魔法青年リリカル――え?   作:コップ一杯の水

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バンバン生み出されて行くオリジナル設定…ッ!
書きながら思いつきで話を作っているのでしっちゃかめっちゃかになっていたりするかもしれませんがご了承ください…


士官学校入学と勝手に始まるメンバー選抜試験

―――春、である。

出会いと別れの季節と呼ばれるこの季節に。

俺は、何故か士官学校に入学することとなっていた。

 

 

 

▫︎▪︎▫︎▪︎

 

 

 

士官学校の制服に身を包んだ俺は、今すぐにでも死んでしまいたいくらいの気分で自分の席に座っていた。

本来ならば、俺は生まれ故郷の世界に帰るはずだったのに。

両親だけが故郷である世界に帰り、俺は士官学校学生寮に住むこととなって一人ミッドチルダに置いてきぼりだ。

入りたくもない士官学校に入らされた挙句に、一人ぼっちとなったわけだ。

まず、大量の荷物を持って寮へ行き自室に荷物を置いてから入学式へ。

そして、教室へとやってきて自分の席に座った。

何の面白みもない、そんな感じの流れだった。

どうやら、ルームメイトが一人いるみたいなんだが。

誰なんだろう、怖くない人がいいなぁ。

ルームメイトなのだから、仲良くせずにいるわけにもいかないし。

優しい人だといいんだけど。

頬杖をつくようにして、どこに視線を向けるでもなく。

視線を空中に漂わせてぼーっとする。

正確には、この状況に絶望しているのだが。

「やあ、君が佐伯怜侍君かい?」

柔和な笑みを浮かべたイケメンがやって来た。

「ああ、そうだが」

「僕はヴァッシュ・ドルストン。君のルームメイトだよ。僕のことは、”バーシュ”と呼んでくれ。よろしくね、怜侍君」

にこやかな挨拶と共に、握手を求められたので握手をする。

良かった、優しそうな人で。

「お前みたいな奴がルームメイトで安心した」

「照れるな、でもありがとう。僕も君みたいな人がルームメイトで安心したよ」

おお、友達になれた…のかな?

なんか、感動だ。

今まで友達が居なかった俺としては、とても嬉しい。

なんだ、悪くないじゃないか士官学校。

「…ところで、怜侍君。君って、あの”ヒーロー”だよね?」

士官学校、悪くないじゃないかと思った矢先にこれだ。

次元空間渡航船ハイジャック事件に関するニュースと俺のことがバンバン放送された所為で、俺はちょっとした有名人になっていたりする。

最悪だ。

だってそうだろう? 全ては偶然の産物なのに、華麗に救ったヒーローだなんて呼ばれるのはとっても気分がよろしくない。

何故だか、騙しているような気がして胃が痛くなってくるのだ。

「ヒーローなんて呼ばないでくれ、たまたま上手くいっただけなんだから」

「そうやって、謙遜するところも素敵だって放送されてたね」

「事実だ、謙遜なんかじゃない」

ど、どうして信じてくれないんだろう。

「―――あ、あのっ!」

後ろからいきなり声をかけられた。

どこかで聞いたことあるような、ないような。

いきなりのことに、ビクリとしてしまう。

何とも男らしくない反応だが、俺はそういうビビリ野郎なんだから仕方がない。

「わ、私のこと覚えてますか…?」

振り向くと、次元空間渡航船ハイジャック事件の時に俺が助けた気の強そうな女の人が。

この人も士官学校に入ったのか。

「君は、あの時の…」

「私、ルキナ・フォルテルードと言います。…佐伯、怜侍さんですよね?」

「うん、そうだけど」

「あの時は本当にありがとうございました!」

深々と頭を下げられてしまった。

気にしなくていいのに。あれ、偶然助けることが出来ただけなんだし。

「いや、気にしなくていい。偶然上手いこと助けることが出来ただけだから」

…な、なんで嬉しそうな顔をしながら泣きそうなの? 目の端に溜まってる涙は何なの?

その、見るからに『感動しました』的な表情を浮かべているのは何故?

「っ…はい! あの、私もこのクラスなんです。これからクラスメイトとしてよろしくお願いします!」

「あ、ああ…よろしくな」

先ほど、バーシュとしたようにルキナとも握手をした。

友達にはなれたようだが、どうにも誤解はまったく解けない。

なんでだろう。

 

 

 

▫︎▪︎▫︎▪︎

 

 

 

担任がやって来て、地獄の自己紹介終了後。

――なんで、”地獄”の自己紹介なのかって?

俺が名前を口にしただけで、クラスメイトたちが俺の自己紹介をぶった切って『”あの”ヒーローだ』とかなんとか騒ぎ出し、質問攻めになったからだ。

本当、地獄だった。

何より恐ろしいのは、俺が何度偶然なんだと言っても『またまた謙遜しちゃって』『胸張れよ』などと返されてしまったことだ。

なんで皆、俺の主張を一ミリたりとも信じないんだろう。

意味わからん。

そして、担任が明らかにやばそうな人だったのも恐ろしい。

美人なのにすごい目つき悪いし身長俺と同じくらいあるし。

教室に入るなり、『死を覚悟して来たんだろうなァ、テメェら』とか言ってるし!

士官学校に入学するのに死を覚悟して来るわけねえだろ!と思ったが。

そんなことを口にすれば殺される気がしたので何も言わなかった。

士官学校、入学初日からもうこの学校辞めたい。

頭を抱えて、机に突っ伏す。

「怜侍君、寮に帰ろうよ」

そんな俺の肩をトントンと叩き、爽やかな笑みを浮かべるバーシュ。

そうだ、俺はこいつとルームメイトなんだった。

「おう、行くか」

「ちょっと待て、佐伯。お前は特別試験を受けてから帰れ」

えっ。

特別試験って何ですか。

そんなの、資料のどこにも書いてなかったよな。

「じゃあ、僕は先に帰ってるね」

「ば、バーシュ、待っ―――」

にこやかに手を振って教室を出て行ってしまった。

「さあ、着いてこい。さっさとしろ、殺すぞ」

「は、はいぃ…!」

なんでこうなったんだ!?

特別試験ってなんなんだ!?

 

 

 

▫︎▪︎▫︎▪︎

 

 

 

息子を置いて故郷へ帰った父さん、母さん。

息子は本日、死ぬかもしれません。

「佐伯は無手、ソウリュウは剣だな。…私が笛を鳴らしたら戦闘を始めろ、いいな」

俺は今、室内演習場のど真ん中に立たされている。

真正面には、女性にしては高身長な黒髪の女の子。

その左手には長剣が握られている。

それに対して俺は無手である。

無手と言えど、籠手は装備しているが。

防御用の籠手を右手だけに装備した状態だ。

なんでも、俺用の武器を用意するのを忘れたらしい。ふざけんな。

俺の正面に立つ女の子、ヤツハ・ソウリュウとか言ったか。

AAランクとか言ってたし。

AAランクとか絶対強いだろ、勝てるわけねえ。

しかも、俺より一学年上。そして生徒会長らしい。

勝てる要素がどこにもない。

なんでそんな人と戦わされるんだ俺は。

ああ、くそ、帰りてえ。

「あの、俺こんな――『ピィィィィィーーーー!!』…俺の言葉遮るの流行ってんの?」

そんな愚痴をこぼしていると、もう目の前まで生徒会長は迫ってきていた。

生徒会長の動きが速すぎて、走ってるだけなのに風切り音みたいな音が聞こえるんですが。

そして、一際大きな風切り音と共に振り下ろされる剣。

し、死ぬうう!!?

咄嗟に右腕を前に出す。

金属と金属がぶつかり合う嫌な音が響く。

い、痛ってえええええ! ちょ、生徒会長力強すぎだろ!?

籠手の下、俺の右手が悲鳴を上げていた。

あまりの痛みに勢いよく腰を折り、まるでうずくまるような体勢で右手を優しくさする。

腰を折った為、俺の頭が下がったその瞬間、先ほどまで頭があった位置を剣が横切った。

ひいい!? 今右手をさすろうとしてなかったら殺られてた!?

ま、まだ使い切らないでくれ俺の幸運!

いや、もう使い切っちゃってそうだけどそこを気にし始めたら俺はこの先、生きていけん。

と、とりあえず距離を離そう。

頭を下げた体勢、姿勢を低くしたままで生徒会長の横を全力で通り抜ける。

そして、ある程度距離を離したところで立ち止まる。

先ほど恐ろしい移動速度を見せた生徒会長だ、もう背後まで来ているかもしれない。

右手を前に突き出すようにしながら勢いよく振り向く。

…あれ? なんだ、追って来てなかったのか。

生徒会長は、剣を構え直して様子を伺うように立っていて。

どうも、俺の杞憂だったようだ。

さてこれからどうしよう――そう思ったところでおかしなことに気付く。

なんか、右手が妙に軽い。

金属製の籠手をしていたことによって、重くなっていたはずなんだが。

…嫌な予感がする。激しく嫌な予感がする。

右手を見てみる。

「あれっ!?」

籠手がない。

俺の右手に装備されていたはずの籠手がない。

最高に嫌な予感がしたところで、籠手で剣を受け止めた時のような金属と金属がぶつかり合う音が再び響いた。

右手から、金属音がした方へと目を向ける。

「っ…!」

してやられた、といった表情の生徒会長。

その手に長剣は握られておらず、生徒会長の数メートル後ろに俺が装備していた籠手と長剣が転がっていた。

ど、どどど、どういうことなんだこれは。

まさか…籠手がすっぽ抜けた…?

「攻撃手段である武器を我が手から離すとは見事、負けも同然さ。…完敗だよ」

負けたけど悔いはない…とでも言うかのような、爽やかな笑み。

え、な、何言ってんの?

なんにもしてないんですけど。

「勝負ありだな。勝者、佐伯怜侍! おめでとう、お前は学校内組織”フォルセティ”のメンバー選抜試験に見事合格した」

「なっ…なんなんですかそれ!?」

「フォルセティは管理局が出られない仕事に、管理局の代わりとして出る特別組織だ。まだ管理局で働いてない学生だし、トラブルになっても学生たち相手に敵方は下手な手を出せないってわけさ。フォルセティは護衛や奪還作戦など色々やるぞ。そのメンバーになるには、当然抜きん出た力がなければならん。そのメンバー選抜試験にお前は合格し、たった今からフォルセティのメンバーとなったんだ。光栄だろ?」

い、意味が分からん。

誰もメンバーにしてくれなんて言ってないし、勝手に特別試験を始めておいて何を言ってるんだ。

「私も、フォルセティのメンバーなんだ。任務は危険なものばかりで、命の危険に晒されることも少なくないが、メンバーとして助け合って窮地を潜り抜けていこう。今、戦ったから分かるよ。君はとてつもなく強いってね。改めて自己紹介するよ、私はヤツハ・ソウリュウ。よろしく頼むよ」

「佐伯怜侍です、こちらこそよろしく」

こちらこそよろしくじゃねえだろ俺ぇえええ!!!!

何、にこやかに返事してんだよおい俺!

確かに、何にも返事しなかったら失礼だよ!?

だけどそんな…そんな…!

俺の馬鹿野郎、死ね。

―――こうして俺は、フォルセティとかいうやばそうな組織のメンバーとなった。なってしまった。

 

 

 

▫︎▪︎▫︎▪︎

 

 

 

「おい、あいつ…次元空間渡航船ハイジャック事件の時にハイジャック犯をぶっ倒して乗客全員を救ったっていうヒーローだよな?」

「しかも、入学初日にフォルセティメンバー選抜試験に合格したらしいぜ。何よりやばいのは、あの生徒会長を負かして試験に合格したってトコだ」

「マジかよ!? あの生徒会長を負かして試験合格!?」

「生徒会長の攻撃、一撃も当たらなかったらしいぜ」

「はぁ!? 佐伯、いったいどんだけ強えぇんだよ…!?」

「入学初日にフォルセティメンバー選抜試験を受けさせられた奴なんざ、佐伯だけだぜ? しかも生徒会長の攻撃を一撃も受けずに勝って試験合格なんて…そんな奴、初めてだろ」

「だよなぁ。…すげえ奴なんだな、マジで」

その会話、全部聞こえてるんでやめてください…。

全部偶然なんだよ…。

籠手がすっぽ抜けて偶然生徒会長の剣に当たっただけなんだよ…。

そしたら勝手に負けを認めてきたんだよ…。

試験合格、その次の日。

昨日の事がクラス中、学校中に広まっていた。

情報伝達早すぎるだろ。

昼休み、さあ食堂へ行こうとしたらそんな会話が聞こえてきたのだ。

クラスメイトが、恐ろしい会話をしていたことで俺は冷や汗を流していた。

マジで、違うんだって…。

「やあ、怜侍君。一緒に食堂へ行かないか?」

ガラリと教室のドアを開け、楽しそうに笑っている生徒会長。

「ほら、行ってきなよ」

爽やかイケメン、バーシュが俺の背中を押す。サムズアップ付きで。

いやいやいや、なんだよそのサムズアップは!?

「君と話したいことがたくさんあるんだ。よければ、仲良くして欲しいな」

生徒会長、純粋な笑顔で言わないでください。断るに断れません。

くそ、俺が断れない性格だからこんな状況になっちまってるじゃないのか。

でも断れない。こんな純粋な笑顔で言われたら断れないって。

っていうか、なんで俺生徒会長に気に入られたんだ…?

「こちらこそ、入学したばかりで友達も少ないもんですから。仲良くしてください、生徒会長」

「そう言ってもらえると嬉しいよ!」

それから、毎日生徒会長が昼休みになると俺のクラスの教室まで俺を呼びに来るようになった。

生徒会長、優しい人だし話していて楽しい相手なんだが―――相変わらず彼女も、勘違いしていた。

あの籠手、剣を弾く為にわざとすっ飛ばしたもんだと思ってるらしい。

俺はこう言いたい。

 

んなわけあるか。




書き上げてから即投稿をしているもので、投稿時間が深夜帯だったりとおかしかったりしますがお気になさらず。
今回、オリジナル設定が大炸裂しています…。こんな勝手な設定作っちゃっていいのかと自分でも思います(笑)

感想、誤字脱字のご指摘などお待ちしております!
早くも感想とお気に入りを幾つもいただきまして作者のやる気はうなぎのぼりでございます…!
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