藤丸達は死の街を歩く。
死の街には黒いシロコに対して恨みを持つ怨霊が蔓延っており、怨霊はシロコを黒いシロコと勘違いして襲い掛かってきている。
両儀式は、襲い掛かる怨霊をナイフで切り伏せており、藤丸とアルトリアは式の強化に努めている。
藤丸は割り切っている。
ここに現れるのは既に死した生徒。
シロコへの怨念に囚われ、ロンドンに捨てられた水子の集合体と同化した死霊。
特異点とは言え、平行世界の生徒の霊とはいえ
倒すこと躊躇う。
だが、それでシロコに危険が及べば?
今生きている自分の世界の生徒と平行世界にて死した生徒の怨念たち。
選ぶべきなのはどちらか決まっているだろう?
式の眼が影の中の巌窟王とニトクリスの眼がそれを問い、藤丸は割り切ることで応える。
「オレ以外に人理から派遣された存在は今の所見つけていない。
あるいはもうすでにアイツらにやられて退去したかだ。」
式はそう言って特異点について説明し始める。
「アイツら?」
「多分、この特異点から感じる無数の魔力源かな?」
(黒いシロコに似た魔力の波長をアロナは感じ取っている。
これは恐らく反転? オルタにも恐怖にも似た魔力の性質だ。)
この死の街には黒いシロコに似た恐怖の性質を有した魔力源が跋扈している。
「…確かに感じられる。」
シロコもまた魔力を感じ取っていた。
性質まで理解できていないが、その魔力は幻霊級サーヴァントにも匹敵する。
疑似反転した一般生徒は戦闘運用可能な幻霊級のサーヴァントに届きうるのだ。
故にこの場はトラオムと似た状況。
だが、味方はいない。
回りすべてが敵なのだ。
街を進むにつれて霧は濃くなり、敵の数も増えていく。
死を以て反転した生徒の怨念たちがシロコ達に銃を向ける。
式は、現れた影に向けて魔眼を発動し、魔眼を発動すると世界のいたるところに物質の生命線を成す赤いラインが奔る。
式は、怨念に向かって急接近し、赤いラインをナイフでなぞると、怨念は消滅する。
式が消滅を確認し、藤丸に合図を送ると藤丸達は街の中を進んでいく。
街のとある一画に到着すると霧は集まり、黒い靄のかかった四人の人影が現れる。
その姿は、特殊部隊の様な姿だった。
兎型の鉄帽をかぶっている少女たち。
その全てのヘイローが割れている。
二人の影はヘリコプターを模した影に乗り込み、残り二人は戦闘態勢に入る。
「…なるほど、ここから先は通さないってわけね。」
式は、そう言ってナイフを抜く。
「行くぞ。マスター。」
「あぁ。」
藤丸は魔力を回す。
特殊部隊の姿をした生徒の影からは平均的なサーヴァントに匹敵する魔力が感じ取れたのだ。