ゴブリンの作り方   作:靴下9153

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捕獲

 その村では何時の頃からか裏山に、化け物が住み着くようになった。

 

 化け物は岩のような見た目の巨人で怪力だった。

 

 ある時羊飼いから、木を抱えて倒す姿を見たという話を聞いたことがある。

 

 村の人間は、たびたび目撃される怪物を【トロール】と呼び恐れた。

 

 ともかくも、村の連中は安心して眠ることすらできなくなって、ついには王様へトロールの討伐を直訴したのであった。

 

 

 ——すると王様は直ぐに兵隊を寄越してくれた。

 

 流石は王様である。

 

 ちゃんと年貢を納めてるから、すっとんできてくれたんだろう。

 

 

 兵隊たちを率いているのは、次男の王子様なのだそうだ。

 

 きっと王様の子供だから、さぞ凄いお人なのだろう。

 

 馬にまたがった王子様が村の真ん中を進んで行ったら、村の女どもはキーキー五月蠅(うるさ)(わめ)いて耳が変になりそうだった。

 

 

 村長は家へ(まね)こうとしたようだったが、王子は断って家来に持ってこさせた布の家で寝たようだ。

 

 きっと大勢の兵士が押しかけるので遠慮したのだろう。

 

 流石は王様の息子である。

 

 人が出来てる。

 

 

 ——翌日王子様は兵隊を率いて山へ入っていった。

 

 兵士達は金ぴかの鎧を着てなかったけど大丈夫だろうか。

 

 

 しかし、そんな心配は要らなかった。

 

 

 トロールは(なわ)でぐるぐる巻きにされて、(おり)に入れられて連れていかれた。

 

 

 やはり王子様も凄いお人だったのである。

 

 こんなあっさり捕まえられるとは思って無かったので、まったく魂消(たまげ)てしまった。

 

 村人連中もこぞって王子様を()(たた)えていた。

 

 

 ——カテスラ王国万歳!


 狼に育てられた子供がいた。

 

 やがて大きくなり、その体躯は2mをゆうに超え、(いわお)(ごと)き肉体を持つ青年へと成長を遂げたのである。

 

 

 その地方は肌寒い。体が大きければ相対的な表面積は少なくなり、筋肉量が増えることで発熱量も上がり寒さに強くなる。

 

 それに男は冷気を(しの)ぐ自慢の鎧を(まと)っていた。

 

 

 ——(あか)である。

 

 

 (あか)は長年溜まって層が厚くなり、関節でひび割れて見た目はまさに岩巨人という風貌(ふうぼう)を得るに至る。

 

 

 彼を恐れた人間は彼をトロールと呼称し、追い詰めて捕獲することに成功した。

 

 

 ——刑場へ引き出されたトロールは、処刑人を前にしても恐れなど見せることは無かった。

 

 逆に恐れたのは処刑人の方である。

 

 腰の引けた斧で切り付けるも、トロールの(あか)の鎧を浅く切り裂いただけで、(つば)をつけると傷は跡形も無く消えてしまった。

 

 それは恐怖で(にご)った人々の目には、肉を再生したかのように見える。

 

 

 ——だが、日が高くなり。石を敷き詰めた刑場では(うるお)いを保てず、トロールの体は≪≪みるみるうちに≫≫ひび割れていった。

 

 トロールの弱点は皮肉にも、≪≪石≫≫とそして≪≪日の光≫≫だったのだ。

 

 それを見た処刑人は勇気を得て、腰を深く構えて渾身(こんしん)の一撃でトロールを切り裂く。

 

 

 ——処刑人は勇者となった。

 

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