花は咲き誇り、春風が吹き、名もなき神々は歌う。
ここは名もなき神々が住まう場所、
そこで二人の少女は向き合っていた。
「何用ですか? アーキタイプ。」
名もなき神々の中でも特別な存在、楽園の妖精アルトリア・アヴァロン
名もなき神々が霊長として存在していた異聞帯「妖精國」にて予言の子として巡礼をしていた少女だ。
「貴方も気付いているでしょう? リツカがまた危険な運命へと歩んでいる事に」
名もなき神々「精霊」の王族たる「真祖」
その真祖を統べる姫アーキタイプ・アースは星の内海にて三つの世界を観測しながらアヴァロンと会話する。
一つはカルデアとの縁を持たない黒のテスカトリポカが召喚された
真祖の姫であるが故に地球で起きている事は全て観測できる。
「えぇ…ですがキヴォトスは元々は星の内海の一部…忘れられた神々が名もなき神々を放逐し、侵略した地。
我々はリツカを助けどもキヴォトスを助ける道理はないのでは?」
「確かにそうです。忘れられた神々は本来であれば実体が溶け、高次へと虚ろな存在として世界を見守っている筈の存在。
ですがこうも考えられます。
あの世界は宙に旅立つべき霊長のサンプルケース…蒼く輝ける銀河の参考として残しておくべきと…
キヴォトスでの忘れられた神々の在り方によって人理が宇宙へ繋がる一助となるなら
そうですね。
今のキヴォトスの在り方を
アーキタイプは、人類が英霊と同じ高次生命となり、宇宙へと旅立った未来である蒼輝銀河から名前を引用し、キヴォトスの在り方をそう定義した。
「それだけに新しい霊長の参考例を消しにかかろうとする「無名の司祭」は少々目障りですね。
それに再び人類に対する脅威も差し迫っている状況です。
ですのでアーキタイプとして命じます。キヴォトスにて聖剣の担い手を探し出しなさい。
楽園の妖精として探し出すのではなくただ一人の少女として」
「それは…あの『私』となって探し出せと?」
「えぇ、そういうことです。
私もリツカのいるキヴォトスに行きたいのですが、私が干渉するには現時点では道理が足りません。それに…」
アーキタイプは目の色を変えてアヴァロンを見る。
「『貴方』としてはリツカとそう言う事をしたいのではないのですか?」
アーキタイプはアヴァロンの中にあるキャスターとしての人格にそう話しかける。
「えっ!? その…私は…その…」
アヴァロンは、キャスターとしての顔を出し、顔を赤く照らしながらもじもじと目を逸らす。
アヴァロン…否、キャスターは学生として先生となった藤丸と一緒に過ごすというのを妄想する。
「フフッ…決まりですね。」
「え?」
アヴァロンの足元にゲートが現れ、アヴァロンの姿はキャスターの姿へと変わっていく。
「いや、ちょっと…待っ」
キャスターは言い終わる前に星の内海からキヴォトスへと転移した。
「頼みましたよ。楽園の妖精、そしてリツカ。貴方達が捨てられた都市に眠る我が同族を目覚めさせるのを…そして願わくば彼女を
そして
貴女は気が付く。貴女の人生は目覚めているだけで楽しいのです。」
アーキタイプは目を閉じながらいまだ目覚めぬ幼い少女にそう言い、千年城から吹く風に当たる。
「あーもう! あの真祖め! まだ心の準備が決まってないのに!」
地上に出たアルトリアはアヴァロンの時の威厳ある態度は崩れ落ち、キャスターとして少女らしい怒りをアーキタイプにぶつける。
「まぁ、いいや。実際私もリツカに会えたいし…」
そう言って聖剣作成を応用し、聖剣の概念を有した狙撃銃を作成する。
その狙撃銃は先端に刃が取り付けられている銃剣だ。
聖剣作成により彼女は剣しか作れない。
だが銃剣は剣の属性を持つ銃である為、世界に対しペテンを利かし、例外的に聖剣の属性を有した銃を作成したのだ。
「この世界での私の名は月型カリハ。
また貴方に会えるのを待ってるよ。
選定の剣は、キヴォトスの星空を見上げてそう呟いた。