オリねこ 作:深き漆黒の*堕天使ハメ夫
なので本文中はオリねこの方は全部カタカナ表記でいきます。
あと原作の話を欠かさず全部チェックしているわけでもないので、矛盾や捏造もあります。
タバコはクスリだ。薬物だ。
しかし、タバコには多幸感をもたらす成分は入っていない。
タバコを吸っている時は、悩みから開放される、なんていうことは無い。
パニック障害の発作等を鎮める助けの1つなどにはなり得るけど……それは成分的な意味ではない。
休むこと、何かの匂いを感じること、普通は人前では出来ない深呼吸をすること、風に当たること、それらがストレスを和らげる……こともあるだけ。
昔の……心が健康だった頃の感覚を……年齢を誤魔化して派遣の登録をして、大人に混じって働いて、現場や移動のトラックでタバコを吸っていることが誇らしくって、楽しくってしょうがなかった………あの頃の感覚を少しだけ思い出させるだけ。
結局は、依存症になり、吸うとストレスが減るというよりも、吸えないと息が苦しくなっていく。欠かせないものになっていく。不幸になっていく。いくら吸っても幸福にはなれないのに。
さらに現代では公然とカス呼ばわりされたりもする。酒カスやパチンカスのような駄洒落の体すらなく、ただ『ヤニカス』と蔑まされて当然の存在だと……それでキレたらこちらが悪いと……。
匂いのせいもあり誰も味方にはならない世界公式認定サンドバック……それが喫煙者。
だから自分は幸福になることにしたんだ。
幸福になることをしたんだ。
幸福になったんだ。
そして…………。
電気の消えた部屋。
壁の付近に転がる折れた注射器。
体育座りで、もう駄目だ……と、すすり泣く、いわゆるプリン頭をした小柄な獣人の少女。
薬物には副作用というものがある。
慢性的な内臓へのダメージや、中毒症状などといった効いて欲しくない部分で、水滴石を穿つと、その効力を高めていく。
そのくせ効いてほしい効能では耐性ができて効かなくなっていく。
世の中ホント糞使用だ。
精神薬に限ったことではなく、薬を飲んでいれば大丈夫というのは、大丈夫ではない場合が多々ある。
幸せになる成分が入っていても、使い続けていたら幸せを感じなくなっていく。
幸せになれないのに、摂取していないと不幸で、摂取していても不幸で……。
どうにかしようと、量や頻度を増やしたり、より強力なものに変えたり、糞みたいな仕様ですら誰もわかっていない未知のモノを体に入れたり、金銭的にも、健康的にも、法律的にも、慢性的にも、急性的にも、リスクをひたすら犯してなんとかしようとすればするほど…………とても不幸になっていく。
不幸な少女の嗚咽と暗闇に満たされた空間。
そこに突如、音と光と2人の女獣人が、軽い挨拶とともにズカズカと侵入してくる。
その内の1人が、テーブルに置いてあったタバコの箱とライターを掴みトイレに行こうとするが、もう1人に腕を掴まれ止められ、しぶしぶと数本だけをポケットに入れて向かうこととなる。
もう1人は、自前のライターでそのタバコを吸い出し、そのまま咥えタバコで、カーテンと窓を開け、冷蔵庫や戸棚を物色しだす。
戸棚から、カップラーメンと割り箸が2つ取り出され、ヤカンに火がかけられる。
冷凍庫にあった徳用唐揚げ竜田揚げタイプがオーブントースターに限界まで入れられる。
トースターの中の網の上に最初からトレーが置かれており、その上に更にアルミホイルが敷かれて唐揚げが並べられた。
商品によって、オーブントースターの場合は、〜分と記載されているものと、火災の原因となるのでオーブントースターは使用しないで下さいと書かれているパターンがある。この唐揚げは後者だったが、自分のアパートじゃないしとトレーがあるしと無視された。特に竜田揚げタイプの場合、レンジと比べて味のレベルが跳ね上がる。
アルミホイルに軽くくっついた唐揚げを、箸で剥がしつつひっくり返して、ヤカンのお湯が湧いた頃には、もう1人がトイレから帰ってくる。
「スッキリしたにゃ゛〜。水道料金とかクソったれだけど、やっぱ流れない便所は、まさにクソ溜めだにゃ! 飛ばない豚より豚臭くて、どんなクソ野郎よりクソ臭い存在だったにゃ〜」
「過去形じゃなくて、現在のお前の部屋の匂いだけどな……とりあえず全ては、まともな部屋で飯くって、タバコ吸ってからだ………お前、醤油と味噌どっちがいい?」
「値段が高い方か、量が多い方にゃ」
「味噌は知らんけど……とりあえずこの醤油はちょっと高くて量が多いやつだ。お前コレな」
やがて料理の準備が出来て2人して食べだす。
灰皿の上にあった100均の差し込んで空気を遮断するやつで1人はタバコを消したが、もう1人は吸いながら食べている。
追加で、残りの全てのから揚げを結局さっさと出来上がるレンジで温める。
冷蔵庫にあった卵の一部がゆで卵であることに気づき、黄身に麺ツユを垂らして味玉気分にする。
他にもラーメンの汁にぶち込めそうなものは入れて食していく。
全てを食べ終り、タバコを吸いながらのまったりとした雑談の中で、膝を抱えた少女の話題が遂にあげられる。
「……どうする?」
「何もしないで……ただそばで寄り添う……ってことも大切らしいにゃあ。とりあえずハメの部屋からゲーム持ってきて、それをやりながら、これと、あっちのカートンに残っていた4箱を吸い終わるまでは待つんだにゃ……」
「……長ぁいっ!!」
泣いていた少女の叫びが部屋全体に響き渡る。
「長すぎッス! 吸いすぎッス! 4本じゃなくて4箱って何スカ!? 何もしないで〜とかじゃないッス! 自分の飯食って、自分のタバコ吸って、ゲームやろうとしてるッス! 自分放って置いて2人寄り添って!!」
ツッコまれた女獣人が、まあまあ、となだめつつも続ける。
「いや、違うにゃ………ちょっと抜けるのを待ってから声かけた方がいいかにゃって……」
「何も入れてないッス! 抜けるとかないッス! そんな?! 信じてくれてたんじゃなかったんすか、先輩!? 先輩方にもどーせって態度取られたら自分m」
「ダイジョブダイジョブ! そんなことは重要じゃないし、ちょっと待っていただけだって。な? ハメの部屋に行ってじゃなくて、持ってきてってのがポイントポイント!」
人ん家の唐揚げを、火災の恐れがあるからやるなって書いてある方法で温めて、600g以上残っていた全てを食い尽くす決断をして、味噌ラーメンが実は高いやつだってことを知っていた方の女獣人が声をあげて立ち上がる。
そのまま少女に近づき、両手を肩に載せ、相手の目を見て話しかける。
「うつむいていたから想像だけど、目を赤くしていたんだろ? ハイになってようが、沈み込んでようが関係なくさ……お前が1人で目を充血させてるんなら…………そんなことしてないで一緒に飯食って、タバコ吸って、遊ぼうぜって話だよ。仕事なんかも一応紹介できるぞ。な?」
「オ、オリネコ先輩……!」
別の涙が……数十分前までとは、別の涙が出てくる……。
「その通りだにゃ! まあ、食えるもん全部食っちまったから、一緒に食えるもんなんて何もないけどにゃ! にゃはははははは!」
「うはははははは」
「……………」
数秒前までとは、別の涙が出てくる……。
タバコはクスリだ。薬物だ。
そして、タバコには多幸感をもたらす成分は入っていない。
タバコを吸っている時は、悩みから開放される、なんていうことは無い
しかし、仲間と一緒に笑いながら吸っていた場合は別だ。
一生涯なされ続けても効果は消えていかない。
沈黙だって苦にならない。
副作用はタバコのパッケージに書いてあることと、匂いと、人のことをカスだとする奴にはカスだとされること。
とりあえず、絶望と暗闇に包まれていた世界が、今は笑い声と唐揚げとヤニの匂いに包まれている…………もう唐揚げも他の食料も無いけれど。
1人でうつむいて泣いていたが、今は2人の先輩を見上げている…………涙目でだけど。
人生行き詰まって、どうしたらいいか途方にくれていたが…………まずは便所の詰まりの解消を手伝えと言われた。
多くの人達が彼女らをカスと呼ぶのかもしれないが……自分は良い先輩達に恵まれた。心からそう思う。
好きなことと仲間に意識を向けて、ただ生きているというだけでも……少なくても、今、立場の弱い存在になってしまった自分にとっては、カスなんかではない。
しかし、自分が部屋からホースを引いて、ヤニねこ先輩の部屋のトイレの詰まりをどうにかしようと悪戦苦闘していた頃、オリネコ先輩は何も言わずタバコ1箱と共にバックれていて、ヤニねこ先輩は途中で飽きて、屋根の上で、やっぱり自分のタバコ吸って、そのまま服を焦がしながら夜まで眠っていたことには……普通に怒って良い気がする…………。
あと、その晩、オリネコ先輩からフォローの奢り宅飲みに誘われて行ったら、キメセク誘われたのも怒っていいと思う………………
…………本当にカスだなぁ。心からそう思う。
原作ちょっと前の話のつもり。
ヤクはこんな感じの日々により、逞しくなっていき、余裕も出て、世間の荒波にも冷たい風にも勇敢に立ち向かい見事幸せになって膝を抱えて原作時間軸へ。