戦犯勇者の弟妹   作:アニッキーブラッザー

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第26話 紐が切れた

 ジェニが念力魔法を解放し中庭の地面が揺れ始める。

 この空間にジェニの魔力が満たされていく。

 

 

「ちょ……少しやりすぎだよ、お嬢ちゃん! 荒ぶる風よ、幼き少女の魔力を吹き飛ばせ! ツイストサイクロンッ!!」

 

「ついすとさいくろん」

 

「ッ!?」

 

 

 その魔力が空間を埋め尽くす前に場を争うと、ガウルが自分を中心に竜巻を発生させる……が、その竜巻に対してジェニも同じ魔法を発動させてぶつける。

 

「すごい、ガウルと同等魔法です!」

「いや、同じ……ではない。あの小娘、ガウルが魔法を発動したのを見てから発動させ、その上で相殺させた。つまり……」

「ひはははは、魔法発動スピードはお嬢ちゃんの方が速い!」

 

 荒れ狂う風同士のぶつかり合いの余波が俺たちをも吹き飛ばそうと激しく乱れる。

 そんな中、ジェニは……

 

「ふわふわすってんころりん!」

「ふぁっ!? なっ、足が……動……念力!?」

 

 風の魔法を発動しながら、同時に念力魔法まで発動して、ガウルの足を払って転ばせようとしている。

 その拘束をガウルは堪えるが、その隙をジェニは見逃さない。

 

「ふーりんかざん……火拳銃!」

「み、三つ同時に?! ぐっ――――リフレクションッ!!」

「むぅ……また当たらなかった」

 

 俺の技を真似た火の玉をも放つ。

 が、それは魔法障壁で防いだ。

 流石にそこまでは甘くないか……だが……

 

「は、はははは……いやぁ……驚いたよ。何が才能あふれるだ……既に恐ろしい怪物じゃないか」

 

 巻き起こる土煙の中、魔法障壁で炎は防いだものの完全ではなかったのか、ガウルのその美形に少し煤が着いて、その表情は引きつっている。

 一方でジェニは……

 

 

「お姉ちゃんも強いけど……でも、あの白い鬼ほどじゃない……」

 

「……むっ?」

 

 

 それは、キハクのことを言っているんだろう。

 それは俺も見ていて思った。

 たぶん、ガウルもまだまだ本気を出してないし、殺す気で戦ったらもっと強いのかもしれない。

 でも、雰囲気からの感じでは、同じ六煉獄将でもキハクの方が……

 

「あと、私は怪物じゃないもん!」

「ん?」

「ふわふわビリビリ!」

「……ッ!?」

 

 と、その時だった。

 ジェニが手を前にかざし、それを左右に大きく開く。

 すると……

 

 

「ぇ……?」

 

――――ッ!!??

 

「ふぁ!? ちょ、え!?」

「なぬっ?! なっ、あ……」

「おほぉ! これはハンパねぇハレンチ!」

「……ちょ、ジェニッ!?」

 

 

 その場にいた全員が衝撃を受けた。

 ガウルは一瞬何があったか分からず呆然としている。

 

「あ、え……な、なに!?」

 

 それは、ガウルが身に着けている衣服が……穿いているブーツと白いパンツを残して、他が全てビリビリと破れてしまったのだ。

 白い肌。ほっそりとした体と小ぶりな胸と、あっ、でもパンツは随分とセクシーな紐……って、そうじゃなくて!

 

 

「ジェニいいいいいいいいいい!? お、おま、おまあえ!?」

 

「きゃあああ、ななな、なんてことを! ぼ、僕の服が、あ、ちょ、お嬢ちゃんッ!!」

 

 

 まさかの念力魔法だけでガウルが身に着けていた服を全て引き裂いて全裸にする……など、誰にも予想できなかった。

 俺は思わず叫び、ガウルも両手で胸を押さえながらその場で顔を真っ赤にして蹲り、一方でジェニは胸張ってドヤ顔。

 

 

「むふー、ぱんつーまるみえ!」

 

「~~~~~っ、き、君はぁ! こ、こんな子供のようなことをぉぉお、いや、子供だけども、で、でもぉ!」

 

 

 本当になんてことをしやがったんだ、あいつは。

 

「ジェニィ、お、お姉さまに何てこと、え、エルセ、見ちゃダメです! 見たかもしれませんが、忘れてくださいィ」

「な、なんという……し、しかも、男が見ている前で……おい、参謀、笑いすぎであるぞ!」

「ひははははははは! ひははははははは! ひ~~~はっはっはっは、いやぁ、姫王子な~んて呼ばれているガウル姫も、乙女の反応を、ひはははははは!」

 

 顔を青ざめさせるクローナに、トワイライトに、そして腹抱えてゴロゴロ転がって爆笑している参謀。

 ヤバイ……どうしようこれ……あと、今のを忘れるなんて無理だぜ、クローナ。ちゃんとバッチリ……

 

 

「~~~~~ヤッテクレル」

 

「……ん……」

 

 

 と、その時だった。

 ガウルが低い声でそう呟くと、異様な寒気というかプレッシャーを感じた。

 

 

「この僕にみっともないマネを…………ちょっと、お口パッチンではすまないかもよ?」

 

「……ブル……」

 

 

 これは、かなりの怒気と殺気を込められた禍々しいもの。

 爽やかだったガウルからかけ離れたもの。

 

「あ……ちょ、ガウルお姉さま、それは!」

「ぬ、あのバカ……」

「ほぅ、王子にアレをさせちゃうか……ひははは」

 

 まずい、かなり頭に来ている。ジェニも感じ取ったのか、体が僅かに震えている。

 

「見せてあげよう……僕の本来の戦闘スタイル……魔法剣」

「あぅ……あ……」

「エレメント――――」

 

 そのとき、俺の身体は自然と動いた。

 

「風手刀ッ!」

「むっ!?」

 

 俺はガウルの掌から輝く魔力で模られた剣が出現した瞬間、風の手刀をその刀身にぶつけて受け止めていた。

 

「君は……」

「すまねえっす……ジェニが……その、俺が謝るんでもう勘弁してやって欲しいんすが……」

 

 そして同時に……

 

「うむ、もう十分じゃ。流石に童女相手にそれはやりすぎじゃ……いかに、天賦の超人であってもな」

 

 いつの間にかガウルの背後に回り込んでいたトワイライトが、ガウルの手首を掴んでいた。

 

「トワ姉さん……」

「もともとこ奴らの才を見る話……もう十分分かった。だから、おぬしももう抑えよ。六煉獄将ともあろうものが情けない……」

「ぬぅ、う……わ、分かりました……」

 

 すると、トワイライトが止めに入ったのが効いたのか、ガウルはため息吐きながら力を抜いて、そして……

 

 

――しゅるっ

 

「……え?」

 

「……あ……」

 

 

 俺が風の手刀で受けたのかまずかったのか、ガウルの下着の紐が切れて……しゅるっと落ちて……

 

 

「……あ……金色だ」

 

――――――ッッ!!!???

 

 

 目の前にいる俺が間近でバッチリ見てしまったものの、何も言葉を発せないところでジェニがアッサリと問題発言をぶち込んだのだった。

 

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