青春記録都市キヴォトス   作:とある厨病の異聞観測

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ビナー:違いを痛感する静観の理解者(2)

(E-オルガマリーと違いたった一人だ。全戦力をビナーにぶつける!)

 

藤丸は、魔術回路を全力で回し、30騎の英霊に魔力を注ぐ。

キヴォトスへの被害を考慮し、宝具の連続使用による短期決戦で決着をつける。

青子の影は、早速、第五魔法を使用し、座標が入れ替わり、自走砲の体勢へ入る。

決着術式『アースライト・スターボゥ』にてビナーに対して砲撃する方針だ。

 

ビナーは、青子の座標変化を確認すると青子に向かって大量のミサイルを放つが、軍勢全体に授けるべき月女神(アルテミス)の寵愛をたった一人で受けた超人オリオンは、弓矢を連続で放ち、ミサイルを空中爆散させ、爆発を利用し、オリオンは加速──急接近し、全力の拳を叩きつける。

その拳はビナーの機体の一点を貫き、内部機構が晒される。

そこへアルビオンの姿へと回帰したメリュジーヌが内部機構に向けて炎を纏い、牙を突き立て、そして竜の息吹(ドラゴンブレス)を至近距離で浴びせる。

ビナーは、メリュジーヌの竜体を焼かれながら啄み、放り投げ、レーザー砲をチャージするが空間に蓄積されていた複数の『アースライド・スターボゥ』がビナーに向けて放たれ、複数の決着術式魔弾を直撃を受け、レーザーのチャージは暴発し、ビナーの口内は爆発し、倒れ込む。

スカサハ・スカディは影の国への門を開き、影の城による祝福と幸運を味方陣営に授け、そしてビナーの魔力を吸い取る。

さながら(ビナー)の魔力を味方(自分達)への支援へと変換しているように見える。

そしてそこへさらに始皇帝の庇護を味方全体へと与える。

そして幸運が高まると事象変動の難易度が低下し、この星のアーキタイプはビナーへと原初の鎖で縛りあげる。

特異点の位相(テクスチャ)が塗り変わる。

事象は収納され、原初の世界、あらゆる神話よりも旧い世界へとテクスチャが変化、否、回帰する。

千年城ブリュンスタッド。

無名の司祭が信仰する名も無き神々の王族たる真祖。

その真祖の頂点たるブリュンスタッドの一族がおわす至高の王城

モルガンは、天より昏きサンクトゥム『ロンドミニアド』を落とし、千年城のテクスチャを留める。

ギルガメッシュの影はヴィマーナに乗り、砲門を開き、機械の神々が支配するギリシャ神代、巨大機械兵器『摂津式大具足』や対軍戦闘もののふユニット『源為朝』を擁する源氏、藤丸が有するバレルレプリカのオリジナル『ブラックバレル』を初めとする世界を滅ぼす七大兵器を生み出し、そして無名の司祭達がかつて所属していたアトラス院を由来とする火器による制圧射撃で、火力支援を行う。

ギルガメッシュの影はこの世界の有り様を理解し、火器による攻撃が有利であると判断したのだ。

 

「ハァ…ハァ…」

 

キヴォトスの霊脈から引き出す魔力が追いつかない。

30騎の英霊の同時運用。

キヴォトスの霊脈が神代に匹敵するほど無尽蔵と言えど藤丸の魔術回路には限界がある。

 

(アンプルも大人のカードも同じ代償…なら一つ試してみようか。バレルレプリカ接続時に感じたあのカードから流れ込んだあの感覚…もしかしたら…)

 

藤丸はバレルレプリカとカードが同調した際に流れ込んだ死の概念。

それはこれまで撃ち込んだ黒い光と比べて深度が深く感じられた。

まるでオリジナルに匹敵する死の概念あるいはヘタをすればオリジナルすらも超える死。

あの感覚を感じ取り、藤丸は大人のカードはアンプルの様に使えると考察する。

 

「接続完了──カード限定起動。

発生事象設定:魔術回路の活性化。

魔術回路活性アンプルを参考に生と時間を魔術回路活性化へと変換開始。」

 

藤丸は、そう呟き、大人のカードを活性アンプルと同等の負担になるように限定起動、人生の前借りを行うと、魔術回路を活性化し、魔力の質と量が向上する。

 

(これは……活性アンプルと大人のカード、同等の代償で得られる効果で比べれば大人のカードの方が遥かに大きい。

それはまるで現代魔術と『星の内海で編まれた魔術』の格差の様に…

孔明なら多分、この礼装を三つの魔法が絡んだ礼装と捉えるだろうね。)

 

大人のカード、それは第二、第三、第五が絡んだ超抜礼装であると藤丸は捉える。

その中でも第五魔法の性質が強い。

魔術を知らぬ者が使っても生と時間を代償として反則(チート)と言っても良い事象を起こす代物。

カードとアンプルそしてバレルレプリカ。

この三つ全ては生と時間を代償とするもの。

彼はこれでもまだ大人のカードを本来想定される使用で使っていない。

ただ活性アンプルの究極形あるいは召喚術の触媒として使っているだけだ。

消耗品ではなく生と時間がある限り無制限に使え、尚且つその効果は絶大。

 

(先生、それは召喚の触媒や生活の為に使ってください。ですが、今の彼には届かない。)

 

黒服は、大人のカードを活性アンプルの代わりに使っている様子を見て表情が曇る。

黒服は理解しているのだろうか? 彼は既に幾度もなくアンプルを濫用している事に。

活性した魔術回路により、藤丸の纏う魔力がこの戦闘が終わるその時までキリシュタリアの破神計画によって誕生した(新人類)の崇高になり、またその影響でシッテムの箱の機能も高次化する。

シッテムの箱の同時指揮能力は30人まで増え、シッテムの箱によるハッキング能力と防壁はムーンセルにも引けを取らなくなる。

制約解除を超える制約解除。

シッテムの箱の機能を用いて、ビナーへのアクセスを試みるが――失敗。

聖杯によりデカグラマトンのセキュリティは強固なものとなっている。

恐らく通用するのは工場を制御するデカグラマトンだろう。

 

(反則、チートと言ってもいいね。失う代償に対して得られる効果が強すぎる。思いつき、試験運用なしでの使用だったけど…)

 

『礼を言われるような事じゃない。

こんなモンを使うのは、人生の前借りだからな。』

『なに急に立ち上がって──って、活性アンプルバカ打ちしたな!?』

 

(けれどカドックたちの言った通りアンプルの濫用は控えないといけない。後後が怖いからね。)

 

人理を修復していた時、一度に数本のアンプルを打ち、魔術回路を活性化させ、ムニエルに咎められていた。

藤丸にとって考えたくもない話だが、もしも生徒が活性アンプルを打てば生と時間を引き換えに神秘を増幅する薬品…さしずめ『ヘイロー活性アンプル』だろうか。

神秘は一時的に増幅するが、打つたびに命を削る劇物。

ただの生徒であってもキヴォトス上位戦力に一矢報いる事ができるはずだ。

 

「決着をつける!」

 

藤丸から流れ出る新人類()魔力(崇高)により全英霊の崇高の質が高みへと昇華する。

黒のテスカトリポカは、カウィールの似姿へと変化し、黒曜石の太陽がビナーを焼き、スターシエルの大気圏からの太陽光を吸収する光の刃がテスカトリポカの黒光と混ざり、死の断頭台がビナーの胴体に落ち、ティアマトは竜体回帰し、ビナーへと破壊の光を浴びせる。

デカグラマトンの示す光と共に英霊ノアは光の大波を圧縮した水圧カッターを浴びせ、太公望は打神鞭を投擲し、ビナーの頭蓋を打つ。

英霊ノアの光の波は乳海へと変化し、ビナーを踏み潰す程に巨大化したプロテアがビナーに向けて踵を落とし、そしてメルトはリップによって射出され、オリオンが穿ち、メリュジーヌが焼いたビナーの穴へと突貫する。

イヴァン雷帝、アルジュナオルタ、ロムルス・クィリヌス、アルトリア・キャスター、カーマ、エドモン・ダンテス、光のコヤンスカヤ、マーリンは全力の砲撃を行い、モンテ・クリストが固形化した炎の檻でビナーを捕らえm爆光を発生させ、

固形化した炎に縛られたビナーへと山の翁と『両儀式』は告死と直死により、致命傷を与え、離脱し、アンキ・エレシュキガルは、目視できる程の質量を有した本物の宇宙冥界(ブラックホール)を形成し、ビナーの機体を世界ごと抉り取るとククルカンは最後にORTの心臓を活性化させ、太陽熱量の質量兵器を衝突させるとビナーのヘイローは、消え地に伏せ、砂の台風は晴れ、千年城から砂漠へ戻り、特異点は消え去り、モンテ・クリストを除いて退去した。

 

藤丸の魔力から神の崇高は消え、元の状態へと戻ると藤丸はふらつき、気を失うと黒服は藤丸を支える。

 

(なるほど…これが貴方の力ですか…藤丸先生…)

 

黒服は、腕の中で気を失っている藤丸を抱えながらそう思う。

 

「黒服。我が共犯者をこちらへ渡してもらおうか。」

 

巌窟王は、黒服へ藤丸の身柄を差し出すよう要求する。

 

「…えぇ…いいでしょう。

その代わり先生にお伝えください。

この台風の件で想定以上の被害は我々ゲマトリアが弁償すると、そしてその大人のカードのアンプル変わりでの使用は控えるようにと」

「…了解した。」

 

巌窟王は気を失った藤丸を抱えてシャーレへと戻っていき、黒服はシャーレへと帰還する青い炎を見つめる。

 

(さて、貴方の番ですよ。魔獣の一角…狼の神(シロコ)とカルデアのマスター…先生と生徒によってもう一つの最後の再演(ラストアンコール)の幕が開かれるのです。クックックッ…)

 

黒服は心の中で笑い、そして砂嵐に紛れてその場を去っていった。




次回──
Vor1.5 特異点F 捻歪終着箱舟アトラ・ハシース 開幕
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