ある魔女の人生   作:ネッシーは実在する

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レギュラス・ブラックとマグルの女性の間に生まれた一人娘、エステル・ブラックはホグワーツに入学する。
元死喰い人であるレギュラスの娘で、大犯罪者シリウス・ブラックの姪は、ホグワーツに入学し、好奇の目に晒される事になる。
そんな彼女がホグワーツで初めての授業を受けるお話。



初めての授業

翌朝、目を覚ますと開いた窓から小鳥のさえずりが聞こえた。

 

 

目を擦りながらベッドから降りて立ち上がると、時計の針は午前7時30分を指していた。

エステルはシャワーを浴び、身支度を始める。

シャワールームから出ると、髪をしっかりと乾かし、お気に入りの黒のバレッタでハーフアップにする。

最後にローブを羽織り準備万端だ。

そういえば、昨日のホグワーツ特急でエステルは、ハーマイオニーに母の書いたオリジナル小説の1巻を貸すと約束をした事を思い出した。

 

 

「……お父様に手紙で本を送って貰うようお願いしてみましょう。」

 

 

エステルはすぐに便箋をトランクから取り出し、羽根ペンにインクを着け、手紙を書き始めた。

そして出来た手紙に封をし、ポケットに仕舞った。

そして時計に目をやると、そろそろ大広間に行って朝食を摂らなければならない事に気付いた。

しかし、まだ眠っているエリーナとモニカを放置するわけにもいかないので、彼女達を起こしてから大広間に向かう事にした。

 

 

「2人とも、もう朝だよ。起きて?」

 

 

2人の体を揺すると、渋々といった様子で目を開いた。

2人ともまだ眠そうにしているが、なんとか目を覚ましてくれたようで良かった。

 

 

「おはよう、エステル。貴方は起きるのが早いのね。」

 

 

エリーナが目をこすりながら、エステルを見てそう言った。

 

 

「いや……もう8時を過ぎているわ。2人が起きるのが遅いだけじゃない?早くしないと、朝食の料理が無くなってしまうかもしれないよ。」

 

 

エステルがそう言うと、エリーナが目を見開いて驚きの声を上げた。

 

 

「え!?もうそんな時間なの?私としたことが、寝坊してしまったわ……モニカ!モニカ!急いで準備をしないと朝食を食べ損ねてしまうわよ!」

 

 

エリーナは大慌てでベッドから飛び起き、洗面台へと走って行った。

そんなエリーナの様子を見て、モニカはギョッとし、大慌てでベッドから飛び降りて支度を始めた。

 

 

「授業が9時からで良かったね。」

 

 

エステルがそう言うと、モニカは支度をしながら何度も首を縦に振り、うんうんと頷いた。

エステルは2人が支度を始めたのを見届けてから、先に談話室へ向かった。

 

 

談話室には多くの生徒がおり、その中にはリディアの姿もあった。

エステルは彼女の方に向かって歩き出し、声を掛ける。

 

 

「おはよう、リディア。」

 

 

リディアはエステルに気付くと、笑顔で挨拶を返した。

 

 

「おはよう!貴女も今から朝食を食べに大広間へ行くところかしら?」

 

 

「ええ、そうよ。私は寝坊してしまったルームメイト達を起こしていたところなの。」

 

 

エステルがそう答えると、リディアはクスクスと笑った。

 

 

「まあ!それは大変だったわね。でも、エステルはとっても優しい人ね!」

 

 

そう言って微笑む彼女の笑顔はとても素敵で、同性のエステルですら見惚れてしまう程だった。

 

 

(やっぱり彼女はとても素敵な人だなぁ。)

 

 

そんな事を考えつつ、2人は大広間へ向かった。

大広間に着くと、ハッフルパフのテーブルに座って食事を始める。

エステルはじゃがいものポタージュとサラダ、トーストを選んだ。

リディアは、トーストとヨーグルト、スクランブルエッグを選んだようだ。

 

 

「わあ、ここのパンってとっても美味しいわ。この学校の料理って誰が作っているのかしら?」

 

 

「…確か、屋敷しもべ妖精が作っているそうよ。お父様が仰っていたわ。」

 

 

ホグワーツで提供される食事は、全て屋敷しもべ妖精が作っている。

普段生徒達が彼らを見る事は無いが、確かにホグワーツには屋敷しもべ妖精が存在しているのだ。

確か、ヘルガ・ハッフルパフとの契約により、ホグワーツでの雇用が行われたという話を聞いた事がある。

 

 

「屋敷しもべ妖精?魔法界って凄いのね。」

 

 

リディアが感心した様子でそう言うと、エステルは微笑んだ。

 

 

「ええ。屋敷しもべ妖精はとっても働き者なのよ?私の住む家にもいるんだけど、クリーチャーといって、召使いというより、大切な家族だと思っているわ。本当に私の事を大切に思ってくれている素敵な妖精なの。」

 

 

「へえ……私も一度会ってみたいわ!」

 

 

そんな会話を交わしながら2人は食事を終えた。

そして立ち上がり、授業の行われる教室の場所を確認する為に寮へ戻る事にした。

 

 

「あ、待って!」

 

 

しかし、2人が大広間を出ようとすると、突然後ろから声を掛けられた。

 

 

「君、ハンカチ落としたよ。はい、どうぞ。」

 

 

振り返ると、同じ寮生のハンサムな男子生徒がエステルの落としたハンカチを彼女に差し出していた。

 

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

エステルは、男子生徒からハンカチを受け取ると彼にお礼を言い、頭を下げた。

 

 

「どういたしまして。」

 

 

彼はそう言ってニッコリと笑った後、リディアと私の顔を見てから話し始めた。

 

 

「君達は…ハッフルパフの子だよね?初めまして!僕はセドリック・ディゴリーだよ!気軽にセドリックって呼んで。」

 

 

「宜しくね、セドリック!私の名前はリディア・エルンストよ。是非仲良くしてちょうだい。」

 

 

リディアは明るい声でセドリックに自己紹介を返し、彼と握手を交わした。

私も彼女に続いて自己紹介を行い始めた。

 

 

「私はエステル・ブラックです。宜しくお願いします、セドリック。」

 

 

「宜しくね、2人とも。良かったら下の名前で呼んでも良いかな?」

 

 

セドリックがそう言うと、リディアは嬉しそうに言った。

 

 

「ええ!勿論よ!」

 

 

エステルも微笑みながら頷き、新たな友人が出来たという事実を心の底から喜んだ。

 

 

「私も構いませんよ。」

 

 

セドリックは少し照れくさそうに笑った後、口を開いた。

 

 

「そういえば、君達の次の科目はなんだい?」

 

 

「確か、変身術だったはずよ。」

 

 

リディアがそう答えると、セドリックは頷きながら口を開いた。

 

 

「という事は、マクゴナガル教授の授業か。マクゴナガル教授はとても優しい方だから、安心して授業を受けると良いよ。」

 

 

彼がわざわざこんな話し方をするという事は、厳しい教授もいるという事だろう。

ここは、予め注意すべき教授の名前を聞き出しておくべきだ。

エステルはそう判断し、セドリックに質問を投げ掛ける。

 

 

「ねぇ、セドリック。その…とても厳しい先生もいらっしゃるのですよね?」

 

 

セドリックは、エステルが注意すべき教授の名前を聞きたがっていると察したようで、少し考えた後口を開いた。

 

 

「そうだね…魔法薬学のスネイプ教授はかなり気難しい方だ。だけど実力は素晴らしいし、授業も分かりやすいから誠実に向き合えば、大丈夫だよ。他の先生方は皆良い人ばかりだから、心配しなくても良いと思う。」

 

 

彼がそう答えると、リディアが少し不安そうに言った。

 

 

「それは良かったわ!私、実はまだ魔法界に慣れていないから、常識も分からないし、勉強についていけるかとっても不安だったの。」

 

 

「大丈夫さ。僕も最初はそうだったからね!」

 

 

セドリックがそう言って微笑むと、リディアはほっと胸を撫で下ろし安堵したようだ。

 

 

「良かったわ。ありがとう!セドリックのおかげで少し不安が薄れたわ。」

 

 

リディアがそう言うと、セドリックは嬉しそうに微笑んだ。

 

 

「どういたしまして。変身術の教室はこの先を真っ直ぐ進めばすぐだからね。」

 

 

彼はそう言って、変身術の教室への行き方を2人に教えた。

エステルとリディアは、彼にお礼を述べたが、セドリックは『気にしないで』と言い、優しく笑った。

 

 

「あ、そうだ。良かったらこの地図を使ってくれ。」

 

 

セドリックはそう言って、リディアに一枚の羊皮紙を差し出した。

リディアは差し出された羊皮紙を受け取り、その紙を広げる。

 

 

するとそこにはホグワーツ城内部の教室の位置が書かれており、右端のスペースには行き方が複雑な教室への道順が書かれており、新入生であるリディアとエステルにとってはとても有難いアイテムだ。

 

 

「すごく細かい地図ですね。それでいて、とても分かりやすい。素晴らしいわ。」

 

 

エステルが地図を見ながらそう言うと、リディアもすぐに頷いた。

 

 

「僕はもうこの地図が頭に入っているから、新入生である君達に活用して欲しいんだ。それから、この地図の情報は他の新入生達にも教えてあげてくれ。迷ってしまう生徒も出てくるかもしれないからね。」

 

 

彼は正にハッフルパフらしい生徒だった。

エステルとリディアだけでなく、他の新入生にも伝えるよう言う辺り、とても親切で真面目で優しい人なのだろう。

エステルは、来年彼のような親切で素敵な先輩になれたら良いなと思い、彼に対して憧れの気持ちを募らせた。

 

 

「分かったわ。ありがとう、セドリック。」

 

 

「感謝致します、セドリック。」

 

 

「あはは、気にしないで。じゃあ、僕はそろそろ行くよ。またね!リディア、エステル。」

 

 

その後、セドリックと別れて変身術の教室に向かうと、そこにはグリフィンドールの生徒がおり、初回の授業はグリフィンドールと合同だったようだ。

 

 

「へぇ!グリフィンドールと合同なのね。どんな生徒がいるのか、とっても気になるわ。さぁ、早く入りましょう。」

 

 

「そ、そうね。グリフィンドールと合同、かぁ……」

 

 

グリフィンドールと合同という事は、当然同学年のジニーもいるはず。

彼女は昨日、エステルに対して軽蔑の眼差しを向けてきた。

何か言われるのではないかと少し不安に思っていたが、そんな事で授業を休んでいては単位が取得出来なくなってしまう。

エステルはグリフィンドール側の席を見ないよう気を付けながら教室に入り、ハッフルパフ側の一番後ろの席にリディアと共に座る。

 

 

エステルは不安を書き消そうと、教科書を読み始めた。

しかし、数秒後突然リディアに手を掴まれ、彼女はエステルの顔を覗き込んできた。

 

 

「大丈夫?エステル。顔色が悪いようだけど。医務室に行った方が良いんじゃない?」

 

 

リディアは心配そうな顔でエステルを見つめる。

 

 

「いえ、大丈夫よ。少し緊張しているだけよ。」

 

 

エステルはそう言って微笑んだが、リディアはまだ心配そうな顔をしている。

するとその時、突然大きな音を立てて扉が開いた。

2人が扉の方に視線を向けると、そこにはマクゴナガル先生の姿があった。

 

 

「さぁ、皆さん!授業を始めますよ。今日は初回という事で、まずは私の自己紹介をしておきましょうか。」

 

 

マクゴナガルはそう言ってニッコリと笑った後、生徒達に着席するように促し、教壇の後ろに立つ。

 

 

「私はミネルバ・マクゴナガルです。ホグワーツで変身術を教えています。そして、グリフィンドールの皆さんも知っていると思いますが、私はグリフィンドールの寮監でもあります。もし何か問題が起きれば、いつでも相談して下さいね。」

 

 

マクゴナガル先生が自己紹介を終えると、生徒達から拍手が沸き起こった。

 

 

「変身術はホグワーツで学ぶ魔法の中でも、複雑で難しい魔法です。いいかげんな態度で私の授業を受ける生徒は出ていってもらいますからね。真面目に授業に参加するようにして下さい。分からない事があれば、すぐに聞くようにしてください。それでは、授業を始めましょうか。」

 

 

マクゴナガル先生は厳しい表情でそう言い、授業に関する説明を始めた。

評価方法や課題、今後のカリキュラムについての説明を終えると、目の前の机に向かって杖を振り、ピンク色の豚に変えて見せた。

 

 

「わあっ、凄い!机が豚になったぞ!」

 

 

「わあ、本物の豚みたいね!私もやってみたい!」

 

 

生徒達はマクゴナガルの放った魔法に興味津々といった様子で、興奮気味に豚に変わった机を見つめていた。

その様子を見てマクゴナガルは満足気に笑い、変身術の実践授業を始めた。

まず始めに変身術の理論を説明し、その後実践を行うそうだ。

 

 

「皆さんには、今から配るマッチ棒を針に変えて貰います。」

 

 

何の変哲もないマッチ棒が全員に配られると、マクゴナガルは合図をして、全員が必死にマッチ棒を針に変えようと杖を振ったが、マッチ棒は針に変化しない。

 

 

「うーん、難しいなぁ。」

 

 

しかし、隣のリディアは違った。

マッチ棒の先端から徐々に煙が上がり始め、数秒後には完全に針へと形を変えた。

 

 

「先生!出来ました!」

 

 

「おや、随分早かったですね…とても見事で鋭く尖った針ですね。ハッブルパフに10点!」

 

 

リディアは、嬉しそうにマクゴナガルに針を見せた後、エステルにマッチ棒を手渡してきた。

 

 

「エステル!見て見て!ほらっ!針に変化したわ!」

 

 

そう言って嬉しそうに、自慢げに笑う彼女を見て、エステルは素直に感心した。

マグル生まれだからと甘えず、完璧な変身術を披露した彼女を心の中で称えた。

 

 

「凄いわね!本物の針みたいだわ。」

 

 

(凄いわ…リディアって変身術の才能があるのね。)

 

 

エステルは、リディアの変身術の才能に感心しながらマッチ棒を見つめる。

自身の持つ魔力に力を込め、クリーチャーが使っていた針を思い浮かべる。

 

 

(クリーチャーは、裁縫を行う時に高そうな金色の針を使っていたわ。とても鋭くて、光を放つほど丁寧に磨かれた高級感溢れる針だった。)

 

 

エステルは、針が鋭く光る様子を想像しながら杖を振った。

すると、マッチ棒の先端から煙が上がり始め、数秒後には完全に針へと形を変えた。

 

 

「まぁ!素晴らしいですね!ハッフルパフに5点差し上げましょう。」

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

マクゴナガル先生がそう言って拍手をすると、他の生徒達もそれに続いて拍手をした。

リディアはニコニコと笑いながらエステルに話し掛ける。

 

 

「やったわね!エステル!あなたの針もとっても素敵だわ。」

 

 

そんなリディアの嬉しそうな様子を見て、エステルは照れながらも彼女に微笑み返したのだった。

 

 

「凄いわね!エステル!どうやったの!教えてちょうだい!」

 

 

「……す、凄いですね、2人とも。」

 

 

エリーナは太陽のように眩しい笑顔をエステルに向け、モニカも驚きの表情でエステルとリディアを見ながら賞賛の言葉を送った。

それからエステルとリディアは抽象的なアドバイスを2人に送り、エリーナとモニカもマッチ棒を鋭い針へと変化させる事に成功したのだった。

 

 

今回の授業では、ハッフルパフとグリフィンドールの生徒を合わせて、12人の生徒が変身術を成功させる事が出来た。その中にはマグル生まれの生徒も数人おり、私達の学年は優秀な生徒が多いとマクゴナガルは満足そうに話していた。

 

 

授業が終わると、マクゴナガルは教壇の上を片付けて教室から去っていった。

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