転生したら第六王子だったので、一つの魔術を極めます 作:苦闘点
決定 ───!!!!
イエ────── イ!!!!!
アニメでやる教会編楽しみ!そのモチベを燃料に私はコッチで教会編書き上げてやんぜぇ!
ちょっとテンション上がりましたが二期決定してくれてマジ嬉しいですね。もっと動く皆が見れるでコレで!
感想書いたり評価してくれると執筆スピード上がるかもですよ奥さん!
大聖誕祭当日、教会本部入口にて。
「おはようございます。十二神官の皆々様」
「えぇ。今日は良い聖誕祭にしましょう」
「はい、生憎の雨天ですが」
空は曇天、ザーザー降りの大雨となり、護衛として来たシルファ達はレインコートを着ている。
それに対し教皇ギタンは「私雨男なんですよ」と笑い飛ばした。
その後シルファは今日のスケジュールを説明した。
雨により、予定されていた街中での凱旋パレードは中止。後は昨日のうちに伝令した通り、十二神官は別々に教会支部の視察に行く。それぞれにシルファ達護衛をつけて。
それに対し、背の小さい老人の十二神官の1人が物申した。
「なぜ我々が教皇様と別行動を取らねばならんのだ!」
「昨日伝えた通りですよ。先日デーン支部を襲った悪漢から、我々を守る為にアルベルト君が取り計らってくれたんですよ。固まってるより分散した方が守りやすいということでしょう」
「教皇様……しかし!」
教皇は朗らかにその神官を諌めるが、その理由もアルベルトが伝えた表面上での事でしかない。
実際は、この十二神官の中にいる『怪物』を見張るためなのだが……そんな事は言える筈もない。
「御安心を。皆様は我々が責任を持ってお守り致します。教皇様の予定は変わりなく、各支部の視察や会食を挟み……」
最終視察先は、チャールズ国王が来訪する、デーン支部である。
神官達、並びに教皇が視察する教会支部は、全てデーン大橋の同じ側にあり、その反対の岸の方にサルーム王城がある。
教会の各支部は然程お互いに離れておらず、視察は数時間で終わった。
教皇が来訪したという声を聞き、アルベルトは一度息を大きく吐いた。
(ここまできた……何事もなく!)
雨天により凱旋パレードが中止されたことで、聖誕祭は想定より巻いて行われている。神官が途中にいる各支部の視察が気掛かりであったが、それも順調に終わった。
(シルファ達が護衛(見張り)にいるおかげでココの警備はどうしても薄くなる……けど、例の謎神父が神官達の中にいたのなら、教皇暗殺は防げた……筈だ)
基本的に、護衛は神官2人につき1人つけている。神官は皆腕が立つと聞いているが、それでも自分の部下もロイドの部下も粒揃いだ。それに、狙いが教皇暗殺であるのならもうその芽は摘めている。
そう自分の心を宥め、早る鼓動を落ち着かせる。
入口に来た教皇に、アルベルトは傘を差しながら挨拶した。
「お久しぶりです教皇様。度重なる伝令をお許しください」
「アルベルト君か! 大きくなったねぇ」
「来たか! ギタン!」
「チャールズ!」
アルベルトの背から、チャールズが飛び出してきた。
国王チャールズと教皇ギタンは同年代であり、互いが王となる以前から親しい仲である。数十年来の友という事で、立ち話が止まらないようだった。アルベルトが一度2人を止め、中に促さなければずっと話していたかもしれない。
大雨にも関わらず、教会の中は大勢の人で賑わっていた。今日が聖誕祭というのもあるが、やはり大きいのは演奏会であろう。何やらサプライズがあるかも、という声も聞こえる。
しかし、その観客の数に対し不安になるほど警備が少ないのだ。教会内に武器を持ち込めない関係上仕方のない事であるし、逆に安全であるとも言えるのだが。
教会全体とステージが一望できる2階席で、チャールズとギタンは談笑を続けている。
(頼む……どうか何も起こらないでくれ……続いてくれ、この楽しい時間が……)
何も起きないように思えた。
この不安も、頑張りも、杞憂に終わればそれでいいと思っていた。
(皆も……どうか、何事もなく……帰ってきてくれ!)
故に、排除していた。
そんな事起きやしないと。考えても仕方のない事だと。頭の中から、無理やり追い出していた。
「おお!?」
「始まるようですね」
「ハッハッハ! 教会が準備したにしては派手だな! バスドラムか?」
「いや、これは……」
バスドラム等、予定されていない。
なら何処から……?
アルベルトはいち早く気付いた。
これは、下から………………
街全体に、凄まじい轟音が響き渡った。
デーン支部だけでなく、他の支部にいた者も、その異様な音を感知した。
「何だ!? 何が起きた!? 警備兵! 報告を!」
「何!?」
「外で何があったの!?」
「皆さん落ち着いて!」
アルベルトを焦り兵に状況を確認するが、観客の喧騒によりそれも遮られる。チャールズも事態の確認の為に椅子から立ち上がっていた。
修繕したばかりの教会からパラパラと小さな礫が落ちる程の揺れの中、アルベルトは努めて冷静に事に当たろうとする。
……その中で、不自然な程。
まるで、
「───地獄の窯がね……開いた音だよ……」
「チャールズ……」
男は…………ギタンは、その陰りの無いどす黒い
「キミには、この晴れの舞台を特等席で見てもらいたかった……」
杖を着いていたはずのギタンは、何もなしに軽やかに椅子から立ち上がった。その口に微笑を浮かべ。
「外の方が騒がしいですね。……本当はココの地下からもキメラが飛び出してくる予定でしたが……アルベルト君に施設を潰されましてね」
(……最悪だ……)
ギタンの言う通り、外では異変が起きていた。
街の数箇所に突如出現した『穴』。
そこは丁度……地下下水道の位置とリンクしていた。
「ですが、問題ありません。我が軍勢はやがて大きな波となり……」
(
その穴から飛び出す、無数の手。
一見ただのグール、しかしツギハギされた体に人間以外のパーツを持っている。
即ち───キメラの大軍が。
「それはこの国を呑み込み、滅ぼすことでしょう」
(真に守るべきは……父上だった……!!)
想定していなかった……いや、想定する意味がなかった、最悪の最悪の最悪のケース。
守るべきであった教皇こそが、この騒動の主犯であると。
その教皇は、2階席の手すりに軽く飛び乗り、背を向けながら言った。
「キミもです、アルベルト君。チャールズの意思を継ぐ王族達……いや、『神の意志』を継ぐ者達は皆、今宵消します。
この国の法は神の教えを基盤に築かれている……『殺めるな』、『欺くな』、『奪うな』、『貶めるな』……そんな教わるまでもなく、『当たり前』と思われている教えを基にね……。
それが間違いなんです……別に良いのですよ。殺しても、奪っても……魔物が如く純粋なままに生きる……それが生命に本来在るべき姿なのです……」
人に説教をするように言うその姿は、まるで正しい事を言っているような気もしてしまう。
しかし、広げた手が半ばから割れて口が飛び出る。その姿を見れば、目の前の男が心身共に化け物であると嫌でも分かった。
アルベルト達が動けないでいる中、教会の1階から喧騒を破り声が上がった。
「ギタン!!」
「……これはこれは。お会いするのは初めてですね……天使ジリエル」
それは、人間体となったジリエルだった。
額に血管を浮かばせ歯を食いしばったジリエルに、ギタンは光の灯らない目を向ける。
「ここまでしても、貴方の『
「っ…………何が、お前をそうさせたっ……! 答えの次第で、私がお前を裁く!」
何かを悔いるようにそう問うジリエルを、ギタンはそれ以上見ようとはしなかった。
代わりとして、神官服の中から飛び出した魔物の巨大な腕が、アルベルトとチャールズの身体を鷲掴みにした。
「しまっ……!」
「貴方に、それを答える義理はありませんね……」
「魔物!? 教皇様が!?」
「国王様が!」
「何なんだあれ!」
2人を人質にされ、今にも動きそうなジリエルは何も出来なくなった。更にギタンは、両手に開けた口から剣のような骨が飛び出す。
そこで、今まで俯き口を閉じていたチャールズが、ギタンに向かって言った。
「あの似顔絵を見た時、お前の若い頃を思い出した……或いは…………」
「誰か! 兵を! 父上を助けろ!」
「……お前の息子が生きていれば、あんな顔だったのだろう、と……あの時からか、お前が何か変わったのは……」
「───チャールズ、遺言はそれで宜しいのですか?」
チャールズが言い終わる前に、ギタンはその魔物の腕でチャールズを一層強く締め上げた。
「グッ……!」
「父上ええ!」
「……御使い殿、私はいい。だから、アルベルトを助けてやってくれ……」
「御使い! 僕はいい! 父上を!」
「そして我が子3人に伝えてくれ……演奏会、見てやれなくてすまないと……」
「御使い! 父上を守れええ!!」
「御安心下さい、王族は皆天界に送ります……あちらでもきっと聴けますよ、我が子の演奏……」
そう言い、ギタンはチャールズの首に剣をかけ……。
そこで、気付いた。
(……我が子…………
演奏会に出演するのは、あの修道女と第四王女だけの筈。……では、あと2人とは…………。
●
───音が消えた。
目の前にいた王も、その子供も、下にいた観客達のざわめきや戸惑いの声も、全てが消えた。
残ったのは、ギタンとジリエルのみだった。
「……実は、今私は無断で天界を離れている身でな……」
コツン……コツン……と。
足音が近付いてくる。
「この御方
その音が、外の喧騒よりも尚大きく聞こえる。
近づく度に、ギタンの口角は上がってゆく。
「思えば……あのすれ違いからでした……」
2階から飛び降り、衝撃で砂埃が舞う。着ていたローブやロザリオを放り、ステージに歩いていく。
何の気配もなく私の背後に現れた少年……
胸騒ぎ、イレギュラー、見落とし……
「これ程嬉しい誤算もないでしょう……」
人間であるギタンは、天界に行く事が出来ない。
なれば国を、信仰を絶やすことで神への反旗とした。
或いは……
「……国を滅ぼせば、神直々に私を裁きに舞い降りるかと……淡い希望を抱いていました……」
あの少年よりも背丈も小さく、あどけなさすら残るのにも関わらず……その姿から目が離せない。
─── 嗚呼、やはり、この少年こそが…………
「ありがとう……キミを殺すことで、私の
同時刻、サルーム王城。
「うぉわっ!?ち、父上!?アル兄!?何処から現れたぁ!?」
「り、リルも気づかなかったわよぉ……」
「ディアン!?エリーゼも!お前達こそ、一体何処から……ここは教会の、ってココサルーム城か!?」
ロイドの瞬間転移により転移されたアルベルト達は、サルーム城の入口のホールに飛ばされていた。教会から離れているので、少なくともキメラの大群が迫る事は無い。
「城下が騒がしいが、何かあったのか!?」
「リルもずっと気が立っちゃってて……」
「エリーゼもいるのはそういう事か……いや、それより!お前達も手伝ってくれ!実は……」
「な、何だぁ!?」
「まさか、ここまで……!」
「───た、大変です!城と城下を繋ぐ橋に、謎の男が!!」
爆発音の後、1人の衛兵がホールと外に繋がる大扉を開けた。
その奥、城と街を繋ぐ橋。ホールからではボンヤリとしか見えないが、衛兵に囲まれた……黒いローブを纏った長身の男がいた。
「グルルルルルル……」
「り、リル……」
「教皇……!?さっきまで教会にいた筈じゃ……!」
「はぁっ!? 教皇様!? アレが!?」
「今すぐ衛兵を退がらせろ!」
「へ、陛下!? しかし……!」
「早くせんか!!」
チャールズが直ぐに檄を飛ばすが、ローブの男は既にその中から無数の魔物の腕によって衛兵を蹴散らさんとしていた。
その凶刃が十数人の衛兵の命を狩り取ろうとする。
が…………
□
金属が弾かれるような音がし、その爪は届かなかった。
「あれは……」
「……『結界』?」
全ての衛兵を守るように展開された結界に、アルベルト達も、衛兵も何が起こったのか分からないようであった。
その放心の隙を着いたように、1人の少年が男の前に降り立つ。
一瞬しか現れなかったその少年は、いつの間にか男と共に消えていた。
「……はっ!な、何が起きたんだよ今!」
「いや、アレは……」
「アルベルト」
「っ!……父上、恐らく敵は姿を自由に変えられます。教会にいたのも、教皇様に擬態した偽物。城門にいたのも、それと同じ偽物かと……」
アルベルトの考えに、チャールズは少し思案したが、直ぐに結論を出した。
「………………あぁ、そうだな。アレは偽物に違いない……。……場内の全兵に伝えよ! 『敵』はデーン支部にあり! 死力を尽くして民を守れ!!」
「はっ!」
王の号令により、立ち尽くしていた衛兵は一目散に駆けていく。
その背を見ながら、アルベルトは先程の光景を再び頭に呼び戻していた。
(……一瞬だけ見えたあの姿…………)
あの時はボヤけてよく見えなかったが……。
確かに見えた、あの
(…………無事でいてくれ……皆……!!)
『───やはり、貴方でしたか……』
男……
どうやら『
強者だとは解るものの、『私』が教会で対峙している少年のような圧倒的なオーラは感じられない。
自らの命に手のかかる可能性は秘めているが、それでは求める物には足りていない。
何より、先日教会で自分に負けた者を、神と呼べる筈もない。
なのに……
『神でもない、神の御使いでもない……それなのに、何故でしょうね……』
教会ですれ違った時の違和感。
『神』とは別の……異質なざわめき。
ただの敵、ただの排除対象でしかなかったにも関わらず……
───どうしても、この少年から目が離せない。