転生したら第六王子だったので、一つの魔術を極めます   作:苦闘点

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 GW中、作者は最新話の執筆が全く進みません。ごめんちゃい。明けたら書きます。オマケはそういう時に今後も書きます。

 ぶっちゃけ読まなくても問題ないです、原作リスペクトの結果1時間で生まれたものですので。

 それでも読んでくださる方、マジ感謝!!


【オマケ話】人形の独り言 GW編

 

 

 

 世はゴールデンウィーク。

 そんな中、サルーム城のロイドの自室にて、一人の姿が見える。

 

 

(ボクは木形代。ロイド様が魔力で作った人形だ。最近主様が帰ってきたと思ったら、知らない人を連れてきた。どうやら、主様のお兄様らしい)

 

 

 木形代は、本来簡単な動きくらいならオートでやれるレベルの、簡単な人形だ。

 それがどういう訳か、ロイドが作ったからか知らないが、ひょんな事から感情を持ってしまったのが、彼、『形代くん』である。

 

 今日はロイドがロードストに行っているということで、その影武者役をやっている。最近はシルファも毎日のようには来ないので、その必要も無くなってきているが、給仕としてもロイドの部屋にいるのだ。

 

 形代は、先日棚の中からチラッと見えた人物の事を考えていた。

 

 

(兄……たまーに来るあの金髪で背の高い人は、マトモそうだった。一回だけ来たちょっと日焼けした人もマトモそう。ならあの人も…………いや、あの二人より親しげだったし、色々隠してる主様が明け透けに色々話してた。多分あの人はあっち側だ。色々バグってる側の人だ)

 

 

 シィズの預かり知らないところで好き勝手言っているが、大体ロイドが悪いので形代くんは多分悪くない。

 

 そして、いつものように『まがぁぽけ』でも読んで暇を潰そうとしたところ、棚の中に光が差し込む。

 

 

「おーし、出てこーい。体洗うぞー」

「! …………」

 

 

 タンスを開けたのは、浮遊するオレンジ色の山羊型(?)マスコット、グリモである。

 形代は気付かれない位に表情を明るくし、モソモソとタンスから出てくる。

 何故か。形代はロイドが怖過ぎる&自分を大事にしない反動か、優しい&自分の事を大事に扱ってくれるグリモの好感度が結構高かった。

 

 

(やったー!今日は主様がいないからグリモさんもいないと思ってたのに!フフフ、今日は運が良いな〜)

「あれ?グリモなんだそれ。ロイドそっくりの人形か?」

 

(わああああ出たあああああああ!!!!)

「ロイド様が作った『木形代』ですぜ。ロイド様が部屋にいない時はこいつに俺が入って影武者やったりとかしてます」

 

 

 グリモの説明に「へー」とだけ返して魔術書に視線を戻すシィズ。

 シィズがロイドの部屋にいる理由は、拙作第8話を読んで頂きたい。

 

 無表情でグリモに体を拭かれながらも、形代の心境は気が気でなかった。

 

 

(何でこの人が……。暫定『主様の次にヤバい人』のこの人が……!)

「影武者かー、いいなーオレもそういうの作ってから引きこもった方が良かったなー」

「今日のアルベルトの話を聞くに、アンタマジで何も言わず引きこもってたんすね。ダメですよ、皆心配しますぜ」

 

(あっ、グリモさん優しい……じゃなくて!)

「分かってるよ。で、木形代って事は、自律型か?バレないかそれ」

「大体は俺が中に入ってるんすよ。……それももう、あんまやりたかないっすけどね。あと、給仕とかもさせてますね。よくやってくれてますよ」

 

(あっ、グリモさん好きっ……)

「……へー」

 

 

 グリモからの労いに、形代が内心トゥンクさせていると、魔術書をパタンと閉じたシィズがベッドに座る形代へと近付いてきた。

 

 

「……色々できるんだなー……」

(あああああああジリジリ近寄ってくるううう!!主様と似た顔がジリジリ近寄ってくるの怖っっ!!助けてグリモさんんんん!!!)

 

 

 心の中で阿鼻叫喚する形代。表情は変えるわけにはいかないのだが、無意識的に目が閉じる。加えてちょっと震えていた。

 

 そんな木形代だが───それを迎えたのは頭に置かれたシィズの手だった。

 

 

「凄いな。木形代ってそんな色々出来たっけ?いつも頑張ってるんだなー」

「……良かった。シィズの兄貴にはそういう慈しみの感情があるんすね……。何すんのかと思いましたよ」

「お前はオレをなんだと思ってるんだ?」

 

 

 グリモのように優しい表情を浮かべて頭を撫でるシィズを見上げ、形代は己の勘違いを恥じた。

 

 

(シィズさん…………めっちゃ良い人!!!)

 

 

 ぶっちゃけ、形代の中ではロイドが怖過ぎるせいでその他全てが大体良い人なのだが、真正面から自分を大事にしてくれる人というのはグリモ以来である。

 これで、形代の中でシィズの好感度はグリモと並ぶくらいとなった。こう言ってはなんだが、コイツチョロいぞ。

 

 

(なんだ!良い人じゃないか!ごめんなさいシィズさん!ボク勘違いしてました!やっぱり王族でヤバいのは主様だけなんだ!)

「いやだって……シィズの兄貴ってロイド様と同じ穴の狢でしょ?コイツの事色々弄くり回すんじゃねえかって」

「オレはロイド程魔術バカじゃないよ。結界だけだ。興味はあるけど、そんな事はせん」

 

 

 そう言って、シィズはベッドに寝転がり、グリモも体を洗うのを止めて形代を棚に片付けた。

 

(あぁ……マトモだ。なんか基準がバグってる気がするけど、それでも良い人だ。多分主様の事をちゃんと理解してるだけで、この人自体は全然ふつ……)

 

『───ロイド様?どうかされましたか?』

 

(っ!? そうだ、今日はシルファさんが来るんだった!)

 

 

 コンコンと部屋をノックしたのは、声から察するにロイドの世話係のメイドのシルファだろう。

 形代はシルファをよく知っている。何せグリモが中に入った状態でボッコボコのフルボッコにされているのだから。

 

 とにかく、急いで形代にグリモが入ってやり過ごすしかない。のだが、何かシィズとグリモは話していて形代を出す気配がない。

 

 形代がどうしようかと考えていると、とうとうシルファが部屋に入ってきた。棚の隙間から見えるのは、表情が抜け落ちたシルファと、困惑の表情を浮かべるシィズ。

 

 

(グリモさんはシィズさんの中に入ったのか。良かった、これでバレる事は………

 ………………っ!!??)

 

 

 形代は信じられない光景を目にした。

 いつ動いたかは分からないけど、いつの間にか抜刀したらしいシルファさんは、シィズさんの首目掛けて真剣を振りかざしていた。

 

 魔人のグリモでさえ反応出来ないシルファの剣。形代もよく知っている。ただ今回のはレベルが違う。明らかに本気の斬撃だった。

 

 …………それを、シィズは見切って止めていた。片手の指先で。

 

 それからシィズとシルファは二言三言交わした後、シルファの蹴りによりシィズが外へ吹き飛ばされ、二人は外に消えた。

 ……その後、外からすんごい破砕音が聞こえてきたあたりで、形代は棚から出て窓を閉めた。

 

 

「…………やっぱり、主様のお兄さんなんだなぁ……」

 

 

 シィズの好感度は、ちょっとだけ下がった。

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