青春記録都市キヴォトス   作:とある厨病の異聞観測

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第3節 もう一人の自分たち

(ここは…)

 

アトラ・ハシース中枢にて藤丸は、周囲を見渡す。

 

「敵、発見。」

 

シロコはそう言うと藤丸と似た背格好の棺桶の様な仮面の男に銃を向ける。

 

「あれがきっと特異点の発生源。」

 

シロコはそう言って銃を構えながら近づく。

 

「止まれ! 少しでも動いたら…撃つ!」

 

シロコは魔術回路を開く準備をする。

仮面の男は、藤丸達を見て僅かに反応する。

 

「下手な抵抗はやめた方がいい。

ここには「シャーレの先生」がいる。

だからもう、全部終わり。

大人しく降参して、すぐに…」

 

仮面の男はシロコの言葉を無視して懐から何かを取り出そうとする。

 

「う、動くな! 手を上げろ!

さもないと…撃つ。」

 

仮面の男はシロコの忠告を無視し、深く懐へと手を突っ込む。

 

「止まれ!」

「………」

 

仮面の男は、懐から一枚のタブレットを取り出した。

そのタブレットは見た事がある。

壊れてしまっているが確かに──「シッテムの箱」に似ている。

 

「……我々は望む、ジェリコの嘆きを。

……我々は覚えている、七つの古則を。」

 

仮面の男は藤丸とは似て非なるシッテムの箱のパスワードを口にした。

 

「くっ!?」

 

シロコは小さく「疾走、開始(ランニング・スタート)」と口にして銃弾に魔力を纏わせて発砲する。

しかし──

 

「銃弾が…全部外れた?

この距離で、何故…?」

 

シロコは、魔術を纏った弾丸が外れた事に驚愕し、無意識的に銃を下ろす。

 

(あれは…聞き間違いでなければ…)

 

藤丸のシッテムの箱と類似した言葉を仮面の男は呟いていた。

シッテムの箱本来のパスワード。

魔術機能が搭載されていない本来のシッテムの箱のもう一つのパスワードに酷似したものだ。

 

「せ、先生? 先生…ダメ、何か…何かが、おかしい。」

「シロコ、下がった方がいい。」

「え…?」

 

藤丸がそう呟くと仮面の男の傍らから自分の知るある少女の声が発せられる。

 

「藤丸先生の生体認証、完了。」

「私の名前?」

 

煙が晴れていく。

仮面の男の傍らに少女の姿が見える。

 

「この「シッテムの箱」に常駐しているシステム管理者であり、メインOS──」

 

その少女の姿はアロナに酷似していた。

 

「──A.R.O.N.A、命令待機中。」

「アロナ?」

 

藤丸は困惑するが一瞬で立ち直る。

特異点で、誰かに似た存在を目にするのはいつものことだ。

 

「解析完了、敵対対象「藤丸立香」と「砂狼シロコ」はこの世界とはまた異なる世界からの来訪者と認定。

殺害済みのこの世界の「藤丸立香」と「砂狼シロコ」とはまた別存在です。

色彩、アトラハシースとはまた異なる未知の技術にてこの世界に転移した形跡が確認されています。」

 

A.R.O.N.Aは淡々と無機質に仮面の男にそう回答した。

この世界の藤丸立香とシロコを殺したとアロナに似た少女は言う。

 

「…なるほど、だからここにいるのね。」

 

仮面の男の後ろから黒いシロコが現れた。

 

「でもどうでもいい…定められた運命を変える事は出来ないから」

 

シロコは、黒いシロコを見て驚き、藤丸は、冷静に黒いシロコを見る。

これまで反転してきた存在を見てきた。

だからこそ冷静に観察する。

 

「キヴォトスは予定通り、終焉を迎える。

私の──藤丸先生。」

 

黒いシロコはそう言って仮面の男の傍らに立つ。

 

「あれは…私?」

 

シロコは、困惑し、放心状態となる。

 

「肯定。砂狼シロコ、別時間軸の同一存在。」

「…亜種平行世界、特異点のシロコか?」

「不明、ですが特異点、亜種平行世界という意味不明な言葉よりも平行世界の存在と捉えるのが妥当です。藤丸先生。」

 

A.R.O.N.Aには亜種平行世界や特異点の──魔術に関する知識を有していない。

故に亜種平行世界、特異点ではなく平行世界のシロコであるとA.R.O.N.Aは説明する。

 

「それじゃあ君は…アロナ?」

 

A.R.O.N.Aは少し考えた後に回答をする。

 

「一部肯定。この「シッテムの箱」に常駐しているシステム管理者であり、メインOSの「A.R.O.N.A」です。」

 

A.R.O.N.Aはそう答えるとアロナはシッテムの箱で驚愕するが、魔術知識によって立て直す。

 

「第二魔法の類? 或いは特異点の性質? いえ、どちらにしてもあり得る可能性ですね。

いえ、それは置いてもおかしいです! 何故、シッテムの箱の管理者が実体化しているんでしょうか!?

もしやアトラ・ハシースを用いた第三魔法の亜種でしょうか!?」

 

アロナは魔術知識を用いてこの現状を考察する。

 

「理解不能な言葉の羅列を確認。

回答。それは、ここが「状態の共存」を維持している「アトラ・ハシースの箱舟」の内部であるためです。

この「ナラム・シンの玉座」は、次元、時間、実在の有無が確定されずに混ざり合う、混沌の領域。

私が教室を有しない今、藤丸先生がこの場所を歪曲したからここにいるのです。

魔法などというものではありません。」

「いっ、今…私の質問に答えた?

わ、私の声は先生にしか聞こえない筈なのに…どうやって…?」

『肯定。聞こえています。』

「わあっ!?

ここにも接続できるんですか!?」

 

A.R.O.N.Aはアロナの姿を見て驚く。

自分とは違い、人間的な機微をしている彼女を見てなのか、それともヘイローの形がムーンセルのシルエットに酷似したものへと変化し、アロナの両腕に奔る魔術回路を見たからなのか。

 

「私達は、同じ「シッテムの箱」のOSである為、相互干渉ができるものと推測します。

私はあくまで、「シッテムの箱」の所有者である藤丸先生を助け、サポートするだけの存在。

先生、ご命令を。」

 

A.R.O.N.Aはそう言って仮面の男の指示を仰ぐ。

 

「それは…つまり…」

 

藤丸は仮面の男に警戒の目を向ける。

 

「その男が別世界の「俺」ということ?」

 

藤丸は、仮面の男がもう一人の自分であるかを問う。

 

「一部肯定。対象が、連邦捜査部「シャーレ」の顧問藤丸先生と同一存在である事を確認。」

 

藤丸はその言葉を聞き、冷静に受け止める。

 

「しかし、複数差異が存在します。」

 

A.R.O.N.Aの言葉を聞き、アロナは仮面の男の解析すると言葉を失う。

 

「せ、先生…!」

『アロナ?』

「そ、そうです…そう、というか、違う、というか…。

今私の方でも仮面の男の霊基を確認してみましたが…

たしかに、一致します。外見や様々な要素は異なりますが…

仮面の男は別世界の先生です…ですが…」

 

アロナは息をのみ、報告を続ける。

 

「仮面の男──いえ、あの先生は…

すでに…生きて、いません。」

 

アロナは仮面の男──別世界の藤丸が生きていない事を報告する。

 

「生きていない?」

「ええ、そう。

先生を殺したのは私だから」

 

黒いシロコは別世界の藤丸を殺した事を告げる。

 

「え?」

「そうしたら、先生は「色彩の嚮導者」になった。

これは…おそらく「色彩」の影響だろうね。」

「アロナ、色彩とはなんだ?」

 

藤丸は、アロナに問いかける。

 

『色彩、伝承科(ブリシサン)に伝わるキヴォトスに襲来する災害の事です。恐らくゲマトリアが言っていたあの脅威と同じなのではないかと…』

「わかった。ありがとう。」

 

藤丸は、再び黒いシロコに目線を向ける。

 

「そして私を、ここに連れてきたの。

世界を終焉に導くという、私の運命を実現させる為に。」

 

黒いシロコはそう言うとシロコの銃を握る手が強くなり、魔術回路が活性化する。

 

「…あなたが、私?」

「うん。」

 

黒いシロコはそう肯定すると、シロコの魔術回路は加速する。

 

「私が…先生を…ころ、した?」

「ええ。」

「…世界を、滅亡?」

「そう。」

 

黒いシロコはそう答えるとシロコは魔力を纏い、駆けだす。

 

「ふざけないで──!!」

 

シロコの弾丸は魔力を纏い、加速し、着弾。

弾丸は黒いシロコを遠くへと吹き飛ばし、シロコは追いかける。

シロコと黒いシロコは戦い始める。

 

「…」

 

藤丸は別世界の藤丸である仮面の男と相対する。

 

「戦うしかないのか?」

「肯定。」

「どうしても?」

「はい。先生もそう仰っています。」

「…そうか…」

 

藤丸は目を閉じ、そして令呪を構える。

 

「来い!」

 

仮面の男は反応し、未知の技術が使われた球体の攻勢機械と大型の攻勢機械、ガスマスクをつけた修道女と聖女の亡霊、暴走したオートマターの軍勢、巨大なペロロの姿をした巨獣、ビナー、堅牢な殻で固めた機械、ケーブルを鞭の様に扱う巨大機械、神聖さを感じる聖人の英霊の名を有した存在、二体一対の人形を集結させ、藤丸に差し向ける。

その全てが聖杯の反応を示さず聖杯とはまた別の異質な存在「色彩」の反応を示す。

 

(英霊を召喚しない? 何か意図でもあるのか?)

 

藤丸は、仮面の男の様子を見る為に源為朝とアルジュナを召喚する。

 

『警告。キヴォトス崩壊クラスの崇高を宿した未確認存在が二体出現。』

 

二騎の影は、藤丸を守るように上空へと弓矢を連射し、二種の弓の雨が降る。

弓矢は着弾すると巡航ミサイルが爆散したかのように焼き払う。

まるで無数の巡航ミサイルによる絨毯爆撃のようだ。

六つの比較的大きな反応を残し、全ての存在が消え去る。

 

「残ったか…アルジュナ、破壊神の手翳(パーシュパタ)を」

 

アルジュナの影は頷くとアルジュナの影の掌上に凄まじいエネルギーを宿した青い光が現れる。

 

『警告。計測不可能のエネルギーが未確認存在に集束開始。』

 

破壊神の手翳(パーシュパタ)

それは神話において破壊神シヴァが宇宙を破壊する際に使用する禁断の破壊兵器。

青い光は空間の中央へと一瞬にして転移し、爆散。

六つの巨大反応を呑み込み、消滅した。

 

「小手調べは終わりだよ。仮面の男(オレ)…貴方が俺…藤丸立香なら出来る筈だろう?」

 

星見の藤丸は警戒心を露にする。

相手が自分ならこのタイミングで英霊召喚を切ってくるはずだ。

ビースト、フォーリナー、グランドサーヴァント、最強種などの脅威を想定し、召喚すべき英霊を高速で思案する。

これまで以上の警戒心を別世界の藤丸に向ける。

未来の自分ならば大人のカードの応用方法や聖杯の使用方法も熟知している筈。

ならばもしかすれば最大の敵となるだろうと警戒する。

色彩が──ゲマトリアが言っていた人類に対する脅威ならば、藤丸も外宇宙より降臨した伝承を以て対処する。

 

「………」

 

別世界の藤丸は星見の藤丸から向けられる自身に対する警戒心が高まっているのを見て、別世界の藤丸もまた警戒を高める。

何故、色彩が持ちうる手札の大半を一瞬で消滅させた癖にこうまで警戒心を高めているのか。

目の前の…未知なる手段でここにやってきた藤丸立香は、何を警戒しているのか。

色彩か? 私の生徒か? アトラハシースそのものか?

色彩? 否、彼の中から色彩とはまた異なる異次元的な「何か」と繋がっているとA.R.O.N.Aは告げている。

それは空■神話に■現する■■達、人■に■する■■という意味不明だが意図は伝わる「何か」。

私の生徒? 否、彼が扱う黒い影は別世界の藤丸の生徒を遥かに上回る力を持っていると告げている。

予測だと黒い影と同等かそれ以上の崇高を無数に扱えると告げている。

アトラハシース? 否、彼の中からそれを小さく圧縮したような…別系統の同位存在を保有していると告げている。

箱舟というより杯というべきもの。

一体何を警戒している? 目の前の…不可解な力を宿した藤丸立香(自分)が仮面をつけた藤丸立香に向ける警戒心…その正体を問うべく仮面の男はA.R.O.N.Aを通して問いかける。

 

『疑問、意味が不明です。

先生に代わって質問いたします。

貴方は私達の先生に何を求めているのですか?

私達にこれ以上の手札など…』

 

A.R.O.N.Aはそう言うと仮面の男は六つの巨大存在を除いた先ほどの軍勢を再度呼び出す。

英霊召喚の気配は一切なく藤丸は呆気にとられる。

 

「……いや、まさか…そうか…貴方は…どうして気付かなかったんだ…」

 

藤丸は一つの可能性…否、ありふれた可能性に辿り着く。

ありえる可能性…否、自分以外のほぼ全ての藤丸立香が辿り着くであろう可能性の藤丸立香。

仮面の男になるか否かなどは関係はない。

ここで死んだこの世界の藤丸立香とシロコもまたそうなのだろう。

寧ろここにいる自分こそ藤丸立香の中でも異端の可能性。

ある男の自殺によって分岐する世界。

自殺したほとんどの世界において世界は焼かれず白紙化されず藤丸立香は真っ当な青春を送っていたはずだ。

しかしこの藤丸はある男が自殺をせず世界は焼かれ、白紙化し、青春は奪われ、七つの世界を滅ぼし、外宇宙と繋がりを持ち、黒い死の光を宿し、異星を否定した。

 

「あの戦いを知らない俺なのか…?」

 

天文学的確率として観測されるカルデアの「藤丸立香」

彼こそ異端。

カルデアを知らずシャーレの先生として観測される「藤丸立香」のほうがあり得る可能性なのだ。

真っ当な青春を奪われた藤丸は真っ当な青春を歩んだ藤丸に向けて言い難く表現できない悲痛な表情を向ける。

 

 

 

 

そしてシロコの戦況は──

 

 

 

「そんなの信じない──!!

世界を滅亡させて、先生を殺す?

そんなわけない!!」

 

(何故、私の方が経験を詰んだはずなのに互角なの?)

 

黒いシロコの力と技量をシロコは魔術でカバーする。

異なる系統の力。

しかし魔術によって強化された感覚、肉体は黒いシロコの経験を覆す。

 

「先生を殺して、あなたの存在の道具として利用?

私がそんな事するわけ──!!」

 

魔術という想定外の神秘。

キヴォトスの生徒が魔術を使うなど前代未聞。

だが、凡百の魔術師よりも強力。

シロコの魔術回路は異なる自分の末路を否定せんと活性化…否、次々と開き始めている。

 

「ハァ…ハァ…あなたはいくら否定したところで…これは…既に定められたこと。」

 

黒いシロコは息を切らしながら魔術で強化されたシロコに対応する。

 

「あなたは……そうなる。

この世界に存在する以上、そう定められているの。」

 

(まずい…徐々に力が増していっている。何処からこんな力が…)

 

黒いシロコは目の前のシロコが出所が不明な力によって強化されているのに焦りを見せる。

魔術回路が完全に開いておらず魔術師として開花したばかりだが、ここまでの才能を発揮するのは彼女が持つ神秘ゆえかそれともキヴォトスの生徒という基本的なフォーマットか。

ボルテージが上昇し、アサルトライフルの一撃一撃の銃弾が神秘を纏った対戦車砲の如き一撃となる。

 

「それが…砂狼シロコという存在の運命。

世界を死に導く神。それが──私達の「本質」。」

 

黒いシロコはそう言い終わると青い破滅の光が照らし、黒いシロコは光が差す方を見ると六体の色彩によって変質した巨大存在が光に呑まれて消えるのを確認する。

 

「…先生。」

 

黒いシロコは、プレナパテスに助けを求めると瞬間移動し、シッテムの箱を繋げ、大人のカードを取り出す。

 

『シッテムの箱、戦闘支援モードに切り替えます。』

 

A.R.O.N.A.とプレナパテスの大人のカードおよび青輝石の消費による支援で黒いシロコの力は増大する。

黒いシロコは二つの支援を受け、魔術で強化しているシロコの弱点を見抜き、蹴り飛ばした。

 

「シロコ!」

 

藤丸は、軍勢を一掃しながらシロコへと駆けだす。

 

「それにしてもどうやってこんな力を付けたの? 私とは別の経験…いえ、そんなことはどうでもいい。」

「どうして…そんな…」

「この世界に存在した「砂狼シロコ」は──

プレナパテスの計画にとって、どんな変数になるのか想定できなかった。

世界を終焉に導く「崇高」は、1つの世界に1つしか存在できない。

私がこの世界で安定して活動する為には、同一存在であるこの世界のあなたを、この世界に存在しない状態にしなければならなかった。

だから先にあなたを誘拐し、助けに来たこの世界の藤丸先生とあなたを殺した。

あぁ、でも…貴方にも言うけど…」

 

黒いシロコは、銃を向ける。

 

「私は、この世界の貴方に同情したよ。シロコ。

ここで、誰にも知られずに終焉を迎えられたらよかったのに…

そうすれば、あなたは自身の愛する人たちの死を知らずに消えられたのにね。

こんな事をするから──あなたはまた苦しむ事になる。」

 

黒いシロコは、そう言い終わり、藤丸がシロコに近付くと時間が停止し、シロコの影は蠢く。

影は黒いニトクリスの形へと変わり、独りでに動き、シロコの傍らに立つ。

 

『そう、お前の本質は死の神です。』

 

黒いニトクリスの影は、シロコに本質が自分と同じである事を突き付ける。

 

『ですが世界を滅ぼして先生を殺すという運命には抗える。』

 

黒いニトクリスの影は、シロコに手を差し伸べる。

 

『この運命に抗うならば、我が手を取るならばお前はこれから先生が歩む苦難の旅路を伴う事となる。

それは…数多の死と苦しみに向き合う旅路。』

 

「それでも構わない。私が世界を滅ぼして先生を殺すなんて運命…受け入れてたまるか!

それに先生一人が苦難の旅路を行くなんて嫌だ!」

 

シロコの内から燃え盛る感情。

それは世界を、先生を、守りたくて溢れ出す怒り。

シロコは立ち上がり、両眼は冥界の青炎を宿す。

 

『ならば我が名を叫び、抗い、そして破滅も厭わない復讐を誓いなさい! お前自身の運命に!』

 

魔術回路は熱く燃えるように活性化する。

魔力が激しく青く燃え、影を触媒に冥界の門が開く。

 

「来い! アヴェンジャー!」

 

シロコの令呪を掲げると赤く光り、シロコの影から凄まじい魔力の奔流が冥界の炎の如く噴出する。

 

「一体何が…!」

 

黒いシロコは、シロコの影から噴き出た魔力に対してプレナパテスと共に後方へと下がり、シロコが起こした現象に驚愕する。

魔力の奔流の中からアヌビスの如き異霊が現れる。

 

「我は死の神(アヌビス)にしてファラオ。復讐者(アヴェンジャー)異霊(オルタ)なりしニトクリス! 我は契約者たるお前の…恐怖(Terror)そのものである!」

 

それはアヌビスの具現。

シロコ自身の反転した神秘を体現した異霊。

即ち、シロコの影となる神霊である。




使用楽曲コード:720-3036-4(Bright Burning Shout/西川貴教)
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