戦犯勇者の弟妹   作:アニッキーブラッザー

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第4話 魔族

 八勇将たちが率いた、世界中の精鋭たちが集い、「悪の魔王軍」から人類を守るための正義の軍団、人類連合軍。

 それが…… 

 

「へへ、もうちょい胸とか尻がデカけりゃそそるんだけどよぉ~」

「ばーか、こういう方が燃えるだろうが。処女間違いなしの無垢な身体。嫌がる娘を犯すって病みつきになるぜ?」

「そうそう、ま、お前らは『あの熱血正義バカ』の所属だったから、まだあんま分からねえだろ? これは、色んな女を犯しまくって知った、俺たちの経験談よぉ!」

 

 正義? これが……正義?

 なんで?

 何が……

 

「……くっ……嫌なのです、こんなの……離すのです!」

 

 何で……

 

 

「な……なにしてやがるだゴラアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

「「「「ッッッ!!??」」」」

 

「……え?」

 

 

 その瞬間、身体が勝手に動いていた。

 

「エボリューションスピリット!」

 

 兄さんがかつて着ていた甲冑を纏った連中……兄さんが誇っていた姿……それを穢す連中を許せなかった。

 

「な、なんだ、て―――ッ!?」

 

 それは俺だけじゃなく……

 

「秘技・ふわふわ時間《タイム》! ふわふわ回収ッ!!」

 

 ジェニも同じだったようだ。訳が分からないが、いけないことをしようとしている連中を許せないと思ったのか、念力魔法で兵士共の手から武器を奪って空中に集めた。

 

「風林火山! 疾きこと風の如くッ!!」

 

 そうなっちまえば、もう俺の敵じゃない。

 100倍パワーとスピードで駆け抜けてぶつかって跳ねるだけで蹴散らす俺を誰も止められない。

 

「な、なんだぁ!? どうなってる!」

「仲間!? こいつは、……いや、待て……」

「ガ、ガキ?」

 

 ぶっとばされ、驚き、戸惑う兵士たちを蹴散らして、俺は楽に女へとたどり着いた。

 女を抑え込んでいた連中をぶっとばし、女を抱きかかえて一旦離脱。

 

「つかまれ!」

「え、あ、あの、……え?」

 

 女もまた戸惑っている様子だ。

 だけど、色々と……うん、白いブラとかスカート破れて見えるパンツとかは気にしない。

 とりあえず、最悪の手前で間に合ったようだ……なら、あとは……

 

「ったく……テメエら……人類連合だろうが! 正義の兵士が何をしてやがんだゴラァ!」

 

 女の無事を確認できた俺は、とにかく目の前の兵士共に怒鳴り散らした。

 俺が今ので20人ぐらいぶっとばしたから、あと30人ぐらいか?

 すると……

 

「おい、小僧! 誰だか知らねえが、お前……何か勘違いしてねえか?」

「は?」

「急に飛び出してきたかと思えば、その女をよく見ろ!」 

 

 兵士の一人が逆切れしたように怒鳴り返してきた。

 女?

 女は……

 

「え?」

 

 そのとき、女の纏っていた外套のフードがずり落ちて、女の素顔が……ふわふわの長い銀の髪……白く細い手足と小柄な体に、エメラルドの瞳に、顔かわい……じゃなくて……

 

「角!?」

「あ……」

 

 女の頭部から二本の角が生えていた。

 

「人間じゃ……ない……魔族?!」

 

 そういうことだったのか……だから……

 

「分かったか! しかも、そいつは魔王軍の女だ! 人類の敵だ!」

「っていうか、何でこんな所にガキが二人も? ここら一帯の避難は完了してたはずだろ?」

 

 ひょっとして、俺とジェニは無我夢中で逃げすぎて、国境すら超えて、魔王軍と人類連合軍の戦場にまで来ちまってたってことか!?

 そしてこの女は……魔王軍……魔王軍ってことは……

 

「……あんた……魔王軍だったのか……」

「……あ………」

 

 俺がゆっくり女を降ろしてそう尋ねると、女は呆然としていた表情から、急にハッとし、そして悲しそうな表情を浮かべた。

 

「魔王軍……」

 

 魔王軍……それは、兄さんが戦っていた悪の集団……そして……兄さんを殺した――

 

「ほら、分かったろ! そいつは俺たち人類の敵! 地上を穢す害虫共だ!」

「ったく、誰か知らねえが勘違いしやがって……せっかく『お楽しみ』だってのによ」

「そうそう、坊主とお嬢ちゃんにはまだ早いからよ~」

 

 あっちが悪……こっちが正義……どっちが?

 

「……おい、待て……いや……ん?」

 

 その時、少し線が細く若く、兄さんと同じぐらいの年齢? で、さっき隊長とか呼ばれていた男が、俺とジェニを見て首を傾げた。

 そう言えば……俺もこの人どこかで……

 

「どうしたんすか? カーヌ隊長」

「あのガキに見覚えが?」

 

 カーヌ……確か……兄さんと!

 

 

「思い出した、あんた、兄さんと同期だったっていう……」

 

「ッ!? そうか! お前たちは……テラの……テラの弟と妹!?」

 

「「「「ッッ!!??」」」」

 

「え……?」

 

 

 そう、思い出した。士官学校で兄さんの同期の仲間ってことで一緒に居た所を見たことあった……王国貴族の奴で……

 

「おいおい、マジかよ! あいつ、テラ将軍……いいや、元・将軍の!?」

「確か、今朝の報告では、戦犯テラの一族は処罰ってことじゃなかったか?」

「カカカカ、マジかよこりゃ。王国に引き渡せば、ちょっとした小遣いになるんじゃねえのか?」

 

 そして、俺とジェニが兄さんの弟と妹だと分かった途端、連合軍の奴らは急に邪悪な笑みを浮かべて俺たちを見てきやがった。

 そして何より、あのカーヌは……

 

「はーっはっはっは、これはいい! 僕は戦地に居たから先日の王都でのことは報告でしか聞いてなかったが……なるほど! 駐屯している兵たちから逃げてこんな所まで来ていたのか……まったく、だらしのない奴らだ……こんな下賤なガキどもも捕まえられないとは……まぁ、だからこそ我が国は立て直さなければならない……僕のような貴族の手によって」

 

 なんだ? 兄さんの同期で仲間で……なのになんで、そんな顔をする?

 一方で……

 

 

「なんと、そうだったのですか……あなたと……あの子は……あの、偉大なる英雄……八勇将の一人、太陽勇者テラの……」

 

「ッ!?」

 

 

 訳が分からねえ! どういう状況だ!? 何で兄さんの仲間だった奴らはあんなに邪悪に笑い、そして兄さんの仇である魔王軍のこの女は、兄さんを……

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