戦犯勇者の弟妹   作:アニッキーブラッザー

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第24話 姉

 不思議だ。

 死への恐怖とか、六煉獄将とか周囲にどう思われるかとか、生意気に見られないように謙虚にとか、そういう気を遣わずに俺は叫んでいた。

 

――貴様の望みは何だ?

 

 と、大魔王に問われた瞬間、俺は帝国に対する想いをぶちまけていた。

 そして、この会議室に出席している六煉獄将の一人と思われる人物も俺を認める声が上がったりしたが、どうなるんだ?

 そう思ったとき……

 

「僕が試そうか?」

 

 と、一人のスカしたサラサラの金髪美形の男が立ち上がった。

 何だかキラキラ不必要なぐらい輝いて、爽やかに余裕に笑ってやがる。

 

 

「俺たちを試す?」

 

「ああ、そうだよ? そして、初めまして。僕は六煉獄将・ガウルだ。キハクは褒めていたようだけど、せっかくこの場に居る以上は自分の目で確かめたいしね。人類連合の帝国は、まさに僕たち魔王軍の宿敵中の宿敵……それをぶっ潰すなどと大魔王様や僕たちの前で公言する以上は、ちゃんと見せてもらわないとね」

 

 

 どこか、大人が子供を試そうとしているような余裕。

 そして、この王子様みてーなのが六煉獄将?

 ガウル……確かに、名前だけは聞いたことあるな……そう……

 

「それとも――――――」

「ッ!?」

 

 その瞬間、目の前からガウルが消えた……が……

 

「―――———ッ!?」

「それとも……なんすか?」

 

 俺の背後に回り込んで、首元に手刀を寸止めしようとする動きを見え、そして感じ取り、俺は咄嗟に回り込んできたガウルと正対するように反転し、俺の手刀をガウルの左胸の心臓の位置に添えて――――

 

「お……おお……」

「ちったァ、認めてくれたっすか?」

 

――ふに♥

 

「あんっ、っ、くっ!」

「……え?」

 

 あれ? 何? ガウルの左胸を軽くついただけで柔らかい感触? ふにっ?

 

「ああ、『ガウルお姉さま!』 何を……そ、それにエルセ、何を!?」

「え、あ、え? クローナ……え? お……お姉さま? ……え? お、おん、こ、この人、女ァ!?」」

 

 そうだ、六煉獄将ガウル。魔王軍の三姉妹姫の……って、女かよ!?

 じゃあ……じゃあ……

 

「そ、それなら、俺がこの、つ、ツンツンしちゃってる指先が触れてるのは!?」

「くっ、き、君は、何という……し、しかも先端をピンポイントに!? くっ……僕に、エッチなことを……」

「ちが!? あ、これはワザとじゃ……」

 

 思わず飛びのいてしまった。

 女の胸を触ったのなんて……

 

 

――ちょ、もう、エルセのエッチ!

 

――エルセ君……ぽっ♥

 

――エルセ殿ハレンチだぞ!

 

 

 …………まぁ、それはもうどうでもいいとして、まさかこの人、女だったとは……

 

「す、すんません……」

「エルお兄ちゃんえっち」

「ちょ、ジェニ?! 違うんだ、ワザとじゃ―――」

 

 ワザとじゃない。だけどジト目で見てくるジェニの視線が俺の心を抉る。

 

「んもう、エルセってば……」

「お、お、お、男に、体を触られおった……お、おわぁ!?」

「ひははははははははは! だーはっはっはっは!」

 

 クローナはちょっと拗ねて、トワイライトというクローナのもう一人の姉はアワアワして、そして参謀とかいうのは爆笑している。

 そして……

 

 

「ふ、ふふ……僕の胸を……だが、と、とにかく君が少しはデキるということは分かったので、もう少し本気で見させてもらおうか? 君の力……そ、そして、僕のオッパイをツンツンしてくれた礼もねぇ!」

 

 

 そしてクローナの姉さんのガウルは笑顔ですごい怒っている様子。

 これは、まずいか?

 

「い、いや、もう少し見せるって……」

「決闘だよ。決まっているじゃないか。もちろん見るのは勝敗ではなく、君の底力……だけど、少々僕も手荒くするかもしれんが……」

 

 決闘。六煉獄将と。キハクと同格で八勇将と対をなす世界最強クラスの魔族の称号。

 気を抜ける相手でも、手を抜ける相手でもねえ。

 だけど……

 

「お、俺と、あんたで、け、決闘?」

「ふふ、どうした? 怖くなったのかな?」

 

 俺の攻撃は打撃が多く、相手を殴ったり刻んだりするから……キハクみたいな奴なら遠慮もないんだけど……こんな女相手に……いや、手加減できる相手じゃないのは分かっているんだけど……やりづらい!

 

「……エルお兄ちゃん……いい」

「え?」

 

 ただ、そんな俺の戸惑いを見透かしたかのようにジェニは俺の袖を引っ張り……

 

 

「エルお兄ちゃん、大丈夫。ケットーは……私がする」

 

「は?」

 

「お兄ちゃん、女の子をぶったりできない……だから、私がする」

 

 

 ジェニだった。

 

 

「はい? こらこらお嬢ちゃん、君は何を言って――――」

 

 

 そしてこの日、魔界は歴史に名を残す大魔導士……いや、超魔導士を知る。

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