ウマ娘光のヤンデレ概念 作:私たちは負けない!!
「骨折です」
「え?」
三冠ウマ娘への道は、呆気なく絶たれた。
足の骨折。多くのウマ娘が悩まされてきた問題。
まさかボクに降りかかるなんて、思いもしなかった。
面倒なことになった。あの感じでは菊花賞には間に合わないだろう。
三冠の称号を与えるという約束は反故になった。ああクソ、これだから契約ってのは嫌いなんだ。
これはまあ、気休め程度だがやれることはやっとこう。彼女への不義理は許されないから。
無敗の二冠ウマ娘が怪我に倒れたともなればマスコミ関係者も騒がしくなる。そういった手合いを上手くさばくのもトレーナーの役目だ。
……ああ、本当に面倒なことになった。
ウマ娘は嫌いだ。
というのも、俺が育ってきた環境に影響されてのことだったりする。
有名トレーナー一族の長男として生まれた俺は生まれながらにトレーナーになることを義務付けられ、勉強漬けの日々を送らされた。
結果として俺は勉強ができる方だったので試験には無事合格した。ちなみに弟も同じように育てられたのだが、残念なことに彼には適性が無かったようで現在は引きこもりとなっている。
すっかり一族の恥として蔑まれるようになった弟だが、俺だけは味方でいようと思う。だって俺は兄貴だから。
弟の分のしわ寄せも来たのか家族(特に両親)からは、やれ担当はできたのかやれ成果は出たのかとしつこいくらいに連絡を送らされる。今回彼女──トウカイテイオーが怪我をしたことはもう知られているだろう。
とまあそんなわけで俺はウマ娘が嫌いだ。みっともない八つ当たりなのは自覚しているが嫌なものは嫌なのだ。
両親からのLANEにはまだ既読をつけていない。どうせ面倒なお小言を喰らうだけだろうから。
それよりも今、目を向けるべきはトウカイテイオーについてだ。
現在足を骨折している彼女はレースへの出場権を失った。リハビリはしているが菊花賞前の復帰とはいかないだろう。
ウマ娘は嫌いだが、そんな私情を仕事に持ち込むのはナシだ。なにより情けない。
やるべきことはやる。ただレースに情熱は持てない。それが今の俺だった。
「……辛くないか?」
「うん。……でも、最後まで見ておきたいから」
今日は菊花賞の日。本来だったらボクも参戦していたであろうレース。だったのに、トレーナー室で大人しく観戦している。
これに勝てていたら、ボクは無敗の三冠ウマ娘だった。……でも、レースに『もしも』は無い。
「……出たかったなあ」
ボクのそんなひとりごとに、トレーナーは眉をひそめる。言おうとしていることは分かる。もう何十回も言われたことだから。
「……すまない」
「トレーナーの所為じゃないよ」
いつも通りの、決まった会話だった。
「────よし、今日からならトレーニングしても大丈夫だ」
「オッケー。よぉし、遅れてた分を取り戻すためにも、ビシバシよろしくね、トレーナー!」
確かに三冠ウマ娘にはなれなかった。それでもボクは無敗の帝王だ。
切り替える……にはまだ時間がかかりそうだけど、まずは目の前のことに集中。
いつも通り、ボクは駆けだしていった。
辛い話だが彼女なりに決心はつけたのか、次のレースに向けて無事に体を追い込み始めている。
……元々は三冠を取らせるという約束で担当になったのに、それが不達成となってもテイオーは俺を責めようとしなかった。
子どもっぽいが意外と大人なのか?こちらとしても切り替えてくれる方が助かるが。
彼女とのコミュニケーションはそれなりに上手くいっている……と思う。とりあえず最低限の信頼関係は築けている……筈だ。
稀代の天才ウマ娘に怪我をさせたということで世間の一部では俺を責める声も見受けられた。まああれだけ期待されたのを裏切らせてしまったのだから当然と言えば当然なのか。
肩がこるな。色んな意味で。
強くなりたい。
この不安を吹き飛ばせるくらいに強く。誰にも負けないぐらい強く。
「ふっ────!」
「その調子だ。スパートをかけてくイメージを体に刻み込め」
練習は順調。遅れた分みんなよりちょっとハンデはあるけど、速くなっている実感はある。
無敗伝説を作るためにも、負けられない。
「トレーナー?いるー?……ってまたカップラーメン。体に悪いよ?」
「いいんだよ悪くて」
ちょっと用事があってトレーナー室に行くと、トレーナーはカップラーメンを食べていた。これでもう何日目だろう。
ボクの栄養バランスは徹底的に管理するくせしてトレーナー本人はいつものように体に悪い食事を摂っている。
……へんなの。
ボクはトレーナーが結構好きだったりする。というのも、あの人が結構自然体というかフラットな態度で接してくるから。変に気を遣わなくて済む分居心地が良かった。
男の人とこうして二人三脚で歩くのは初めてだけど、恋がなんなのかは未だによく分かっていない。……そこはマヤノによく揶揄われる。
でもあの人に……トレーナーに恋をするなんてあり得るのかなぁ。そこが疑問。
レース場の喧噪も、シルキーな床も、観客席から仰ぐ青空も、俺には響かない。それはまるで世界から一つ丸々と切り離されたようで、雑踏に紛れる俺一人が、俺一人だけが取り残されたようで。
言いようのない侘しさを抱えながら今日のレース、大阪杯を迎えていた。
「……よし」
スタートしてからしばらくした後。
勝ちパターンに入った。あれなら実況を聞くまでもなく勝利を収めるだろう。
レースを観るのはそこまで好きじゃない。幼い頃大量に観させられたこともあり、トラウマ程ではないが少なくとも快い気持ちにはならなかった。
──だというのに、何故だろう。
『すごかったよテイオー!』
『次も頼むよー!』
辺りの歓声に包まれながら観ていたレース。
彼女の疾走模様が、俺の胸に妙な燻りとして残っていた。
控えるはメジロマックイーン戦、天皇賞・春。
程々に仕上がっているが、ここから更に微調整をしていくのがトレーナーの役割だ。
「ハァ……」
嘆息。
時々思うこと。何故俺は好きでもない仕事をやらされているのか。情熱など全く無いというのに。そもそも俺はどうして実家の言いなりになっているのか。
いや……違うな。
俺は怖かっただけだった。殻を破る勇気を持てない、ただの凡愚だったのだ。
だから逆らう気になれず、こうして唯々諾々とトレーナーをやっている。
こうしてこの仕事を選んだのも、俺の意思だ。両親に逆らうことを恐れ期待に背くことを恐れた小心者、それが俺だ。
「ハァ……」
「ため息してると幸せが逃げちゃうよ?」
ため息には自律神経を整える効果があるんだよ、と言ってやりたかったがそんな気力も無かった。
最近トレーナーの目に疲労が見えるようになっていた。
というのも、ボクが骨折をしてからトレーナーの立てていた計画は全部一からやり直しになったみたいで、出走ローテからトレーニングメニューに至るまで総リセットされたらしい。
立て続けにやってくる取材陣。ボクもたまに対応するけどその殆どはトレーナーを介している。
働き者なのは感心だけどちょっとは自己を省みてほしい。……思うより先に言った方がいいかな。
「キミもちょっとは休みなよ。体壊しちゃったら元も子もないよ?」
「……ああ。そうだな、そうなんだけどな。そうもいかないんだよ」
含み笑いをしながらトレーナーは仕事に戻る。ボクにはどうしようもできないことだった。
……ダメダメ!こんなんじゃ!
今はマックイーンに勝つ。それだけに焦点を置く。
「──ハァッ、ハァッ……!」
全力は出した。けど、マックイーンには届かなかった。
これでボクは無敗じゃなくなった。
「ハァ……ハァ……」
悔しさはある。だけどそれ以上に、無敗でなくなったことへの虚無感が押し寄せてきていて。
「…………?」
足に、違和感を感じた。
「テイオー」
「…………」
「テイオー?」
「……ああごめんごめん、何?」
ここのところテイオーはぼんやりとしていることが増えた。
それもそうだろう。何せ初の敗北と二度目の怪我を味わったばかりなのだから。
両親からの説教はうんざりするほど長かった。GⅠを獲ったからといって調子に乗るな。お前はちゃんと担当ウマ娘を見ているのか。等々……。
世間からの声も俺を責めるものが増えてきた。俺が新人で、トウカイテイオーが初の担当ということもそれを助長する要因になっている。
吐き出した息が震える。世界中が敵になったかのような感覚。
──やるべきことを見つめ直す。今自分に何ができて、何をすべきなのか。
まずはテイオーのケアだ。他の『雑音』は気にしなければいい。
……なーんかやることが分からなくなってきちゃったなぁ……。
三冠ウマ娘じゃない。無敗でもない。おまけに怪我をしてる最中。
「トレーナー、老けた?」
「……両親がうるさくてな」
トレーナーの目は日に日に落ち窪んでいく。そういえば、ボクはこの人がいつも何をしてるか少ししか知らない。
どうせやることもないし、何の仕事をしてるか見せてもらおう。
「ねえねえ、仕事してるとこ見てていい?」
「別にいいが……つまんないぞ」
「……ホントにつまんないね」
「だから言ったろ。……まあ待て、あと少しで終わる」
トレーナーの仕事は思っているより地味だった。こうして裏方で頑張ってくれているから、ボクは走れているということを再確認。
「──よし、終わり。……じゃあ行くか、テイオー」
「?行くってどこに」
「お出かけだよお出かけ」
それからも気晴らしに色んな所へ連れてかれた。勿論、ボクが行きたがっていたらの時限定だけど。
一日が長い。何をしても、何を見ても、日が暮れるまでが遠い。
「キミって遊び慣れてないの?」
「学生時代はほぼ勉強だったからな」
トレーナーは行く先々で新鮮そうな顔をしていた。
ボクの知らないトレーナーの一面。それを知られたことがなんだか無性に嬉しかった。
それにしても……なんだろう。トレーナーを見ていると胸の奥がムズムズするというか……変な気持ちになる。今まではこんな風にならなかったのに。
彼女の気晴らしにかこつけてちゃっかり楽しんでいたことは否めない。
失われた青春時代を今になって取り戻そう、などという考えは流石に無いが、どれもが新鮮で瑞々しかった。
さて、そろそろ現実を見る時間だ。
テイオーは今意気消沈としている。復帰に向けて準備こそしているが、感情がそこについていけるかと聞かれたら怪しいところだ。
無敗でこそなくなったものの彼女は二冠ウマ娘。出るレースを選べば勝利はできるだろう。
問題はどうやってやる気を出させるか。俺が何か言ったところで響くかは微妙。周りの声も今のテイオーには届きづらい。
『雑音』は相変わらずある。気にしなければいいと切り捨てても、耳には否応なしに入ってくる。
疲れたな。色々。
それでも、まだ。足掻けるのであれば足掻いておきたい。
……思えば、俺はどうしてそんな前向きなことを考えているのだろう。ウマ娘は嫌いだし、レースも好きじゃない筈なのに。
「ファンレター?」
「そう。今のお前に見てほしい」
テイオーのやる気を出させる策として、彼女宛に届いたファンレターを見せることにした。
内容は俺が精査している。変な言い方だが、彼女を上手いこと乗せられればいい。
「どれどれ……」
仕事をする俺の横で読み始めた。チラリと盗み見たら、少し笑っているようだったから効果はあった……と信じたい。
日が暮れて、夜になった。それでもまだ読み切れていない辺りテイオーの人気度がよく分かる。
「……うん。ボク、頑張るよ」
「……そうか。じゃあ俺も気張んないとな」
「キミはもう十分頑張ってるでしょ」
効果はあったようだ。
復帰まであと僅か。俺も準備をしておかないと。
「────は?」
「……もう一度言います。トウカイテイオーさんは左足を骨折しています」
────嘘だろ?嘘だと言ってくれよ。なあ。
医者は淡々と告げる。慣れたように、俺たちの絶望を通告した。
隣にいるテイオーは”無”だった。現実を受け止めきれていないのだろう。
「……元通り走れるようになるかは、難しいところでしょう」
絶望が更に上乗せされる。口の中は乾ききっていた。
三度目の骨折。世間からの声はもう無視できないところまで来ていた。
トウカイテイオーは未熟なトレーナーに壊された。そんな評論が世相を占めている(俺の被害妄想もあるが)。
勿論、俺たちを純粋に応援してくれる声もある。だが、ネガティブな意見はポジティブなそれより深く伝わりやすい。
両親はやかましく喚き散らす。どうしてこの事態を避けられなかったんだ、お前は一体何をしているんだ。と。
──俺は……。
……諦めた方がいいのかな。そうすれば、もう辛い現実と向き合わなくて済むのかな。
──なのに、
トウカイテイオーは終わったウマ娘。そういった声も出てきた。
今まではそんな声もボクが走ることで黙らせてきた。けど、今のボクにそんな力は無い。
──なのに、
トレーナーは本格的に病んできている。世間からのプレッシャーに耐えきれなくなったのか、頭を抱えていることも増えた。
──なのに、
なのに。ボクの闘志はまだ燃えている。
トレーナーと一緒に全力を尽くしてもダメだったのに、もう前のように走れるのかすら不明なのに、それでもボクの足はまだ疼いている。
どうして?どうしてボクは諦めていない?
「……っ!」
浮かぶのはトレーナーの顔。
……そっか。誰かを好きになるって、こういうことだったんだ。
トレーナー室前で立ち止まる。
「──入るよ」
小さく息をして、声をかけてからドアを開けた。
「……おお、お前か。どうした」
「言っておきたいことがあるんだ」
「……なんだ?」
白みがかった髪とくたびれた顔。疲労の色も濃く、風が吹けば飛んでいってしまいそうだ。
ボクが伝えたいこと。それは二つだけ。
「ボク、走るよ。それで、勝つから」
今までは自分のために走ってきた。賞賛も評価もその後についてった。けど今度は、この人のために走りたい。たったそれだけの意地が、ボクを支えていた。
やるべきことはやる。責任は取る。
それでも疲れた。変わらない現状に絶望した。
そうして諦観を繰り返す内に、俺はようやく気がついた。俺ごときが何をやっても無駄なんだと。
無駄、なんだ。なのに、なのにどうしてお前は、テイオーは俺を信じ続けていられる?
三冠を獲らせてやれなかった。無敗のまま終わりにしてもやれなかった。
──俺は、それでも信じられている。
ウマ娘は嫌いだ。どいつもこいつも燦然と輝く夢を持っていやがるから。灰になった俺には眩しすぎる。
──それでも、俺は、
トウカイテイオー。俺の担当ウマ娘。そいつは俺に、勝つと言った。
──なら、俺は、
足掻き続ける。今までだって、ずっとそうしてきただろうが。
「それじゃ、やってくか。練習」
「うん。よろしくね、トレーナー」
駆け出す彼女の背を眺めながら思惟する。
復帰に向けて俺がしてやれることは全てやっておきたい。
無謀だと言われたら、そうだなとしか答えようがない。
だが、いつかのことを考えてみればやるべきこと──いや、やれることは全てやり尽くした方がいい。それなら、後悔だってきっと経験と思えるようになるから。
これは俺の戦いではない。彼女の戦いでもない。
俺
無駄なのかもしれない。ボクたちが何をやったって、空回りして終わるだけなのかもしれない。
だけど、ボクは啖呵を切った。勝つって言った。
だから負けない。誰が相手だろうと、どんな障壁だろうと越えてみせる。
迎えた有馬記念。ビワハヤヒデを筆頭に並々ならないメンバーが揃っている。
でもボクは約束した。
あの人がボクの最高のトレーナーである証明。それを示しに行く。
レースは好きじゃない。なのに。
「行け」
気づけば呟いていた。
「行けテイオー……テイオー!行け!テイオー!!行けえッ!!!」
大阪杯の時にあった妙な燻りの正体を、その時俺は初めて分かった。
最終直線に入った!好位置につけている。後は根性勝負……!
「ハァッ、ハァッ、ハァッ──」
息が苦しい。踏み出す足もギリギリで、顔を上げないと倒れてしまいそうだ。
「ハァッ──ハァッ──」
──負けない、負けられない!ボクはトレーナーに誓った!
前へ!もっと先へ!これがボクの絶対だ──!
「ハァァァァァァアァアアッッッ!!!!」
ウイナーズ・サークルへ駆け込む。
「トレー、ナー」
「……よくやったな」
「…………うん!」
ハイタッチを交わす。久しぶりの笑顔だった。
レースが終了し、ウイニングライブを控えていると突如電話が鳴った。この名前は……。
「おう、どうした?」
俺の弟から電話が来ていた。
『レース、見たよ』
そういえば弟には担当ウマ娘のことを少しだけ話していた。酷なことをしてしまったのでは、と僅かに後悔したがそれはさておき。
『……すごいな兄貴。アンタのウマ娘の走り』
「フッ、だろ?」
栄光の舞台は終わり、俺たちは日常に帰っていく。
俺が理解した結論。大阪杯での妙な燻りは、トウカイテイオーのレース
そしてその燻りの正体は──
「トレーナー?起きてるー?」
「ん、ああ。どうした?」
トレーナー室で木漏れ日に微睡んでいるとテイオーがやってきた。午後のトレーニングまではまだ時間があった筈だが。
「ごめん、寝てた?」
「いや、大丈夫だ」
……?テイオーの顔が赤い。態度もいつもよりぎこちないというか……。
「えっとね……ボク、キミが好きなんだ。その……異性として」
「いいぞ」
「え?」
?おかしなことを言っただろうか。テイオーは素っ頓狂な声を上げ停止する。
「え、え?い、いいぞって」
「だから、俺もお前が好きってことだ」
「────」
今度は驚き顔のままフリーズする。……ちょっと面白いな。
「な、なんで?」
「俺の退屈を彩ったのはお前なんだ。だからだよ」
あの妙な燻り、その正体はレースに対する喜びと興奮だった。
しかし他のウマ娘のレースを見ても特になんとも思わない。それどころかうんざりまでする。
つまるところ、俺は”トウカイテイオー”のレース以外に価値を持てなかったのだ。
「お前の走りが好きだ。それに準ずる形でお前のことも好きになった。お前以外の走りに意味なんてあるものか」
「そこまで言っちゃうんだ」
テイオーは困惑している。告白してきたのは彼女の方からだと言うのに。
「なんでお前が驚いてんだ?」
「い、いやダメ元で告白したからオッケー貰えるとは思わなくって」
テイオーの奇跡とも言える復活に世間の目は緩やかなものになった。ちなみに両親からは掌を返された。いい加減うざったくなってきたので縁を切ってやろうか。
とまあ、色々あったが今日までに至る道のりは悪くなかったと言える。ドラマには見せ場が必要だからな。
「それで、どうする?今の俺はトレーナーだからお前の思いに応えてやれるのはまだ先になるけど」
「……じゃあ、ボクが卒業したら、また改めて告白するから。それまでに他の子に目移りしないでよ?」
「お前以外を好きになるわけないよ」
ウマ娘は嫌いだ。ただテイオーは別だ。
ロリコン?確かにそうかもしれない。
だけど、この胸に火をつけたのは彼女だけだ。過去現在未来に於いても、きっとテイオー一人だけだ。
「なあ、テイオー」
「何?」
「ありがとうな。お前は最高のウマ娘だよ」
「……ふふっ、キミも最高のトレーナーだよ」
彼女は、陽だまりの中で笑っている。