)
マシュ…マシュ・キリエライトに何処と無く似ていながら声の質が異なる少女は血を流しながら言葉を続ける。
「私の選択、そしてそれによって招かれたこの状況。結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るなんて…」
「何を…言って…ッッ…」
頭痛と共に何かがよぎる。
数多の少女が涙を流し悲しみ、狼のような少女が項垂れている中、黙祷をするかのように目を閉じたモンテ・クリストと黒い沖田総司を従え、髪が白く肌が褐色に焼け、赤く染まった決戦礼装を着た自分が少女達に向かって微笑み、歩み寄り、狼のような少女の優しく抱きしめ、連れ従えた英霊二人と共に世界から消滅していく幻影が脳内によぎる。
「今更図々しいですが、お願いします。藤丸先生。
きっと私の話を忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択…
ですから大事なのは経験ではなく、選択。あなたにしかできない選択の数々。」
少女から流れる血が多くなっていく。
「責任を負う者について、話したことがありましたね。
あの時の私には分かりませんでしたが…今ならわかります。
大人としての責任と義務。そしてその延長線上にあった、あなたの選択。
それが意味をする心延えも…ですから先生。私が信じられる大人であるあなたになら捻れて歪んだ咲の終着点とは、また別の結果を…
そこへつながる選択肢は…きっと見つかる筈です。だからどうか…」
男は再び目を閉ざす。