誤字報告をいただきました。
エビ+C様 ベンK様
ありがとうございます。
そして今回もきっとあります。悪しからず……
──【
白黒の世界、空から生える無数の高層ビル。
その一つに二人は立っていた。
まず、レミィがほくそ笑むようにそれを聞いた。
「自称最強。この手は読めましたか?」
「はは、いや無理でしょ? まさか必殺効果も必中効果もなくして展開速度と自身のステータスアップだけに領域使うとかなかなかいないよ?」
そう、レミィの領域展開の速度は、あえて必中必殺の効果を切った縛りによるものである。
仮にこの速度に迫るのであれば、原作でも秤金次くらいだろうか。
さらに──。
(縛りに底上げされた領域か…………なるほどね。速度だけじゃなくて押し合いにも縛りの効果が入ってる。僕の領域でも押し切れない……まぁ、押し合いで浪費させてもいいけど…………)
領域の洗練度という意味で五条悟を100とするのであれば通常のレミィはせいぜい70程度。
それを縛りによって効力を押し上げて五条にも引けを取らない領域へと昇華させていた。
五条悟がもし客観的に
決して弱くない
レミィの呪術師としての才能は術式だけでなく、外の分野でも一般的な呪術師と比較にならない。
とは言えそれでも、必中効果もない領域をあえて展開する意味は
もしこの領域で負ければ術式が使用不可になるというデメリットが大きすぎる。
ステータスアップがあるとはいえ、相手の力量次第では耐えることはおろか、抜け出すことも難しくない。
ましてや相手は五条悟。
「それで? なにが変わったのか見せてくれるってことでいいの?」
そんな維持するためだけに見えた領域の縛りも、レミィが使えば次元が変わる。
「私の最も優れた能力は──」
『──命を作り出すこと』
現れたのはもう一人のレミィ。
レミィが想像で生み出したそれを見た五条は。
「…………は?」
その現象に、一瞬理解が追い付かなかった。
(分身? 違う。幻影の類ですら……まさか、いや、術式まですべて同じ……それに
理解してしまえるからこそ、言葉すら失う。
「分身なんてちゃちな物じゃないですよ。彼女は私自身、存在も術式も魂すらも、この世に生まれた本物の命」
「前に似たような術式のやついたけど……比較にならないね」
「ふふ、ありがとう。さて、五条悟。私の術式は、空想を現実にする。その力は想像力に依存するわけですが……」
「……へーってことは……?」
五条はその答えを予想してか、笑みを浮かべながら聞いた。
つまるところ──。
「私が二人になれば」
『その力は』
「『単純に倍です』」
二人の声が重なり、五条がその意味を理解する。
「手始めに──」
空想だけで済むグレミィのままであれば能力は口にすることに意味はない。
だが術式へと変貌したその姿は、詠唱だけでなくただの言葉ですらイメージの補強を行い、その純度を上げる。
「『【水爆】』」
二人の目の前に現れたそれが、カチリ、と。静かに音を立てた。
「──ッ!!? 馬鹿すぎでしょ君!」
「さぁ、
長さ8メートル。直径2メートル。重さ26トン。
近距離の爆撃。
その威力は、広島原爆の3000倍以上。
「【
レミィは領域が破壊されないそれを守るように結界を想像。
魔法という概念までは再現できないが【水爆】を守り抜いた結界があるという事実だけで十分。
ノーマルの無下限呪術は、五条悟によってフィルタリングされている。
なぜならそれがなければ何も見えず、何も触れず、何も聞こえないからだ。
焼けるような光に、頭の中をかき混ぜられたかのような轟音が、副産物としてその場を支配する。
(【出力最大】──【蒼】)
五条は出力を上げ、【蒼】による誘導でそれに対応する。
原発とは違い被爆のリスクは少ないとは言え、一瞬で死の空間を作り上げるその中でも平然としているのは流石五条悟。
爆発後に残る熱や、奪われた酸素なども確保する。
「まるで空気清浄機ですね……」
無限はそこら中に存在する。
五条悟の言葉だが、それはつまり世界を支配する力。
むしろできて当然といえるだろう。
「余裕こいてる場合? 【位相・黄昏・知慧の瞳──】」
「──!? (順転の出力! ここまで強力に…………)」
引き寄せられるレミィに、五条はそれを利用した移動で一瞬で迫り。
そのまま拳を打ち込みレミィの体が吹き飛ばされる。
「……ったい!」
「──? さっきより硬いね……」
『『私達がお互いに補完していますので……より硬く、より頑丈に』』
「増えてるね……(これ以上力を上げられるとめんどいな)──先に処理しようかな【術式反転……ッ──!」
その異変を感じとり、五条はすかさず反転術式で自身の治癒へ力を注ぐ。
「なんだ……毒……じゃない?」
「【
(いやいや、未知の素粒子とかふざけすぎでしょ……終わるまで光そのものを遮断するしか……)
五条悟は呪術の天才だ。
呪術関連で彼を殺すのは至難の業ではないだろう。
だが、電気分解を利用した毒の発生や、太陽光の変質など、レミィの術式で起こった物理現象は五条悟でも解析に時間を要する。
『六眼』は化学的な事象にはなんの効力を持たないのだ。
「無限だけじゃないのですよ。世界を支配する力というのは」
「…………これで追いついたつもり?」
「……傲慢ね、まだ私の前にいるつもりですか?」
五条の後ろへ転移したレミィが、
「術式が……は? 押し返えっ……」
「【領域展延】」
「君の体質でそれは……」
「
天与呪縛に近いレミィの呪力体質すら通常へと戻す。
その代わり術式範囲が周囲になるが、五条悟への対応は別のレミィにまかせ、それを守る要の無下限のバリアを本体が削る。
「……ほらほら、体術はまだまだ甘いんじゃないの!」
「目を使わない状態でよくやりますね。けど……」
ガクンと、五条の両手が下へと落ちる。
(しまった。『展延』で守りを……縛りで一時的に僕の体へまで対象にしたのか……)
縛りは便利のように見えて非常に扱いづらい。ピーキーと表現してもいい。
ここまでして五条の腕を僅か一秒止められる程度。ただそれだけあれば。
「……ぐはッ!?」
「失礼。一発、そのにやけ面を殴りたかったんです」
幾年ぶりかによる素手の痛み。
「……………………はは」
それにより、五条の認識が変わる。
思えば
「【位相・黄昏・知慧の瞳──】」
『止めます。私に合わせてください』
「……!? まずいッ。警戒しなさい! 彼はすでに目を──」
「【術式順転『蒼』】」
『え…………』
ぶちぶちと、五条へ迫ったレミィの体が飲み込まれる。
『ごめんなさい。攻撃に意識を割きすぎま…………』
プチュンと。
レミィの想像は非のない性能とは言え、そのリソースにも限界はある。
「そっか、君への対策は守りによる対応じゃなくて、意識を回せないほどの攻撃ってことか」
「『『ちッあのバカが』』」
生み出した自分自身へとは思えないほど酷い言い草だが、その責任は非常に大きい。
なぜなら五条にそれを気付かれてしまった。
起こしてしまったのだ、五条悟という最強を。
↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝
『ぐっ』
「まだまだ!!」
『調子に乗らないでください!!』
『うるさいわよ
五条悟がレミィの破壊を開始したことで、レミィは自身の作成へとリソースを追われた。
『『【
(息が…………空気をけしたのか、けど……)
『──!? きえ……! 避けなさい!!』
『え……ぐぶぅ……この、女の子の胸を触るなんて、紳士の……すべきことじゃない、わね……』
『蒼』を使った瞬間移動で背後に移動されたのだ。
自身の胸に生える腕。
だが、その程度と、レミィはそれを掴み【領域展延】で五条の無下限の打ち消しを行う。
「……!?」
『道連れよろしくて?』
爆散。
別の分体がそれを爆弾へと変貌させ、五条を巻き込み自殺。
「人間やめすぎてない? けっむ……」
腕を吹き飛ばされたというのに、五条はそれをなんでもないかのように反転で自身の体を治しながら標的へと目を向ける。
「【反転術式】のレベルが高すぎて、致命傷に至らないですね。それに──」
『私達が私を生み出すより消される速度が速いです。本体、生成速度を優先させてくださいね。数が五体以下になったら詰みますよ』
「わかっていますよ。だからそろそろ……」
そこからもレミィの分体による猛攻が続くが、この程度の攻撃では五条にダメージを負わせることが難しくなってきた。
『これも駄目ですね、防御を突破できない』
「だからそろそろ諦めたら?」
『冗談でしょ? ……あら、しまっ──』
「あっそ7体目………………次」
不用意に近づいたレミィのを無下限で吹き飛ばし、五条は分体を破壊していく。
(とは言え、このまま鼬ごっこを続けてたら無下限を攻略されるのも時間の問題か)
チラリと、五条の攻撃範囲を浮く本体に目を向けると、ニコリを笑顔を返された。
「呪力が減ってないね。なるほど、お互いで最高状態の自分を維持し続けているわけか」
「ああ、そういえば『六眼』は呪力切れがないのか売りでしたか? ごめんなさいね、十八番を奪ってしまったようで」
当然、一度使った呪力は回復しない。
レミィもお互いの補完がなくなれば、元の状態に戻る。
レミィの能力はその事象の結果は消えないが、想像を辞めた瞬間事象は消え去る。
呪力が減らない──最高の状態を維持するためには少なくとももう一人自分が必要だ。
「とは言え、飽きましたし、決着をつけましょうか」
『へー、分体にやらせて引き込もってた奴がどうするって?』
「面白いものを見せてあげます」
五条は警戒度を上げた。
その瞬間、領域の外郭が縮小したことを五条は感じた。
(1メートル程度まで縮めたね、でも内部の大きさは変わらない。領域の使い方がうまいな。……なるほど、そういう使い方もできるのね)
「──やるね」
「まだですよ」
笑みを浮かべる五条へレミィがさらに動く。
「──!」
一気に十体以上の分体を生み出す。
領域の範囲を狭めたことでその効力を底上げ。
「その無下限を突破するのは難しそうです」
『けれど、それはあくまで外部からの攻撃が届かないだけ』
『空気を奪われた時、貴方は逃げてしまった』
『それもそうよね、なぜなら攻撃など受けていないのだから』
『人間ですからね。環境には支配されるのでしょう?』
レミィも人間であるため、まだまだその範囲を逸脱することはできていない。
しかし、グレミィができた事実がレミィにそれを可能にした。
『『『『【独尊・本懐・輪廻の飛天】』』』』
そして──。
「────ッ!!!」
完全詠唱により実現させたその空間に飲まれ、この戦い初めて五条悟の
「【宇宙空間】──眼球と口腔粘膜から体液が強制的に蒸発し、呼吸をしようとすれば肺が破壊される」
「……っ」
「まぁ【反転術式】で治すでしょうね。けど、体内の水分が沸騰。体の膨張。【反転術式】は頭で回す。経験したことないそれをどこまで耐えられますか?」
(……シン・陰流 簡易領域ッ)
「………………簡易領域。なるほど、本来領域の必中効果を中和させる分、この領域ではリソースに空きがあるのね。とはいえただの術式ほどの情報量は中和しきれないのでは?」
じりじりと、簡易領域が削られていく。
レミィのそれは他とは術式の情報量が違う。
五条とはいえ、もって十秒。
「さよなら五条悟。
レミィは勝利を確信し、それを五条へと告げた。
「【……う】」
感じたのは『起こり』。
「【偏光・烏と声明】」
(なるほど。【虚式『茈』】……残念でしたね。
「【表裏の間 虚式『茈』】」
レミィの読みは当たっていた。
ただ。
「──!!? まさか!?」
『茈』は五条悟を中心に広がり、その規模を上げていく。
そう、五条の狙いは領域そのものの破壊。
領域の縮小が裏目にでた。内部は広いが外殻はあくまで小さい。
それさえ捉えられれば当然可能な芸当だった。
「自分ごと!? 私達!!」
『駄目です! 消しきれませ──』
「くッ」
【領域展延】は二人一組前提。
数人では五条の出力を抑えきれない。
宇宙空間にリソースを回している場合ではなかった。
分体全員が『茈』の打ち消しへと入る。
「貴方は私の後ろへ」
『呪力量も上げます。耐えてください』
そして。
↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝
「あーしんど。死ぬかと思ったよ」
「化け物が」
「口調、崩れてるけど?」
五条は全身でも『茈』のダメージを受けているが【反転術式】での治癒を始めている。
領域の破壊は免れたとはいえレミィは腕を失い、それを自身の反転で治している。
唯一残った分体は一体。
先の『茈』の対応で呪力を消費した本体に代わって自身の維持にリソースをまわしているが故に本体を回復させられずにいた。
「振り出しですか……」
「まさかでしょ」
そして、五条が掌印を結ぶ。
「【領域展開】」
「………………ッ」
【領域展開】は本来高等技術。体が想像以上の損傷を受ければあの宿儺ですら維持が難しいほどに。
それはレミィとはいえ変わらない。
五条はレミィの損傷による領域維持の揺らぎを確実に感じていた。
この状況で、レミィを直接叩くより、領域の方が壊しやすいと判断したのだ。
ある意味、五条をして最高の評価を受けている。
今までの戦いで今のレミィの状態でも殺しきるのは難しいと判断した結果だったからだ。
「だめ……押し切られ、る──ッ」
「惜しかったね。
「私! 近くに!」
『はい!』
五条の皮肉ともとれる返しに反応している余裕はレミィにはない。
何かをしようと動いたのかもしれない。
だが、それよりもはやく。
レミィの領域は崩壊し、新たにそこは暗闇に包まれた。
「【無量空処】」
五条悟の領域がそこを支配した。
領域展開
必中、必殺効果もありますが、今回縛りのため切っています。
領域展延
呪力特性上、強化や、集めるといったことはレミィにはできません。本来であれば領域展延も不可能ですが、術式で、呪力特性すら消してもらいました。
その際、術式使用範囲に大きな制限がかかります。(縛りが消えるため)
他作品要素
『水爆』『
本編記述通りその流れを知っているからこそ、想像力をより強化しています。
魔法は再現していません。その結果だけです。
☞これタグつけた方がいいですかね?
独り言
宇宙空間って普通死にません?(剣八は特別)
五条ってどうやったら殺せますか?