青春記録都市キヴォトス   作:とある厨病の異聞観測

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作業用BGM『臨界繁栄都市バビロン』


第6話 銃と火薬の茶番劇

アビドスと便利屋は校舎前にて対峙する。

 

「だ、誰かと思えばあんたたちだったのねー。

ラーメンも無料で特盛にしてあげたのに、この恩知らずー。」

 

セリカは三流芝居といっていい棒読みの演技をする。

 

「あははは、その件はありがと。それはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさ。」

「残念だけど公私はハッキリ区別しないと。受けた仕事はきっちりこなす。」

「…なるほど。その仕事っていうのが、便利屋だったんだ。」

 

ムツキ、カヨコ、シロコは本来の世界線を彷彿とさせるような真に迫った演技をする。

 

「もう! 学生なら、他にももっと健全なアルバイトがあるでしょう? それなのに便利屋だなんて!」

 

ノノミは演技半分、本気半分で便利屋について苦言を呈す。

 

「フフッ、アルバイトじゃないわ。れっきとしたビジネスよ。何なら私達の肩書きを紹介してあげるわ。」

 

アルは、演技に入り、本来の世界線より自身の持った態度で挑む。

 

「私は社長。」

 

アルはそう言ってお辞儀をし、次にムツキの方を指す。

 

「あっちは室長で」

 

次にカヨコの方を指す。

 

「こっちが課長。」

「はぁ…社長。かっこよく決まっていたのに薄っぺらさが際立っちゃうよ。」

 

カヨコはため息をつく。

 

「誰の差し金? いや、答えるわけないか。」

 

シロコは、便利屋の元々の依頼主…黒幕の正体が大方わかっているが、わかってないフリをし、銃を構える。

 

「力尽くで口を割らせるしか…」

「フフフ、それはもちろん企業秘密よ?

総員! 攻撃!」

 

アルの一声でアビドスと便利屋の八百長試合が始まる。

銃撃戦は数分もたたずしてアビドスが優勢となり、便利屋は予想以上に強い事に驚く。

アビドスへと流れる微量な強化魔術が便利屋を追い詰めている。

 

(何この子達強い…)

 

便利屋は防戦方向で本気で戦い始める。

演技するのをやめて本気で戦い始める。

 

(…勝機が見えない。

だからこそ彼女達の胸を借りるとしましょう。

ここで敗北しても本来の選択よりも得られるものがある。)

 

アルは、便利屋と傭兵に対し、特攻覚悟でアビドスに突撃するように指示すると便利屋陣営は、突撃する。

 

(なるほど…私達の胸を借りて成長しようと考えてるか。)

 

藤丸は、便利屋の動きを見抜く。

 

(わかった。なら、応えさせてもらうよ。便利屋の皆。)

 

藤丸は、決戦強化を発動し、アビドスの面々を強化し、便利屋陣営を一掃する。

 

「参ったわ。」

 

アルは手を挙げて降参の意思を見せる。

 

「クライアントには敗北したと報告するわ。

傭兵の皆お疲れ様。」

 

アルは、傭兵達にそう告げると

 

「「「「「「お疲れ様でしたー!」」」」」」

 

敗北し、傷だらけの傭兵達はアルに一礼をして去っていった。

 

「さて、私達もここを去るとしましょう。ハルカ。煙幕を!」

「は、はい!」

 

ハルカは煙幕を巻き、便利屋はその場を颯爽と去っていった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

数時間後の夜――

 

「やつらのデータは正確だったはず…

計算ミスか? いや、しかしあの力は明らかに…。」

 

便利屋からアビドスに敗北したという報告書を見て、大柄なロボットカイザーPMC理事は、勝敗について訝しむ。

 

「お困りのようですね。」

 

カイザーPMC理事の前にスーツを着た黒い異形が現れる。

 

「いや、困ってはいない。ただ、計算に少しエラーが生じただけだ。

アビドスの連中が、データよりはるかに強かっただけのこと。」

 

カイザーPMC理事はアビドスの強さの変動に悩み、額を抑える。

 

「データに不備はありません。」

 

黒い異形の言葉にカイザーPMC理事は疑問に思う。

 

「これは単に、アビドスの生徒がさらに強くなった、と解釈すべきかと」

「それは一体…」

「アビドスにどのような変化要因があったのか、確認してまいりましょう。

「彼女」の観測が正しければ我々が想定する以上の不確定要素が入り込んでいると思われます。」

 

黒い異形は、『赤肌の女』とは異なる『異形の女』の言葉を思い出す。

数年前…赤い光に照らされた部屋。

そこには四人の存在がいた。

黒い異形、頭部のない紳士、頭が二つある人形、そして異形の女だ。

 

「■■■■■■■を省いて我々を呼び出した貴方は何者なのですか?」

 

黒い異形は、異形の女の方を見る。

異形の女は、刺々しい金色の髪、顔には血涙のような紋様が描かれた女性体だ。

 

『あの女は気に食わん。

あの女はこの先の未来、アレを友好的と見る貴様らとは違う。

故に呼び出す事はない。』

 

異形の女は、赤肌の女を毛嫌いし、他の三人に対して友好的な態度を示す。

 

『我は■■『■■■■■』。

かつて『■■■■』にて『■■■■』を引き起こした者達の一人である。』

「『■■■■』…キヴォトス外で起きている謎の白紙化現象、そしてかつてキヴォトス外にて観測されていた魔神王による人理焼却とはまた別のワールドエンド級の事件ですね?」

『然り、幾度も世界を滅ぼし、■■■の命を喰らった者。それが我らである。』

「我々を呼び出したのは、貴方が我々に加入する為ですか?」

『そうでありそうではない。

我はあの女が気に食わない。

貴様らには友好的な態度は取れどもあの女には敵対的な態度を取る。

故に仲間ではなく協力者でありたいと思っている。』

「なるほど…それでいいでしょう。

貴方が我々と協力関係になりたい動機を聞きましょう。」

 

黒い異形は、異形の女の話を聞く姿勢に入る。

 

『この世界に現れる主役は、

恐らく虚数の海にて既に『■■』を乗り越えた後の存在だろう。』

 

異形の女は思い出す。

虚数の海にて花の邪神によって呼び出される『■■』を。

邪神の巫女達によって引き起こされた騒乱を。

密閉された空間、少数で『■■』に対処した記録を。

 

『我の存在とアレの存在は結び付く。

我が存在しているという事は獣の騎手であるアレが必ず現れる。

故に我はアレがこの世界にて完全顕現した『■■』を乗り越えてもらうべく準備を進めている。

その為に貴様らと協力関係を結ぼうと思っている。』

 

異形の女はキヴォトスのものとは思えない威圧感を有し、その神秘/恐怖はキヴォトスにおいて観測史上最高クラスと言っていい程に高く深い。

彼女は、ゲマトリアの総力をあげても太刀打ちできずキヴォトスを壊滅させうる力を宿している。

異形の女は黒い異形に三つ、頭が二つある人形に二つ、頭部のない紳士に一つ黄金の杯を渡す。

黄金の杯は歴史の歪みである特異点を形成し、維持できる程の魔力量を有している。

 

「これは…聖杯ですか?」

『そうだ。どう使うかは貴様らの判断に任せる

アレに課す試練は高ければ高いほど良い。

我と協力関係を結ぶのならば聖杯を懐に収めよ。』

 

三人は、聖杯を懐に収めると異形の女は不敵な笑みを浮かべる。

 

『契約は成立した。

では、我と共に『■■』を撃ち滅ぼすとしよう。

渇望は必ずや勝利を呼ぶ。

七つの杯よ。抗う者たちに今一度、ジェリコの奇跡を授けたまえ。』

 

異形の女は改変されたシッテムの箱のパスワードを知っているかのような/並べ替えたような言葉を残し、消えた。

黒い異形は、回想を終え、踵を返す。

 

「では…」

 

黒い異形はその場を立ち去り、異形の女の言葉に従ってアビドスが強くなった理由を調査し始めた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

黒い異形が去った後の同時刻。

 

「フフフ…」

 

アルは笑う。

ブラックマーケットで開いた口座に藤丸からカイザーからの監視網を潜り抜ける様にお金が振り込まれている事に。

 

「アルちゃん上機嫌だねー?」

「当たり前よ。これで貴方達をしばらくの間、食わせていける。」

「でも実際強かったね。

演技する以前に普通に負けてしまった。」

「ねー? 思わず演技を忘れて本気で戦っちゃった。」

 

ムツキがそう言うと便利屋3人はその言葉に頷く。

 

「先生の言う通りあのまま戦っていたら何も得ずに退散していただろうね。

あの強さはきっと先生に依存している。

だから私達の経営顧問として逆にスカウトしてみたら? 社長。」

 

カヨコはそう言ってアビドスの戦力を分析する。

 

「確かにいい提案ね。

先生が許すなら頼んでみようかしら…」

 

カヨコの提案にアルは乗りかかろうとする。

 

「さて、明日、銀行から預金を下ろしてすき焼きを食べに行くわよ!」

 

便利屋は勝利の凱旋をするようにブラックマーケットの銀行へと向かって行く準備をし、就寝した。

 

 

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