藤丸とホシノ達は水族館へ行き、水族館を楽しんだ。
セリカとホシノは藤丸に熱帯魚は観賞するか食べるかを聞き、藤丸は実体験に基づき、セリカの意見である鑑賞を選び、セリカは喜び、ホシノは肩を落とした。
シロコは壊れたオブジェを買い替えたいとオブジェを藤丸に強請ると藤丸は喜んで5人全員分のオブジェを買った。
その日の夜、ホシノは照明のついていない月明かりが照らす自室の中、藤丸に買ってもらったオブジェをしばらく眺めた後、尖った表情をしたホシノとそのホシノと一緒に笑顔で映る少女の写真を見る。
(今の私はあの時の先輩みたいにうまくやれてますかね? ユメ先輩。)
次の日…
シロコは、自転車に乗り、アビドス校舎に向けて漕いでいた。
しばらくアビドスの街を自転車で走り、大きな交差点で赤信号に捕まり、青に変わるまで信号待ちの退屈しのぎの為、周囲を見渡すとホシノが路地裏へと入っていく姿が見えた。
「ホシノ先輩?」
シロコは、ホシノを見かけた路地裏へ自転車を転がし、路地裏を見るとそこには誰もいなかった。
「気のせい?」
シロコは、さっきの交差点へ戻ろうとすると黒い車がシロコの横を通り過ぎ、その車の中にはホシノらしき影があった。
「今のって…」
シロコは、ホシノに機会があれば問い詰めようとアビドス校舎へと向かって行った。
「それぞれ撮った写真をそこに…」
ノノミ、セリカ、アヤネが昨日の水族館について話している中、シロコは対策委員会の部屋に入った。
「おはようございます。」
「ん、おはよう。」
シロコは入るなり、ホシノを探す。
「ん? ホシノ先輩なら来てないわよ?
どうせまたどこかで寝てるんじゃない?」
「そっか…」
「シロコ先輩も昨日の写真送ってくれませんか?」
「そういえば集合写真以外まだ共有してなかった。」
シロコ達は昨日の水族館で撮った写真を共有し、それについて和気藹々と語り合う。
「じゃあそれなら――」
セリカが次の水族館の話題に移ろうとした時、扉が開き、ホシノが大きな欠伸をして入ってきた。
「やあやあみんな! ごきげんよう!」
「ホシノ先輩! 遅いじゃん!」
「いやはやごめんよ~あまりにも心地よい疲労感で…布団から出られなくってさ~
ところでみんな何してるの~?」
「昨日のアクアリウムで撮った写真を見てたんです。」
ホシノ達はアクアリウムの写真について語り合う。
一通り語り終えた後、定例会議が始まり、そして会議が滞りなく進んでいった。
「では皆さん。今日の定例会議はここまでしたいと思います。」
アヤネがそう言うとアヤネ以外のメンバーは「は~い」と返事をした。
「じゃあ、また明日~」
「お先に失礼します。」
一年組は対策委員会室から出て、家へと帰っていく。
「私は先生に挨拶して帰りますね。」
「ん…」
ノノミは、そう言って藤丸の元へと向かって行った。
「うへ~おじさんも帰ってゆっくり寝よ~」
「ホシノ先輩。」
「ん? どしたの?」
シロコはしばらく沈黙した後、決意を籠め、拳を固めた。
「今朝、何処にいたの?」
「さっき言った通りだよ。何処も何も寝坊して遅れただけ~」
「本当に?」
「どうしたの? シロコちゃん?
何かあったとか?」
「ううん。今朝、街中で先輩を見かけた気がして…」
シロコがそう言うとホシノは眉をひそめる。
「人違いじゃないかな? 多分。
おじさんみたいな子。その辺にたくさんいるしさ。
見間違いをするなんてシロコちゃんも疲れが残ってるんだよ。」
ホシノはそう言って対策委員会室を立ち去ろうとする。
「今日は」
「ホシノ先輩! 私に何か隠して――」
シロコはホシノの体を引っ張るとホシノの鞄は落ち、鞄の中からホシノの名が入った退学届けが零れ落ちる。
「ッ!?」
シロコはホシノの退学届を見た瞬間、今朝の不穏が確信へと変わり始めた。
「え? 私の写真?」
「はい! 後でみんなの分と一緒にお送りしますね。」
「ありがとう。――ッ!?」
藤丸はノノミに感謝したのと同時に対策委員会の方から大きな物音がした。
「いたた…」
シロコはホシノの腕を強くつかむ。
「痛いじゃん。シロコちゃん。」
「先輩! これって!」
シロコはホシノに退学届について問い詰める。
「うへへ…ただの書類だよ。
今は何の意味もないから安心して…」
「安心できるわけがない! 今はまだってどういうこと!?」
「あは…なんていったらいいのかな?」
藤丸とノノミは対策委員会室へ走りながら入る。
「ホシノ先輩!? シロコちゃん!?」
「二人ともどうしたの?」
「これは…その…」
シロコは、退学届けを握りつぶす。
「一体何があったんですか?」
「シロコ」
「悪いけど二人きりにして…」
「う~ん。それはダメです。
対策委員会に二人だけの秘密ってみたいなものは許されません。
何と言っても私達は運命共同体ですから!」
「でも!」
「ごめんごめん。本当に大したことじゃないから大丈夫~
シロコちゃんは心配性だな~
まぁ、その気持ちは嬉しいんだけどね。」
そう言ってホシノは部屋を出て、扉を閉めた。
「ちょっと! ホシノ先輩! まだ話が!」
「シロコちゃん! 何があったかわかりませんが、今はそっとしておいてあげませんか?」
「でも…ホシノ先輩は…」
「誰だって言いたくないことの一つや二つ持っていると思うんです。」
ノノミは、そう言うとシロコは、包帯で隠された令呪が刻まれた腕を撫でる。
(ホシノ…)
ホシノは、廊下をしばらく歩き、立ち止まった。
「ありがとね。シロコちゃん。」
(それでも私は――)
キヴォトスの何処――外の光のみが照らす暗黒の一室。
そこには黒い異形、黒服がビジネスチェアに座り、クックックと笑っていた。
「いよいよですね。
動き始めたら最後――もう止まる事はないのですよ。クックック…」
黒服の手元にはホシノの運用方法の資料と藤丸の運用方法の資料が並べられていた。
夕暮れ時、シロコは屋上でくしゃくしゃに潰されたホシノの名が入った退学届を藤丸に見せる。
「これは――」