終わってる世界ですが生きてみようと思います(現在書き直し中) 作:一般司書補
(ロボトミー、ルイナのストーリーを読み返しているので)初投稿です。
「そういえばカルメンさん。」
「ん?どうしたあのアルク?」
一番気になっていたことをカルメンさんに聞きに来た。あの場では話していなかった気がするが。
「みんな荷物をまとめてはいるんですけどいつ頃あっちに出発するんです?」
「あれ?言ってなかったっけ?今はまだ建物の整備が終わってないから・・・それも含めて1年後ぐらいだけど。」
「・・・1年?」
「1年。」
「・・・・・みんな荷物まとめてますよ?」
「・・・あれ?私ってみんなに言ってなかったっけ。」
「言ってないっすね。」
あれ、これまさか
「言うの忘れちゃってた☆てへっ!」
「みんなーーー!!!荷物まとめるの待ってーーー!!!???」
天才というのはなんでこうも・・・
危なかった・・・まだ取り返しがつかない段階までみんなが片付けてなくて。
「まさか1年後とは・・・みんな慌ててたなぁ。」
「そうだなぁ。」
「手遅れになる前でよかった、まあ戻し作業が大変だけど。」
「そうなのか?大変だろうけど頑張ってくれ。コーヒーいるかい?」
「あぁすいません、かなり甘めにしてもらっても・・・」
ん?俺は一体誰と話しているんだ?この研究所にこんな声の奴はいなかったはずだけど。
「・・・。」
「そういえばコーヒーマシンは何処にあるんだ?」
「そういえばここには・・・・・誰だアンタ!?」
こんな青い髪の奴なんて知らないぞ!?いつの間に!?
「俺か?俺はダニエル。巣から来たいわゆる優秀な人材というものだ。こんな小さな会社にわざわざ赴いたのに出迎えもないのか。」
なんだこいつ、鼻につくな。あ、アインさんだ。
「・・・?。アルク、そいつはだれだ。」
「・・・ああ、君がAか。カルメンから話は聞いてるよ。話すのがうまくないんだってな。」
「否定しない。・・・カルメンの演説を聞いてきたのか?」
「そうさ、ところで彼女は何処だい?」
カルメンさん演説なんてしてたのか。まああの人が話すなら一人二人ぐらいは惹かれるか。
「来たわね・・・・・カフェイン中毒者!」
えぇ・・・
「俺の名前はダニエルだ!」
「席はあそこよ、仕事についての詳しい説明は、隣にいる彼に聞いてね。」
・・・なんでこっちを見るんだ?
「・・・彼に?」
「違う違う!そっちの黒いほう!」
「ああこっちか。」
いや、明らか俺なわけがなかろうて。
「・・・君は俺に来ることを知ってたのかい?」
「言ったでしょ?あなたがどれだけ優秀でも、すべて私の手のひらの中だって。」
日程は伝え忘れるけどね。
「あれは君が俺のことを単に皮肉ってるだけだと思ってた・・・。」
「まあ私は天才だからね!」
「日程は伝え忘れるけど・・・」ボソッ
「ちょっとそこ!静かに!」
いっけね声に出てた。
「一つ条件があるが、聞いてくれるか?」
「難しすぎないことなら考えてあげる。」
いったいどういう条件を提示して・・・
「ここにコーヒーマシンを導入してくれないか。自分で挽いたコーヒーがどれだけうまいかをみんなに布教してやりたい。」
「コーヒー中毒者じゃねーか。」
「ダニエルだよ。」
おい大丈夫かこの研究所。
「うーん確かにエリートだったはずだけど・・・大丈夫かな。」
大丈夫じゃないと思います。
本当に大丈夫じゃなかった。最近みんなの様子がおかしい。
「まあ、あれか。研究が難航してるからだろうな・・・。」
少し前も研究室内で怒りの声が聞こえた。みんな余裕がなくなっているんだろうな。あれは・・・ミシェル?
「はぁ・・・。」
「ミシェル?大丈夫そう?」
「あ、アルク君・・・。正直・・・ちょっと辛いよ。みんな余裕がなくなって・・・空気がすごくピリピリしてる。それに最近研究で初めて犠牲が出始めて・・・。」
ああ、そんなこともあったな。焦った研究職員が収容されている幻想体にやられたって。幸いにもカーリーが幻想体を倒して収容室に戻しダニエルがちゃんと管理してくれているはずだ。
「あれは・・・誰のせいでもない。強いて言うなら焦っていた彼を止められなかった俺たちのせいではあるけど、それを咎められるのも俺たちではないし。あれは・・・そう、仕方のないことだったんだよ。」
「そう、なのかな・・・。どうにかできたんじゃないかなって考えると」
「ミシェル、考えたところでもう犠牲になった人は戻らないよ、確かに止められたはずだったんじゃと後悔するのはいいけど、それで立ち止まってしまってはあの人にそれこそ申し訳が立たないよ。ここまで来てしまった以上、進むしかないんだよ。」
「・・・そっか、そうだよね。私ももう少し頑張ってみる・・・。」
「手伝えることがあったら言ってよ。俺にできることならなんでも手伝うよ。」
「何でも・・・?」
あ、そこに引っかかったか。まずいな、これで無理難題言われたらどうしようもないぞ。
「じゃ、じゃあ・・・アルクの頭をなでていい?」
「へ?」
「えっと・・・アルクを見てると弟というか・・・ペットを見ているようで前々から撫でてみたかったの。」
俺はペットだったのか・・・。あれか、かわいがって癒されたい的な・・・俺そんなかな。*1
「まっまあそんなことでいいなら・・・?」
「ありがとう。じゃあ髪の毛触るね?」
・・・・・なんだこの空間。まあミシェルが癒されてるならいいか。というか人に撫でられたのなんて久しぶりだな。というか普通逆じゃないのか?逆に撫でて癒されるなんてミシェルは変わってるな。
「・・・ありがとう、もう少し頑張れる気がする。」
「また何かあったら話してよ。その方が楽になるかもしれないし。」
それにしても本当にまずいな。みんなメンタル的にだいぶやられてる。そんなに今の実験がうまくいっていないのか。よくない事が起きないといいけど。
「どういうことですか?」
「わかってるわ、君の言いたいことは。」
俺はいま冷静さを欠こうとしている。理由は簡単だ、エノクを実験の参加に許可したことだ。
「なぜです?確かに彼の頭脳は子どものそれではない。だがそれでも彼は未来を担う子どもだ。危険と隣り合わせな状況におけるわけがない。」
彼女は、カルメンは都市に蔓延っている病気を治す手段としてコギトというのを作る手段として誰かが仲介をしなければならない。しかし仲介には適正がありたまたまエノクに適性があったのだ。しかしそうだとわかっても未来を担う子ども犠牲にしてはならない。
「他に・・・他にいないんですか、適性を持った人は。」
「・・・・・。」
「俺だってある程度資料を見てる。あなたにもあったんですよね、適性。なぜやらないのですか?」
「・・・みんなが、私はここの代表だから私がいなくなるようなことは最終手段だって。」
「あなたの命とエノクの命を天秤にかけるとは・・・。クソッ!」
俺の怒号にビクッとするが気にしていられない。
「・・・・・絶対に」
「・・・?」
「絶対に、エノクを死なせないでください。」
「・・・善処するわ。」
それを聞いた俺は部屋から立ち去ろうとするがその前に
「他の人には隠せてるかもしれないですけど、最近はめているその腕時計の下に傷ができてることぐらいわかっていますからね。」
「!?」
「何の気休めにならないかもしれないですけど、あなたの実験がうまくいくことを最大限祈っていますからね。」
そういって俺は部屋から立ち去った。
「絶対に失敗できないわね・・・。」
もしこの世界に神がいるんだったら・・・俺はどんな力を使ってでも殺すだろう。
「う”ぅ”・・・・・グスッ・・・・・」
わかっていた。この実験が一筋縄ではいかないことぐらい。
「エノク・・・え”の”・・・・・く”・・・・ぅ”・・・」
わかっていた。もともと成功するなんて蜘蛛の糸よりも細いものを掴むくらい困難だという事に
「・・・・・。」
それでも・・・それでもカルメンなら何とかしてくれると思っていた。
「・・・・・。」
アイン達ならエノクを死なせないために全力を出してくれたことぐらいわかってる。
「・・・・・。」
しかし、結果として彼は・・・エノクは死んだ。俺の、初めての・・・同年代の友達の一人が目の前で死んだ。
『僕はこの実験に参加するよ。わかってくれるよねアルク、僕には適性があった。だったら僕がやらないわけにはいかない。それでここの人たちが都市を救ってくれるというのなら僕は惜しみなく協力するさ。』
『その先に待つのが死かもしれないのに行くのか?そもそもエノクが行ったところでもしかしたら何も変わらないかもしれないんだぞ!?君が無駄死にする必要なんて・・・。』
『それでも、変わる可能性があるというのなら僕は行くよ。・・・もしもの時はリサを気にかけてあげてほしい。』
なあエノク、お前は本当にこれで満足か?これがお前の本当に望んだ結果だったか?こんな・・・君が死んだ意味なんてほとんどない結果で・・・。
「あんたが・・・」
「・・・。」
「あんたが死ぬべきじゃないの!」
リサは本気でそういったわけではないだろう。
「リサ・・・。」
「そうね・・・私も・・・そう思うわ。」
しかしカルメンの反応的にこちらは本気で言っているのだろう。
「リサ、いったん部屋に戻ろうか。」
「う”ぅ”ぅ”・・・えのくぅ・・・。」
その日からだいぶたったある日、カルメンが浴槽で腕を切って意識が朦朧とした状態で見つかった。
「やあ、元気なさそうだね。コーヒー飲むかい?」
「ダニエル・・・甘めでお願い。」
「まだ苦めなのは飲めないのかい?子どもだねぇ。」
「・・・。」
「おっとそんな気分ではなかったか。」
あれからの研究所はひどいものだった。結果的に死んだカルメンの遺体を利用しその後の実験はまた一歩進み始めたのだ。
「カルメンが死んでその遺体を利用し鶴瓶作ってそこからコギトを抽出するとはね。」
「皮肉なものだね、一番死んではならない人の死によって研究が着実に進んでいるんだから。」
どうしてこうなってしまったのか、どこで道を間違えたんだ。
「実際に起きてしまったことは戻せない。アルク、もう俺たちは進むしかないんだ。」
「・・・・・コーヒー、ありがとう。おいしかったよ。」
「また飲みに来なよ~。」
少しは気が楽になった気がする。ダニエルもたまにはいいことをする。
「カルメンを救うために被験者を募りたい。」
あれから皮肉にもコギトの生産が安定したがコギトは劇物だ、適切な量がわからないため人体実験を行い適正量を調べるのだがアインは周知の事実となったカルメンの死を救うというすでに手遅れなことをほざいていた。当然死したものは蘇らない、アインは希望を潰さないためにそのような嘘をついてでも実験をしたがっていたのだ。
「ジェバンニ・・・。」
挙手したのはジェバンニだった。ジェバンニはカルメンの幼いことから友人と聞いたことがある。友人の彼女を救うためなら自ら犠牲になりに行くつもりなのだろう。
それから話はトントンと進みすぐに投与実験の準備が行われていた。実験が行われる前にジェバンニと話すことができた。
「ジェバンニ・・・。」
「アルクですか。今から被検体になってきます。そのためにここに来たようなものですからね。」
「カルメンは・・・カルメンはもう助からないよ。ジェバンニだってわかっているんだろう?もうすでにカルメンは」
「ええ、わかっています。」
「それならっ!」
「疲れたんです、生きることに。もう誰かの死を見るのは嫌なんです。だったら僕が犠牲になって死ぬ必要のない命が犠牲にならない方がいいでしょう。」
ジェバンニもこの状況に耐えられなくなってしまったのだろう。もうすでにジェバンニからは生きる気力を感じない。
「ジェバンニ来てくれ、実験を行う。」
「それでは、さようならアルク。あの世で君が大人になってから会えるといいですね。」
「っ!」
「エリヤ?どうしたのそんなに急いで。」
「うっううん。なんでもないの。」
「そういえばこの前コギトの実験の参加申請が通らなかったんだって?」
「そっそうなの。まあ私おっちょこちょいなところあるからアインさんが心配して参加させないようにしてると思うの。」
あのコミュ障にそんな気遣いは出来ないぞエリヤ。どうせ失敗したらコギトがもったいないとしか思っていないんだろう。
「そっか。でもいつかはエリヤが実験に参加できるようになるって信じてるから。これに懲りずに頑張ってほしいな。」
「・・・ありがとうアルク。じゃあ私ちょっと行くところがあるから。じゃあねっ!」
・・・?なにかそんなに急ぐ用事でもあっただろうか。あっコミュしょ・・・アインだ。
「アルクか、エリヤを見なかったか?」
「エリヤならあっちの方に走っていったよ。」
「そうか。あとは俺が後始末しておく。」
・・・後始末?何を・・・コギトの実験、申請が通らない、後始末・・・まさか!?
「こ・・・殺して・・・ください・・・お願い・・・」
「・・・。」
「エリヤッ!!!」
「あ・・・アル・・・ク・・・お願い・・・殺して・・・・・」
エリヤの姿は悲惨なものだった。目や口、彼女の穴という穴から血があふれていた。さらに爪はすべてはがれておりさらには歯もすべて抜け落ちていた。
「・・・・・アルク、処理は任せる。」
アインが何を言ってるのかわからない・・・だって、エリヤまだ・・・
「アルク・・・ごめ・・・んなさい・・・。私が・・・バカな・・・・・ばっかりに・・・」
「エリヤっ!喋らなくていい!今何とかして!」
「もう・・・いいの・・・。私は・・・もう・・・助からない・・・」
「こんなっ!こんなことって・・・。」
「ごめん・・・・・・・ごめ・・・・・・・・・。」
「・・・エリヤ?エリヤッ!?」
エリヤを抱き起こすが、すでにエリヤからは聞こえるはずの・・・聞こえてほしかった音はすでに消えていた。
「ガブリエル?」
「アルクですか・・・。エリヤの件は・・・残念でしたね。彼女の最期を看取ったのは君だと聞きましたが。」
「・・・うん。ごめん、止められなくて。」
「これに関してはエリヤが悪いのです。彼女はルールを破ったからあのような最期を迎えてしまったのです。だから君が気にする必要はありません。」
「・・・。」
確かにあの時には手遅れだったが・・・俺がエリヤのことをもっと見てあげれば防げた可能性があたのだ。彼女の頑張りを認めてあげていれば何か変わっていたかもしれない。・・・まあ、過ぎたことを気にしすぎてもだめだな。
「そういえば最近はタートルネックの服を着るようになったんだね?」
「!?・・・ええ。エリヤの件でコギトが大変危険なものだとわかりましたから、飛沫を防ぐためにこの服を着るようにしたのです。」
「そっか、少しの量でも危険かもしれないからね。確かにその方が安全かも。」
「ええ。もしあなたがコギトを扱う機会があればですけど、その時は飛沫に気を付けてくださいね。」
「そんな機会があるかわからいけどね。じゃあまたねガブリエル。」
「・・・・・ええ、また。」
ところで、なぜ彼の腕あたりから血の匂いがしたのだろうか。
しかし俺の疑問が解けることなく数日後、ガブリエルは研究所から姿を消した。
「アルク。」
「・・・・・。」
「・・・アルク。」
「・・・アインさんでしたか、どうしました?」
「新しく抽出できたE.G.Oを試してきてほしい。」
「・・・ここ最近はそればっかだね。」
「もともとカルメンの時からお前に任せようとしたのだが最近はいろいろあったからな。試作品という事で使い終わったら使い心地などをまとめたレポートを提出してほしい。そのあとはお前の好きにして構わない。」
「じゃあ、今までの報酬ってことでいい?」
「構わない、好きにつかえ。」
そういって渡してきたのは白と黒の装飾されたハンドガン、そして青のストックに黄色の装飾が施された銃身の黒いライフルだった。
「じゃあ行ってくるから。」
「・・・少女が昨日消えた。」
「・・・・・。」
「余裕があればでいい。回収してきてくれ、生死は構わない。」
その言葉を背に受けながら銃を異空間にしまい外に向かう
「ん、アルクか。」
「・・・カーリー。」
前にカーリーに話しかけられた。
「ここもだいぶ静かになったな。」
「・・・そうだね、前までちょっと騒がしいぐらいだったのに。それでも、それでもあの時は楽しかった。」
「・・・。」
「エリヤのミスを補ったり、ガブリエルとそのことで一緒に注意したり、ジェバンニの飲酒を止めたり、エノクとリサと遊んだり・・・本当に楽しかった。」
「そうか・・・。」
「ごめん、一方的に話してたね。それでなんだった?」
「お前と一番最初にあった時から言おうと思ったが、お前のその力は本当にE.G.Oなのか?」
「・・・正直気にしたことなかった。それがどうしたの?」
「・・・E.G.Oはそいつの意思だ。お前と戦ったあの時は驚きで気づかなかったがここでいろいろお前の力を調べたのもあって今では確実に言える。お前のその力はお前のE.G.Oではない。」
「・・・。」
確かに、俺のこの力は夢のあいつから譲ってもらった力だ。確かに生きたいと強く願うと発現はするがどうも何か違うものを感じていた。つまりは生きたいと願うと力を貸してくれている、この方がまだしっくりくる。
「確かに俺のこの力は貸してもらったものだ。・・・俺が今までE.G.Oだと思ってたそれはE.G.Oじゃなかったのか。」
「・・・とはいえ、その力の強さは本物だ。貸してもらっているとはいえその力をお前は使いこなせていると言える。ただ、お前が独自のE.G.Oを発現させたときお前がどの程度の強さになるかが楽しみだ。もしかしたらこの私を超えるかもな。」
「だといいね。じゃあ行ってくる。」
「抽出したE.G.Oの試しだったか?お前なら大丈夫だと思うが・・・お前までいなくなるなよ。」
「死ぬつもりはない、もとより死にたくないしね。」
どうしてこうなってしまったのだろうか。
「エリヤ、ガブリエル、ジェバンニ、エノク。死ななくてもいいほどにいいやつらだったのに。・・・いい奴ほど早く逝くのは本当だったのかな。」
本当に死んでほしくなかった人たちだった。俺と友達になってくれた人たちだった。しかしそれも今では少なくなってしまった。
「と、リサを見つけないと。」
すぐに移動しようとするが遠くに幻想体が見えた。見つかっても厄介なのでアインからもらったライフル、魔法の弾丸を取り出す。
「手に取れば使い方がわかるって書かれてたけど・・・なんか持った瞬間今まで使ってたかのように使い方がわかるんだけど。これが抽出したE.G.Oなのか。」
感心するのもそこまでに、すぐに遠くの幻想体に銃を向ける。
「ふぅ・・・構えて・・・探知・転移・貫通・加速術式展開、あとは・・・撃つ。」
大きな銃声をあげて弾丸は飛んでいく。しかし魔法陣にぶつかった弾丸は姿を消し幻想体の近くに現れた魔法陣から先ほど消えた弾丸が飛び出し幻想体の頭を撃ちぬいた。
「・・・強いけど狙う必要がないのは腕がなまりそうで怖いね。こればっか使うのやめよう。」
確かに強いが腕が絶対なまるので使いすぎ注意だ。
「ん、あそこに幻想体が群れて・・・!?」
少し離れた位置に幻想体が群れていた。群れていたまではいい、群れの真ん中には黄色の髪の女の子が横たわっていた。
「まさか・・・リサッ!!!」
すぐにもう片方の白と黒のハンドガン、崇高な誓いを取り出し幻想体に向けて乱射する。
「敵は3体・・・乱射してれば勝てるっ」
銃からは直接弾が出ていたわけではないが幻想体に向けて撃つと弾が出ていたら直撃したであろう場所から白と黒の蝶が羽ばたいていく。そのたびに幻想体は弱っていくので効いているのだろう。
「さっさと・・・くたばれッ!!!」
幻想体を蹴り上げ、宙に浮いた幻想体に向けて乱射する。いったん崇高な誓いをしまいクレドポルトを取り出し幻想体に肉薄、刃を突き刺し撃ち殺す。
「・・・ッ!」
残り一体を地面に蹴り倒し、起き上がらないよう足で抑えながら崇高な誓いで乱射する。
「・・・ふぅ。」
何とか幻想体を全員撃ち殺したので黄色い髪の女の子を確認する。
「・・・・・リサ。」
案の定リサだった。幸いだったのは眠るように死んでいる。苦しまずに逝けたのはまだよかった方だろう。
「・・・いいわけ・・・ないだろっ・・・。」
もう少し早ければ間に合ったのかもしれなかった。苦しまずに逝けた?何もよくない。死んでしまったら意味がないのに。
「・・・銃の使い心地もレポートを書ける程度にはわかったし・・・・・リサを連れて研究所に戻るか。」
だいぶ時間もかかったし暗くなる前に戻らなければ。
「俺は夢でも見ているのか?」
俺が研究所に戻った時には研究所とは言えないほどのボロボロな何かがそこにあった。
「・・・はっ!そうだ、アインさん!ベンジャミンさん!カーリー!ダニエル!」
そう叫ぶが帰ってくるのは静寂のみ。
「幻想体が脱走してる・・・ダニエル!」
幻想体を管理しているダニエルのところに向かうが
「・・・!?ダニエル!」
「・・・アルクか?」
「そうだ!何があった!?」
「・・・頭奴らが来たんだ、俺たちは見つかったんだ。調律者と爪2人が攻めて来たんだ・・・。」
「調律者・・・爪・・・?そいつらがやったのか!?」
「・・・・・」
「ダニエルッ!!!」
「もう誰も生き残ってないだろう・・・お前も早くここから・・・・・ここから離れろ・・・。」
「・・・わかった。ごめんダニエル。」
「あの世で待ってるよ、コーヒーでも作りながら。」
「・・・いつか頂きに行くよ。」
ピピッ『アルクか?』
「アインさん!生き残っていたのか!」
『俺とベンジャミン以外は全滅だ。』
「・・・調律者が来たんだって?」
『そうだ、どこから伝わったのかは不明だが研究所がばれた。俺はダニエルから聞いて早めに聞いてどうにか逃げることができた。』
「俺はどうすればいい?」
『・・・酷なことを頼むが死体を回収してくれ。お前ならどうにかできると聞いている。お前にしかできない、頼んだ。』
「・・・・・了解、通信終了。」
・・・・・みんなを弔うつもりなのか・・・とりあえず異空間に死体を入れることができるからそれで死体を運ぼう。
ダニエルとリサの死体は回収した、あとは・・・ミシェルは何処に・・・。
「・・・ミシェルの部屋か・・・ごめん、失礼するよ。」
・・・死体がないことを祈ってドアを開けるが
「・・・そんな・・・ミシェル、どうして・・・。」
ミシェルは首を吊って自殺をしていた。この状況に耐えられなかったのだろうか。
「・・・遺体を回収しなきゃ。」
ミシェルの遺体も回収して次に向かう、遺体ではないことを祈り歩き回る。
「もともと死んでいった人たちの遺体はあっちが回収しているらしいから・・・あとはカーリーか。」
あれだけ強かったカーリーだ。さすがに生きていると思うが。
「カーリー!いるか!」
「・・・ぅぅ」
なにか聞こえた気がする、音のする方へ向かってみるか
「っ!カーリー!無事・・・ではなさそうだね。」
「・・・お前か。すまん、相打ちって言ったところだろうな。出て来た幻想体、爪二人に調律者一人を相手にして何とか全員殺したが・・・私は腕を持ってかれた。もうすぐ逝くだろうな。」
「カーリーのおかげでアインとベンジャミンは助かった、代わりお礼を言うよ。ありがとうカーリー・・・。」
「ふっ、助かったのならいい・・・すまんがもう寝る。・・・あとは・・・頼んだ。」
・・・カーリーから生命の音がなくなった。完全に息絶えたてしまった。
「俺が早く帰ってきていたら間に合っただろうか・・・。」
だがもう遅い。すでにみんな死んでしまった。
「・・・こいつが調律者か。」
全体的に黒いがアクセントかのように金のラインが入った服を着た女性も、一応回収しておく。
そうして俺は研究所の主要メンバーだった人たちを回収しアインさんが避難した先へと行くことにした。
「助かったアルク。だがこいつは?」
「カーリーと相打ちになったっていう頭らしいよ。」
「そうか、こいつの脳を覗けばどうにかなりそうだ。」
「・・・。」
「彼らの脳は無事だ。時間をかければ元の姿には戻れないがまた話せるようになるだろう。・・・?どこに行くアルク。」
「アインさん、今はそっとしておきましょう。彼と亡くなった方々はかなり仲が良かったですから思うところがあるのでしょう。」
俺がもっと早く気付いていれば・・・何か変わっていただろうか。
俺がもっと早く動けていれば・・・犠牲はなくなっていただろうか。
しかしアインは言っていた。手を施せばまた彼らと語り合えると、ならば
「ならば今度は俺がみんなを守る。もう間に合わないなんて状況にはさせない。みんなを守るためなら・・・時間だって超越してやる!」
俺はいつの間にかつけていた指ぬきの手袋で涙をぬぐった。ぬぐったときに見えたが、手袋には見たこともない模様がついていたが気にしないことにした。
アルク君
間に合わないことで後悔してた中いつの間にか指ぬき手袋を装備していました。一応手の甲あたりには模様が描かれております。何の模様かは・・・まあ。この手袋に関してはまたいつか。一応今までE.G.Oを発現したと思われていましたがあれはただの貰い物の力です。なので実際はE.G.Oではございませんでした。ですが強く生きたいと願うことをトリガーにまた力を貸してくれます。
亡くなった方々
アルク君とは仲が良かったという設定に。その分亡くなった時のアルク君への精神ダメージはかなりの物でしょうね(暗黒微笑)
研究所への襲撃
まあ皆さんはなぜ研究所がばれたかに関してはお分かりのことだと思います。その張本人ですが実はアルク君がいないことを知ったうえで行いました。なのでアルク君が武器の試し撃ちに行かなくても別の日に外に出る用事があればその日に襲撃は起こります。なので絶対アルク君は襲撃に対して何もできません。その方がアルク君の精神的ダメージが大きいのにね。