藤丸は四人の影を見て、警戒心を露にし、影もまた警戒心を露にした藤丸達に対して銃を構える。
長身の長い髪の生徒の影は藤丸に向けて銃弾を放つ。
藤丸はその姿を見て、一つの既視感を見る。
それはミサイルによってとある条約が崩れ去り、廃墟と化し、争い合う戦場。
そこでミサイルによってシッテムの守りを失った藤丸に対して黒髪の少女が銃弾を放つ姿を見た。
藤丸はその銃弾を聖杯の魔力によって肉体を強化し、回避する。
その銃弾は藤丸を殺す為の死の気配が感じられた。
さながらサーヴァントが抱える生前の死因が弱点となっているように感じられた。
既視感、既視感、既視感。
「体が重い…が…やるか…」
両儀式は重い体を動かし、四人の影へと駆けだす。
雨によって重くなっても影となり、反転したキヴォトスの生徒よりも速く鋭く切り付ける。
直死によって大きな荷物を背負った影が消滅する。
「とりあえず一体。」
シロコは、藤丸に背負われながら銃を構え、乱射する。
式には当たらない様にしているが標準はブレブレだ。
(視界がどんどん変になっている…)
シロコの視界に何か不気味な赤い線が見え始めている。
シロコの眼に死の概念が宿り始めている。
しかし式の目に映る其れとは何かが異なる。
藤丸達は雨によって弱体化しながらも影を次々と消滅させていく。
最後の影、長髪の影を倒すと再び藤丸の脳裏に既視感が浮かぶ。
その既視感は、翼のついた少女による攻撃によって倒れる仮面の少女■■■。
腕を切って血を流し、自殺する少女■■■。
そして何かの生贄にされて磔にされる黒髪の少女■■■の既視感が浮かんだ。
(■■■、■■■、■■■、■■■…)
藤丸の脳裏に再び知らない名が浮かび、後悔の涙を流す。
再びカルデアスが脳裏に現れ、その後悔をかき消す。
「行こう…」
雨は強くなっていく。
ザザ鳴りの雨は強くなっていく。
死の気配が強くなり、視界は徐々に雨によって濃霧の頃よりも悪くなっていく。
藤丸達は街を更に進み続け、ロンドンの中心部に存在する時計塔に辿り着くと藤丸達の頭上に何か巨大な影が現れる。
空から何かが近付いてくる。
それはあまりにも巨大な存在。
その時代には似つかない。
否、現代においても実現不可能な巨大兵器。
「あれは…アリスの影?」
その名はアトラ・ハシースの箱舟。
かの特異点にて出現した巨大な構造物を背にアリスの影は藤丸達の前に立ちふさがった。
アリスの影は藤丸達の周囲に無数の球体兵器を生成し、藤丸達に襲い掛かった。