『「私は影、私は
その影は天童アリスではない。
天童アリスの姿を借りたそれは
ジャック・ザ・リッパーでもあり──
『「我らを否定する。我らは閉幕を拒絶する。 我らは落陽に叛逆する。」』
獣の眷属の一角。
アリスの姿を借りて魔獣と
アトラ・ハシースに寄生するかのように魔獣の首が方舟の内側から現れる。
魔獣の名はグラ。
人が宿す七つの原罪たる強欲の大罪を冠する黙示録の獣の眷属。
黙示録の獣、ビーストVI。
獣となった薔薇の皇帝の姿。
「意識が…ぼやける…」
藤丸達はフラフラになりながら敵に立ち向かう。
あの時よりも酷い雨だ。
重く乗りかかる雨はバイタルを死へと近付けていく。
生命を蝕む毒呪の雨。
(だけど…)
藤丸は、胸の中から大人のカードを取り出す。
『ククク…そうだ。カードを取り出し、魔術回路に使え。』
「接続完了──カード限定起動。
発生事象設定:魔術回路の神代回帰。
魔術回路活性アンプルを参考に生と時間を魔術回路崇高化へと変換開始。」
大人のカードを活性アンプルを使うかのように魔術回路へと使用し、崇高化を行い、聖杯から引き出した
一回目よりも二回目、二回目よりも三回目と大人のカードを魔術回路の強化に使う度、大人のカードを使った時の聖杯やキヴォトスの霊脈などの巨大な魔力源から引き出す魔力量の効率が、回路の回転速度と耐久性が、回帰する真エーテルの質が、あらゆる術式の効率が良くなってきている。
その証拠に大人のカードでアルトリアを召喚したとはいえ、ケセドを巌窟王たった一人でほとんど倒した様なもの。
藤丸と巌窟王を繋ぐ魔力のライン、その崇高化のランクが上がっているからだ。
今回は死に近づいた事で、藤丸に宿る
ブラックバレルのオリジナルは
大人のカードを魔術回路に使う度、大人のカードの効果が切れた後の彼の魔術回路…否、存在は崇高としての在り方のひとつである■■へと徐々に近付いていっている。
変化するはずのない魔術回路が一世代で進化する。
次切れた時にはシッテムの箱、魔術礼装、魔術、一切の支援がない生身の状態でもキヴォトスの治安組織の一員に匹敵する力を手にしている。
もはや銃弾では致命傷になりえない。
デミサーヴァント化が進んでいる。
英霊が召喚されず死徒が跋扈する世界における
それがアンプルを使った時の人生の前借りと共に課される代償、副作用なのだ。
それは永遠を騙る死徒などよりもおぞましい結末だ。
『奴風に言うと──■■■■■攻略法その1、『物理的な限界を進化を以て超える。』
奴は、恐らくあの方法を以てプレナパテスが属していたキヴォトスの崩壊へと導いたと言ってもいい。
だが、大人のカードによる一時的な崇高化による副作用の蓄積によってジェリコの城壁と藤丸自身を強化すればいい。
■■へと至った時にはジェリコの城壁はキャメロットの城壁に届きうるものとなるだろう。
だが、■■になる頃にあの少女との再契約を成した時、キャメロットの城壁は更に強固なものとなるがな。
しかしこれで■■■■■■■の配下による凶弾が
だが、それは我の方で対処すればいい。
奴の利用価値は儀式にある。
さて、藤丸自身が強化された事でシナリオ変更が懸念されるが問題ない。
そこも対策はしてある。』
(体が軽い…)
死の怨念が詰まった雨に打たれながらブラックバレルとは異なるシャーレの刻印が刻まれた黒いハンドガンを取り出す。
銃弾には高次化したブラックバレルの呪いにより死の概念が込められており、その弾はアレクサンドリア大図書館にて保管されていたブラックバレルの劣化というには烏滸がましい代物といえるブラックバレットと同質の存在と化していた。
ブラックバレットは神殺しなどという大層なものとは程遠いが、英霊を殺すのには十分な
今の藤丸は、あらゆる銃弾を
藤丸から流れ出る真エーテルによってサーヴァント達は力を取り戻す。
流れ出るエーテルにより式の様子が変化する。
「マスター。…状況は理解したわ。」
『両儀式』の力によって、回復し、藤丸達はアトラハシース内部へと飛ぶ。
アトラハシースが呪いの雨を遮る。
「行くぞ!」
藤丸達は箱舟の中を駆ける。
道中、藤丸達は魔獣赫とアリスの影からの妨害を受けるが、
ナラム・シンの玉座へと辿り着き、
シロコは、ニトクリス・オルタを召喚し、シロコの眼はアトラ・ハシースの死を捉える。
「「直死」」
シロコと『式』は、そう言い、アトラハシースの中核と魔獣赫の死を捉え、切り裂く。
アトラハシースは崩壊し、魔獣赫は死に絶え、アリスの影からジャックの姿が見え始める。
「…おかあさん…」
そうジャックは呟くと座へと退去した。
「…行ったわね。」
『式』もまた退去を始める。
特異点は崩れていく。
藤丸、シロコ、アルトリアも特異点から現実へと帰還する。
「…マスター。貴方の末路はよくないものでしょう。けど、貴方は…」
「あぁ、そうだとしても歩み続けるよ。」
藤丸は『式』の言葉から自分の末路を察するも進むと決意し、三人は特異点から帰還した。
第四の喇叭が鳴り響く。
シロコの視界に映ったのはキヴォトスの外より来る黒い不可解な光、14000年前に神代を滅ぼした流星、そして流星の傀儡となり笑う数学者の姿が見えた。
不可解な光はキヴォトスを滅ぼし、宙から来る星は神々が支配する世界を滅ぼしていく。