『チェンソーマン』運命<壊滅>   作:踊る餅巾着

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ちょっとシリアスかも。冬なので。(書込:4月)
短めです。


早川アキと「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎」
飽きは来ない、冬だけ


 

 

「雪合戦しようよ!」

 

 

 はしゃぐ彼女は、見飽きただろう雪をまるで宝物のようにキラキラと見つめ、小さな一塊を作る。

 断ろうとしたら、こちらが言葉を発する前に雪玉を投げつけられた。

 

 仕方がないので応戦する。決してやり返そうとか思った訳ではない。

 

 

 しばらく遊ぶと、二人は疲れて雪原に寝っ転がる。

 息が上がっている。二人分の吐息の音と、昇っては消えていく白い息がその場で動く唯一の温度だ。

 

「ねぇ、────」

 

 彼女が名前を呼ぶ。男は、そちらを向く。

 

「楽しい?」

 

 彼は頷く。すると、彼女は笑った。

 

 ここはベロブルグ。ヤリーロⅥ最後の砦、人類の防衛線。「存護の都」。

 彼等の名前は───────。

 

 

 

 

────────────────────────────────

 

 

 

「経験の浅い兵は最終防衛線に行け!僕が前線を押し上げる!」

 

 金髪の美丈夫がよく通る声で指令を出す。

 凍えるほどの寒さのこの地だが、この声にはそれを微塵も感じさせない強さがあった。

 それどころか、彼の周りであれば、いくらかの寒さをしのげそうな程に、彼の背中は頼もしかった。

 大多数が防衛ラインを下げ、歴戦の兵のみがその場にとどまる。

 いや、彼等の"進軍"が始まった。

 

 彼等は、シルバーメイン。

 ある人物の言葉を借りるなら、ベロブルグの軍隊、警察、執行者。裂界からの襲撃者の撃退や、治安維持を主な仕事にしている。

 

 そして、彼はジェパ―ド。戍衛官(じゅえいかん)という、シルバーメインを束ねる地位に就く人物だ。

 今日も、外界の……裂界からの襲撃者を撃滅せんとその武器を振っている。ちなみにギターケースだ。雑魚相手には拳で対応している。

 

 建創者の命により、今日も彼はこの街を守るために戦っていた。

 

 

 

 4、5時間は経っただろうか。敵の攻勢が止み、勢いの大部分を失う。

 散らばった敵はいるが、追いかける訳にも行かないのが難しい。だが、ある者の言葉では、もうこれ以上敵性体の攻撃が激化することは無いらしい。

 

「…………」

 

 確実に信用できる、とは言えない。その行動の全てを信用するのは、ジェパ―ドの中では建創者のみである。姉は例外と言うか、災害(じょうしきのそと)である。妹はまだ危なっかしい。

 だが、正直に言えばその言葉は渡りに船、どころではない。

 砂漠で死にかけの時にオアシスを見つける。或いは、極寒の中で死にかけの時に何らかの熱源を見つける。そう言えば分かってもらえるだろうか?

 あまりにも我々にとって都合がいいからこそ、信じられないのだ。

 

 だが、自分は知っている。救世主……と言うと、あまりに偶像に当てはめてしまうが。

 ベロブルグを救った英雄が、確かにいた事を。

 あの時は意固地になって、彼等を拒絶してしまったが……彼等は成し遂げた。

 

 申し訳ないと思っていたものの……彼等はすぐに出発してしまった。

 幸い、界域アンカー*1を使っていつでも来れるようで、たまにゴミを漁りに来る。

 謝る機会もそう少なくはなかった。

 

 全く何をしているのか理解できないが(ゴミ漁りで得るものはゴミだが、ゴミを得ることの意味とはなんだ?)、人の好きな物は千差万別だ。否定する気など欠片もなかった。

 

 そうだった。そういえば、何故か彼等は僕の書いた指名手配の手配書をいたく気に入った。

 

 指名手配は解除されているにもかかわらず、勘違いされてもいいから残したいと言っていたのだ。

 僕としてはそれほど気に言って貰ったのなら、少しだけ誇らしくなる。

 ただ、あの時は開拓者の2/3が見た事もない形相で固まっていたのでとても心配したのだったか。

 残りの一人に大丈夫だ、と伝えられたが、僕がその場を離れた後に二人が痙攣して治療所に連れていかれたと聞いた。やはり体調が優れなかったのだろう。

 

 彼等の事は、良く思い出す。

 娯楽の少ないベロブルグで、更に娯楽を読まない、見ない、知らないジェパ―ドにとって、彼等との邂逅はあまりに衝撃的だった。

 暖房の効いた街中に戻る。同じ隊のメンバーが「整う」と言っていたのを思い出す。

 知らない言葉だったので聞いてみたら、成り立ちに至るまでみっちり教えられた。

 要は寒さと暑さでスッキリする事だったので、真面目なジェパ―ドはしっかりと注意した。そんな不謹慎な事を言ってはならない。

 注意したのだが、実際に言葉を知った後にそれを実行すると、なるほど、と思わざるを得ない。実際に、その感覚を理解できてしまうのだ。

 

 まあともかく、ジェパ―ドは建創者の元に赴いた。単なる報告を済ませ、また戦場に戻ろうと思っていたのだが、なんと休暇を言い渡された。

 何をすればいいのか分からないので、こうして街を散策している。

 

 

 と、ジェパ―ドはふと末妹との久しぶりの再会で聞いた話を思い出す。

 

「景色を見ると、心のリフレッシュになる。何げないいつもの景色でもいいし、普段は戦うだけの外側とかでも」

 

 リンクスは、ほとんどずっと外で過ごしている。

 僕は、鎧を着込んで外側に出てみた。己の身は自分で守ることが出来る。

 彼女でさえできるのだ。僕が出来なくてどうする。見せられなくてどうする。

 

 そうして外に出てみて、気付く。

 見飽きた景色だが、じっと見てみると全く普段とは違う視点が得られる。

 

 …………彼にとっては嬉しくない事実かもしれないが、彼はそう感じている訳ではない。

 プラシーボ効果というか。言葉を選ばなければ、彼には絶望的に芸術の才能がない。それこそ芸術的なまでに。

 いや、彼がそう感じたのならば、そうなのだろう。他人からとやかく言われるのは彼も困るだろう。

 

 ともかく、普段とは違うように感じられる景色の中を進むジェパ―ド。

 

 すると、その先には二人の人間と裂界造物がいた。戦っている。

 急激に意識が戦闘に切り替えられる。

 

 

 走ってその間に割り込むと、ジェパ―ドは敵の攻撃を受け止める。

 

「大丈夫ですか!?」

「大丈夫!そっちは大丈夫なの?」

 

 予想以上にあっけらかんとした態度に、思わず力が抜けそうになる。だが、そうもいかない。ここは戦場だ。

 

「俺も大丈夫です。加勢しますか?」

 

「いや、ここは僕一人で十分です。……ふっ!!」

 

 気合一発、ギターケースで思いっきり殴る。

 幸い、コウモリのような鳥のような造物は、非常に弱いタイプだ。勿論一般人には脅威足りうるが。

 数体いたものの、一体は先程の攻撃で力無く消えようとしている。それ以外も手負いになり、這う這う(ほうほう)の体で逃げて行った。飛べなくなる=死だから這ってはいないが。

 一息つくと、ジェパ―ドは二人組に向き直る。

 

 

 彼等もまたベロブルグの市民であり、我々の守るべき人民だ。

 

 

「お出かけでしたか。お邪魔ならとりあえず街中までお送りしましょう」

 

「アキさん、ヒメノさん」

*1
ワープポイント。メタな話をするとワープポイントを世界観に織り込む錨




シリアスって言うかちょっと真面目に書いただけでした。

あと、章分けしますので○○のやつが見たかったのに続きが更新されたの○○の方だったかー、が起きる可能性があります、予めご了承ください。ご容赦。
ちょっとずつ色々進めていくので。
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