スロウス・ブライド ~剣聖の嫁は怠惰に暮らしたい~   作:ビスマルク

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第六話

 うす暗い洞窟の中を二人は歩いていた。外からの光が届かないはずなのにもかかわらずダンジョンの中はほのかに光が灯る苔のお陰で周りを確認するのには困らなかった。

 

「暗いかと思ったら案外明るいものね、ここ」

 

「ヒカリ苔があるからな。外から入ってくる微弱な光を増幅してくれてる便利な代物。なんでそんなものが存在するのかは全くわからんが」

 

「あー……。たしかこの植物は裏世界に生息してる奴ね。……苔って植物扱いで良かったっけ?」

 

「お前が知らない事を一般常識以外で俺が知ってると思うか?」

 

 穏やかに会話をし続けながらダンジョン内を探索し続けるアキラとスウの二人は、襲いかかってくる魔獣達を何の苦労もなく死体に変えながら進んでいた。ダンジョン内は幸い剣を振り回しても全く問題ない広さの通路が続いている洞窟型だった。

 二人に襲いかかるのはゴブリン型と言われるダンジョン内で発生しては女を攫いさらに繁殖するという忌み嫌われる存在だったが正面だろうが奇襲だろうが全て事前に動きを感知しているスウの魔法によって全て消し去られていた。彼女としてはここで働いておけば後で控えているらしい面倒そうなゴーレム型の守護者をアキラ一人に任せれるという打算あってのことだったが。

 アキラもそれを分かっていながら強敵まで体力を温存できることは助かるのでそこに関しては触れずに進んでいた。

 

「そういや魔獣に関しては魔力が形になったとか聞いたけどダンジョンについては聞いてなかったな。なんでダンジョンなんてもんがあってしかもお前の故郷の苔があるんだ?」

 

「んー?そりゃダンジョンは表と裏を繋げる通路みたいなところだからよ。まぁ通路と言ってもそのまま裏側と繋がってるわけじゃないけどね」

 

 そう言いながら壁に生えているヒカリ苔の一部をむしり取りながら懐かしそうに目を細め眺めながら故郷の説明を続ける。その眼にはわずかに郷愁と言ったものを感じたが、それも時間にして一瞬だけ。むしった苔を捨てながら襲いかかるゴブリンを氷漬けにして話を続け、アキラもまたその仕草と目を見て見ぬ振りをした。

 

「ダンジョンの一番奥にはコアがあって、それを壊すとダンジョンが破壊され中にいる魔獣以外の生物は外に放り出されるわけだけど、そのコアが表と裏を繋げる、というか魔力をこちらに送り続ける物質なのよね。それでそのコアが破壊されると消滅することを魔獣は本能的に知ってるからそれを壊そうとする連中をアイツらは進んで殺そうとするの」

 

「その話が本当ならなんでお前は消えてないんだよ?」

 

「そりゃ存在としての格が違うからよ。私はあちらからこちらに無理矢理来たけど、魔獣はこちら側の信仰を元に魔力が形になっただけ。魂も何もないただそこにあるだけの生き物に見えるだけの物質よ。まぁ生殖なんかして増えるこいつらみたいなのもいるけど、なんでそれが可能なのかは知らないわ」

 

 多分ゴブリンってものがいたらこうするだろうって話が元になったからだと思うけど、言葉を続けながら岩にハンカチを広げそこに座り持ってきた昼食を食べ始めるスウ。よくこんな場所でそんなのんきに食えるなと思いながらアキラも持ってきた軽食を立ちながら食べる。

 もう既に昼頃になるので食事をとるのは間違いではないが歩いてきた道からはゴブリンの死体から流れ出る血が悪臭となり食欲を奪っていく。それを嫌ったのか小声で魔法の詠唱を行ったスウは周辺から悪臭を消し去った。

 

「魔力をあちらの世界から垂れ流しにするコアがなくなれば魔獣は身体を構成するのに一番必要な魔力がなくなるでしょ?なら跡形もなく霧散するのも当然の話よ。食べ物を食べたら消えるのと同じくらいにね」

 

「そんじゃあなんで採取した魔獣の素材とかは消えないんだ?」

 

「んー……。そこは私もよく分からないのよねぇ。ぶっちゃけこうなる前は気にする必要もなかったし」

 

 口に指を当てながら考えるポーズをとるスウの姿を見ながら、見た目や仕草だけなら本当に美少女なのになぁ。勿体ないと割と失礼なことを考えるアキラ。お互いに遠慮がなくなってきてるのは元々の関係性が殺し合いをしたからなのかこの一週間の共同生活によるものかは二人にも分かっていない。それでも問題ない程に慣れているのは二人の相性がそこまで悪くない、むしろ良いと言えるレベルだからだろう。

 

「多分だけど魔獣から剥ぎ取った時点で『この世界の物質』として定義付けされるからじゃないかしらね。魔獣はあくまであちら側扱いだけど、剥ぎ取られて魔獣から離れた素材はこちら側の物質になるってことだと思うわ」

 

「案外適当なんだな。まぁ俺も聞いてて答えが出ない類の問題だと思ったけど」

 

「『龍』だからって何でも知ってるわけじゃないしね。現に人間の生活なんてものも眼中になかったんだし日々発見の連続よ」

 

「トイレの存在も知らなかったのは笑ったけどな。顔真っ赤にしてプルプル震えてどうすればいいのか聞いて来たときは面白かった」

 

「忘れなさいよ!!!」

 

「やーだね」

 

 当時のことを思い出し、その時と同じように顔を真っ赤にさせ怒りだすスウに余裕そうな笑顔で煽るアキラ。ここに他の冒険者がいれば微笑ましく思うのだろうが生憎ここにいるのはゴブリンやオークを中心とした魔獣達だけ。そんな情緒を抱くことなく本能のままに襲いかかりそれをアキラは斬って処理した。

 食事をとり終わり襲って来た魔獣を処理し終えた二人はまた奥に進みだす。話を続けながら進む姿は油断している、ダンジョンを舐めていると思われるかもしれないがただこの二人、特にアキラの方は自然体でなお戦いに備えているだけである。戦闘状態と日常生活との境が極めて薄く、いつでも戦闘状態に移行するのが彼の在り方なのだから。

 

「そういえば貴方ってこの大陸出身じゃないんでしょ?なんでわざわざこんなところまで来たのよ。実家は今住んでる所より大きいとか前聞いたことはあったけど」

 

「ただ単にあそこにいたらもっと強くなれなかったって思ったから飛び出してきただけだぞ。家の方は護国組織のトップ担うレベルだったけど俺は次男だったし家のことは兄ちゃんに任せて来た」

 

「……その家貴方の事探してるんじゃない?」

 

「もう十年位前の話だし探してないんじゃねぇかな。流石に死んでると思われてるだろ」

 

 なんの感慨もなくそんなことを言いだすアキラに対して顰めた顔をするスウ。目の前で背中を見せて歩く男はそういうところがあると短い付き合いながら理解していた彼女は、それでも平気そうな口調で言いだす青年がどんな気持ちで言ってるのかを少し気にした。

 

「まぁそのうち一回帰ろうとは思っちゃいるけど、それがいつになるかは分からねぇなぁ。こんな爆弾も憑いてることだし」

 

「うぐっ……!!それに関してはほーんの少しだけ悪いと思ってるわよ」

 

「ほんの少しってところがらしいな」

 

 そんなことを言いながら『龍』が少しでも反省したという事実に満足する。度々後ろを歩く少女を弄り倒すがその存在を拒めなかったり疎ましいと思えないのはスウの在り方や性格が好ましいと思えるからだろう。ダンジョンの最奥で出会った時は高みを目指すため、自身が生きるために全身全霊をかけて戦い勝利した。間違いなく生きて着た中で最強と呼べる強敵と、今は共に生活しこうしてともに歩いているという事実がアキラには少し面白かった。

 ふと仲間の事を思い出す。唐突に解散することになったが彼等は彼等で楽しく生活していればいいと願う。それが難しいかもしれないことも理解していながら。

 どう言おうと、隠そうと自分たちのやった行いは間違いなく偉業と言われるものだ。どこからか自分たちの事が漏れそれが原因で騒動に巻き込まれる可能性もないわけではない。その時は……仲間としてまたこのカタナを振るうのだと決意を新たにする。

 

「っと、着いたわね。貴方のお望みの最奥、この先に例のゴーレムがいるみたいね。魔力の反応もあるし間違いなさそう」

 

「ありがとよ。悪いが手出しは無用で頼むぜ?」

 

「当たり前でしょ。ここまで何の為に雑魚処理してきたと思ってるの?私は一切手を出さないからさっさと片付けてきて。あと今日の夕食後のデザートにはプリンを所望するわ」

 

「……今更だけど本当にお前『龍』なのか?」

 

「怠惰の龍とは言え欲望には抗えないの。暴食には程遠いから許しなさい」

 

「何度も言うが放っておくとそのうち本気で太るぞ」

 

「龍は太らないの!!!!」

 

 敗北することなど何一つ心配していないスウの様子は、龍であった自身を打倒した剣士の強さに対する信頼があった。命をかけた戦いというものをそれ以外経験したことのない彼女には危機感を持たせたアキラと言う存在を過剰な程に評価していた。それ以外を軽視しているともいえるが。だからこそ無造作に扉を開けた瞬間に襲いかかってきたゴーレムの動きに反応が遅れた。

 

「ッ!?」

 

「捕まってろ!!!」

 

 動くのが遅れたスウを抱きかかえながら地面を蹴り飛ばしアキラは殴りかかってきたゴーレムの腕を躱しつつ距離をとる。その動きに反応しゴーレムは背中のブースターから魔力を放出させまるで急発進する自動車やジェットのように追いすがる。

 スウを下ろす暇もカタナを抜く暇も与えられないアキラは殴りかかるゴーレムを観察しながら避け続ける。仲間の一人ならばこの攻撃を生身で受け止められるだろうが今の状況の自分が真似をすれば下手をすれば壁の赤い染みになるだけだと悟りゴーレムに背を向け走る。

 

「聞いた話じゃ扉の外までは追ってこないらしいが、肝心の扉は奴の背後なんだよなぁ!!」

 

「うひゃぁ!?」

 

 やがてその拳で狙ってもこの鼠は避け続けるだけと悟ったゴーレムは肩から大量の炎の弾を撃ちこみだす。スウを横抱きにしながら走り続けるアキラに追跡するような動きを見せる炎弾は地面や壁に当たると爆発を起こし、二人をはじきとばす。それでもスウを離さないアキラの目の前に今度は炎弾ではなく拳が迫る。その拳をジャンプで躱しゴーレムの腕を道に見立て走り抜けその背後をとったアキラは扉に向かって一直線に走りだす。迎撃するにもこの状態では呼吸を整える事すら難しい。勝つ自信はあっても自身の腕の中にいる元龍の少女を危険にさらす可能性がある以上アキラにとってこの行動は当然といえた。

 龍である少女を守るという事は兵器を守るようなもの。非常に強力な武器を、使う人間が守るという本末転倒な行為だったがアキラにとってはそれも関係なくただ当然のことのように行うべきだった。その扱いはスウにとっては理解出来ない行為であるが非常にムカつくものだった。

 

《ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……》

 

「うるさい!!!」

 

 唸り声をあげながらアキラを追ってくるゴーレムの拳をスウはその莫大な魔力を利用してせき止める。人間であれば不可能なレベルの、属性も変化させず、呪文による増幅もさせない純粋な魔力によって物理的に惜し止める。

 そのスウの行動をアキラはすぐに察知し、スウを離しその場に下ろしたと同時に腰のカタナを引き抜きせき止められたゴーレムの腕を、駆け抜けながら微塵に斬り捨てる。

 

「もうこれ以上は仕事しないからね!!!」

 

「おう、悪かったな。もう十分だ」

 

 スウを下したアキラはようやく戦えるとばかりに口元を上げ獣のように笑う。その戦意に反応するかのようにゴーレムは振り返りながら斬り捨てられたのとは逆の腕を振り抜く。しかしその腕は彼を捕えることなく、姿勢をかがめ避けたアキラは伸びきった腕を両断しゴーレムにとびかかる。

 

《オォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!》

 

「《日幻流・晴嵐(せいらん)》」

 

 接近するアキラを脅威に思ったのか方から再び炎弾を撃ちこむゴーレム。この距離であれば自身すらも巻き込む爆発が起こると分かっていながら撃ちだした炎弾をアキラはカタナに纏わせた炎で、踊るような回転斬りと共に塗り替えながら逆に浸食しその全長5mを超える巨体を炎で包み込む。

 しかし倒すには至らず再生させた両腕を地面にたたきつけ瓦礫をばらまきアキラが近づくのを無理矢理にでも阻止する。襲い来る瓦礫を切り抜け強引に進もうとはせず素直にその瓦礫と共に距離をとるアキラ。そのまま接近して核を斬れば終わるだろうが、ただで終わるとは思えなかったからだ。

 

「体勢悪い時に爆発でも巻き起こされても対処できないしな……」

 

 魔獣や目の前のゴーレムのような存在は鼬の最後っ屁の如く何かを仕掛けてくることが稀にある。今までの旅でそれを経験で知っているアキラは無理には攻めようとはしない。これ以上の仕掛けがない限り自身に敗北はないという判断で。

 しかしそれは逆に言えば仕掛けや隠し玉があれば敗北する可能性があるという事で、経験上この手の存在は何かを仕掛けてくるという確信がアキラにはあった。はたしてゴーレムはアキラの考えた通りにその最後の仕掛けを発動させた。

 

《ゥオオオオオオオォオオォォォ》

 

「……マジか」

 

 砕いた瓦礫を取り込み、岩石や鉱石で出来たその巨体をさらに巨大にする。十秒もする頃にはドーム状だった部屋の真ん中に先程よりさらに3倍近い巨体で拳を振り上げるゴーレムがそこにはいた。

 振り上げられた腕は足元で構えているアキラ目がけて振り落とされる。その拳をアキラは先程までのように回避しながら斬りつける。しかし両断するには至らず腕の半分を斬るにとどまる。姿勢が完璧ではないことと襲いかかる瓦礫を避けながらの行動だったからだろう。

 

「ちょっとー!はやくしてよー!!」

 

「もう少し待ってろっての!!!」

 

 額に汗を浮かべながら全速力でゴーレムの大腕の攻撃を避けつつ笑みを浮かべるアキラはスウの叫びに大声を返しながら壁を駆けあがり、壁に突き刺さる様に振るわれた腕を飛び上がり躱しその上に着地する。そしてすぐに姿勢を整え真っ直ぐにゴーレムの瞳に向かって走る。その行動にアキラの狙いを理解したゴーレムは肩から再び炎弾を撃ちだす。

 

「《日幻流・晴雲(せいうん)》」

 

 炎弾はアキラではなく自身の腕を破壊するように襲いかかるが、アキラはカタナに纏わせた炎を空に広がる雲のように広範囲に広げる炎で飲み込み消し飛ばす。ゴーレムは感情があれば苦々しい顔をするであろう光景をルビーのような魔石で出来た瞳で静かに見つめる。そして、その静かな目をアキラのカタナは両断した。

 

「一丁上がり、っと」

 

 アキラが瞳を斬ると同時に先程まで生物のように動いていた腕は止まり、取り込んだ岩石たちは剥がれ落ちるように地面に落ちる。大きな音を立てながら落ちて来たそれを軽い足取りで躱しながらスウに近づいたアキラは肩を鳴らしながら巨大ゴーレムのあった場所を眺める。

 

「よくあの瞳が核だってわかったわね」

 

「あれに関しちゃ製作者が分かりやすく作ってたからだな。なにせ顔に近づかれるのを病的に嫌がってたし、何よりあんな分かりやすい魔石がはめ込まれてた」

 

「簡単に言うけどあの攻撃を避けるか防ぎながら見つけるのは難しいでしょ」

 

「そうかもな。でも俺には出来た、ただそれだけのことだろ。人には難しい事でも俺は簡単にこなさなきゃいけないんだよ」

 

「よく分からないけど、男の意地って奴?」

 

「自分に誓った夢の為だよ」

 

 同じじゃない、と呟きながら崩れ落ちたゴーレムの元に歩き始めるスウ。元が『龍』だからなのか彼女は光沢のある宝石や魔石を集めるのが好きだった。ゴーレムの瞳もまた大きな緋色の魔石、アキラに半分に両断されたが彼女にとっては是非集めておきたい代物。鼻歌交じりに駆け寄るスウを咎めることなくアキラはゴーレムを斬りおとしたカタナを眺め刃こぼれがないかどうかを見て、特に問題ないことを確認して鞘に納める。

 

「やった!!見つけた!!!」

 

『このゴーレムを打ち倒した者に告げる。我、境を繋げし者』

 

「きゃっ!」

 

「どうした!?」

 

 ゴーレムの瓦礫の中から魔石を掘り起こしたスウがそれを掴むと同時に、赤い魔石から声が響く。その声に驚き思わず悲鳴をあげ魔石を落としたスウとすぐに駆け寄るアキラに魔石の中から響く声は何の反応も示さず言葉を続ける。それは録音された声をただ再生するかのようだった。いや、事実としてそうなのだろうと二人は直感的に理解した。

 

『このゴーレムは空間を操作する『怠惰の龍』の権能の一部を機能として搭載した存在である。ゴーレムは一定期間が過ぎると他のダンジョンに移り飛ぶ。年老いた我が身では龍一体の権能を埋め込むのが限界であった』

 

「権能?」

 

「後で説明するから静かにしてて」

 

 気になる単語に思わずつぶやくアキラに対してスウは今までにない程に真剣な顔を見せて言葉の続きを待った。恐らくだが彼女にはこの声の主に対して何か心当たりがあるのだろうとアキラは推測し、同時にこんな真面目そうな顔は今夜のデザートをショートケーキにするかチーズケーキにするかで悩んでるのを見た時以来だとその時の顔を思い出した。

 

『このゴーレムは守護者である。我の後継者である二人を守るための。しかしこのゴーレムをも打ち倒す者がいるのならば、ぜひ願いたい。世界の均衡を守るために生み出されたあの子たちにただの人としての人生を与えることを』

 

 その声の響きをアキラはいつか聞いたと思い返す。自身の行動を悔いて、後に託すしかない年老いた者が若い者に心から願う悲しい声。いつか自身を旅経たせたそれを。

 スウもまた思い出す。遠い過去、擦り切れ忘れたはずの自身を龍にした(・・・・)存在を。

 

『我の出来る事はここまでである。人よ、精霊よ、魔よ。生きて生きて、生き抜いてほしい。それだけを我は望む』

 

 それを最後に魔石は発光することなく、声は止まった。

 同時にダンジョンの最奥に繋がる扉が音を立て開く。魔石の言葉に心奪われていた二人はその音に反応し反射的に扉の中に目を向けた。

 

「……マジか」

 

「えぇ……」

 

 戸惑う二人の視線の先には年頃8歳ごろになる二人の黒髪の子供の入ったカプセルがあった。

 

 

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