戦闘シーンってむずいよね。
ゴリラ同士の戦いじゃないだけましかなのかしら…………
いくらか高評価をいただいたので少し頑張って早めに仕上げました。
ありがとうございます。
「それで? 鬼ごっこは終わりでいいの?」
「飽きました。あなた、追いつくの早すぎますから。もういいでしょう、この程度の遊び」
「やっとやる気になったわけだ。一応最後の警告だけはしておこうか?」
「ここまで来てですか? 冗談でしょ?」
どうやって見つけているのか、五条はレミィが瞬間転移しても数秒後にその前へと姿を現していた。
連続移動や、建物内などいろいろ手を尽くしたが振り切れる気はしない。
そうやって移動してきて両者がいる場所は海の上。
当然のように空中に浮く二人はお互いにそのことへ疑問も浮かべない。
そしてそれは突然。
レミィの背後に無数の銃が表れた。
ドドドドドドドドドドドドッ!! と、鼓膜が割れるほどの銃声が響き、数百の銃弾が五条へとせまった。
「──? で、これが?」
突如として現れた銃弾の嵐にも驚くことなく、五条は気軽に聞いた。
当然のように防がれるそれに、レミィも驚く様子を見せない。
「挨拶です」
「なら僕も……──「ターン制なわけがないでしょ?」……それもそうだ」
五条が印を結び何かを行う前に、小さな島程度なら飲み込むほどの津波が彼を襲う。
(僕の術式を知らない? ……この程度なら避けるまでもない、けど……)
チラリと。
五条の視線がレミィへと向かい、それに気づいたレミィがニコリと笑う。
(なるほど、いいよ。少し待ってあげるよ)
津波に飲み込まれた衝撃を受けても平然としている五条。
だが、津波はそれが球体となって五条を拘束した。
五条はレミィの考えを見抜いていた。
最低レベルとして銃弾程度では死なないことを確認。
より強力な攻撃手段への移行。そのための足止め。
水の檻という五条悟に効かなそうなそれも、レミィが操ることにより、その中は嵐の中の海より激しく渦巻いている。
それでも五条の気をそらせるのはほんのわずか、だがその一瞬で。
(巨大な岩?)
そう表現するにはそれはいささか大きすぎた。直径百メートルはある巨大なブロック。
それが左右から……認識したときににはすでに五条は岩に挟まれ潰されていた。
だが──。
「潰そうって? マジックのネタには困らなそうだ……けど、もう飽きたよ……術式反転『赫』」
聞こえるはずのない岩のなか、声が届いた。
同時に、巨大なブロックはヒビが入り、まるで掌で握りつぶされたかのように崩壊した。
その中心には五条悟。この程度では傷をつける事すら叶わない。
ブロックの崩壊後、纏わりついていた津波もまとめて吹き飛ぶ。
弾けた水が雨となって降り注ぐ中。
五条はつまらなそうにレミィへと告げた。
「結構待ったけどこの程度?」
「流石ですね。大丈夫、
レミィは当然五条の術式も理解しているし、その効果も分かっている。
言葉通り実験だった。
「じゃあ今度はこっちが試させてもらおうかな?」
「──ッ、早いわね……」
瞬間。目の前に現れた五条の蹴りがレミィへと刺さる。
「痛った……っ」
「ほら、どんどん行くよ!」
「ちょっと? 女の子は殴らないのではなかったのですか?」
「蹴りだけど?」
「最低ね」
さらに背後に移動した五条の蹴りを受け、よろけながら追い打ちをかけられるもレミィも立て直し反撃を行う。
が、当然レミィの攻撃は五条へは届かない。
(直に交えると本当に厄介ね、無下限バリア。それに体術も……当然強いですね)
追えるには追える。
呪術師最速の称号を持っている五条悟に速度で引けを取らない時点でレミィも十分に動けてはいる。
だが、戦闘の訓練という訓練を受けたことがないレミィは、自身が
これはグレミィだからか、それともレミィだからか定かではないが、『自分の体を想像通りに動かす』というのは、彼女の苦手とするところだった。
「離れなさい」
「……おっとっ?」
五条の周りを巨大な鉄の壁で囲み、その上から剣の雨が降り注ぐ。
あからさまな時間稼ぎだが──。
「──『蒼』」
鉄が鈍い音を立てて鉄くずと化し、剣は五条にあたる寸前に歩みを止めた。
続くように──バチリと。
電撃が五条に降り注ぐ。
『蒼』や『赫』を出すまでもない。無下限の防御をただの電気がこえることなでできることはなく。
五条は離れようとするレミィを止まることなく追随する。
そんな中、電撃の規模はさらに膨れ上がる。
二人を覆いながら、雷音が爆発をも超える音量まで跳ね上がる。
まるで雷雲の中にでもいるかのような放電が二人の周囲を激しく降り注いでいる。
もしここが町であれば十分瓦礫へと変えられる猛攻。
「これだけの威力をこの範囲出せたら
「その中をなんでもないようについてこないでください」
「お互い様でしょ?」
合わせて、ついでとばかりに電撃による高熱も二人を襲っている。
雷の周りは空気の温度を一瞬にして三万度程度まで上げる。
その環境で平然と生存している二人は互いに、相手のレベルの把握を行う。
(『蒼』でいくらか誘導されてると見ていいかしら。私の想像の手を離れますね。けど……)
(思った以上になんでもありだね。それに、自身には自分の術式が効かないか、それとも…………)
「効かないよ。そろそろこっちから……ッ!?」
五条悟の動きが止まる。
襲ったのは意識の混濁。
その隙を許すこともなく。レミィが追撃をしようとする前に、五条悟の『蒼』が周囲を一掃する。
「これは、やられたね……」
「無限を操る術式の最もポピュラーな技術無下限バリア。アキレスと亀……まぁこの論法はあまり好きではありませんけど……」
「これは…………毒……塩素ガス……術式じゃなくて物理現象か、けど…………」
「流石に気付きますか? オートで行っているのでしょうそれ?
レミィの能力をもってすれば反転術式など使うまでもなく、体そのものを毒に対応させることなど造作もない。
とは言え。
「…………ふぅ、まぁ分かっちゃえばどうってことないけど……」
「反転術式……ま、当然ですね」
「なるほどね、改めて思ったけどすごいね。術式だけで言えば僕が知る中で君のを超える性能は見たことがない」
「『六眼』──やはり見抜かれてましたか。……『
ペコリと、スカートを片方たくし上げお辞儀する様子は、先ほどまで戦闘をしていた者同士とは思えない空気感があった。
「それに呪力量もすごいよ。僕より多いし君」
「……そういえば自己紹介を言い忘れていましたね。レミィです。まぁ偽名ですが……」
「じゃあレミィ。結構楽しませてくれたけどここいらが限界じゃない? 楽しかったしやめてもいいよ僕。もちろん少し付き合っては貰うけどね」
「あら、この程度のでご満足なのですか?」
ニコリと微笑むレミィに対し、五条も笑いながら答えた。
「いや、無理でしょ?」
「…………はい?」
ピクリ、と。笑顔のままレミィが小さく反応した。
「君の呪力特性かな? 霧化とでも表現しようか。呪力を体の周りにとどめておけない体質。つまり呪力強化ができないんでしょ? 何度かやり合ってわかったけど、それも術式による肉体改造だね」
「…………」
「けど、そのおかげかそれだけの術式発動を触るや、掌といった制限がない。遠距離による圧倒的なアドバンテージ。約半径二百メートルほどまで広げた君の呪力……広げたというより維持できる限界。その空間を絶対領域とした術式範囲。縛りの効果もあるね。呪力特性といったけど天与呪縛に近いかな?」
ご丁寧に解説する五条の姿に、レミィは笑みを崩さずとも冷や汗を流す。
五条悟や、宿儺ですら術式を自身から飛ばす。あるいは触れることによって発動させていることを考慮すれば、優位性は計り知れない。
──しかし、だった。
(まさか、この程度のやり合いでここまで……私が五条悟という実物を把握している間に、こちらもやられていたというわけですか。化け物ですね……)
「ここまでわかれば、まぁやりようはあるよ」
「ここまで? この程度で私の『
「
「……ッ、まさか……」
「時間をかけすぎたね。いや、リスクを恐れたのかな?」
見抜かれている。
レミィの能力の本領は、相手に対する想像の押し付けだ。
敵の骨をクッキーへと変える。触るまでもなく死体へと変える。
想像さえしてしまえば現実になるそれは、領域展開をするまでもない必殺の術式。
その呪力特性と相まって必中にすらなりえる特別な物。
だが、レミィは初めて、同レベルの相手と戦闘を行っている。
それ故に慎重になっていたのだ。
グレミィと同じとはいえ、この世界では術式として成立しているがために、レミィの術式は守る方法が存在する。
例えば真人の『無為転変』は魂を呪力で守れば多少は防御ができる。
当然五条悟クラスになれば可能であり、呪力で守られている者を対象にするにはそれ以上の技量か呪力が必要なことはレミィも検証済み。
だが、それ以上に警戒していたのは狗巻棘の『呪言』のように自身に効果が帰ってくる可能性。
レミィは十中八九ないと確信しつつも、可能性がないとは言い切れなかった。
呪力量で勝っているとはいえ、相手は五条悟。
僅かな油断が勝敗をつけるのは必然。
いや、それよりもそんなつまらない負け方をするのなど断じて許されない。
「レミィさ、僕とやる前に見せちゃってたでしょ? 術式」
「あなた、まさか…………」
「実は見てた。てへ☆」
(コイツ……ッ)
五条はすでにレミィ『六眼』でレミィが術式にどれほどの呪力を込めているか、どれほどの呪力で守ればいいかなど読み切っていた。
余裕があったからか……いや、余裕はなかった。だが、初めにその異常性に気付けたからこそ、その見極めに最も神経を伸ばしていた。
五条をして未だ未知。
レミィの術式は、それだけの価値がある。
「ふふふ、あはははははははははははは!!」
「……?」
先ほどまでお嬢様口調で余裕を気取っていたレミィの豹変ぶりに、五条は戸惑う。
「いえいえ、気にしないで。うれしいだけだから。本当に良かった。私も実は不安だったのですよ。
「…………へー」
「直に戦ってみて改めて再確認できました。あーよかった。──
まだ何かある。
レミィ言葉を聞いて、五条は薄く笑みを浮かべている。
その言葉に嘘がないと五条は思ったのだ。
自分の想像を超えてくる予感に五条はレミィへ期待を隠せなかった。
瞬間。
五条が感じ取ったのは『起こり』。
(これは…………僕相手に?)
『起こり』から導き出された結論、五条がそれに対抗しようとするその前に──。
「【領域展開】──」
(──ッ!? 掌印をせずに…………っ)
五条がコンマ遅れた原因の一つはレミィが印を結ぶという隙を晒さなかったである。
五条の背後、腕だけが空中に浮いた状態で印を結んでいる。
やってる事は簡単で、例を挙げるなら真人が腕を複製し、それを印に利用しているのと同じことだった。
本来それは、五条悟相手にするには自殺行為に等しい行動。
期待とは対照的な無謀な行動。
それ故に見せた失望の色。油断。自身ですら気付かないその僅かな感情の揺れ。
それが五条の判断を遅らせた。
そもそも、今この時までレミィが五条と戦えていたのは、五条悟が領域という手軽な手段を取らなかったからである。
もちろん、五条がそれをしたとしてもレミィに対抗手段がないわけではないが…………今は良いだろう。
本来、レミィ自ら領域勝負に挑むことはあり得ない。
メリットはもちろんある。
レミィの術式は、当たれば即死をさせる方法など無限にある。完成されたら詰み。
必殺効果に関しては、他の髄を許さないだろう。
だが、それはもちろん領域を完成できればの話であった。
五条悟相手には無謀に等しい行動。
──だからこそ。
常識外の一手が、五条を後手へと回させた。
対抗して領域を、あるいは簡易領域をと、五条が考える間もなく、その世界は作られた。
「【
レミィの領域が二人を覆った。
レミィステータス
呪力量
宿儺20 乙骨8~9 五条7~8とするなら(乙骨の宿儺の呪力量は「僕の倍以上ありますね」セリフからの感覚値)
☞レミィは9~10です。
(まぁこの二人の戦いでは呪力量はさほど関係ありませんが……ボソッ)
呪力特性
霧化 止める、出すのスイッチはできますが、出したら自動で流れ出ます
鹿紫雲の電気特性のように水の中で勝手に流れ出てしまうのと近いです(近いだけ、レミィは少し制御可能)
術式
『
補足
レミィは呪言のように跳ね返される可能性も考えていましたが3%程度です。
戦闘の中で軽く五条に術式を当て、確認もしてました(戦闘の裏で)が問題なかったようです。
領域展開についてはまた今度