青春記録都市キヴォトス   作:とある厨病の異聞観測

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第5節 グランドオーダー/Last_Encore

「カル…デアス?」

 

藤丸はその言葉を聞いて脂汗を流す。

 

アトラ・ハシースの外から衝撃波が発生し、アトラ・ハシースを大きく揺らす。

 

『警告、アトラ・ハシースの周辺に時空間異常を検知。』

『先生! アトラ・ハシースの外に恒常的な時空間断絶が発生しようとしています!』

 

アロナとA.R.O.N.Aは警告を鳴らす。

アトラ・ハシース中枢にモニターが現れ、異常発生地点を移す。

そこには空間にひびが入っていた。

空間のひびが大きくなり、そして割れた。

 

「あれ…は…」

 

藤丸は言葉を失った。

時空の裂け目からソレが見えた。

無数の箱舟がカルデアスを中心に集まっている。

贋作空想樹「盈月」の如く樹の形となって集まっている。

一つ一つが特異点を形成する箱舟が70億を優に超える数が集まり、カルデアスを宿した過去最大規模の空想樹として成している。

シャイニースターの如く究極の一としてなさんとするその魔力量は恒星級を超えて計測不能。

時を喰らう存在。

星を空洞にするモノ。

地球人類を宇宙の恥へと貶める存在。

 

『クククククク…』

 

時空の裂け目から人影が現れる。

 

『我が名はルクスリア。

この特異点を観測し、留めた者なり。』

 

それは魔獣赫ルクスリア。

ビーストVIドラコーの眷属の一角だ。

 

「ルクスリア…まさかドラコーの霊基が眠っていたのは!」

『そうとも我が再び眠らせた。我が計画の為に…我は王に反旗を翻し、異星の使徒となった。』

「異星? カルデアスはすでに…」

『お前が阻止した。だが、再起したのだ。色彩による破滅、それを否定し、天球が再臨する。』

 

ルクスリアはカルデアスを背に両腕を大きく広げる。

 

『我が計画の為…色彩の嚮導者の命と箱舟を貰い受ける。』

 

ルクスリアは、そう言って指を鳴らすと黒い空想の根が時空の裂け目から現れ、アトラ・ハシースの中枢を貫き、ナラム・シンの玉座に到達する。

 

「逃げて! プレナパテス! シロコ!」

 

藤丸はそう叫ぶとプレナパテスは黒いシロコと共に転移しようとするが失敗した。

黒いシロコはプレナパテスの手を取り、逃げ、藤丸とシロコは影からサーヴァントを呼び出し、空想の根を迎えうつ。

巌窟王とニトクリス・オルタと数騎のシャドウサーヴァントは空想の根に対して応戦するが、空想の根はプレナパテスと黒いシロコの命を狙わんと数が増えていく。

 

「先生…」

 

黒いシロコは、自分達のために戦う藤丸とシロコを見て決意を固める。

 

「あの人たちを逃がそう。あの人たちならきっと」

 

黒いシロコの言葉にプレナパテスは頷くと、A.R.O.N.Aに最後の指示を出す。

 

『はい。それが最適かと…全て──彼らに託しましょう。脱出シークエンス起動。』

 

黒いシロコは、シロコと藤丸を掴み後方へと投げ飛ばし、黒いシロコの心臓に空想の根が突き刺さった。

 

「クッ…でもこれで…未来に希望を託せる。

貴方達ならきっと」

 

黒いシロコはそう言って体が塵になりながら振り向き、微笑む。

 

「…生徒たちを──」

 

プレナパテスは空想の根に心臓を貫かれながら仮面を外し、振り向く。

それは顔にも包帯が巻かれ、火傷を負った藤丸立香の顔だった。

 

「よろしくお願いします。」

 

脱出シークエンスは起動する。

 

「待って!」

 

藤丸とシロコはアトラ・ハシースから地上へと転送された。

最後に見えたのは心臓を貫かれ、笑顔で三人を見送りながら塵と化すプレナパテス、黒いシロコ、A.R.O.N.Aだった。

 

空を見上げると空想の根に絡め取られ、時空の裂け目へと飲み込まれていくアトラ・ハシースの姿があった。

 

「プレナパテス、シロコ、A.R.O.N.A…」

 

藤丸はそう呟くと藤丸とシロコの体は金色に輝く粒子へと変換されていく。

 

「これは…」

「元の世界に帰れる…けれど…あの人たちを助けられなかった。」

 

藤丸は、悔しくて拳を握り締める。

藤丸の背中にプレナパテス、黒いシロコ、A.R.O.N.A.の影がのしかかる。

彼の前で再び助けたい命が失われた。

命が再び零れ落ちた。

カルデアスに飲み込まれ、オルガマリーは一度死んだ。

ゲーティアと共にロマニ・アーキマンは消滅した。

カルデアを脱出する際に心臓を貫かれ、ダヴィンチは退去した。

彼ら彼女らの死を想起する。

 

二人の体が粒子へと変換が完了し、特異点から現実世界へと帰還する。

 

藤丸が特異点から帰還する最中、夢を見た。

電車に揺れる。

連邦生徒会長が乗っていた電車だ。

目の前に黒い皇帝のような鎧を纏う金髪の美女が座っている。

 

「我が騎手よ。」

「ドラコー」

 

黒い皇帝ドラコーは窓から差し込む太陽に照らされながら藤丸に頭を下げる。

 

「…すまぬな。」

「いいよ。君のミスじゃないんだろう?」

「…そうか…だが、一つ伝えておこう。」

 

ドラコーは、藤丸の眼を見つめる。

 

「余はいずれ貴様の元へと戻る。

貴様が観測した時空の先、再臨した天球を否定するがいい。

否定した時、プレナパテスともう一人のシロコそして箱の娘を助けられる。」

 

ドラコーはそう言い、再び目を閉じ始める。

 

「余は…すべての…奇跡がある場所にて…貴様を待つ。」

 

藤丸は三人の死を背負い、決意を固める。

今度は助けてみせると

 

「そう、お前は運命を塗り替えるべく戦う。」

 

巌窟王は暗闇の中、藤丸に語り掛ける。

 

「今こそ始めよう…最後のグランドオーダーを」

 

巌窟王の眼に炎が宿る。

再び世界を救う為に

そして三人を助ける為に

 

「声に出した希望を真実に変えにいくのだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

定礎奪還

 

 

 

 

 

 

 




使用楽曲コード:720-3036-4(Bright Burning Shout/西川貴教)

青春記録都市キヴォトス:イメージソング
『空白(坂本真綾)』『Bright Burning Shout(西川貴教)』













第三の喇叭が鳴り響く。
シロコの視界に映ったのは、霧の街にて川の水底に落ちた水子の集合体だった。
喇叭の音と共に聞こえてくるザザ鳴りの愁雨は、死者の嘆きが奏でるノイズの如く響いていた。
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