グレミィって最強だよね   作:なしれい

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白神紫音様 Luize様 エビ+C様 ベンK様 ダルダルタルタル様 おきゃく様
誤字報告ありがとうございます。
日本語の修正もいただき尚感謝です。

感想で『グレミィっぽい何か』といただきました。
あらすじには記述してあったのですが、勘違いを誘発させていしまったようでしたので念のためタグの方も修正させて頂きました。
『能力だけ』と追加しています。
誤解せず、読んで不快になる前に、そのまま閉じて頂ければ幸いです。



「懐玉・玉折」編実は最近見たんです。


vs五条悟Ⅳ

 

「五条先生、起きてください五条先生!」

「……! ……、……恵?」

 

 目を開けた五条悟の視界に伏黒恵の姿が映る。

 

 ──違和感。

 

 言葉にできない気持ち悪さ。

 何か大事なことを忘れているような頭の曇り。

 

 いや、表現はできないが、どちらかと言えばそれよりも暗い感情。

 不快な表情を浮かべていたのだろう。

 その様子を恵は疑問に思ったかのように五条へ言った。

 

「五条先生疲れてるんですか? 珍しいですね。でも、今日唐突に御三家の会議の名で打ち上げ行こうって、予定入れたの貴方でしょ」 

「恵ーまだ悟起きないのかよ。私がたたき起こしてやろうか?」

「いえ、もう起きたんで連れていきますよ真希先輩」

 

 そこはいつもの教室。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「悪い悪い、なんか最近ちょっと寝不足でさ」

 

 思ってもない適当な事を口にすると、そんな不誠実さが通じたのか「じゃあ早く来てください」と恵も若干口を尖らせて言った。

 

 教室を出た五条は、その違和感を口にする。

 

「ねぇ()()()()()()聞くけど恵って今いくつだっけ?」

「はぁ? 15ですけど」

「そっか、それで御三家の会議ってなんだっけ?」

「…………、五条先生マジでどうかしたんですか?」

 

 本当に心配するように言う恵に、五条は苦笑いを浮かべるしかない。 

 

「遅かったじゃないか。待ちくたびれたよ、悟」

()()()()~、私クレープたべたーい」

「菜々子私も」

「ほらほら、二人とも離れていなさい。今日は車だから私は運転しないといけないんだ」

  

 ここに来て、五条悟の違和感は頂点へと達した。

 

「どういうことだ……」

 

 その光景に驚くことはない。

 同じ教師である夏油傑に、あの時拾った二人の少女。

 

 だが、そんな記憶に靄がかかるように、それよりも鮮明に()()()()()()()()()()姿()が五条の脳内を支配した。

 

「どうしたんだい?」

「ごめん傑、ちょっと二人で話さない?」

 

 五条は、それが本物だと理解をして、それを求めるほかなかった。

 

 ………………。

 

 …………。

 

 ……。 

 

「それで、話って何だい?」

 

 生徒を置いて、五条は夏油と二人で教室へと戻っていた。

 五条のいつもの軽薄そうな雰囲気はなく、そのことに夏油は訝しげに思いつつも、特に何か言う事はなかった。

 

「おかしなこと聞くんだけどさ、俺って強いよね」

「……質問の意図をそのままくみ取るけど、それはYesだね」

 

 ──だよねーと軽く答える五条は少し困ったように顔を掻いた。

 

「何があったんだい? そのために呼んだんだろ?」

「なんかさ、記憶に混濁があってさ」

「記憶に混濁?」

「そ、お前が呪詛師な訳」

「は?」

「だから、俺の記憶だとお前は呪詛師なの」

「ふざけてるのかい?」

 

 呪霊、呪術の可能性は真っ先に疑った。

 五条は、自身がそんな間抜けな状態に陥ると思っていない。であるなら、真っ先に疑うべきものは世界の方である。

 だが五条悟には『六眼』がある。すぐにそれは否定された。

 

 可能性としては薄いが、『六眼』が機能しない別の何かであることもある。

 故に、最も自身が信頼している親友で確認を取った。

 

 傍から見れば大したことない会話。

 それでも、五条には十分だった、本物だ。

 

 それらを夏油へと説明し、その嘘ともいえない様子に夏油も信じざるを得なかった。

 

「悟。まずは硝子に見てもらおう。話はそれからだ」

 

 

 

  ↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝

 

 

 

「どうやら、十年ほどの記憶に異常があるみたい。ほら、ちょうど貴方達が二人で行った…………美々子と菜々子を見つけたあの任務。それから記憶に分離があるみたい」

 

 硝子の言によると。

 今の五条は()()()()()()()()()()状態だとのことだった。

 

「原因は? 治るのかい?」

「原因は私にも不明。でも治りかけてるよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ようだし……」

「それにしても悟の話もなかなかリアルだったね。確かに、あの時悟がいなかったら少なくとも今ここにはいないだろうね」

「俺は恵が禪院家の当主になったことの方が驚いたよ」

「それを忘れているほうが私は驚いたよ」

 

 違和感を残しながらも、五条もこの状況に適応しつつあった。

 結論としては、一時的な縛りによっておきた呪術によるもの。

 時間、あるいは場所、そんな限定的で一時的な効果しかないそれにかかったというものだ。持続性もないことから強度もそれほど強くない。

 高専内で、しかも五条悟がという事で、そんなことあり得ないと断じるべき事柄だが、現にそれ以外に説明がつかない。

 

「あなたが無理やりさせたんでしょ」

「ははっ。でも結局恵を説得したのは傑だし、俺のせいじゃなくなーい?」

「はぁ……あれだけ必死に呪術界を変えたいと訴えかければ仕方ないでしょ。それに夏油先生には津美紀の呪いを解いてもらいましたから」

「シスコンじゃん」

「ほっといてください」

 

 一同が笑うと、それにつられるように五条も笑う。

 なぜ忘れていたのか。

 恵の禪院家当主は、五条が手を回し取り付けたもの。呪術界を変えるという、その目的の第一歩と言えた。

 そんな一時期のテンションで今日打ち上げを予定したのは、紛れもない自分だったはずなのにと。

 

「それにしても加茂家、よく受け入れましたね」

「当然でしょ。御三家と言って加茂家は少し力弱いし、どっちにしろ次の当主で決まっていたようなもんだし。今のうちに利は得たいだろうからね」

「それ脅しじゃないですか…………」

 

 恵が若干引いているが、その対象である五条は悪びれる様子もない。

 

 そうだ。

 あの事件で夏油は壊れた。

 村人を殺さんとしたところを五条が止めに入り、本気の殺し合いが始まるほどに。

 

 当然五条が勝ったが、呪術師以外が猿にしか見えないと。そうなった傑は一時期秘匿死刑にされそうなほどだった。

 

 あの五条悟が先生になり、自分の夢を夏油に語った。

 少しずつではあったが、夏油は今呪術師のために教師になった。

 

「ねぇー私たちずっと外で待ってるんですけどー」

「おなかすいた」

 

 外で待っていた美々子と菜々子が来たことで、再びテンションは打ち上げモードへ。

 

「一応様子は見るとして、今日は飲むかい?」

「いいね」

「はぁ? あんた下戸じゃん」

 

 硝子の言葉にまた一同は静かに笑った。

 

 ──違和感。

 

 五条の心に小さなそれだけが残ったまま。

 

 

 

  ↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝

 

 

 

 特級呪術師としての日々。

 さらに呪術会を変える様々な対応も同時に行ってきた。

 時間は光のごとく過ぎ去っていく。

 

 ──違和感。

 

 それはその過ぎていく日常の中で既に取り除かれていた。

 

「それで、傑がそこまでやられる相手って誰だったの?」

「ああ、未登録の特級クラスが二人に呪詛師が一人。逃げに撤しなかったらやばかったね」

「狙いは宿儺の指か。そのクラスが徒党を組むとなると、警戒が必要だね。そろそろ恵にも一段階レベル上げてもらおうか」

 

 その日、宿儺の指の回収を任された夏油は、呪霊に強襲を受けた。

 宿儺の指もそうだが、夏油自体にも狙いはあったようで真正面からやり合っていたらやばかっただろう。

 

「生徒たちに何かあってからじゃ遅いだろう。私たちで直ぐに終わらせよう」

「まぁ大丈夫でしょ、警戒すべきは宿儺の受肉くらいかな」

「確かに私がいなくても悟なら一人で何とかなりそうだけどね。伏黒甚爾ぐらいしか記憶にないよ、悟がやられたのは」

「あれは最終的に勝ったからセーフでしょ。それに──お前がいる」

「ああ、私達は──」

「──最強だろ?」

 

 横目で見る互いのその目は信頼の光が宿っていた。

  

「とはいえ、完全復活した宿儺には勝てると思うかい?」

「完全に復活したらわかんないかなー」

「珍しく弱気じゃないか? 悟らしくないね?」

「はッ、勝つさ」

「そうでないと」

 

 ──違和感。

 

 五条悟はすでにその答えにたどり着いていた。

 だが、その答えを掴むことは未だできていない。

 

 

「傑。もし、俺が負けるとしたら……どうする?」

「……なんだいそれ? 今日は雹でも振るのかな?」

「いやいや、結構マジな話。俺が負けるならどんな感じなのかって思ってさ」

「そうだね……」

 

 ひょうひょうと言った態度だが、その言葉の本気度を夏油は静かに感じ取っていた。

 

「悟が負ける姿は想像できないな」

「…………」

「それで? なんで急にこんなことを聞いたのか聞いてもいいのかい?」

「あー俺も自分の負ける姿なんか想像つかないんだよね」

「…………」

「だから驚いてんの、()()案外、人だったんだなってさ」

 

 五条悟は気付いていた。 

 

「それ……()()()()()()()()()()()()()()()()()

「バーカ。まだ負けてねぇよ」

 

 否、気付きたくなどなかった。

 なぜなら……。

 

()()か……」

 

 夏油は、小さくそう呟いた

 

「傑、もういいだろ。そろそろ説明してもいいんじゃない?」

「どういう「わかってるんだろ」………………」

 

 五条は、何か確信めいた様子で傑に聞いた。

 夏油は、その言葉を聞いて小さく笑って。

 

「やっとかい? 思ったより遅かったね」

 

 

 

   ↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝↝

 

 

 

「一年前。悟が見つけた違和感の正体は、彼女の縛りによるルールの弱体化」

「僕はあの時咄嗟に、反転術式を全開にした。その効果もあったと思うよ。この世界にいたのがいつからか定かじゃないから、何とも言えないけど」

「定番だけど、私に話しているということは、私の存在が疑われているのかな」

「まさか、お前は傑だ。あいつじゃない」

「それは『六眼』の情報から?」

「親友だからだ」

 

 確かに『六眼』の情報は目の前の傑に何も違和感がない。

 だが関係ないのだ。

 この世界その物が作り物で、脳自体が支配されているのなら、『六眼』の情報などなんのあてにもならない。

 

「この一年、俺はお前を疑ったことはない。紛れもなく傑本人だ」

「それは……嬉しいこと言ってくれるね。とはいっても私はあっち側ってわけじゃない、強いて言うならちょっとした役割を与えられた存在といったところだよ」

 

 夏油は何か重荷が取れたかのように、背伸びをして語った。

 

「彼女が悟へ確実に術式を当てるために追加した縛り。それは、悟が心から信頼する相手がいた場合──つまり私なわけだけど。……私は悟の出した答えに嘘をついてはいけない」

「なにそれ? そんな縛り行けるの?」

「実際に術にかかってる人の言い草じゃないね」

 

 それについては夏油も知るところではなかったが、レミィのその縛りは、五条悟専用。

 五条悟には夏油傑がいる。

 その情報から、今回のような限定的な縛りが有効となった。

 

 当然、五条が望んだ世界の人物が、五条の願いを否定する行動をとるわけなどない。

 

 そう──本来であれば。

 

「それで、今ここでそんな話をしだしたのは理由でもあるのかい?」

「は? そんなの当然──と言いたいけど、一年もこの世界に浸っていた身としては恐ろしいとしか感じないね……」

 

 レミィの領域展開の本来の性能は相手の望む世界を想像するもの。

 本来であればその世界の記憶に置き換わり、違和感すら感じない。

 

 例えば『アルティメットルーティン』はその能力を一時的なものに効果を絞って、現実にする世界というわけだ。

 

「ここは、悟の願いそのもの」

「私が呪詛師に落ちていないのは悟がそれを望んだから。いや、違うか。悟、君は私の変化に気づかず、止められなかったことを後悔していた。だからこの世界の悟はあの任務で私についてきた」

 

 五条の願いは夏油が呪詛師にならないことではなかった。

 夏油──親友の変化に気付きたかった。

 あの時、親友を止められなかった自分を悔いていた。

 

 そう望んだから、あの時から分岐が始まった。

 

「腐った呪術協会を変える。そのために恵君が当主になった。まぁ本来の悟がその夢を持ったのは現実の私のせいだけど、複雑な願いが重なり合っているからね。いい感じにブレンドされているのかな」

「……」

「先日の特級呪霊。悟、もしかして、力を持て余しているんじゃないかい?」

「……、……」

「全力で戦いたい、そんな願いもきっと叶う。相手は宿儺あたりになるのかな?」

 

 五条は夏油の言わんとしている意味を理解した。

 

「つまり、ここに残れば好き放題できるってことね」

「記憶に関しては問題ない。これも一時的なものだよ。現実の記憶は確実に封印される。違和感も、もう起きない。これが現実じゃなくてなんて言うんだい?」

 

 そして、夏油は静かにそれを聞いた。

 

「どうする悟?」

 

 レミィの【領域展開】──【神韻虚構世(しんいんきょこうのよ)】の能力は、術式対象が望む世界を作り、その夢の中で過ごす間、静かに現実では死へと近づく。

 

 現実世界では数十秒といったところか。

 今も五条の体は死へと進んでいる。

 

 レミィの術式であれば大抵の相手であれば領域など使うことなく無双できる。

 だから領域は対強者用に作り上げた。

 呪霊も領域を使えるほどとなると、人間と変わらない思考。そしてその本能も強い。

 

 人間であれば逃れられない欲求。

 

 相手のイメージを使い、その望みが大きいほどに必中効果と必殺効果を上げる。

 強者専用の領域展開。

 

「縛りのせいで、最初悟は違和感に気付いた。それでも直ぐ記憶が定着し、この世界になじむことができたのは、悟がそれを望んでいたからだ」

「傑……」

「悟は言ったね。今目の前にいる私が偽物であるはずがないと、その通りだ。この世界に偽物はない」

「傑……」

「だから「傑!!」……決まったのかい?」

 

 五条の目が、真っすぐと夏油を捉える。

 

「さっきからまどろっこしいんだよお前は、言えよ、戻れって」

「……」

「お前が本当にこの世界で僕の質問に答えるだけの存在なら、()()()()()()()()()()()()()()()?」

「……ばれてたか、でもそれだけかい?」

「はっ、僕が知ってる傑は──僕に負け犬のままここに残れなんて言わない、だろ?」

 

 ──瞬間。

 

 その世界が白く弾けた。

 

「確信は得られていなかった。ただお前がいたから俺は気付くことができた。レミィも思わなかっただろうな、僕の親友が一番僕を戻したかったなんてさ」

「私もあくまで悟が思っている私さ」

「それなら本物だよ。でも、これだけは聞いていいか? 現実のお前は…………」

「気付いているんだろ? 現実の私は救えない。悟もそれがわかっているから分岐点はあそこだったんだ」

「…………」

「悟。この世界は文字通り空想だ」

「ああ、そうだな」

 

 でも──と夏油はそう続けて

 

「楽しかったよ悟、本当に、楽しかったんだ」

 

 その言葉に、悟はにやっと笑った。

 

「ああ、僕もだよ」

 

 沈黙が流れ、どちらかが小さくプッっと吹き出して。

 そこから笑う二人の様子は、まるであの青い夏。あの時のようで──。

 

 

「それで、勝てるのかい?」

「誰に言ってんだよ。知ってるだろ?」

「そうだね。なぜなら……」

 

 ──僕、最強だから

 

 

 

 

 




領域展開 神韻虚構世(しんいんきょこうのよ)
必殺必中効果 本編では縛りを用いて無理やり当てました。
ご存じの通り『無限月読』です。

夏油との絡みを描いてみたかったのですが、難しかったです。
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