転生したら第六王子だったので、一つの魔術を極めます   作:苦闘点

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「なぜ僕が前書きに?」(形代)
「前の投稿から3週間も遅れたからおいら達が作者に変わり謝罪するうっさー」(まがまる)
「作者がしてよそのくらい!」

「作者がおいらの事が好きだから前書きで書きたかっただけうっさー。ぶっちゃけお前はオマケうっさー」
「んだとこのウサギ!?最近原作スピンオフで本編登場したからって調子乗らないでよ!?」
「この作品ならスピンオフの更に下に位置する二次創作だから完全本編出演も夢じゃないうっさー」

本編には出ません。

「上等だわ!こっちでも飯テロしてやんぞゴラァ!!」
「駄目だよ作者の文章力でそんなの書ける訳ないでしょ!」


「ちなみに何で投稿遅れたの?」
「ブルアカにハマってたらしいうっさー」
「反省しろ作者ぁ!」

後悔はしてません。


【第14話】父上と再会します

 

 

 シィズがタオに気術を教わった次の日、シィズはロイドと一緒に『無間界廊』にいた。

 

 シィズは構築術式を展開し、『非天六道』の術式を見直している。

 その横でロイドと使い魔ズは、怪しげな液体やバチバチと電流を垂れ流す金属塊を弄っていた。

 

 自分の作業に集中していたシィズだったが、流石に気になって詳細をロイドに聞いた。

 

 

「……ロイド、さっきから何やってるんだ?」

「昨日言った、『バビロンの強制覚醒実験』の準備だよ」

「あぁ、そう。昨日も思ったが、それ何だ?」

「文字通り、ありとあらゆる手段を以てバビロンを起こす為の実験だ!流石に3日経っても起きなかったら俺も我慢の限界だからな。明日の昼頃に実施するつもりだ」

 

 

 一応シィズからも情報はもらったし、謎神父の似顔絵や『光武』を使っていたことなどは、ロイドは勿論アルベルトなどにも話した。

 が、ロイドはバビロンが服に残した血文字が気になって仕方がないそうだ。勘の良いバビロンの事だし、何か大事な情報を掴んだかもしれない。

 

 

「ちなみに具体的には何を?」

「俺は古代から伝わる秘伝の覚醒剤(合法)だぜ……フヘヘ、これを飲みゃあバビロンの奴も一発で目が覚めるぜ……ちょっと舌が馬鹿になるかもしれねえがな」

「私は『浄化』を練りに練り込んだハエたたきを。フハハハ男のために頑張るのは癪に障るが教会で起きた事だ。私も少しは手伝おうではないかフハハハ」

「あぁ、そう」

 

 

 ペンタブラック粥程ではないにせよ、禍々しい瘴気を発する鍋をおたまでグルグルするグリモ。

 そしてその鍋とは対照的に、目が眩む程の光を発するハエたたきをブンブンするジリエル。

 

 一体飲むとどんな副作用が、とか。何でハエたたきなんだ、とか。そういうことは一々聞かないといけないのだろうか。

 最後にロイドの方に目を向けると、鼻息を荒くしたロイドが解説してくれた。

 

 

「俺は〜、まず雷系統魔術だろ〜?その後は空間系統魔術を応用した爆音だろ?んでその次は水とか氷とか〜。あ!『飛翔』でぶん回すとかでもいいかもな!」

「あぁ、そっか」

 

 

 とりあえず、シィズはバビロンが明日の昼までに起きる事を切に願った。

 経験上、こうなったロイドは何言っても聞かない。今回はバビロンの目を覚ますという大義名分があるから尚更だ。

 

 諦めて自分の作業に戻ろうとしたところ、王城にある自分の部屋に反応があった。

 シィズは変な事はしないよう三人に釘を刺してから、界廊を出て自室に戻った。

 

 

「はいはーい」

「あ、シズ!もう怪我は大丈夫かい!?教会で悪漢に襲われたと聞いて僕は気が気じゃ……!」

「あ〜大丈夫ですよ。もうロードストでちゃんと治しましたから」

 

 

 部屋に訪れたのはアルベルトだった。

 軽傷を負ってロードストで療養、という設定だったのを思い出し慌てて取り繕う。流石に心臓ぶち抜かれてました、とか言ったらアルベルトぶっ倒れるからな。

 

 

「それで、起き抜けに申し訳ないんだけど……ちょっと来てくれるかな?」

「なにかありましたか?」

「あぁ……父上がお話があるそうだ」

「あ〜……なるほどです」

 

 

 もうすぐ聖誕祭が控えている。その直前に教会が悪漢に襲われて建物も半壊、なんて事件が起きたのだ。

 聖誕祭前で公務で忙しい父上、サルーム国王でも、その場にいたシィズに話を聞く必要があるだろう。

 

 

「アルベルト兄さんは、どこまで聞いてるんですか?」

「悪漢が、教会デーン大橋支部の神父を襲ったこと、それを偶然入信していたバビロン君が身を呈して守ったが、半殺しにされたこと。……そして、その悪漢が身体を化け物のように変化させ……神聖魔術を使ったこと」

「(オレが教会を半壊させた事以外は、ほとんどそのまま伝わってるようだな)はい。それで間違いありません」

 

「悪漢め……シズにそんな怖い思いをさせるなど……」

「ハハハ……まぁ、オレはバビロンに助けられましたから。ちょっと怪我したけど、もうホントに大丈夫ですから」

「それでもだ!そのせいでまたシズが引きこもったらどうするんだ!」

「別に外が怖いから引きこもってたわけじゃありませんよ……」

 

 

 弟バカが止まらないアルベルトと共に、王座の間へと行く。が、アルベルトはその大きな扉を素通りし、その少し奥の部屋へと歩いていった。

 

 

「? アルベルト兄さん、王座はこっちでは?」

「今日は別に謁見じゃないんだ。ただ父上がシズの事が心配だから呼んだんだよ」

 

 

 なんて事無いように言う様子に、シィズは少し面食らったが、すぐに後を追った。

 

 

(よくよく考えれば、五年ぶりなんだよな父上とも。あんまり心配はしてないけど、出来ればディアン兄さんくらいの温度感がいいなぁ……)

「父上、参りました」

「うむ、入りなさい」

 

 

 アルベルトがノックして扉を開けると、恐らくこの城で最も豪華であろう部屋が目に入った。

 その中に座る、立派な白い顎髭口髭を携えた初老の人物。サルーム国王、チャールズ=ディ=サルームだ。

 玉座に座らずとも、その威厳は少しも色褪せていない。

 

 チャールズはアルベルトの少し後ろに立つシィズを見やると、嬉しそうに目を細めた。

 

 

「……久しいな、シズ」

「えぇっと……お久しぶりです、父上。その、長い間姿を見せず、ご迷惑をおかけしました」

「確かに、心配していた。だが、元気そうな姿を見られただけで、わしは満足だ。ただ、出来ればもうこのような心配をかけさせないでくれると、ありがたいな」

「……はい。もう大丈夫です。身に染みて分かりましたので」

 

 

 アルベルトの時もそうだが、家族からのこういう反応はシィズの罪悪感をグサグサと突き刺してくる。

 結界魔術の研究、並びにその資料を纏めるのに時間を忘れ過ぎた。正直今はそんなに後悔はせずとも、もうちょっと上手くやれたんじゃないかとシィズ自身も思っている。

 

 

「うむ、ならば良い。……出来れば、わしのとこにも偶に来てくれると嬉しいのだが……」

「父上?そろそろ本日の要件に入られては?」

「……アルベルト、お前も少しは弟離れしたらどうだ?」

「父上こそ、シィズもこんなに大きくなったのですから、そう過保護になる必要もないのでは?」

(アルベルト兄さんがそれ言う?)

 

 

 ただでさえ外出が多くて一緒に時間が取れない弟を、これ以上離してなるものかと、アルベルトは王とか関係なく張り合っている。流石は次期国王に近いと言われているだけある。動機は不純であるが。

 チャールズはその息子の様子に少し嬉しくも思いながらも、咳払いして話を遮った。

 

 

 

「オホン。して、シズ。お前は三日前教会にいたそうだが、大丈夫だったか?」

「はい。バビロンが守ってくれましたから」

「おおっ、ロイドが配下に加えたというロードストの者か。ロイドも良い仲間を持ったの〜」

「バビロン君は、今ロードストで療養中だそうです。早く起きるといいのですが……」

 

「起きますよ、絶対。だからバビロンも大丈夫です」

 

 

 イーシャが歌い続けてくれているが、まだ起きる兆しは見えない。

 けど、今日か明日には必ず起きる。「鼠はしぶといですから」とか言って、不敵に笑っているだろう。

 シィズがジェイドから聞いたバビロンなら、きっとそう言う。

 

 

(……それに、今日起きなきゃ明日嫌でも叩き起されるからな。ロイドに)

 

 

 「ふへへへへ……」と不気味に笑うロイドを思い出し、シィズは心の中で苦笑いを浮かべた。

 

 

「それで、シズは教会を襲った者の顔は見たのか?」

「はい、少しだけ」

「実はな、今ロードストに避難してる神父とイーシャに、その似顔絵を描いてもらったんだ。シズの方でも一応確かめて欲しい」

 

 

 そう言ってアルベルトから渡された髪には、とても写実的な似顔絵が描かれていた。

 どこから見ても、教会を襲った謎神父で間違いない。

 

 

「この男で間違いありません。ですが、こいつは身体を魔物のように変化させていました。恐らく擬態の能力も持ってるので、似顔絵はあまり役に立たないかと」

「そうか……父上?どうされました?」

 

「…………いや、なんでもない。それと、この者の他に僧侶らしき者もいたそうだが?」

「そちらは問題ありません。バビロン君が倒したそうですから」

「そうか!いや〜本当にロイドは凄い者たちを配下にしたの〜」

「ハハハー、そうですね」

 

 

 まさか目の前の六男がワンパンしたなどとは思うまい。

 そんなこんなで、チャールズとの話も終わりになった。

 

 

「もう行ってしまうのか?久しぶりなんだし、もっと話を……」

「父上、お気持ちは分かりますが、公務の合間を縫って話してるのです。話は聖誕祭が終わってからでもできますから。それじゃあシズ!お兄ちゃんと行こっか!」

「お前だって公務はあるだろうが!教会の一件で沢山仕事回してるだろうに!」

 

「二人とも忙しそうですし、オレはここで!城で会っときたい人もいるし!」

 

 

 どさくさに紛れ、シィズはダッシュで部屋を去った。

 「「会っておきたい人??」」と、二人の疑問の声だけが部屋に残った。

 

 

 

 

□■□■□■□■□■

 

 

 

 

「お、いたいた。おーい、シルファー」

「おや?シィズ様?」

 

 

 シィズは城内のメイド包囲網をくぐり抜け、目的のシルファの元へと辿り着いた。

 

 

「城に戻っておられたのですね。ロイド様はロードストでお元気ですか?何も問題ありませんか?」

「おおむね問題なし(危なげな実験をしている事以外は)」

「そうでしたか……。それで、私に何かご用ですか?」

「あぁ、それなんだが、暇なら稽古つけてくれないか?」

「それくらいなら構いませんが、怪我されたのでは?」

「大丈夫だよ。ロイドが治してくれたから」

 

 

 というわけで、2人は訓練場へとやってきた。

 シィズは『光武』で剣を4本作り、2本をシルファへと投げた。

 ストレッチをしながら、シィズはまだいまいち的を得ていない様子のシルファに声をかける。

 

 

「そうそう、オレはロイドと違って、目立ちたくないとかそんな気にしてないんだよ」

「それはまぁ、前の事で何となく気付いておりますが」

 

 

 初対面の時、魔術が絡まない限りはロイドならもっと穏便に済ませていただろうと、シルファは目の前の少年の言葉に返す。

 正直、ロイドのことを()()()()()()シルファからすれば、その兄が似たような天才(化け物)でも然程驚くことでは無い。

 

 故に、シルファはロイドと同じように相手しようとしていたのだが……

 

 

「だから…………()()で来い」

 

 

 シィズが放ったその言葉は、流石に予想外だった。

 

 不敵に笑うシィズの顔は、ロイドとよく似ていた。いつか、(ロイド)に向けて欲しいその表情。

 

 

(……兄弟ですね。ですが、私の主はロイド様ですので……)

 

 

「───()()()()本気で、今日は我慢してもらいますよ」

「なら、出させるまでだ」

 

 

 大きな弧を口に描いた2人は、地面を蹴って激突した。

 

 

 

 

 

 ────所は戻り、チャールズ国王の部屋。

 

 

「そうかそうか、ロードストの者たちはシズとも仲良くなってくれたか」

「はい。特に、今眠っているバビロンは教会で面倒を見てくれたそうですよ。最近メイドとして雇ったレンとも上手くやっているそうです」

「それは良かった。つい先日中庭の方から凄い音が聞こえたから、少し心配していたがな!」

「……そうですねー、ハハハ」

 

(流石にシルファと割と本気で死合ってました、とは言えないなぁ。僕もビックリしたし)

 

 

 

ドカアアァァァンン!!!

 

 

 

「そうそう、こんな風に」

「スゥ──……ですねー」

 

 

 

ガッシャアァァァァンン!!!!!

 

 

 

「いやー、シュナイゼルとクルーゼがいた時を思い出すのー。2人とも早く帰ってこんかのー」

「…………ですねー、ハハ、ハ……」

 

 

 

 

 

□■□■□■□■□■

 

 

 

 

 日も暮れる頃、シィズはやっと無間界廊へと帰ってきた。

 

 

「ただまー」

「おかえりー、ってどうしたんだシズ兄さん!?切り傷だらけだぞ!?」

「うっそだろ!?シィズが傷!?何があったんだよ!」

「まさかまたその神父が現れたのでは……はっ!シルファたんやレンたんや他のメイドの娘達は無事ですか!?」

 

「大袈裟じゃないか?3人とも」

 

 

 シィズはそう言って肩をすくめるが、普段の異次元レベルの結界を知っているからこそ、そのシィズが怪我をするというのがどれほど恐ろしいことなのか分かるのだ。

 というよりも、つい先日心臓貫かれたので割れてもおかしくないと思っていたのもあるが。

 

 

「纏ってる『界』は切ってたんだよ。不公平だからな」

「不公平?何がだ?」

「シルファとガチンコチャンバラしてきたんだよ。オレだけ絶対防御ってのも卑怯だろ?」

「む?そうだったのですか。シィズ様とやり合えるとは、シルファたんはかなりの使い手なのですか」

 

 

 そう感心したようにジリエルは言うが、シルファの恐ろしさを知るロイドとグリモは、それを的外れ過ぎると断じる。

 

 

「……いや、ジリエル。これに関してはイカれてんのはシィズの方だぜ」

「……参考程度にな。シルファは剣術に限って言えば、素の俺の()()より強い」

 

 

「………………ほ?

 

 

「俺も魔術なしの剣の戦いじゃ、癪だがアイツには勝てる気がしねえ。そんだけあのメイドはバケモンなんだよ」

「俺も稽古の時は加減してるが、それでも本気で勝ちに行って普通に負けるからな。そのシルファと試合とか、兄さん剣術使えたっけか?」

 

「ちょっとだけな。昔取った杵柄的な」

(アレのどこが “ちょっと” だよ)

 

 

 実際に見た事あるグリモは心の中でツッコむ。

 

 戦々恐々としているジリエルは放っておき、シィズは某立方体クッションに体を預け、『回復呼吸』で傷を治す。

 

 

「ま、ガチンコって言っても、剣は切れないようにはしてたんだよ。それでも切れるとか、本当に凄まじいな『銀の剣姫』」

「知ってたのか、シルファが冒険者やってたの」

「前に話した時チラッと聞いたんだよ。いやホント、オレも詰みにならないようにするのがやっとだった」

 

「何で詰みにならねえんだよアンタは」

「最近ロイド様とシィズ様のどっちがよりおかしいのか考えてるのだが、グリモはどう思う?」

「あんま考えねえ方がいいぞそういうの。俺もやめたから」

 

 

 ちなみに、シルファは打撲跡もなしの無傷である。初対面の時に続き良いスパーリングとなったため、ロイドがいない分のストレスは解消出来てホクホク顔であった。

 

 

「〜♪」

「……シルファ、程々にね」

「フフ、何がでしょうか」

(シズも気に入ったのか〜、もしかしてシルファの好みのタイプって……)

「妙なことはお考えになりませんよう、アルベルト様?」

「アハハー、最近僕の扱いがどんどん雑になってるねー」

 

 

 こんな一幕が王城であったそうな。

 

 

「で、何で兄さんはシルファと稽古を?」

「1つは改良した『光武』の調整。もう1つは、シルファの剣術をちゃんと見ときたかったんだ。戦術の幅が広がるからな」

「へ〜、兄さんそういうのにも興味あったんだな」

「もしかして、教会で負けたの気にしてんのかぁ?」

 

 

 イジれるチャーンスと近づいてきたグリモに少しムッとなりながらも、シィズは立ち上がって笑った。

 

 

「そうだよ。オレは負けず嫌いなんだ。オレの結界が織り込まれた光武が破壊されたんだ。次は絶対勝つさ」

「魔術の練習なら、俺がいつでも付き合うぞ!」

「あぁ、その時はよろしく頼むよ。んじゃ、オレはロードスト行ってくる」

「明日にはバビロン絶対起きるから、皆にもそう言っといてくれ!」

「……うん、わかった」

 

 

(……今日はイーシャに頑張って歌って貰うか。オレもピアノがんばろ)

 

 




次回予告


「チャールズ=ディ=サルームだ。原作アニメと違ってあんまり威厳が出せてない気がするのだが、いやはや気の所為だろうか。もうすぐ聖誕祭も控えるし、気を引き締めんとな。……お〜忘れとった。ロイヤルロイヤル」

次回 【第15話】教会を調べます


君は魔術の深淵を目撃する



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