キヴォトス三大学園の一つ。
天使や聖人を基とする神秘を有する生徒が集う「トリニティ総合学園」
と対を成す悪魔を基とする神秘を有する生徒が集う学園「ゲヘナ学園」。
そのゲヘナ学園の自治区の一角にある風紀委員会の学生寮の一室にアラームが鳴り響く。
「んん…」
アラームの音に反応し、
少女はアラームを消し、大きな欠伸をする。
(変な夢を見たわね)
白い髪の少女は、寝癖を軽く治す為、頭を掻きあげ、時計を見る。
まだ登校時間にはまだ早い。
朝の準備は十分にできる。
「よし…」
少女は立ち上がり、登校準備を始める。
少女はミカエルより神託を受けし聖処女ジャンヌ・ダルクが反転した異霊。
ジャンヌの恐怖の具現、竜の魔女ジャンヌ・ダルク・オルタである。
生徒としての名は折田レティシア。
彼女は抑止力より告げられたキヴォトスを中心とした人理崩壊に備える為にゲヘナ学園に潜入している英霊の一人だ。
ゲヘナ学園ではヒナ、バーゲスト、メリュジーヌ、そしてジャンヌの風紀委員会四天王の一人として数えられている。
「さてと…」
朝の身支度を終えたジャンヌは、メグの持つ火炎放射器を遥かに超える火力を有する火炎放射器「ファブニール・ブレス」の中に入っている燃料を補充する。
「ふーん、マスターちゃんは今トリニティにいるのね。」
ジャンヌは、シャーレの公式サイトから現在トリニティへ出張中であると記載されている情報を確認する。
「まぁ、いいわ。
トリニティで何をしようとも…きっとマスターは私達ゲヘナに入り込んでる英霊の…いや、生徒全員の味方だから…」
ジャンヌは、風紀委員会の服装に着替え、ファブニール・ブレスと予備の燃料を持ち、部屋の外に出る。
部屋の外には大きな影が一つとある部屋の前に立っていた。
「バーゲスト、おはよ。またいつもの?」
ジャンヌは、ある部屋の前にいる風紀委員会の服装を纏ったバーゲストに話しかける。
バーゲスト。
雷食いのバーゲストと呼ばれる名も無き神々の中でも高位の存在だ。
生徒としての名は、我上院バゲコ。
風紀委員会四天王の一人だ。
「あぁ、おはよう。ジャンヌ殿。
そうだ。メリュジーヌがまた寝坊しようとしている。」
「寝かせておけば? こいつの本領を発揮するのは午後なんだし午後に起こした方がヒナ委員長も負担が少ないでしょ。」
「そうもいかん…メリュジーヌの出席日数が足りなくなってきている。
これを機に万魔殿が付け入るだろう。
万魔殿にいるモルガン陛下が何とか抑えてくれているが、そろそろ出席日数を増やさなければ融通が利かなくなる。」
「…わかったわ…私に任せなさい。」
バーゲストは扉を離れ、代わりにジャンヌがメリュジーヌの部屋の扉の前に立つ。
ジャンヌは竜のカリスマを使い、ドアを叩く。
「起きなさい。メリュジーヌ。あとでマスターちゃんに怒られても知らないわよ?」
竜のカリスマが乗ったジャンヌの言葉は竜属性を持つ存在へ深く響く。
その声が響いたのか、マスターをダシにしたのか。
メリュジーヌは部屋の中から寝間着姿で現れる。
「はぁー。もうちょっと寝かせてよね。
まぁ、でもマスターに嫌われるのはもっといやだからね。」
メリュジーヌ。
純血竜アルビオンの腕そのものといえる名もなき神々の頂点の一つ。
生徒としての名は女竜寺ランコ。
サーヴァントとしての力を発揮しない場合でも、ヒナやホシノに匹敵する最強の存在として君臨している。
午前中は戦力にならないが、午後になると圧倒的な戦力で殲滅する。
「仕方ないね。ボクは準備してくるから待ってて。」
十分後、メリュジーヌは風紀委員会の制服を着て両手に二つのガトリングガンを持ち、外に出る。
「ふーん、今日はガトリングなのね。」
「うん、今日はガトリングの気分。
寝かせてくれないから不良の一人や二人をボコさないと気が晴れないよ。」
メリュジーヌはそう物騒な事を言い、ジャンヌたちと共に校舎へと向かう。
今日、風紀委員会へと通報の入った不良達は朝早く起こされて不機嫌なメリュジーヌからの襲撃でしばらくの間、怯え続けていた。